最新映像2本が世界最速公開

 2016年1月28日~2月2日、台北世貿中心(台北ワールドトレードセンター)にて、台北ゲームショウ2016が開催。会期3日目の1月31日は日曜日ということもあり、朝から人の出足も相当好調。そんな中、プレイステーションブースにて注目のステージイベントが実施された。スクウェア・エニックスによる“『ファイナルファンタジーXV』スペシャルステージ”だ。イベントには、ソニー・コンピュータエンタテインメント台湾 総経理の江口達雄氏と『ファイナルファンタジーXV』のディレクターを務める田畑端氏が登壇。「今日は江口さんに召喚されてきました。台湾のファンの皆さんからの面接だと思ってがんばります!」との意気込みを語った。

『ファイナルファンタジーXV』はアジアにも本気で取り組む! 田畑端氏が台湾の地から世界初出し情報を多数発信【台北ゲームショウ2016】_01
▲がっちり握手をする江口氏(左)と田畑氏(右)。

 ステージイベントは、江口氏が『ファイナルファンタジー』シリーズに対する“想い”語ることからスタート。江口氏は「プレイステーションにとって『ファイナルファンタジー』はなくてはならないタイトル」と明言。初代プレイステーションでは、『ファイナルファンタジーVII』が、プレイステーション2では『ファイナルファンタジーX』が、プレイステーション3では『ファイナルファンタジーXIII』が、それぞれ引っ張ってくれたとコメントした。さらに言えば、『ファイナルファンタジーXIII』において、始めて『ファイナルファンタジー』シリーズが中文版にローカライズされ、以降の中文版ローカライズ化の流れを作ってくれたという。そのうえで江口氏は、「プレイステーション4にとっても、『ファイナルファンタジーXV』が支えてくれる存在になってほしいです」と田畑氏にエールを送った。江口氏は、1年前の台北ゲームショウで田畑氏が台湾に来たときに、いかに台湾のゲームファンが『ファイナルファンタジー』シリーズを愛しているかを滔々と語り、「ぜひともそれを開発に活かしてほしい」と要望したという。

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 1年前の台北ゲームショウで、ファンからの熱気をもらったという田畑氏は、1年前とはアジア市場に対する認識を改めたと説明。それまで『ファイナルファンタジー』は日米欧を再優先にして、アジアに対するプライオリティ(優先順位)は低かったが、「今後は日米欧亜(アジア)同じ重要度で、同じタイミングで遊んでもらえるようにしたい」と、『ファイナルファンタジーXV』を世界同時期に発売する予定であることを示唆した。

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 とはいえ、アジア版のローカライズ及び世界同時期発売は、ある意味でいまやデフォルト。1年目に江口氏は、「ファンが第一なのは当然として、ビジネスでも革命を起こしてほしい」と田畑氏に伝えたという。その“宿題”に対する答えのひとつとして、田畑氏は『ファイナルファンタジーXV』では、アジア9社の開発会社が参加しており、世界同時発売に向けて協力してもらっていると告げた。たとえば、これは昨年の台北ゲームショウでもアナウンス済みだが、台湾のXPEC Art Centerには敵キャラを数多く制作してもらっており、上海のPlus mileには、『ファイナルファンタジーXV』の世界に存在するプロップ(大道具や小道具)や背景など、重要なパートで貢献してもらっているとのことだ。アジアの開発会社とコラボすることで、「(アジア地域の)開発力全体をボトムアップできているのではないかと。トリプルAタイトルとして、アジア最高のゲームを作ることが、貢献なのではないかと思っています」と語った。

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 田畑氏のアジアに対する熱い思いに感動した様子の江口氏だったが、「それだけで満足できない」とばかりに、ドストレートな問いかけをした。「ゲームはおもしろいのか?」と「本当に2016年に発売してくれるのか?」というものだ。ファンの気持ちを代弁してくれたかのようなこのふたつの質問に関して田畑氏は、「おもしろいです! 『-EPISODE DUSCAE-(エピソード ダスカ)』より遙かにおもしろいです」ときっぱり。さらに、2016年発売に対しても、「絶対に出します!」と力強くコメントした。

 ここで、来場者にはとてもうれしいサプライズが! 会場にて、最新映像2本が世界最速公開されることになったのだ。ここからは、『ファイナルファンタジー』シリーズのファン代表として、Randal Du氏が加わり(ゲームメディアの編集さんのようです)、さらにディープに『ファイナルファンタジーXV』に迫っていくことに。

 というわけで、最新映像の前に改めて『ファイナルファンタジーXV』の概要をおさらい。本作が(1)シームレスにつながる広い世界を乗り物などを駆使して旅する“オープンワールド”であること、(2)戦闘は、パーティーで戦う “アクション”であること、(3)“ストーリー”では、親子の絆や仲間の絆が描かれることなどが紹介された。『ファイナルファンタジーXV』では、主人公の子ども時代から物語が構築されており、まさにそこに存在してきたものとしてストーリーが構築されているという。「最新の技術で感動的なストーリーを描いています」と田畑氏。

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▲本邦初公開の画面。オープンワールドの本作では、天気が変わる。ということで雨が降ってオープンカーにも幌が必要になる。
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 そして、いよいよ最新映像の公開に。まず1本目は、“プログレスレポート2.0”。こちらは「開発途中のものをあえて見せて、楽しみにしてもらうためのもの」(田畑氏)で、昨年(2015年)8、9月の中間成果だという。公開された映像には、『ファイナルファンタジーXV』に実装予定の興味深いフィーチャーがずらり。映像の気になる箇所に対する、Randal氏と田畑氏のやり取りをピックアップしていくと……。

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 まず、映像にはクルマを押すフィーチャーが紹介されていたが、これは「ゲームの展開上の必要に迫られてのもの」と田畑氏。さらに、本作にはガソリンという概念があり、ガソリンが切れるとクルマを押さなければいけなくなるという。「せっかくなので、クルマを押すときも仲間といっしょにやることになります」(田畑氏)とのこと。

 『-EPISODE DUSCAE-(エピソード ダスカ)』から武器の切り替えが変わったという指摘に対しては、同体験版の提供後に武器の切り替えをもっとスムーズにしたいという要望が高く、開発的にいろいろなメモリーに対するチューニングが行えた結果、武器を即座に切り替えられるシステムに対応できたことを明かしてくれた。

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 また、映像で槍の動きを見せたことに対しては、今回リアリティーを重視しており、「リアリティーのある中で、いかにハイレベルなアクションを実現するか」という開発を進めた結果、田畑氏らが目標とするところに近づいたので、それを示すために、空中挙動を中心とする武器を装備して、映像に盛り込んだという。

 動画中に見られた“F 2 F”は、“Face-to-Face(フェイス・トゥ・フェイス)”の略で、これはシステムの名前。ゲームを進めていくと、ときどき仲間とプレイヤーのあいだで会話が発生し、プレイヤーが何らかの選択をしていくシステムが“フェイス・トゥ・フェイス”という名前で実装されているのだという。

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 2本目の映像は、最新のバトル動画。内容は、主人公たちに敵対するニフルハイム帝国の軍の基地を4人で攻略するというミッション。「だいぶ完成した感じですよ」(田畑氏)というだけあって、映像は圧巻のクオリティー。来場者は食い入るように映像を見つめ、映像が終わると拍手とともに大きな歓声が湧き上がっていた。さて、Randal du氏の鋭い質問に対する田畑氏の受け答えはと言いますと……。

 魔法に関しては、『ファイナルファンタジーXV』の魔法は、これまでにあったような火の玉が飛んでいって敵にダメージを与えるといったたぐいではなく、ファイアを例にとると、実際にそこに炎の現象を出現させ、その炎が延焼していって敵にダメージを与えるといった、世界と密接に関わるようなシステムになっているのだという。そのため映像にあるように、オイルに引火させて魔導アーマーを倒すといった応用も効くようになっているのだ。本作での魔法は、いずれも環境に左右させていくタイプのものだけに、「正直数は多くないです」と田畑氏。「これまでのテクノロジーでは表現できなかったものを表現し、プレイヤーの皆さんに楽しんでもらうというコンセプトに、少数精鋭で作っています」(田畑氏)とのことだ。

 『ファイナルファンタジーXV』のアクションは、ダイナミックで表現豊かだが、これもプレイステーション4だから実現できたものだと田畑氏は言う。プレイステーション3の世代までのスペックでは、いろいろな複合的な要素がからみ合いつつもリアリティーや爽快感があって、手触りがちゃんとあるアクションを実現するのは難しかった。「なおかつ、それをオープンワールドの世界で作り上げているのは、世界でも『ファイナルファンタジーXV』くらい例がないのではないかと思います」と、自信のほどを口にした。

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 ちなみに、映像では主人公たちが機銃を奪って攻撃するシーンが印象的だったが、「本作では、敵の乗り物、たとえば魔導アーマーを奪って攻撃できるようになるのか?」との、Randal氏の質問には、「魔導アーマーを奪うことはできません」と田畑氏。ただし、敵の兵器を活用して基地を破壊することは、基地を攻略するミッションでは、バンバンできるという。敵の軍を攻撃する一連の流れは、ゲームの本筋とは少し違って、ダイナミックな破壊を楽しむパートだという。

 もちろん、Randal氏からも最新動画に登場した女性キャラクターに関する質問が。それに対して田畑氏は「秘密です」と軽くいなしたあとで、イベントの後に放送される“アクティブ・タイム・レポート”で触れているので、彼女が何者なのか、ぜひその配信を見てほしいとした。ちなみに、Randal氏の「女性のマスクは外せるのか?」との問いかけには、田畑氏は「外せます」と答えていた。

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 ここまでの映像を見せられると、遊んでみたくなるのが人情というもの。江口氏もその思いは共通だったようで、「ゲームの内容に関しては安心しました。期待値が高まっています。でも、触りたいです!」という率直なリクエストが。その返答として田畑氏は、3月に実施予定の『ファイナルファンタジーXV』のイベントで届けようと思っていたという情報をちょっとだけ先出し。それによると、以前、田畑氏が話していた“プレイアブルのテックデモを提供する”というプランを膨らませて、単に技術に触れるだけでは楽しめないので、世界中のプレイヤーの皆さんに楽しんでもらうために、いろいろな工夫を凝らしたデモを準備しているのだという。合わせて公開された世界初公開の映像は主人公のノクトの子ども時代で、「どんなデモになるのかのちょっとしたヒント」だという。

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 最後に田畑氏は、「世界で初めて、グローバル用の情報をこの台北の場所で出すということを試みてみました。今後、アジアの発展がさらに加速していくことを期待して、こういった取り組みをしました」とコメント。さらに、江口氏から1年前に伝えられた、“プレイステーションと『ファイナルファンタジー』は密接な関係にある”と、“新しいゲーム文化を発展させる”の2点は、田畑氏も本気で思っており、「これから皆さんが最高のゲーム体験を続けていけるように、協力していきたいと思っていますので、今後も応援よろしくお願いします」と熱意を込めて語った。田畑氏のアジアに対する本気ぶりと、『ファイナルファンタジーXV』への期待がますます膨らむステージイベントとなった。

 最後にこぼれ話を……。台北ゲームショウでのイベント後に放送する“アクティブ・タイム・レポート”だが、SCETの計らいにより、イベント後に会場で流してもいいことになったのだという。とはいえ、“アクティブ・タイム・レポート”は日本語音声に英語字幕なので、中文へのローカライズが必要。そこでローカライズをかって出たのが『ファイナルファンタジーXV』にも協力しているXPEC。ところが最終的にローカライズは間に合わず、会場で中文字幕の入った“アクティブ・タイム・レポート”を流すのは無理になってしまった……と思いきや、その5分後、「間に合った!」ということで中文字幕版“アクティブ・タイム・レポート”が会場で放送されることに。『ファイナルファンタジーXV』にかける日本と台湾の思いがつながるひと幕でした。

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▲会場で流された“アクティブ・タイム・レポート”の映像。

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