『テイルズ オブ ゼスティリア』馬場英雄プロデューサーに訊く、“ヒロイン”のこと、シリーズの“これから”のこと。

ゲームの発売後、“ヒロイン”の描写などについて大きな話題になった『テイルズ オブ ゼスティリア』。プロデューサーの馬場英雄氏を直撃し、率直なやり取りを公開する。

●次回作を迎えるためにも、いまこそ訊きたい

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 バンダイナムコエンターテインメントが2015年1月22日に発売したRPG『テイルズ オブ ゼスティリア』(以下、『ゼスティリア』)。今月開催されたマチアソビのイベントでは、プロデューサーの馬場英雄氏が登場し、『テイルズ オブ ゼスティリア ~ 導師の夜明け ~』(昨年末に放送されたテレビスペシャルアニメ)の上映会やトークショーなどが行われた。

 『ゼスティリア』といえば、ゲームの発売後に、重要キャラクターのひとりである“アリーシャ”の描写などについて、ユーザーのあいだで大きな話題になった。この記事を書いている自分(週刊ファミ通編集部・川島ケイジ)もまた、『テイルズ オブ』シリーズを担当してきた編集者として、そしてユーザーのひとりとして、作り手の真意を知りたいと思っていた。今回、馬場氏を直撃する機会をいただいたので、率直なやり取りをここで公開する。

※このインタビューには、ストーリーの核心を明かす内容が含まれます。お読みになる際は、あらかじめご承知ください。


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▲バンダイナムコエンターテインメント 馬場英雄氏

──本日はお時間をいただきありがとうございます。まずは、あえてこの質問をしたいのですが、『ゼスティリア』発売直後(週刊ファミ通2015年1月29日発売号)のインタビューで馬場さんがおっしゃっていた、「つぎの一歩に向けて考えを巡らせているところです」との抱負は、いまも前に進んでいるのですか?

馬場 はい。2015年に『テイルズ オブ』シリーズが生誕20周年を迎えるにあたり、これを記念する完全新作として、スタッフたちとともに約3年の月日をかけて開発したのが『ゼスティリア』でした。ゲーム作品のみならず、アニバーサリーらしいさまざまな企画やイベントなどを、引き続き実現していきたいと思っています。これらにおいては、6月6日、7日に開催予定の“テイルズ オブ フェスティバル2015”で、皆さんに喜んでいただけるような発表ができるよう、スタッフが一丸となって準備を進めているところです。

──発表を楽しみにさせてください。そのためにも、『ゼスティリア』の発売後に大きな話題となった“ヒロイン”のことについて、一度しっかりお話しいただきたいです。

馬場 ストーリー、キャラクター、システムなど、ゲームの内容そのものについては、遊ばれた方によってさまざまな受け止めかたがあって然りで、『ゼスティリア』についても弊社のWebアンケートなどでたくさんのご意見、ご感想を拝見しています。皆さんの声を受け止めつつ、僕たちがつぎに挑戦したいことも盛り込みながら、次回作に向けて全力を挙げる。いままでと同様、僕たちにできることは、それに尽きると思っています。そのうえで今回、僕から『ゼスティリア』についてお話をさせていただきます。本作では企画当初から、物語を構成していくシナリオフローとして、パーティーキャラクターの離脱や入れ替えをともなう特殊なストーリーを構築することを志向していました。その展開と仕掛けに関しては、実際にゲームをプレイして初めて知ってほしい、「なるほど、そういうことか!」と感じてほしいという思いがあったため、発売前の情報の出しかたに苦慮しつつ慎重に展開してまいりましたが、本作のストーリー構成と展開の特殊性ゆえに、結果として僕たちが意図していない誤解を招いてしまった面がありました。

──『ゼスティリア』の発売前、ファミ通では馬場さんに何度もインタビューさせていただきました。その最たる理由は、記事制作用にお送りいただいた資料を見ても、ストーリー部分については正直よく掴めなかったからです。

馬場 アリーシャのパーティー離脱ですとか、ロゼの素性、天族との関係など、ストーリーに関してひとつのネタバレをすると、連鎖的にほかのネタバレを招きかねない作りになっていたので、どうしてもこれらの部分はお話しすることができませんでした。もちろん、僕たちは、『ゼスティリア』に込めるテーマをふまえたうえで、本作のストーリーを作り上げたわけですが、今回はいつにも増して、「プレイして初めて知ってほしい」と判断した要素が多かったのは事実です。

──インタビューでも、馬場さんは“いつにも増して”口が堅かったですよね。

馬場 何度目かのインタビューで、「どうして本作ではそんな表面的なことしか話してくれないんですか!」と川島さんから突っ込まれたときのこと、よく憶えています。

──それでも、オフレコにするという前提で、話してくれた“ネタバレ”もありましたよね。アリーシャがストーリーの途中で、主人公スレイとの冒険から離脱するということや、その後に登場するロゼがストーリー上のヒロインであるということも、本作をプレイする前に聞いていました。そしてエンディングまでプレイしてから僕が書いたのが、昨年12月のインプレッション記事なんですけれど、いま振り返ってみて思うのは、アリーシャの離脱については発売前に公開あるいは示唆しておいたほうがよかったんじゃないか……ということです。もちろん、これは結果論になってしまうのですが。

馬場 はい。おっしゃりたいことは、わかります。「発売前の情報で興味を持ってほしい」という思いと、「実際にプレイして確かめてほしい」という思いは往々にして紙一重なのですが、とりわけ本作に関しては、先ほど申し上げましたようにストーリー上の仕掛けと意図があったため、情報公開にはこれまで以上に慎重になっておりました。『テイルズ オブ』シリーズは、物語を楽しみにしていただいているニーズも考えますと、推理小説を読む前に結末を知ってしまうような“ネタバレ”になりうるところまでは、なかなか踏み切ることができなかったんです。