ノイタミナアニメ『パンチライン』ゲーム版発表! アニメ&ゲーム制作のきっかけを、打越鋼太郎氏に独占インタビュー(前編)

2015年4月からフジテレビのノイタミナ枠で放映される、アニメ『パンチライン』。本作の先行上映試写会で発表された、『パンチライン』ゲーム版について、打越鋼太郎氏に直撃インタビュー!

●打越鋼太郎氏待望の新作をいち早く直撃!

 2015年4月からフジテレビのノイタミナ枠で放映される、アニメ『パンチライン』。音楽を小室哲哉氏、オープニング・テーマを“しょこたん●でんぱ組(●はハートマークで、だいすきと読む)”が担当することで、いろいろと話題を呼んでいる作品だ。2015年3月15日には、本作の先行上映試写会が開催され、この『パンチライン』のゲーム版”ゲーム企画、連動進行中”と発表された(発売時期や機種は未定)。……と書くと、たいていの読者はよくあるアニメのゲーム化と思うかもしれない。だが、今回のゲーム版の発表は意味合いが大きく異なる。というのも、本作を手掛けるのは『Ever17』、『極限脱出 9時間9人9の扉』、『極限脱出ADV 善人シボウデス』など、衝撃的な展開のアドベンチャーゲームを生み出してきた、鬼才・打越鋼太郎氏であり、その打越氏の久しぶりの完全新作ゲームとなるからだ。今回、ファミ通.comでは、長い沈黙を破って、アニメ脚本で復活を遂げた打越氏に直撃インタビューを行った。いまだ謎の多いアニメはもちろん、ゲームにも迫る!

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■プロフィール
打越鋼太郎

代表作は『Ever17』、『極限脱出 9時間9人9の扉』、『極限脱出ADV 善人シボウデス』など。(文中は打越


●ゲームの企画から、トントン拍子で実現したアニメ版

──2014年11月のアニメ『パンチライン』の発表(記事は→コチラ)で、打越さんがアニメ脚本を担当することも明かされましたが、打越さん作品のファンには、とても衝撃だったと思うんです。まず、どういった経緯でアニメ脚本を担当されることになったのか、その点からおうかがいできますか?
打越 『善人シボウデス』の発売と前後して、いろいろな企画を考えていた時期がありまして。その企画のいくつかをMAGES.の市川さん(市川和弘氏。本作のプロデューサー)にお話する機会があったんです。市川さんとはKID(『メモリーズオフ』や『Ever17』などのアドベンチャーゲームを発売していたメーカー)の時代からの長い付き合いで、「また、いっしょに仕事したいね」とずっと声をかけてもらっていたので、それもあって新しい企画をお見せしたんですね。そうしたら、そのひとつをすごく気に入ってもらえて。しかも、ゲーム化だけじゃなく、「これは絶対にアニメ化したほうがいい」と言って、市川さんからつながりのあるフジテレビのプロデューサーの方に話をしてくださったんです。そこでかなり売り込んでいただけたようで、その結果、フジテレビさんも「じゃあ、いっしょにやりましょう」と動いてくださって、結果的にゲームのアニメ化でも、アニメのゲーム化でもない、アニメとゲームの制作が同時に進行する連動企画になったんです。

──では、もともとは打越さんが考えられた、ゲームの企画だったんですね。
打越 そうですね。それで、市川さんから「アニメの脚本の話もあるけど、やってみる?」という話が出てきて、せっかくのチャンスですから、僕からもお願いをした結果、ゲームだけでなく、アニメの脚本も担当させていただくことになったんです。

──本日(2015年3月15日)のイベントで、ゲームの情報も少しだけ公開されましたが、そういう経緯があって、ゲームとアニメが動き出したと。
打越 はい。もともとゲームの企画でしたから、同時進行のプロジェクトというイメージですね。

──では、打越さんの中では、アニメ化というのは想定外だったのでしょうか?
打越 企画を立てたときに、企画書の最後のほうに、メディアミックス展開として、出版やアニメ展開をやっていきたいという希望は書いていましたし、もともとゲーム自体の構成をアニメ寄りにしていたので、アニメになったとしても、落とし込みやすい形というのは意識して作っていたんです。ただ、ゲームと同時にアニメ化が動くとは思っていなかったので、この展開は想定外でしたね。

──うれしい驚きですね。では改めて、『パンチライン』がどんな作品なのか、そのお話やコンセプトなどをうかがいたいのですが?
打越 ストーリーとしては、とあることから幽体離脱してしまった主人公の遊太くんが、古来館(こらいかん)というアパートの住人の暮らしぶりを覗き見たり、特別な霊力で住人の暮らしに干渉したり……という展開になります。古来館に住むキャラクターにはそれぞれ謎がありまして、その謎を解き明かしていくのもポイントになりますね。あとは、大きなテーマとして、キャッチフレーズにもなっている、“パンツを見たら人類滅亡!?”というものがあるので、その人類滅亡をどうやって回避していくか。遊太くんがいろいろと行動しながら、その回避方法を見つけ出していくお話でもあります。

──おうかがいしているだけでも、ゲームらしさを感じる内容ですね。
打越 そうですね。ゲーム版は、プレイヤーみずからの意思で干渉していくので、より、インタラクティブ性があるというか、自分で未来を変えていくというイメージになっています。

──登場人物の名前が、みんなすごいですよね。主人公は伊里達 遊太(いりだつ ゆうた)で、名前から読むと“幽体離脱”ですし。
打越 そうですね。ほかもそのまんまです(笑)。曳尾谷 愛(ひきおたに いと)、台初 明香(だいはつめいか)、秩父 ラブラ(ちちぶ らぶら)。


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◆伊里達 遊太(いりだつ ゆうた)(声:井上麻里奈):幽体離脱しちゃった主人公。

◆成木野 みかたん(なるぎの みかたん)(声:雨宮天):ふんわかほわほわアイドル。

◆曳尾谷 愛(ひきおたに いと)(声:寿美菜子):ひきおたニートなネトゲ廃人。

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◆台初 明香(だいはつ めいか)(声:釘宮理恵):おじいちゃん大好き天才発明家。

◆秩父 ラブラ(ちちぶ らぶら)(声:戸松遥):ギャル風インチキ霊媒師。

◆チラ之助(ちらのすけ)(声:吉田有里):遊太につきまとう不思議な猫。

──成木野みかたん(なるぎの みかたん)だけ、わからなかったのですが……。
打越 彼女は、読みかたをちょっとだけ変えると、“正義の味方”になるんです。

──ああ、なるほど! これらの名前は、キャラクター性と関わってくるんですよね?
打越 はい。いままでの作品は、現実にありそうな名前を考えていたんですが、自分の中で吹っ切れた部分があって。やっぱりキャラクターの見た目や名前って、覚えてもらいやすいことや、初めて見たときの第一印象でどういうキャラクターなのかがわかりやすいといったことが、すごく大事なんじゃないかなと思うようになったんです。ですから、今回はリアリティーより、キャラクター性のほうに重点を置いて、名前をつけました。

──その名前の雰囲気もそうですが、プロモーションビデオなどを拝見する限り、明るいラブコメのような作品に見えますが、たとえば、本当に世界が滅亡するような、重い面もある作品なのでしょうか?
打越 いえ、基本はラブコメです。正確に言うと、ラブの要素はあまりないんですが、コメディーではあります。いわゆる、シチュエーションコメディーなんですね。基本的に古来館の中だけの出来事で、その中の住人たちの暮らしで進んでいくドタバタ劇ですから。とくに序盤はそういう展開が多く、それがだんだん物語が進んでいくうちに、シリアスな面も出たりします。

──これまでの打越さんの作品を遊んだファンならば、きっと大きな変化というかサプライズがあると期待をすると思うんですが、予想しないような展開になるのでしょうか?
打越 もちろん予想外な展開はあります。ただ、まったく予想できないかと言われると、それはどうかわかりませんし、序盤を見ていくと気づく方もいると思います。そのあたりは、ぜひお楽しみに。

──アニメの脚本は、実際に書かれてみていかがでしたか? ゲームとは違いましたか?
打越 全然違いましたね。まず、いちばん大きなところは、尺があるということですね。当たり前と言えば当たり前なんですが、そこがいちばん重要で。ゲームってすごく特殊で、ほかの媒体は、たとえば映画にしろ、連載の小説やマンガにしろ、必ず尺が決まっているんです。でも、ゲームは尺の幅がいかようにも取れると言いますか、数時間で終わるものもあれば、何十時間もかかるものもあって、とても自由なんですよね。とくにアドベンチャーゲームは、シナリオのテンポも自由度が高くて、僕はその中でずっとやってきて、書きたいこともいっぱい書いてきたんですが、アニメは、いちばんおもしろいところを抽出して、尺の中に収めなくてはいけないので、そういった部分ですごく苦労しました。

──では最初は、リテイクを食らったり?
打越 そうですね。あと、アニメとゲームのもうひとつの違いとして、みんなで脚本をブレストする点に驚きましたね。もちろんゲームの脚本でもブレストはあるんですが、アニメのほうは、たとえば脚本を1行ずつ追っていって、「ここを変えよう」とみんなで相談してやり取りしていくので、そこはすごい違う点かなと。

──いままでゲームでは、完成形までほぼおひとりでやっていたわけですから、周囲の人に変えられるのに抵抗はありませんでしたか?
打越 ああ、それはもうなかったです。昔だったら、全部自分でやらないと……と思っていたところはありましたが、いまは皆さんの意見でおもしろくなるほうがいいですね。だから、アニメのほうは、おもしろさがいちばん凝縮された部分がギッシリ詰まって、テンポよくドンドン展開していきます。一方、ゲームはゲームで、キャラクターをもっと深く描いていきます。ある意味、伏線でもなんでもないやり取りがあるからこそ、キャラクターの深みが増していくと思うんですが、そういう部分のキャラクターのおもしろさは、ゲームですごく出ていると思います。ですから、アニメもゲームも、それぞれのメディアを活かしたおもしろさがあると思いますね。

──もうアニメの脚本は終えられたんですよね。もう慣れましたか?
打越 はい、もう終わっていて。慣れたかどうかはわかりませんが、いろいろと勉強させてもらいました。

──じゃあ、今後、またアニメがあれば、脚本もスムーズにできますね。
打越 そうですね。お話があれば、ぜひやってみたいです(笑)。

──打越さんがアニメの脚本を担当されることも衝撃でしたが、そのほかのスタッフの豪華さも衝撃でした。音楽が小室哲哉さんで、オープニング・テーマが“しょこたん●でんぱ組(●はハートマークで、だいすきと読む)”で。
打越 僕はキャスティングやスタッフィングには関わっていないんですが、聞いたときはすごくビックリしました。まず、小室さんにビックリしましたし。「えーーーっ!?」って。でも、ものすごく光栄です。僕は小室さん世代で、もちろん知らない人はいないですし、本当にありがたいというか、うれしく思っています。それで、その後に決まったのが、ヒャダインさんこと、前山田健一さんが作詞作曲で、中川翔子さんとでんば組.incの皆さんのユニットによるオープニング・テーマで、これもまた驚きました。僕、ヒャダインさんがすごく好きで、いつかいっしょにお仕事したいなと思っていたので、それが実現できて……。

──望んでいたことが、トントン拍子で実現していきますね。
打越 はい。まだお会いしたことはないんですけど。''

──オープニング・テーマや小室さんの音楽は、もう聞かれましたか?
打越 いえ、まだなんです。小室さんの音楽はPVに流れているのを聴いたくらいで。ちなみに、小室さんには劇中の歌も書いていただいているんです。4、5曲あって、なかには演歌みたいな曲もあったりと、本当におもしろいいろいろな曲が、てんこ盛りです。



 ……と、アニメはもちろん、ゲームについてのお話ももっと聞きたいところだが、今回のインタビュー前編はここまで。2015年3月22日に東京ビッグサイトで開催される“Anime Japan 2015”(“Anime Japan 2015”は2015年3月21日、22日に開催)内のREDステージで、“ノイタミナイト powered by dアニメストア〜サイコな彼女のパンチラ in AJ〜”として、『パンチライン』の新情報が公開される。インタビュー後編は、そのイベント後に公開予定だ。後編では、ゲームのより突っ込んだ話題に加えて、打越氏の『パンチライン』以外の新作についてもお話をうかがうので、お楽しみに!

■『パンチライン』放送情報など

<放送情報>
2015年4月9日より毎週木曜24時55分~フジテレビ“ノイタミナ”にて放送!
(初回放送は24時50分~放送)
ほか各局でも放送!

<スタッフ>
原作:MAGES./フジテレビ
監督:上村泰
キャラクターデザイン:岩崎将大
制作:MAPPA
脚本:打越鋼太郎
音楽:小室哲哉

<主題歌>
オープニング・テーマ:しょこたん●でんぱ組 「PUNCH LINE!」
(●はハートマーク)




(C)パンチライン製作委員会