「幸せなご縁」から実現した初のオーケストラコンサート

 2015年12月9日、バンダイナムコエンターテインメントのRPG『テイルズ オブ』シリーズの楽曲を東京フィルハーモニー交響楽団が演奏する、“20th Anniversary テイルズ オブ オーケストラコンサート”が開催された(リポート記事はこちら)。

 終演直後、来場されていた『テイルズ オブ』シリーズのプロデューサー・馬場英雄氏にお話をうかがうことができたので、今回のコンサートが実現した経緯や、その思いを聞いた。

『テイルズ オブ』シリーズ初のオーケストラコンサート、そこに込められた思いと展望は? シリーズプロデューサーの馬場英雄氏にインタビュー_01

 
──オーケストラコンサート、楽しませていただきました。20年も続いているシリーズで、楽曲にフィーチャーした大規模なイベントは、これまでにありそうでなかったですが、今回初めて実現しましたね。

馬場英雄氏(以下、馬場) はい。すばらしい演奏を披露してくださった東京フィルハーモニー交響楽団の皆様や、コンサートの実現に向けて尽力してくださったワーナーミュージック・ジャパンさん(主催)と関係各位、そして何より、コンサートにお越しくださった皆様に、まずは心から感謝をお伝えしたいと思います。誠にありがとうございます。

──会場を見渡せる後方の席で観賞させていただきましたが、感慨深そうに聴き入っている様子の方や、「おおっ、この曲は!」と言わんばかりの喜びや驚きの表情を浮かべている方もたくさんいて、とても心地のよい雰囲気でした。

馬場 本当に、ありがとうございます。僕自身、東京国際フォーラムの大ホールで演奏を聴いたのは、本番当日が初めてだったのですが、聴いているうちに目頭が熱くなりました。音楽とともに心に刻まれていたゲームの思い出が、呼び醒まされていくような心地がしました。

──ゲーム音楽をオーケストラにするにあたって、編曲(アレンジ)はどのように行ったのですか?

馬場 音楽、オーケストラのプロフェッショナルである東京フィルハーモニー交響楽団の方々に、全面的な信頼を置いてお任せしました。ゲーム音楽ならではのリズムやメロディーをオーケストラにしていただくのは、たいへんな部分もあったのではないかと思いますし、そもそも、コンピュータへの打ち込みで作られたゲーム音楽の場合、楽譜が存在しない曲もあるんです。そのような中でも、オーケストラとして最適な構成と表現を追求してくださったと感じています。

──今回のコンサートは、どのような経緯で実現したのですか?

馬場 最初のきっかけは、『テイルズ オブ ゼスティリア』のオリジナルサウンドトラックでご協力いただいた、ワーナーミュージック・ジャパンさんとのご縁でした。サウンドトラックのマスタリングを進めていた際にお話をしたことがありまして、ワーナーミュージック・ジャパンさんは、初めに“音楽”から『テイルズ オブ』のよさを感じ取ってくださり、このアプローチからシリーズ全体を楽しめるような機会があれば、きっと盛り上がるのではないかという、とてもありがたいご提案をいただいたんです。僕たちとしても、『テイルズ オブ』シリーズが生誕20周年を迎えていたタイミングで、そういったことを実現したいという構想はかねてから持っていましたから、それを音楽のプロフェッショナルである方々が手掛けてくださるのであれば、ぜひ! となりまして、企画が進んでいきました。これは本当に幸せなご縁でしたね。