チームの連携が現実さながらの『ディビジョン』
2015年6月16日~18日(現地時間)、アメリカ・ロサンゼルスにて世界最大のゲーム見本市、E3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)2015が開催。会期に先駆ける6月14日に、ロザンゼルスのダウンタウンにあるケスプロスタジオにて、“Ubi Soft PRE-E3’15 SHOWCASE”が行われた。世界中のプレスを対象としたこちらのイベントでは、『ディビジョン』(英題『Tom Clancy's The Division』)と『レインボーシックス シージ』(英題『Tom Clancy's Rainbow Six Siege』)という、ユービーアイソフトの誇る2タイトルを試遊することができた。
『ディビション』は、E3 2013でサプライス発表されるや瞬くうちに世界中のゲームファンから注目を集めたTPS(三人称視点シューティング)。荒廃したニューヨークを舞台に、プレイヤーは、特殊部隊“The Division”の兵士として、戦いに身を投じていくことになる。
今回の試遊で体験できたのは、“ダークゾーン”と呼ばれるステージでの、3人vs3人vs3人によるマルチプレイ(使用したのはXbox One版)。3つの勢力は同じ目的を持って戦っており、いかに敵対する勢力を出し抜いてミッションをこなすかがカギとなる。3人協力プレイによる対戦となる本作にあって、やはり重要なのはコミュニケーション。試遊は、ユービーアイソフトのスタッフの方+取材陣2名という編成で行われたのだが、盛んにボイスチャットによるやり取りが交わされることになった。「私が先に行きますので、ふたりは援護してください」、「右側の敵を倒しましょう」といった具合に、いかに3人でうまく連携を図るかがポイントとなる。その点で、スリーマンセルによるリアリティーのある立ち振舞が求められるわけで、それが本作におけるプレイの楽しさでもあり醍醐味でもあると言えそうだ。
リアリティー溢れる……と言えばキャラクターの動きそのものもそう。当然のこと本作は、ゴリ押しで攻略できるほど甘いゲーム性ではないわけだが、Aボタンで遮蔽物の影に隠れて、敵を探りつつ射撃、Bボタンで遮蔽物などによじ登りつぎなる目的地に移動……という一連の動きは、あたかも自分が“The Division”の一員となったかのようで、キャラクターの所作だけでも気分が上がる。
さて、3人対3人ではなく、3人対3人対3人という3つの勢力による戦いだけに、とにかくゲームプレイが複雑になる。自分の現在いる位置や相手との関係性など、目まぐるしく変わる環境をしっかりと見極めて臨機応変に対応していく必要があるからだ。さらにゲームプレイを複雑にしているのが、 “エージェント”と呼ばれるNPCの存在。この“エージェント”は、いわば第4勢力のようなもので、協力関係を築いて最適のルートを教えてもらったりすることができる一方で、ときに裏切ることも可能。もちろん、裏切りにはそれなりのデメリットもあり……ということで、最善の攻略をするためにどんな選択をするか、複雑な判断を迫られそうだ。
ちなみに、プレE3の試遊では、3人×3組みの合計9人によるマルチプレイが楽しめた『ディビジョン』だが、最終的にマルチプレイの人数が何名になるかは未定とのこと。最適解を求めて、ギリギリまで調整される模様だ。いずれにせよ『ディビジョン』は、協力プレイの連携に力を入れた、より深くTPSを楽しみたい方のためのタイトルと言えそうだ。
さて、最後に少し残念なトピックを。発売当初はタブレット端末との連携が打ち出されていた『ディビジョン』だが、今回その要素はなくなることが正式に発表された。その理由は、「ゲームバランスを顧慮した結果です」とのこと。タブレット端末との連携要素がなくなるは少し残念だが、それだけゲームバランスに注力しての結果だと言える。磨き抜かれた『ディビジョン』に期待したい。
5人で協力してのテロリストの殲滅がアツい『レインボーシックス シージ』
オープンワールドを舞台に、スケールの大きなTPSが楽しめるのが『ディビジョン』ならば、限られた空間で、決められたミッションをこなすFPS……というある意味対象的なゲームプレイを楽しめるのが『レインボーシックス シージ』。言わずとしれた、『トム・クランシー』ブランドの人気シリーズ『レインボーシックス』シリーズの最新作だ。今回試遊できたのは“TERROHUNT”。5人の仲間で領事館に籠城したテロリストたちを倒していく……というモードだ。今回使用したのはPC版で、敵はAIという、いわゆるPvEだ。
プレゼンで圧巻だったのは、ユービーアイソフト5人の熟練スタッフによる模擬プレイ。ワイヤーウインチを使って建物の屋上に移動するや、屋上の天窓を破って室内に侵入。小型メカを駆使して室内を索敵し、テロリストの位置を把握。起動した爆弾を無効化……という一連のアクションを、それこそ流れるような動きできびきびとこなしていったのだ。5人が5人とも声を出し合って、お互いの役割分担を把握。テキパキと任務を遂行していく……というデモは、ちょっと月並みな表現になってしまうが、「まさに現実さながら」。もちろん、記者は現実のSWATになったことはないが、『レインボーシックス シージ』では、映画などで目にするSWATそのままの描写が、ゲーム内で体験できるようなのだ。「映画のような体験ができる」とは、こちらもやはりいささか紋切り型の言いかたになってしますが、まさにそんな表現が当てはまるゲームと言える。少なくとも描写の端々から、作り手がリアリティーにこだわっているのが手に伝わるようにわかる。
というわけで、デモプレイの後は本番の試遊。試遊は開発チームからキャプテンが参加し、プラス取材陣4名の計5人で、凶悪テロリストに相対するというもの。あの超絶連携を見せられた後では、「これは、ちゃんといっぱしのSWATになれるかなあ……」と不安が先立つのも無理からぬところだが、これが、中々に楽しく遊べたのだ(難易度調整をしてくれていたこともあるようだが)。理由はやはりキャプテンの存在。試遊をアテンドしてくれたスタッフの方からは、「キャプテンについていけば何とかなりますよ」と言われたのだが、まさにその通りで、腕の立つキャプテンは頼りになる! とくにワクワクしたのは、爆弾を無効化するために、機械を設置した後は、テロリストからその拠点を45秒間守らないといけないのだが、その攻防。どこからともなく来るかもしれないテロリストの姿に目を光らせながら5人で一致団結して拠点を守る……というドキドキ感と連携感、そして拠点を守り切ったときの達成感といったら!
ちなみに試遊は3ラウンド行われたのだが、ちょっと難易度を上げて行われた3ラウンド目では、テロリストのあまりの本気ぶりにSWAT部隊が全滅してしまった……というのは、ご愛嬌。『レインボーシックス シージ』は、1ラウンド中に倒されると、そのラウンド中は復活できないというシビアな仕様となっている。その分ひとりが抜けたときの穴が大きいので、より団体行動や慎重な行動を心かけるようになるのだ。
さて、今回の試遊ではプレイヤー5人対5人のAIによるPvE戦が楽しめたが、プレイヤーひとり+味方AIによる4人対5人のAI戦という、いわゆるソロプレイや、プレイヤーどうしによる5対5のPvPも可能とのこと。とくにSWAT対テロリストによる5対5のPvPはかなり燃えそう。一方で、『レインボーシックス シージ』はAIにも相当注力しているようで、プレイヤーの行動に合わせてAIも手強い立ち回りをするようだ。
というわけで、『ディビジョン』と『レインボーシックス シージ』という2本の期待作をE3に先駆けひと足早くプレイ。実感させられるのは、両作とも“協力プレイ”をキーワードにTPSやFPSのリアリティーをより一層深めたゲームであるということ。両作をプレイすると、これがシューターの最先端であるということが容易に納得できる。