25人以上のヒーローから誰を選ぶ?
2016年5月19日、2Kよりプレイステーション4、Xbox One、PC用ソフト『バトルボーン』が発売された。開発を担当するのは、『Borderlands(ボーダーランズ)』シリーズを手がけてきた、あのGearbox Softwareだ。
これまでファミ通.comでも、同作の情報を何度かお伝えしてきたが、改めて概要をおさらいしていこう。本作のゲームジャンルはFPS (ヒーローシューター)となっており、総勢25名にも及ぶヒーローに大きなスポットを当てた作品。協力プレイモードに加えて、対戦モードにも力を入れているのが特徴だ。はたして、製品版はどのような仕上がりになっているのか。ここでは、プレイインプレッションをお届けしよう。なお、本作はオンライン専用タイトルとなっており、オフラインでは遊べないのでご注意を。
まずは、基本的なシステムから解説していこう。本作に登場するヒーローたちは、攻撃手段や特殊能力など、すべてが大きく異なる。一般的なシューターのように銃をメインで扱うタイプや、同じ銃でもレールガンで攻撃したり、ロケットランチャーで戦うなど、バリエーションはかなり多彩。また射撃だけでなく、近接攻撃タイプやヒーラータイプも多数おり、ヒーローごとにまったく違うバトルが楽しめるのは、大きな魅力と言えるだろう。この、キャラクターバリエーションの豊かさは、シューターよりも対戦格闘ゲームを思い浮かべてもらうと、わかりやすいかもしれない。
ちなみに最初から選べるのは、オスカー マイク、オレンディ、ソーン、マルキ、ミコ、モンタナ、ラースの7名。残りのヒーローは、アンロック条件を満たすと解禁されていく。アンロック条件は2種類設定されており、どちらかを満たせばオーケー。うちひとつはコマンドランク(プレイヤーのレベル)を一定まで上げる、という内容になっており、意識せずともプレイし続ければいつかは全ヒーローがアンロックされる仕組みだ。
ヒーローがバトル中にレベルアップし、成長していくことも本作の大きな特徴。その際、1レベルごとにヘリックス(特殊能力)がふたつ登場し、どちらを取得するかを選択する。どのように成長させていくかで、同じヒーローでも個性が大きく変わり、違った戦いかたを楽しめる。レベルは試合ごとにリセットされるため、ワンプレイごとに異なる成長プランを試せ、自分に合ったスタイルを見つけ出すのが楽しい。
なお、ヒーローは使い続けるごとにキャラクターランクが上昇し、挑発やスキンがアンロックされていく。見逃せないのは、新たなヘリックスもアンロックされるということだ。あるレベルでは、選べるヘリックスが2種類から3種類に増えるため、より成長の選択肢が増える。新しいヘリックスを試したいがために、同じヒーローを使い続けるモチベーションにもなる。
もうひとつ、ヒーローの能力に大きく関わるのが、ギアと呼ばれる装備品だ。ミッション中に拾ったり、ゲーム中のクレジットというポイントで購入することが可能で、能力も移動速度、攻撃速度の上昇、建造物のコストが低下、リロード時間の短縮など、有用なものが多い。
ギアは3つまでセットすることができ、ゲーム中に入手できるシャードという通貨を消費して発動できる。よい効果のギアはシャード消費量が高く、序盤で発動させるのは難しい。このシャードひとつとっても、マップを走り回ってシャードを集めるか、集めたシャードはギアにつぎ込むか、はたまた建造物を建てるか、それとも序盤から戦闘に集中するか……といった感じで悩ましい。戦略にも大きな影響を与える要素だ。
溶解モードが熱くて楽しい!
続いて、各ゲームモードについて解説していこう。ストーリーモードはエピソードが8つ用意されており、宇宙の危機を救うための物語が展開される。最大5人での協力プレイが可能なため、一緒に遊ぶフレンドがいない場合は、パブリックで遊ぶのが基本だろう。プライベートを選べば、フレンドとの協力プレイやひとりプレイも楽しめるが、基本的に協力プレイが前提の作りになっており、ソロではなかなかに厳しい戦いとなる。
ストーリーモードは、ヒーローたちだけではなく、敵専用の種族も登場。拠点を防衛したり、巨大なボスと戦うなど、共闘をたっぷり楽しめるデザインになっている。一部のヒーローは、エピソードのクリアーがアンロックの条件となっており、物語とリンクして新しいヒーローが仲間になったときは、ちょっとうれしさが跳ね上がる。
バーサスモードは本作の中核となるもので、占領モード、侵入モード、溶解モードの、3つのルールが用意されている。マップは各モードにつきふたつずつだ。では、各モードのルールを簡単に紹介していこう。
占領モードは、マップ上にあるコレクターと呼ばれる地点を占領することが目的。チームのメンバーがコレクター上に一定時間滞在すると、そのコレクターは自チームのものとなり、以降は時間とともにポイントが入ってくる。逆に、相手チームがコレクターの上に滞在すると奪われてしまうため、いかにコレクターを維持できるかが勝負となる。ヒーローどうしの直接対決が比較的発生しやすいモードだ。
侵入モードは、各チームがセントリーと呼ばれる巨大ロボットを2体ずつ所持しており、相手チームのセントリーを両方撃破すると勝利となる。ただし、セントリーは非常に強力。ミニオンという、相手陣へ自動的に攻め込む小さなロボットを守りつつの進軍が求められる。
溶解モードは、ミニオンを相手陣のマグナスというポイントに届ければ得点となり、先に一定ポイントまで到達したチームの勝利となる。ミニオンを送り届け、また相手のミニオンを排除することが主となるため、タワーディフェンス的な楽しさも味わえる。
基本的にはどのルールも楽しく、やりごたえがあるのだが、個人的に気に入っているのは溶解モード。もう、ほぼこればっかり遊んでいる。何が楽しいかというと、戦略性がかなり高いことだ。
戦略上、重要になるのが建造物。ほかのモードでも建設はできるのだが、とりわけ溶解モードは数と比重が大きく、建設すれば戦況を大きく左右できる。
建造物は数種類あり、わかりやすいのは砲台であるタレットだろう。敵軍が射程内に入ると自動的に攻撃してくれるため、目に見えて戦闘で有利になる。そのほかにも、近づくとライフを回復してくれるものや、移動速度を上昇してくれるものなどが存在している。建造物はアップグレードも可能なので、できる限り早く建設し、強化したい。だが、そのためにはシャードという通貨が大量に必要となる。シャードはギアの有効化にも必要になるため、試合の序盤はどちらを選ぶか非常に悩むところだ。
また、ミニオンが主役なのもお気に入りポイントだ。純粋な対戦だと、どうしてもプレイヤースキルやヒーローの相性が戦いに大きく影響を及ぼすが、溶解モードではそれだけが要求される、というわけではない。もちろんヒーローどうしのバトルはひんぱんに発生するが、たとえば不利だと感じたら味方ミニオンのところまで逃げ、相手がミニオンに対処しているスキに攻撃に転じるとか、有利に立てる方法はいくらでもあるのだ。その方法を探し、実戦していくサイクルは非常に楽しい。
さらに、ヒーローのレベルアップ要素も、戦いに大きく影響している。アルティメットスキルは非常に強力だが、解禁されるのはレベル5から。レベル5まではいかに生き抜くかに主眼を置き、5になった瞬間から反撃に転じるなど、ひとつの試合内でも戦いかたがガラッと変わるのが、これまた楽しい。キャラクターランクが上昇し、新しいヘリックスが解禁されたら、そりゃ試したくなるってもんですよ!
そうしてチームが優位に立てるような下地を整え、相手チームを追い込んで勝利できたときの達成感は、非常に大きい。接戦で負けてしまった場合も、悔しくはあるがいい試合だったと満足感を得られるのは、なかなかに長所だと思う。さすがに序盤からボロ負けだと腹が立つけど。
というわけで、筆者は夜な夜な溶解モードにチャレンジし、新たな戦略を探求している。相手陣にあるシャードをこっそり奪って、自陣にタレットを設置したときなんかは、かなりのしてやったり感を味わえるのでオススメ。ヒーローによっては、バレても意外と逃げ延びられるもんですよ。
さて、そんな感じで『バトルボーン』を満喫しているわけだが、少し物足りない点がいくつかあったり……。ひとつは、ストーリーモードを十分に楽しめないこと。
パブリックでストーリーモードを遊ぶ場合、プレイするエピソードが3つほどランダムに表示され、どれを遊ぶかは参加者の投票で決定される。自分が遊びたいエピソードを無条件で選べるわけではなく、いきなりエピソード5あたりをプレイすることも珍しくないし、当然話のつながりはよくわからなくなる。かといってプライベートのソロで挑戦してみると、敵が無限湧きする状況でミニオンを無事に送り届けることが目標になっていたりして、そこはかとなく無理ゲー感が漂っている。
エピソード中はキャラクターどうしの会話イベントも発生するのだが、本作は英語音声かつ字幕がかなり小さいため、こちらも少しわかりにくい。戦闘に集中しているとき、字幕を見逃すなんてのはよくあることで、やっぱり物語はあまり頭に入ってこない。個人的に協力プレイには大きな期待を寄せていたため、この仕様はちょっと残念である。
もうひとつ、これはバーサスモードにも通じることだが、ゲームを始めるまでかなり時間がかかることだ。本作はゲーム中の部屋に乱入できない仕様で、毎回プレイヤーを集めて最初からスタートとなる。そのため、まずマッチングでけっこうな時間がかかる。相手が見つかったらプレイするマップを投票で決め、続いて使用するキャラクターを選択し、ギアや挑発を選んで……と、試合ごとにやるべきことが多く、始めるまでに数分かかってしまうわけだ。
途中入室できない仕様は、プレイごとに試合の最初から遊べるというメリットもある。ただ、マッチング中はボケっと画面を見ているしかないため、たとえばギアの調整とか、何かしらできることがあるとありがたいのだが……。
こんな感じでいささか不満な点はあるものの、ゲーム自体は相当楽しく、個人的にはかなり気に入っている。新キャラクターの追加も発表されたので、こちらもぜひ試してみたいところだ。
単純なFPSにとどまらず、さまざまなゲームジャンルの要素を詰め込んだ本作。それが上手くミックスされており、さすがはGearbox Software、といったところか。シューター好きはもちろん、戦略的なゲームが好きな人もぜひ試していただきたい一本。シューターで狙いをつけるのが苦手な人でも、本作なら活躍できる手段がたっぷり用意されており、きっと楽しめるはずだ。