『FFXIV』サウンド祖堅正慶氏、『蒼天のイシュガルド』のサウンド制作と最新サウンドトラックを語る

『FFXIV』プレイヤーの冒険や戦いを融通無碍な音色で演出してくれる、サウンドディレクターの祖堅正慶氏にインタビュー。『蒼天のイシュガルド』のサウンド制作の裏話とその楽曲を収めた最新サウンドトラック、『Heavensward:FINAL FANTASY XIV Original Soundtrack』について尋ねた。

●限界値を“超えて”みせた! 『蒼天のイシュガルド』のサウンド制作

蒼天のイシュガルド』以降の楽曲を収録した最新サウンドトラック『Heavensward:FINAL FANTASY XIV Original Soundtrack』が2月24日に発売されるにあたり、『FFXIV』サウンドの要、祖堅正慶氏を訪ねて話を聞いた。このインタビューは、週刊ファミ通2016年1月21日発売号に掲載したインタビューからはみ出した会話もガッツリ収録した完全版。ボリュームたっぷりなので、時間のあるときにじっくりどうぞ。(収録日:2016年1月4日)


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▲祖堅正慶氏。『FFXIV』の曲はもちろん、累々たる効果音を制作指揮するサウンドディレクター。ギターやピアノを操り、イベントでファンを熱狂させるパフォーマーとしての一面も。

●テーマは竜詩戦争。前例のない作品作り

──『蒼天のイシュガルド』の楽曲制作は、どんなコンセプトが元にあるのでしょうか?

祖堅正慶氏(以下、祖堅) 『新生FFXIV』は、チーム全体が“王道感”を重要視していましたが、『蒼天のイシュガルド』で最初に求められたのは、ストーリーの根幹となる“竜詩戦争”でした。人の寿命よりずっと長いスパンで続く、重たいテーマと言いますか……。

──生き死にが絡むものですね。

祖堅 チャラついていない感じを、どう表現するか……。すみません、国語が得意ではないので、言葉でうまく表現できなくて。でも、音楽を聴いていただければ、僕が言いたいことは伝わると思っています。

──プロットを読んだり、ビジュアルを見たりしながら作業したのですか?

祖堅 じつは、ビジュアルと音楽はほぼ同時進行だったんですよ。物語の根っこだけは決まっていたので、吉田P(吉田直樹『FFXIV』プロデューサー兼ディレクター)から直々に、とくとくと説明を受けました。

──印象に残るオーダーはありましたか?

祖堅 折に触れて「ダークファンタジーを目指したい」と聞きました。でも、よくあるダークファンタジーとも違いますし、ただ重々しいわけでもない。難しいところでしたね。

──見本になるようなものがない、と。

祖堅 そうです。吉田Pみずからがファーストオーダーを出すとき、いつもは“だいたいこんな感じ”という、指針になる映像や資料があります。でも、今回は具体的な資料がこの世に存在せず、プロットもありませんでした。だからそのあたりを僕に委ねてもらって、自分なりに解釈していきましたね。

──難儀はしなかった?

祖堅 難儀をする時間がなかったので(笑)。

──(笑)。悩んでいる時間があれば、手を動かせ、という状況だったんですね。

祖堅 とにかく時間の猶予がなく……。2014年~2015年の年末年始は『BEFORE THE FALL:FINAL FANTASY XIV Original Soundtrack』の作業をしていましたし、そのあいだに東京でファンフェスティバルがありました。翌日は、なんとパッチ2.5の締切日ですよ? で、年が明けたらゴールドソーサーの締切。要はいろいろ重なっていたんです(笑)。

──そのうえ『蒼天のイシュガルド』の制作も見据えていたんですね……。

祖堅 ファンフェスティバルで“タイタン”を歌い、速攻で開発部屋に戻って……。サウンドスタッフたちは、「ファンフェス? 何それ?」ぐらいの勢いで作業を進めているわけですよ。

──ご自身も余韻に浸ることもなく……。

祖堅 汗まみれで風呂も入らず、「大丈夫かー、間に合うかー?」って。しんどかったなあ! 『蒼天のイシュガルド』の重々しさは、開発室の空気が反映されたんじゃないですかね(笑)。


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▲この数時間後には、開発室で作業をしていたなんて!

●『Heavensward』と『Dragonsong』

──『蒼天のイシュガルド』の曲でプレイヤーが初めて耳にしたのは、ティザームービーで流れる『Heavensward』でした。


祖堅 ファンフェスが始まる前に、急ぎティザームービーを作りましたが、その後、正式にオープニングムービーを制作していたとき、吉田Pに「オープニングムービーの曲をなんとかして」と急に言われて驚いたのを覚えています。当時は本編の作業で忙しく、それに割ける時間はまったくありませんでしたから。

──ということは、それほど常識からかけ離れた時期でのオーダーだったんですね?

祖堅 前代未聞にもほどがあるというか(笑)。僕も20年ほどゲームの開発に携わっていますが、こんなスケジュールはなかったですね。「世界に打って出たい」という意向と、フルオーケストラでの収録が必須であれば、このくらいの時間がかかります、と返事したら、「ぜんぜん間に合わない」と……。いろいろな方にご協力いただくために、あちこちに電話して、「……というわけで、すぐに収録したいです」と打ち明けると、「はぇ?」と驚かれたり。「譜面はありますか?」、「……これから作ります!」、「尺はどれくらい?」、「いまできているビジュアルの尺で……」とか(笑)。

サウンドPRスタッフ サントラにはそのときの様子が映像特典として収録されていますが、祖堅は死んだような顔をしているんですよ。

祖堅 (映像を見ながら)このオーケストラ収録は深夜まで及んだんですよ。でも、演奏者の皆さんが盛り上がってくださって……。電車がなくなる時間なのに、まだちゃんと録れていなくて。申し訳ないと思いながらも、「できれば、もう2発くらいお願いします」と言ったら、「おっしゃ、やるぞー!」と……。演奏者の皆さんも薄々感づいていたようで、快く応じてくださったんです。いろいろなことがありましたが、最初にティザームービーを作っていたので、それを超えるものを目指しました。プレイヤーの皆さんは「オープニングムービーのいいところを抜き出してティザーにしたのね」と思っているかもしれませんけど、作り直したんですよ(笑)。

──『Heavensward』の歌詞や歌い手さんについても、いろいろあったのでは?

祖堅 曲ができてから、コージ(スクウェア・エニックス ローカライズ部 シニアトランスレーターのマイケル・クリストファー・コージ・フォックス氏)に歌詞をお願いしました。歌い手さんは……この曲は音域が広いために歌える方が限られていたので、それを条件に捜しました。オメガさんという海外の方です。

──キーが高くて、印象に残るメロディーです。

祖堅 ティザームービーのときはとにかく急いでたので、「早く来て」ってお願いしてすぐに収録しました。ワンフレーズでしたから収録もすぐに終わりましたが、本編は歌詞も違うし、フレーズ数も増えたので、オメガさんが「こんなの無理だよ」って困っていて。秒数はそれほど長くない歌ですが、収録には2~3時間かかりました。がんばってもらいました。

──一方、『Dragonsong』では、作曲家の植松伸夫さんとどんなやりとりをしましたか?

祖堅 拡張パッケージの実作業の話をしていたころ、僕も吉田Pも植松さんに曲をお願いしようと考えていました。次回の拡張版で主題歌を、とお願いしたのは2014年6月で、僕がピアニストの中山博之さんによるコンサート、『PIANO OPERA music from FINAL FANTASY』の仙台公演へ行ったときです。楽屋で「拡張パッケージの予定があるので、お願いします!」と言ったら、「はーい」って(笑)。当初から歌ものを作りたいとおっしゃっていました。

──快諾いただけたんですね(笑)。その後は植松さんに一任されたのですか?

祖堅 そうですね。もちろん、竜詩戦争のお話はさせていただきました。コンセプトには、植松さんの曲は竜からの視点、僕が作る曲はプレイヤーからの視点というのがありました。

──ひとつのテーマを、異なる視点で描いていると。

祖堅 カットシーンも竜側は『Dragonsong』のアレンジ、人側は『Heavensward』のアレンジが使われています。

──サントラを聴く際にあらためて注意すると、かなりおもしろく聴けそうですね。

祖堅 ……ということを、コメント(サントラの全曲解説)で書けばよかった……(笑)。


●死ねばなんとかなるかな、くらいの曲数

──3.0でも新しい挑戦はされていますか?

祖堅 マルチプラットフォームでのMMORPGとして、サウンドの技術的にできることはだいたいやり尽くしたと思っていますが、楽曲への挑戦という意味で、グブラ幻想図書館や機工城アレキサンダーなどで、いままで馴染みのないジャンルの音楽を入れました。

──グブラの曲は衝撃的でした。ピアノのピッチが狂っているような表現と言いますか。

祖堅 あの曲は、アップライトピアノを2台用意して、それぞれの調律を狂わせてから弾いているんですよ。ひとつは生演奏で、ひとつは打ち込みですけれど。ジャズっぽく演奏して、あとから調整をしています。

──おもしろい音作りをされているんですね。

祖堅 ダンジョンなので、少々不気味な感じを出したかったんです。アレキのほうはといえば、チームオーダーも「いままでにないもの」とか「スチームパンクの世界」というものがありました。だから、それを構築するために試行錯誤しましたね。やりすぎると統一感を損なうので『FFXIV』の雰囲気の範囲内に収めて……。着地点がとても難しかったです。

──ヴォコーダー(音声を楽器のように扱う技術)も活用されていますね。

祖堅 そうですね。ヴォコーダーで歌声をエレクトリックに加工しています。

──アレキでは、1~3層と4層とで曲を変えたのはなぜですか?

祖堅 4層だけ別の曲を実装するという予定は最初はなかったんですよ。でも、最後ですし、盛り上がったほうがいいんじゃないかと、夜な夜なこっそり作っていて。前廣(『FFXIV』メインシナリオライターの前廣和豊氏)に聴かせたら、「これ、4層じゃん」と(笑)。

──それだけしっくりきていたんですね。

祖堅 そもそも制作時間がなかったので「クオリティー重視で1曲にしよう」と話していましたし、パッチ3.2で実装される律動編の制作スケジュールもなんとなく見えていたんですけど……。それがまた、ビックリするほどタイトで(笑)。そのときのために「これはストック曲かなー?」となりそうだったんですが、僕も前廣も『FFXIV』のプレイヤーでもあるために、お互い悶々としてしまって。「やっぱり、4層くらいワーッといきたいよね……」なんて(笑)。けっきょくひと晩考えたんですが、翌日会ったときに「どう?」って聞いたら、お互いの答えが「出し惜しみせずにいこう!」だったんですよ。ストックゼロですよ、毎回(笑)。

──また作ればいいや、と……。

祖堅 プレイヤーの方から見れば、曲が違うと「なんかヤバイぞ」という空気を感じますし、挑む気持ちが鼓舞されますしね。


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──吉田Pに「また自分で仕事増やして」、と言われてしまうのでは?

祖堅 とある時期に「『蒼天のイシュガルド』では総数でこれだけの曲数が欲しい」と、かなり詳細なリストをもらったんですね。それが、100円でジュースが出てくるように、曲が作れると思ってるんじゃないか? というくらい、期間に対して物量が非常に多かったので突き返しました。非常にきびしいスケジュールだというのは、吉田Pも前廣もわかったうえで発注書を作って、僕のところへ持ってくるわけですが、「さすがにクオリティーを保てませんよ」と。いったん現実的な数字を返したら、ふたりともわかってくれて、時間をかけてリストを構築し直してくれました。

──大工事だったんでしょうね……。

祖堅 少なくなった曲を効果的にあらためて配置するのはとてもたいへんなことですから。で、「断腸の思いだけど、これでお願いします」と渡された新しいリストを見たら……「まあ、死ねばなんとかなるかな」くらいの曲数になっていました(笑)。

──最初の曲数が想像すると、恐ろしいです。

祖堅 でも、「ここで曲を使いたい」という意図は的を射ていて、気持ちがすごくわかるんですよ。けっきょく、最終的に用意した曲数がファーストオーダーとほぼ同じになりました(笑)。

──(笑)。けっきょく何曲に……?

祖堅 パッチ3.0で50曲、パッチ3.1で8曲追加したので、全部で58曲です。

──ふつうのゲームの1本分より多いですよ。

祖堅 そうなんですよね。AAA級のタイトルなら少なくとも2~3年かけて作る物量です。でも、追い立てられて何かが自分に降りてきていたのか、ふり返ると全体がよくまとまっているんですよね。2.0シリーズは3つの都市国家があって、何かこう、テーマパークのような要素がありましたが、今回は主体となる国はひとつで、ストーリーに太い幹があります。だからRPGとしてしっかり遊べる感じになっているかな、という気がします。


●人気楽曲の制作の裏話をいくつか

──個人的に博物戦艦フラクタル・コンティニアムの曲がすごく好きなので、神域浮島ネバーリープとどっちに当たるかわからないコンテンツルーレットで、つい「フラクタルこい!」という気持ちになってしまうんです。

祖堅 それは僕もサントラのコメントに書きました(笑)。ネバーリープって竜巻がちょっとうっとおしいじゃないですか。プレイ時間はそんなに変わらないはずなのに、なんかちょっとだけハズレ感があるというか。「よろしくお願いしまーす」と挨拶を打ち込んでいるときに、フラクタルの曲が聞こえ始めると「よっしゃー!」とかなりますよね(笑)。

──いまはエキスパートルーレットからは外れましたが、Lv60、Lv50ダンジョンのルーレットは毎日やるので、やっぱりよく行くダンジョンですね。

祖堅 フラクタルは、開発中には仮のタイトルで“無限回廊”というダンジョン名がついていたんです。制作時間がタイトだったので、どのダンジョンも同じ曲を流す予定だったんですが、いろいろ犠牲にしてなんとか時間を捻出し、それぞれオリジナルの曲をつけることにしました。その中でも無限回廊は、唯一「好きに作ってもいい」ダンジョンだったんです。Lv60になってから行くダンジョンで、ストーリーからは外れていますし、アラグの遺構もあるから、何でもありのダンジョンというイメージで。その代わり、「プレイヤーが周回することになるので、ノリノリの曲にして」というオーダーで……。

──そうであってくれて、本当にうれしいです。

祖堅 あのダンジョンはアジス・ラーにあるから、アジス・ラーの曲をアレンジしているんですよ。

──なるほど、フィールドとダンジョンでモチーフを共有しているんですね。

祖堅 魔改造されているので、聴き比べでもしないかぎり気づきにくいと思いますが。

──3ボスというか、ダンジョンの最深部にいるボスとの戦闘曲もすごくいいですよね。テンションが上がります。

祖堅 優先度の高い曲でした。でもじつは、最初のうちはちょっとイモっぽかったんですよね……。かっこよくするのにわりと紆余曲折ありました。

──そういう紆余曲折は、祖堅さんご自身の中でのものですか?

祖堅 そうですね。アレンジや楽器構成がしっくりこなければ、いくら盛り上がる旋律であっても納得できないというか。ベースラインが違うと思えば、ちゃぶ台をひっくり返すこともあります。

──蛮神戦の曲も、ビスマルクが人気です。

祖堅 雲神ビスマルクもいままでの曲調とは変えていますからね。前廣のオーダーがよくわからなくて。「蛮神だから神々しい感じがほしいし、ビスマルクはでかいので怖いという感じもほしいけど、大事なのは空中戦だから爽快感!」って。全部いっしょにできないだろ(笑)。『蒼天のイシュガルド』の曲でいちばん制作に時間がかかったのはビスマルクなんですよ。だから、そこからドロップアウトしてアレキの曲に活用できたりもしたんです。

──以前、40回ほど作り直したとおっしゃっていましたね。

祖堅 そうなんです。作ってみては「これはダメだ」というのをくり返しました。そのなかで輝いていたいくつかの曲が選抜部隊としてアレキ用に……。「大魔改造を経て採用」みたいな(笑)。

──かっこいい曲なのに、ゲームの進行上あまりビスマルクと戦わないのがもったいないですね……。

祖堅 サントラが出るので、そちらで聴いていただければ!(笑)

──好きな曲を日常的に聴けるのでうれしいかぎりです。蛮神といえば、武神ラーヴァナもいままでにはない曲調ですね。


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祖堅 蝶が舞い降りる舞台に武士がいて……、しかもアイツ、漢字で難しいこと言うじゃないですか(笑)。パッと浮かんだのは、“ワルツと時代劇”だったんです。であれば、前半ワルツで後半は時代劇と決めて。そうしたら、時代劇調の曲のほうが海外のファンの方々にクリーンヒットしてしまって(笑)。国内では「ビスマルク最高!」という声が高いのに。

──海外と人気が分かれましたか(笑)。

祖堅 「武士だー!」、「サムライだー!」と、すごくクールに思っていただけたようです。日本の方の印象は恐らく、「暴○ん坊将軍!」なのに(笑)。
 
──ナイツ・オブ・ラウンドの戦闘曲も、ふつうのものと極とで違うので印象に残ります。

祖堅 ナイツ・オブ・ラウンドの曲は開発の中盤くらいでは作り終えていました。もともと『Heavensward』のアレンジを入れようと思っていたんですよね。

──それによって、ストーリーライン上にあるボス戦という感じがすごくします。

祖堅 ラストっぽく……と言うと少し軽々しいですが、「おお、これはかっこいいぞ」と思いつつも、ずいぶん葛藤したんですよ。……具体的にどういう要素で“かっこいい”と“かっこ悪い”を選り分けているのかと聞かれても、「うーん……わからない」と答えるしかないんですが。ホント、個人的なジャッジなんですが、バトル曲は「かっこいいか、かっこ悪いか」なんです。

──極ナイツは、とくに戦闘も派手ですしね。

祖堅 「ついに来たぞ!」というところと、「やるぞ!」というところ。なんか『FFXIV』って、そういうシチュエーションが多いですよね(笑)。

──ふつうの蛮神戦と極とで曲を変えることは、いままでにはなかったですね。

祖堅 アルティメットエンドという技がどうしてもかっこよすぎるんですよ。あれは、ノックバックして地球……じゃなくてエオルゼアのほうを向くでしょう? それで「ブシュー」っとなって「ドーン!」って、上がるイメージがほしかったんです。十二騎士団が話している最中に、リズムも何もないところからコーラスが入ってきて、通常のナイツの戦闘曲が始まりアルティメットエンドを迎えることも、ストーリーを進めて最初に体験するぶんならいいと思うんです。

──それが極となると?

祖堅 “極”となると、そこはどうでもよくて、バトルがメインになるじゃないですか。とはいえ、あのアルティメットエンドは重要なので、「そこで曲を切り替えたい」というのは、プランナーもサウンドもシナリオ班も同意見でした。だから、変えることにしました。「ナイツは印象が強い曲なので、既存の通常曲を戦闘の前半に持ってきて、後半はナイツのギターアレンジで……」という意見もありましたが、拒否しました(笑)。「ナイツの後半はいまのままを持ってきたほうがいい。いまのままがナイツの真骨頂だ」と僕は思ったので。だから、戦闘の後半に通常のナイツの曲を持ってきて、前半は別で作る、ということにしました。

──作業としては、より手間がかかってしまうのに。ひとえにクオリティーをとるための判断ですね。

祖堅 そうですね。ナイツに関しては、そういうこだわりがありました。

──マトーヤの洞窟やゴールドソーサーなど、原曲のアレンジで苦労はありましたか?

祖堅 僕自身がゲームのプレイヤーでもあるので、あまり苦労はしていないです。楽器選びも、オーケストラの楽器はわりと決まっていますから、そんなに悩まないですよ。これだけ曲数も多いことですし、『FFXIV』サウンドという、ひとつの色ができているので。だから、「『FFXIV』でゴールドソーサーといったら、あの楽器とこの楽器がいいかな?」と、すぐに思い浮かびます。もちろん、完成レベルに持っていくのはどんな曲においても難しいことですが。原曲のアレンジよりも、イチから新しいものを作る場合の方が「さあて、どうしよう?」とは思います。


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