なんでこんなに大サービスができるのか!?

 加入者専用の機能や特典が利用可能な定額制のメンバーシップサービス“PlayStation Plus”(以下、PS Plus)。2010年6月にサービスが開始されて以降、サービスの向上、各種キャンペーンなども実施し、順調に加入者を伸ばしてきたPS Plusだが、ここ直近の1年間の伸びは目覚ましいものがある。

 その大きな要因となっているのが、PS4であることは想像に難くない。PS4が2013年11月に北米、欧州などで発売されると、2014年9月末の段階でPS Plus加入者は2013年から約4倍に増加( Sony IR Day 2014プレゼンテーション資料より)。さらにその後、 2015年1月2日時点での加入者が累計で1090万を超えたことも発表されている。

 こうした順調な加入者増と歩調を合わせるように、近ごろのPS Plusは、フリープレイタイトルのラインアップや、トライアルの先行配信など、さまざまな面で充実ぶりが目につく印象だ。そこで本稿では、ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジア(SCEJA)のVP ネットワークビジネス領域担当 塚嵜英史氏に、2015年6月で5周年を迎えるPS Plusの現状を改めて伺った。

※本記事は、週刊ファミ通4月9日増刊号(2015年3月26日発売)に掲載された記事に加筆したものです。

最近凄すぎ!? PS Plusのサービスが俄然充実してきたワケ【インタビュー】_02
ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジア
VP ネットワークビジネス領域担当
塚嵜英史氏(文中は塚嵜)

■PlayStation Plusとは?
 PS Plusに加入すると、新作や発売中のソフト、ゲームアーカイブスなどの一部タイトルを無料でダウンロードして遊べるフリープレイや、加入者限定の特別価格で購入できるディスカウント、注目作の先行配信が受けられるといったサービスが提供される。また、オンラインストレージにセーブデータをバックアップできたり、自動トロフィー同期といったサービスも利用可能だ。PS4でオンラインマルチプレイを利用するには、PS Plusへの加入が必要(一部のコンテンツを除く)。利用料金は12ヵ月5143円、3ヵ月1337円、1ヵ月514円(いずれも税込)。

 ちなみに誤解されがちだが、フリープレイの対象タイトルは、期間内にダウンロードしてさえおけば、PS Plus加入期間中はいつでも自由にプレイできる。また、いったんPS Plusの有効期限が切れてしまった場合でも、再度加入すれば、過去の加入期間中にダウンロード済みのフリープレイタイトルは、問題なく遊ぶことが可能だ。

【参考】最新3月追加のフリープレイラインアップ
【ダウンロード専売】
Counterspy(PS Vita、PS3、PS4) 3月31日まで
OddWorld: New 'N' Tasty(PS4) 3月31日まで
OlliOlli(PS Vita、PS3、PS4) 
Deadly Premonition レッドシーズプロファイル コンプリートエディション(PS3)
LUFTRAUSERS(PS Vita、PS3)
【パッケージ併売】
討鬼伝 PlayStation Vita the Best(PS Vita)
ダンジョンズ&ドラゴンズ -ミスタラ英雄戦記-(PS3)
ブレイブルー クロノファンタズマ(PS3)
真・三國無双7 with 猛将伝(PS4) 3月31日まで
テイルズ オブ シンフォニア ユニゾナントパック(PS3) 3月31日まで
【ゲームアーカイブス】
グランディア エクストリーム(PS2)

国内会員数は初年度の50倍に! 急成長の秘密を担当者に直撃!

最近凄すぎ!? PS Plusのサービスが俄然充実してきたワケ【インタビュー】_03

――PS Plusのサービス開始からもうすぐ5年が経ちますが、ここまでを振り返っていかがですか?
塚嵜 まずは何をおいても、加入して使ってくださっている皆様、そして辛抱強くサポートしてくださった、業界内の非常に多くのパートナーの方々に、強い感謝の気持ちをお伝えしたいですね。本当にありがとうございます。おかげさまで加入者数も順調に伸びておりまして、国内では、PS Plusスタート初年度末時点と比較すると50倍ほどに達しています。

――最近では、毎月のコンテンツ更新情報の発表が、とても多くの方に注目されていますよね。
塚嵜 我々も更新日の直後には、本当に緊張しますね。スタッフ一同、ユーザーの方々の反応を見て、一喜一憂しています(笑)。

――とくにここ1年で加入者数が激増したようですが、やはりPS4の発売後に勢いが増したのでしょうか?
塚嵜 そこはまさしく、雲泥の差ですね。日本国内でも、PS4の発売以降、現在では加入者数が5倍程度に増加しましたし、PS4が牽引しているという印象を強く感じています。

――フリープレイの提供タイトルは、昨年の夏くらいから、劇的に充実度が増したように思います。何か変化はあったのでしょうか?
塚嵜 大きく分けて3つの点で変化がありました。ひとつは、PS Plusがより多くの皆様に使っていただけるようになってきましたので、コンテンツ全体の編成としても、より多くの方に楽しんでもらえるように、気を配るようになったことです。当初は比較的コアなユーザーの皆様に寄せたコンテンツを意識していたのですが、現在は、ある特定の皆様だけが遊んでいる、といった状況にならないように注意しています。

――確かに、ジャンルもテイストも多彩ですよね。そのほかには?
塚嵜 もうひとつは、加入者数が増え、ダウンロード数も増えてきたことで、ゲームメーカー さんにも強い関心を持っていただけるようになったことです。たとえば「新作を翌月出します」というときに、過去作をフリープレイで遊んでもらうことで、うまく連携を取って、売上増につなげる、といったケースも出てきました。パブリッシャーさんからご提案をいただいたくことも増えましたし、逆にこちらから提案する場合でも、スムーズにお話しが進むようになりましたね。PS Plus開始直後は、認知度も低く、「PS Plusとはこういうサービスです」とご説明するところから始める必要がありましたから。

――なるほど。3つ目の変化は?
塚嵜 もともとPS Plusには、グローバルで育てていこうという方針はあったのですが、いままでは地域ごとに個別の成果を出そうとがんばってきていたんですね。それがこの1年、PS4が発売される少し前から、グローバルサービスとして、PS Plusのサービスの統一感、一貫性を、より高めていこうとしています。

――具体的にはどのような?
塚嵜 どれくらいのコンテンツ量、ユーザーエクスペリエンスを提供していくのかは、グローバルで相談して調整しています。また、タイトルの交渉を地域ごとに個別に進めるのではなく、状況によっては、1タイトルをひとつのチームが一貫して受け持つなどしています。

――なるほど。そうした取り組みや状況の変化が、フリープレイの充実などの成果として現れているわけですね。そのほか、ご苦労されている点はありますか?
塚嵜 やはり毎月毎月、ユーザーの皆様の期待に応え続けていくのはたいへんです。期待値は上がっていくものだと思いますし、先月よりも今月のサービスがよくないと、恐らくご満足いただけませんよね。そのあたりは工夫をして、どうやって驚いてもらえるか、一生懸命考え続けています。

――フリープレイ以外で、とくに注力されている分野はありますか?
塚嵜 日本においては、オンラインプレイが、海外に比べてまだまだ盛んではない面がありますよね。そこを楽しく使っていただこうということで、最近は“PS Plusチャレンジ”というオンラインイベントを実施しています。これは、毎月異なるタイトルをお題にしたミッションを提供して、それをクリアーするとプレゼントが当たる、というものです。手軽にオンラインに慣れ親しんでもらおうという試みで、多くの方に楽しんでいただいていますね。あとは“ディスカウント”もぜひ利用していただきたいです。たくさんタイトルを購入される方なら、PS Plusに入っていただいたほうがお得になるはずです。ここはこれからも力を入れていきたいと考えています。

――6月の5周年に向けて、何か企画されていることはありますか?
塚嵜 まさにいま、いろいろと企画中です。昨年、プレイステーション20周年記念で、PS Plus 20年権を発売したのですが、あれもけっこうなチャレンジで、社内では「本気か!?」と驚かれました(笑)。ここでもハードルが上がってしまいましたので、5年権くらいではおもしろくないですし……いろいろ考えていますのでご期待ください。

最近凄すぎ!? PS Plusのサービスが俄然充実してきたワケ【インタビュー】_01