大作MMORPG『BLESS(仮)』キーマンに概要を直撃!

 2016年5月3日に開催されたゲームオン全体の大型オフラインイベント“Pmang感謝祭”。このイベント内で、韓国NEOWIZ GAMES社とゲームオンによる、PC用MMORPG『BLESS(仮)』のライセンス契約調印式が実施された。

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▲調印式を執り行ったゲームオン代表取締役社長のイ・サンヨプ氏(左)とNEOWIZ GAMES CEOの李起源氏(右)。

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 『BLESS(仮)』を生み出したのは、韓国の開発スタジオNEOWIZ BLESS STUDIO。7年の開発期間、70億円規模の制作費がかけられた大作だ。“真骨頂が大規模な「戦争」であること”や“さまざまな種族が登場する壮大な世界が舞台”以上のことは正式にアナウンスされておらず、どのようなゲームか気になっている人も多いだろう。

 そこで、NEOWIZ BLESS STUDIOでプロデューサーを務める韓在甲氏と、ゲームオンのマーケティング部長の新倉敬二郎氏に、本作の概要や見どころについて話を伺った。なお、『BLESS』は韓国での名称で、上記のロゴも韓国版だ。日本での正式タイトルは未定とのことなので、本稿では『BLESS(仮)』と呼称している。

『BLESS(仮)』_プロモーションムービー

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▲ゲームオン執行役員マーケティング部長の新倉敬二郎氏(左、文中では新倉)とNEOWIZ BLESS STUDIO CEOの韓在甲氏(右、文中では韓)。

『BLESS(仮)』が持つファンタジー世界

――『BLESS(仮)』をひと言で表現すると、どのようなゲームなのでしょうか?

 大人数でときには協力し合い、ときには競争する、正統派のMMORPGです。

――正統派MMORPGを開発するデベロッパーは減少傾向にあると思います。大作MMORPGを作ろうと思ったきっかけはなんでしょうか?

 『BLESS(仮)』は7年かけて開発が進められてきたタイトルです。この7年のあいだに、世界では『League of Legends』などの作品がリリースされています。ほかにも多くのMMORPGのサービスが開始されてきましたが、モバイルとの連動のような、MMORPG以外の部分をウリにするタイトルも多いですよね。こういうときだからこそ、正統派のMMORPGが必要だと思い立ったのがひとつ。もうひとつの理由はターゲット、遊んでいただきたい年齢層ですね。ある程度の年齢になるとゲームから離れる人も多いと思いますが、その一方で、長く落ち着いてゲームを楽しみたいという方も確実にいらっしゃいます。そういった層に遊んでいただくには、MMORPGがベストだと考えたのです。

――遊び応えのあるMMORPGが好きなユーザーとしては、うれしい回答です。

 いまはモバイルタイトルが流行っていますよね。ですが、PCは画面が大きく、キーボードも使えますので、表現の幅が広い。何より、ほかのユーザーとのコミュニケーションを大事にしたかったんです。もちろん、モバイルの需要が増えていくことも認識していますが、それでもPCで正統派タイトルを作りたい。MMORPGにもっとも適したハードはPCだと思いますから。

――最近のMMORPGは、3Dアクションゲームのようにアクション性が高い傾向にあります。『BLESS(仮)』はどういったタイプのゲームなのでしょうか?

 『BLESS(仮)』の戦闘スタイルは、大規模なPvPに最適化したものとなっています。ターゲットを定めて攻撃する形ですね。PvPの場合は敵の攻撃を必ず避けられるとは限らないので、スキルの使用までのインターバルが細かく設定されていたりします。キャラクターを成長させる過程で30個ほどのスキルを習得できますが、ひとつのスキルデッキに登録できるのは12個ほどなので、取捨選択をして自分の戦いかたを考えるのも楽しいと思います。

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――続いて、キャラクターについて教えてください。プレイヤーが選択可能なキャラクターは何種類くらいいるのでしょうか?

 韓国では先行でサービスが始まっていて、日本でサービスする時点のものとは少し違うかもしれませんが、種族は10種で、クラスにはメイジ、パラディン、レンジャー、ガーディアン、アサシン、バーサーカー、ウォーロック、ミスティックがあります。もちろん、種族やクラスの種類は順次追加していく予定です。

――MMORPGにはそのゲームを象徴するようなキャラクターが付きものですが、『BLESS(仮)』にはアイコン的なキャラクターはいるのでしょうか?

 かわいらしいキャラクターということであれば、“マスク”という種族がいます。ほかにも、ライオンをモチーフにした“パンテラ”という種族もいまして、これは私はお気に入りです。

――パンテラはどういう雰囲気ですか? 体が大きくて勇壮なイメージでしょうか?

 いわゆる獣人タイプの種族ですね。ほかの種族より大きくて、がっしりとした体型のキャラクターです。ほかには、たとえば“アクアエルフ”という種族もいます。エルフというと弓を使うレンジャーやハンターを思い浮かべますよね。『BLESS(仮)』の世界の中では神官をイメージした種族で、大きなハンマーを振り回して戦います。この辺は一般的なファンタジーとは違う面かもしれませんね。

――種族によって就けるクラスが違うなど、特性の差はありますか?

 いま現在は選択できる各種族ごとに、選択できるクラスは4~5種類ほどとなってます。理由はいくつかあって、クラスごとのモーションに違いなどはそのひとつ。たとえば、勇壮な獣人キャラクターがかわいらしい動きをするのは少しイメージが違うかな、と。プレイヤーの中でもクラス別のイメージがついている傾向があります。タンカー系のキャラクターは肩幅が広くてがっしりしたヒューマンにしたい、巨大な武器を振り回して戦うキャラクターはパンテラがいい、みたいな感じですね。逆に、イメージが合わないクラスは選択されない傾向にあるため、種族ごとに選択の幅を設定しています。

――『BLESS(仮)』の持つ世界観を優先しているわけですか。

 少し変わった例もあります。先ほど紹介したマスクが、ガーディアンというクラスを選択することもできます。マスクは身体が小さいので、PvPで密集した状態だと、ほかのクラスと比べてクリックしにくいという特徴があります。些細な違いではありますが、これも対戦で活かせるようになっています。

――身体のサイズによってクリックの判定が違うんですか?

 システム上の当たり判定は全種族共通なんですが、マスクは単純に小さいので、巨体のキャラクターと比べると目視しにくいんです。キーボードを使って冷静にターゲッティングすればいいんですが、焦っていると一瞬の判断が遅れることもあります。PvPにこだわる人はこういう部分も活用しているようですね。

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――韓国でいちばん人気の種族やクラスは何ですか?

 種族はヒューマンですね。物語として楽しむファンタジーと、プレイヤーが自分で操作するファンタジーには違いがあるとでもいいましょうか。いちばんよく見る自分キャラクターは美しい女性キャラクターにしたいというような方もいると思うのですが、リアルの自分自身の姿とあまりにかい離してしまうと、感情移入できなくなってしまいます。韓国では自分の分身という認識が強くて、外見が自分に近いキャラクターを好むんです。

――好きなキャラと操作したいキャラを分けて考えているわけですね。

 そうですね。だからと言って韓国の人々が小柄でかわいいキャラを嫌っているというわけではなく、選択を控えるという傾向が強いのかな、と。私もかわいいキャラは好きなんですが、選んだ種族はヒューマンでした(笑)。

――種族は性別固定ですか?

 男女の両方を選べます。マスクは中性的な顔だちなので、男女のどちらを選んでも雰囲気はあまり変わりません。ほかの種族は顔や体型が変化します。

――個人的に、MMORPGの装備は細かくコーディネートするのが好きなのですが、『Bless(仮)』はどのような感じなのでしょうか?

 上半身の装備と下半身の装備、グラブなどがありまして、外側から見えるパーツは7ヵ所。鎧で隠れてしまうパーツもあります。それぞれのパーツを組み合わてコーディネートを楽しむことも可能です。細かく分けた装備によるビジュアル表現にはかなり力を入れました。能力値とビジュアルを別々にする案もありましたが、パーツを細かく組み合わせる楽しみもあるということで、装備の外見の自由度を高くするようなイメージで進めています。

――装備の部位に下着はありますか?

 ないですね。最後の最後まで実装するか悩みました(笑)。今後、実装するかどうかを検討してみます。

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“戦争”と生産コンテンツのつながり

――生産などの生活コンテンツにはどのようなものがありますか?

 プロモーションの面では戦闘をメインにしていますが、生活コンテンツもあります。たとえば、フィールドを探索してアイテムを集めるコレクション要素があったりですとか。大規模な戦闘で勝利してトップの勢力を目指すのが大きな目的ですが、そこに至るまでに必要な装備は、非戦闘コンテンツを楽しむユーザーたちの手によって生まれます。日本には一刻も早くこのコンテンツをお届けしたいです。

新倉 戦闘オンリーだと日本では厳しいと思うので、生産系やソロでの要素も重視したいです。ただ、いちばんのポイントは戦闘です。戦闘を軸にしつつ、ほかの要素が好きな人をいかに楽しませるか。そのバランスが大切です。韓国はPvPが好きなイメージが強いですが、『Bless(仮)』はワールドワイドの展開を想定しています。PvPを好まない地域もありますからね。

 生産系のシステムを簡単に説明すると、特定の地域を探検して材料やレシピを得ることで制作が可能になります。それが、ゲームのメインコンテンツである“戦争”に影響を与える。たとえば、強いギルドのリーダーが装備する武器は、必ずしも彼ら自身でで作ったものとは限りません。制作専門ギルドが要請を受けて作ったものになるかもしれないんです。戦闘に影響を与えるコンテンツの一部として、生産があると思っていただければ。

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ワールドワイドなタイトルだからこその展開は?

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――韓国では2016年1月からサービス開始していますよね。日本と韓国以外でも『Bless(仮)』のサービスを行う予定はありますか?

 ロシアと北米、中国、台湾ですね。

――対人戦が目玉になる以上は、どの時点のビルドを適用するかでバランスが大きく変わると思います。どの国でも同じビルドのほうがプレイはしやすいと思うのですが、そこはどうなるのでしょうか?

 ビルド間のギャップはなるべく少なくしたいですね。昨日もゲームオンさんとこの件について話しました。運営する側としても、あまりビルドが違うとトラブルに対応しにくくなるので、ビルドの差を最小限にするのが今後の課題になります。

――サービス時期と関わってきますし、悩ましい問題ですよね。『BLESS(仮)』の課金体制は決まっていますか?

新倉 まだ詰めている段階です。とはいえ、日本で受け入れられないビジネスモデルを選ぶつもりはありません。韓国では基本プレイ無料となっており、誰でも気軽に遊んでいただけます。もっとしっかり遊びたい人向けのプランも用意されています。キャラクターを早く育てたいなどの要望がある人には、それに合わせてアイテムの販売なども行っていますね。

――ほかの国の人と遊べるような予定はありますか?

 どの国の人とも遊べるのは魅力的ですが、パブリッシャー側との調整が難しいんです。仮に技術的な問題をクリアできたとしても、パートナー各社との関係もある。彼ら自身も前向きな考えを持っているとは思いますが、全社の意見をまとめて、多くの方の理解を得なくてはなりません。

――ワールドワード展開をやっているメーカーは、大抵がデベロッパー兼パブリッシャーの一社体制ですからね。

新倉 国によってパブリッシャーが違っても、eスポーツ系のタイトルは対抗戦を実施して盛り上げに役立てています。国対国も試合なんかができたらおもしろいと思います。

 物理的な距離も影響しますから。オンラインでいっしょに遊ぶ企画を実施する場合、日本と韓国は近いので通信面の問題をクリアできるかもしれませんが、北米やロシアとなると距離が遠いため、快適に遊ぶのが厳しいでしょうね。とはいえ、eスポーツが盛んな国も多いので、その熱意を活かせば、コンテンツをよりよくできると思います。

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 『BLESS(仮)』ほどの大作となると、プレイヤーのみならず、オンラインゲーム業界人からの期待もそうとうなもの。その点、ゲームオンは『黒い砂漠』や『ArcheAge』、『TERA』といった大作に加えて、10年クラスの老舗MMORPGも運営している。十分なノウハウを持っているはずなので、うまく運営してくれるだろう。

 「成功させないとまずいですよ」と適度にプレッシャーをかけつつ、いちMMORPGファンとして、続報に期待したい。

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