『トムクランシー』新作はオンラインRPG

タブレット端末との連携要素が判明! ゲームの新しい形がここに『Tom Clancy's The Division』クローズドデモリポート【E3 2013】_01

 E3の期間中は、ゲームクリエイター、メーカー広報、メディアの記者など、日本からも多くの人がやって来ているので、会場でいろんな知り合いと出会うことが多い。そんなとき、時間があれば挨拶がてら情報交換をしたりするのだが、今年はある1本のソフトに関する話題がとくに多かった印象だ。その1本とは、ユービーアイソフトがプレイステーション4、Xbox One向けに開発している『Tom Clancy's The Division』。6月10日(現地時間)に開催されたユービーアイソフトのカンファレンスの最後に、サプライズとして発表された作品だ。『トムクランシー』シリーズに連なる新作が、ネットワークをフル活用した次世代オープンワールド・オンラインアクションRPGだったことに、皆驚きを感じていたようだ。……というわけで、ユービーアイソフトのスタッフにお願いして『Tom Clancy's The Division』のクローズドデモを体験させてもらうことに。

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 本作の開発を担当するのは、ユービーアイソフトは2008年に傘下に入れたスウェーデンの開発会社“Massive Entertainment”。デモプレイでは、同社のスタッフが解説を行っていたが、その役職が“Realization Director(現実化/実現ディレクター)”だったことが興味深い。そのスタッフによると、『Tom Clancy's The Division』のストーリーは、アメリカ軍部が実際に行った対バイオテロシミュレーション“Operation Dark Winter”をベースにしているとのこと。本作の舞台は、細菌のパンデミック(感染爆発)によって政府機関や都市のインフラ(生活の基盤)など、あらゆるものが崩壊してしまった世界。プレイヤーは、特殊部隊“The Division”の兵士となって、ニューヨークの街でサバイバルしていくことになる。

 ゲームは三人称視点で進行していく。文明社会が崩壊し荒れ果てたニューヨークで、主人公と3人の兵士が敵勢力に占拠された警察署を目指す。細部まで作り込まれた街のグラフィックの美しさにも驚いたが、特筆すべきは斬新なUI(ユーザーインターフェース)だ。メニュー項目がすべてメインのゲーム画面に投影され、独立したメニュー画面はなさそうだ。マップを開くとフィールドにマップが投影される演出がおもしろい。主人公の向いている方向に応じてマップの位置も変わるために、方向音痴なプレイヤーにも安心だ。
 警察署に着くと、激しい銃撃戦に。仲間とボイスチャットで連携を取りながら敵を追い詰めていく様子に“『トムクランシー』シリーズらしさ”が感じられる。攻撃を当てるとダメージ量が数字で表示されたり、敵を倒すと経験値が入手できるのが、本作がオープンワールド・オンラインRPGであることを示している。ちなみに、本作にはいわゆるクラス(職業)は存在しない。経験値を溜めて、スキルやアビリティーの組み合わせを自分で組み上げていく。火力に特化した攻撃力タイプや、囮役を務めるスカウトタイプ、そして回復や補助を行うサポートタイプなど、自分の好みに合わせて成長の指針を決めていく。

 さて、カンファレンスで公開されたデモプレイは警察署で終わってしまうのだが、クローズドデモでは、別のシーンを見ることができた。ここでは、ゲームとタブレット端末との連携がメイン。本作では、兵士として戦うプレイヤーだけではなく、タブレット端末から参加するプレイヤーも協力プレイの一員となる。タブレット端末を使うプレイヤーは戦場を漂うドローンを操縦し、兵士たちをサポートしていくことになる。タブレット端末の画面上にはドローンのカメラが捉えた戦場の様子が表示されているので、敵味方の位置がよくわかる。兵士のプレイヤーの画面とタブレット端末の画面を見比べてもタイムラグがまったくなく、同じ時間をリアルタイムで共有できていることに驚いた。そして、ドローンを操るプレイヤーは、兵士の体力回複や攻撃力アップなどの補助が実行でき、最後には爆撃ミサイルで敵兵を倒すシーンも見られた。開発スタッフによると、ドローンの戦闘能力に関しては過剰に強くなりすぎないように調整し、独自のスキルセットを用意するつもりとのことだ。なお、タブレット端末はiOSやAndroidで専用のソフトをダウンロードして遊べるようにするらしい。つまり、プレイステーション4またはXbox Oneと、iOSまたはAndroidの組み合わせで、同じゲームのセッションに参加できるというわけだ。この新しい試みが、ゲームに何をもたらすのかはまだまだ未知数だが、ひょっとするとこれからのゲームの形を変える可能性があるかもしれない。『Tom Clancy's The Division』はサプライズ出展だったので、おそらくゲームの全貌がわかるのはかなり先の話になるだろうが、つぎの情報公開がいまから楽しみだ。

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