プロチーム取材記事の第2弾はゲーミングハウスの設立秘話

 PC用オンライン対戦ゲーム『League of Legends』における日本の強豪チーム“DetonatioN FocusMe”(以下、DetFM)は、給与制のプロゲーミングチームだ。先日公開した記事では、共同生活を送るゲーミングハウスの室内や生活実態にスポットを当てた。

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▲共同生活を送りながら腕を磨くDetFMの選手たち。

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 DetFM取材記事の第2弾となる今回は、ハウス設立秘話について代表の梅崎伸幸氏を直撃! 苦労話から今後の活動目標にいたるまで、根掘り葉掘り聞いてきたぞ。

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▲ゲーミングチームDetonatioN代表の梅崎伸幸氏。

【インタビュー前の基礎知識】
■『League of Legends』(以下、LoL)
世界的に人気の高いPC用オンライン対戦ゲーム。競技性が非常に高く、e-sportsタイトルとして定着している。

■ゲーミングハウス
プロゲーミングチームのメンバーが共同生活を送るシェアハウスのこと。海外のプロチームの多くがこの生活スタイルを採用している。

■DetonatioN
さまざまなゲームで活動するマルチゲーミングチーム。梅崎氏が代表を務めている。

■DetonatioN FocusMe(文中ではDetFM)
DetonatioN『LoL』部門の1チーム。日本初の給与制プロゲーミングチームで、2015年2月17日よりゲーミングハウスで共同生活をスタートさせている。

MVPは不動産屋の担当者!?

――まずはゲーミングハウス設立にいたるまでの経緯を教えてください。

梅崎伸幸氏(以下、梅崎) 2014年12月初旬の段階では、ゲーミングハウス設立は2016年以降かなと思っていました。選手が本当のプロになるためには、仕事や学業を捨てる覚悟も必要です。私のほうとしても、それなりの給料を支払い、住居も確保しなければいけません。世の中の流れも鑑みつつ、徐々に体制を整えていく必要があると思っていました。
 ようやくゲーミングハウス設立のための資金を用意できそうな目処が立ったとき、選手たちに「ゲーミングハウスがほしいか、プロとしてやっていきたいか」と打診しました。すると、全員からオーケーという返事がありました。彼らの覚悟が伝わってきたので、私も物件探しに注力するようになりました。

――選手やスタッフ全員が住める家となると、住い探しはそうとう大変だったのでは?

梅崎 いや~、すごく難航しました(笑)。当時からひとりひと部屋はマストだと考えていて、仮に7、8人が入居する場合、8LDKくらいは必要ですもんね。日本でそれだけの物件を探すとなると、高い家賃を払うか地方に行くかのどちらかになってしまいます。オフライン大会は関東で開催されることが多いですし、移動の負担を考えて都心までドアトゥドアで1時間以内を想定していました。

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▲全員にプライベートスペースを割り当てられるほど広い。

――物件を探し始めたのはいつ頃ですか?

梅崎 2014年12月で前職を退職して、正月明けから2週間ほどフルタイムで駆け回りました。

――そして見つかったのが、この物件というわけですね。

梅崎 ええ。これくらいの規模になると敷金と礼金がどちらも5ヵ月分みたいな物件が多くて、初期投資費がかなりの額になってしまうんです。そこをクリアできる物件が何とか見つかって助かりました。それでも仲介手数料はけっこうな額でしたが……(笑)。

――物件を見つけた後はスムーズに契約できましたか?

梅崎 申し込んだ後の審査もたいへんでした。じつは、この物件には競争相手がいたらしいんですよ。ですので、不動産会社の方を「私がやろうとしているe-Sportsはこういう世界なんですよ!」と説得しました。そしたら「e-Sportsという世界は知りませんでしたが、じつは自分もゲームが好きなんです。そういう人を応援したいので、オーナーさんには私から話しておきます」という展開になりまして。

――その担当者さんはゲーム好きとはいえ、e-Sports界隈のことは知らなかったんですよね。ふつうなら「それどうなの?」と訝しがると思います。それでも推薦してくれるなんて、その担当さんがMVPなんじゃないですか?

梅崎 本当にそう思います(笑)。2月3日に正式に審査が下りまして、そこから家具や食器を買いに行ったり、バタバタでした。

――その様子は梅崎さんのTwitterでちょくちょく見てました。

梅崎 落ち着いたかなという頃に「ネット回線が開通していない!」といちばん大切なことに気が付いて。結局、最後までバタバタでした(笑)。選手たちは17日に入居して、その翌日にネット回線が開通して……本当に慌しい日々が続きました。

――おつかれさまでした。本当にたいへんなのはこれからだと思いますけど。梅崎さんはいまは選手たちとゲーミングハウスでいっしょに生活されていますよね。それは活動が落ち着くまで続けられるのですか?

梅崎 落ち着いたらいったん自宅に戻りたいですね(笑)。ただ、これはこれで楽しいですよ。本当に居心地がいいです!

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