一般参加も行われた特別講演でファミ通編集長がゲーム業界を語る

 2016年1月23日、サイバーコネクトツー(以下、CC2)福岡本社にて、週刊ファミ通の林克彦編集長がゲストとして登壇したスーパーゲームスクール特別講演が行われた。このセミナーはスーパーゲームスクールの特別講演と銘打ってはいるものの、一般参加者も広く募集した講演となっており、イベント当日は、学生だけではなく、教員やメーカーの関係者など、多くの聴講者がCC2福岡本社に詰めかけていた。

“スーパーゲームスクール”特別講演 週刊ファミ通の林編集長がゲーム業界の市場動向やメディアの裏側を語るセミナーを開催_01
▲写真右は週刊ファミ通林克彦編集長、写真左は進行役を務めたCC2・取締役副社長の宮崎太一郎氏。
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▲CC2 福岡本社大会議室には大勢の聴講者が訪れて、林編集長の講演に耳を傾けていた。

 講演のタイトルは、“ゲーム市場の動向とファミ通がすべきこと目指すこと”。唯一無二のゲーム専門週刊誌の編集長の立場からゲームメディアの視点に立ったゲーム市場の動向に加え、ファミ通がどういったことを考えながら作られているのかが語られた。

 まずは現在の日本のゲーム市場について解説。コンシューマー市場は2007年をピークにハード、ソフトともに縮小傾向にあるものの、その縮小幅以上にスマホ向けアプリなどのオンラインプラットフォームが増加。総合的に見ると、ゲーム市場の規模は年々拡大していることが説明された。
 さらに、2015年5月に発売されたWii U用ソフト『Splatoon(スプラトゥーン)』や、2015年3月に発売されたプレイステーション4用ソフト『Bloodborne(ブラッドボーン)』がヒットするなど、新規IPながらゲームファンの心をしっかりとつかむタイトルが成功している点を評価。「オリジナルのタイトルが存在感を発揮して、将来的にこれらの作品がシリーズものになって新しい未来を築いていく。そうした流れがないと、業界自体がどんどん小さくなってしまうので、こういったタイトルの台頭は非常にいいことだと思います」と、林編集長は語っていた。

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 スマホ向けアプリ市場に関しては、先行者のメリットが大きく、上位タイトルの顔ぶれの変化が少ない点を指摘。これは、1タイトルを長く遊んでもらう運営型サービスが主流のためだが、市場の成長面に於いては痛し痒しなところ、と感想を述べていた。ただし、まだ未開拓な領域は多く残されており、メーカー各社がスマホアプリ市場へタイトル投入を推進していく流れは変わらず、今後新たなブレイクスルーとなるタイトルが出現することに期待しているとのこと。
 これらの動向を踏まえたうえで、2016年の市場について林編集長は、コンシューマーの勝負の年になると分析。今年は『ファイナルファンタジーXV』を始め、国内メーカーの有力タイトルのリリースが多数予定されている。こういった、近年希に見る豊作とも言えるタイトル群がハードを牽引することが予想されるだけでなく、プレイステーションVRや任天堂のNXといったハード関係の話題など、明るいニュースも多く控えている。ハード、ソフトの両面から年間を通して話題が豊富であることは間違いなく、コンシューマーゲームに例年以上の注目が集まる、ユーザー拡大のチャンスの年とまとめていた。

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ファミ通のいままでと現状、そしてこれからについて

 続けて、週刊ファミ通の概要、取り組み、これからのファミ通のありかたが紹介された。
 週刊ファミ通は、1986年6月に隔週刊のファミコン通信として創刊。2016年の6月で30周年を迎える。いまのファミ通は、おもしろいゲームを紹介することをモットーとしながら、BtoC(Business to Customer)、BtoB(Business to Business)の両面で、ゲーム好きのユーザーたち、ゲーム業界の関係者、メーカーと、いろいろな人たちに向けて、ゲームの魅力やトレンドを伝える誌面作りが行われている。

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 いま現在、週刊ファミ通はニコニコ動画公式チャンネルでの映像配信、“ファミ通チャンネル”に積極的に取り組んでいる。なぜ、紙媒体の週刊ファミ通が映像配信に力を入れているのか。林編集長よると、ニコニコ生放送での配信を行ういちばんのポイントは、読者とのコミュニケーションが取れる点にあるとのこと。ファミ通チャンネルを始めるまえは、読者からの意見はアンケートハガキで見ることはできたものの、その仕組み上一方通行のやりとりしかできなかった。しかし、ニコ生での配信を行うことによって、ファミ通読者からの意見をダイレクトに聞くことが可能になる。また、メーカーと作品紹介の展開を話し合う場合でも、配信を含めた提案が行えるなど、メディアとして非常に大きなメリットがあると主張。ゲームの魅力を伝えるツールのひとつとして、映像配信では今後も積極的に新しい取り組みにチャレンジしていきたいと語っていた。

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ファミ通チャンネル【http://ch.nicovideo.jp/famitsu

 そのほかに講演および質疑応答では、電子版のPV(ページビュー)、UU(ユニークユーザー)数がここ1年で飛躍的に伸びていることや、ファミ通の表紙や記事の作られかた、クロスレビューに関する質問、林編集長が個人的に注目しているゲームなど、多岐にわたる話題についてトークが展開し、ふだんは聞けない話題が多数飛び出した。ファミ通のこれからについて林編集長は、「編集者から、このゲームでこれだけページを作りたいといったリクエストがあった場合は、企画内容ありきだけど基本的には作らせる。そういった編集者の熱意があってファミ通はできています。ゲームの魅力を伝えることを大前提に、メーカーさん、開発の皆さんの熱量をしっかり受け止め、ファミ通らしい誌面、Web、映像などを今後も作っていきます」と語り、特別講演を締めくくった。

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 以上を持って、スーパーゲームスクール特別講演のプログラムはすべて終了。講演終了後、すでに開校しているスーパーゲームスクール アーティストコースの受講生たちは、さっそくカリキュラムを開始していた。CC2は、スーパーゲームスクールを通じてゲーム業界を盛り上げるべく、今後もさまざまな取り組みを用意しているとのこと。新たな情報は公式サイトなどを通じて、随時報告が予定となっている。ゲーム業界としては斬新な、未来を見据えた取り組みを行っているCC2は、今年で設立20周年を迎える。おもしろいゲームを作るために全力で取り組むCC2が、次にどんな手を打ってくるのか。そしてスーパーゲームスクールの行く末はどのようになっていくのか。ファミ通.comでは、これからもCC2の動向も含めて追い続けていくので、新たな情報を期待して待っていてほしい。

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