40年続いたコインオペレーションに革命を!

 2015年2月13日、14日の両日に千葉県の幕張メッセで開催されている“ジャパン アミューズメント エキスポ 2015”(JAEPO 2015)。タイトーブースにて、タイトーがアミューズメント施設への新決済システム導入に関する記者説明会を行った。その説明会の模様と、システムの概要をレポートしよう。

※関連記事:タイトーステーションが複数の電子マネーに対応した決済端末を導入へ 主要な電子マネーが利用可能に
【2015年2月13日21時:00追記:関連記事のタイトルに誤りがあったため修正しました】

 説明会はまず、タイトー 取締役社長の飯澤幸雄氏がステージに登場。アミューズメント業界の現状と、新システム導入に至る経緯が語られた。そこで強調されたのは、拡大する電子マネー市場と、それに対するアミューズメント業界の実情だ。

ゲーセンの100円玉オペレーションは終焉するか? タイトーの新決済システムに関する記者説明会をリポート【JAEPO 2015】_01
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▲オープニングで流されたイメージデモ。誰もが持っているカードで、ゲームが遊べるようになる!?
▲タイトー 取締役社長・飯澤幸雄氏。導入の背景などを語った。

 モニターで提示された資料によると、2014年度の国内電子マネー市場は、発行枚数が2億3282万枚(日経流通新聞調べ)と、日本人ひとり当たり2枚以上保有している計算になる。また決済金額も、2014年度の約3兆円から、2018年度には5兆円(野村総合研究所調べ)に拡大すると見込まれているなど、今後さらに増加・普及すると予想されている。

 一方でアミューズメント業界は、約40年前から、プレイ料金は変わらず100円単位のままで、物価変動や消費税導入に対応した柔軟な価格設定ができず、1コインオペレーションが続いている状況だ。その現状を見て、タイトーでは電子マネーの本格導入を検討するため、“タイトーステーション新宿東口店”で、2013年11月より実証実験を実施。その結果このたび、ユーザーの多様な決済ニーズや利便性の向上、運営面の効率化、新たな施策の可能性などを総合的に判断して、電子マネーの導入を決定したという。
 「電子マネーの導入で、お客様の利便性、オペレーターの運営方法、メーカーのゲーム開発が、大きく変わると考えております。40年続いたコインオペレーションの大革命だと思います」(飯澤氏)。

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▲アミューズメント業界の現状と、電子マネー市場の成長が、対比を交えて説明された。

 続けて飯澤氏は、導入のメリットを以下のようにまとめた。

・柔軟な価格設定やスピーディーな決済で、お客様にさらに利便性、楽しさを感じてもらうことができる。
・運営面においては、両替金や集金の作業負担が軽減する。
・さらに将来的には、メーカーが電子マネー対応のゲームを開発することで、お客様にまったく新しい遊びかたを提案することも可能となる。

 「つまり、新しいアミューズメント施設を、お客様に提案することができるようになります。数年後には、100円オペレーションをしていたことが不思議に思えるような状況に変わると、信じています」(飯澤氏)。

 具体的な導入計画については、まず決算端末は、主要な電子マネーが扱えるように、現在開発中とのこと。複数の電子マネーが使える端末の導入は、業界初の取り組みとなる。導入時期は2015年5月より“タイトーステーション アリオ蘇我店”への導入を皮切りに、2015年7月以降は直営40店舗に順次導入予定。なお決算端末は既存のマシンに追加設置する形で、100円硬貨も引き続き利用可能となるそうだ。また将来的には、FC店舗への展開も予定しているという。

 最後に飯澤氏は「仮に直営店全店に導入しますと、10数億円規模の投資となりますが、お客様の利便性向上を第一に図ることで、この厳しい業界を変えられると確信しております。タイトーはこの業界を、これから一生懸命変えていこうと思っています。どうぞご期待ください!」と、力強く結びの言葉を語ってくれた。

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ゲームの新たな楽しみかたをユーザーに提供

 続いては、電子マネー推進プロジェクト サブリーダー・宮方詩穂氏より、新決済システムの詳細が説明された。モニターにはまずイラストが映し出され、両替に手間取った、お金が詰まったなど、ゲームセンターでありがちな状況を紹介。現金にまつわるトラブルがよく聞かれる中、現状を把握するためにお客様の声をいろいろ聞いてみたところ、「使い慣れた電子マネーをアミューズメント施設でも使いたい」という意見が多く見られたそうだ。そうした、電子マネーの普及を背景として、このほど導入を検討し、前述したように新宿の店舗に端末を設置して実証実験。結果、アンケートの反応も好評だったことから、決定に踏み切ったと、今回の本格導入のいきさつが改めて語られた。

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▲システムの詳細を説明する、電子マネー推進プロジェクトの宮方詩穂氏。
▲現金を扱うために、店舗ではさまざまなトラブルが発生しがちだ。

 では、電子マネーの本格導入で、どのようなことが可能になるのだろうか? 宮方氏は、以下のような例を紹介した。

・100円硬貨に縛られない、5%オフなど細かい単位での料金設定が可能。期末セールで30%オフなど、ショッピングセンターと連携して盛り上げることもできる。
・ゲーム機からの硬貨の回収、両替機への補充などの作業が軽減されるので、そのぶんスタッフがお客様へのサービスを増やせる。
・お客様がどのゲームでどのくらい遊んだのか、データをほぼリアルタイムで確認することができる。それにより時間毎の売上分析や、人気台の調査など、売上対策につなげられる。
 
 ここまでは、導入時点で可能な部分。一方、今後の可能性については、まず第一に、電子マネーを使ったいままでにないゲーム開発が挙げられた。
 「たとえば、ゲームが終わったけどあとちょっとだけ遊びたいというときに、数十円を追加して遊べたり、初心者だけど上級者の友だちと遊びたいので、数十円を追加して強い武器を装備する、などといったことも可能になります」(宮方氏)。
 つまり、いままでの“1プレイ=100円”という常識を崩すことで、新しいゲーム機と楽しみかたを提案できるというわけだ。さらには、オリジナルポイントの付与、オリジナルカードの提供など、さまざまな可能性が考えられると宮方氏は言う。
 宮方氏は続いて、今後の出店展開をおさらいし、「今回の導入で、お客様に電子マネーの利便性を提供するとともに、各店舗のデータをもとに導入効果を分析し、よりよいサービスを提供していきたいと思います」と締めくくった。

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特設コーナーは多くの来場者で大盛況

 なおタイトーブースでは、この電子マネー導入に関して特設コーナーを設置。実際にカードでプレイ・精算できるマシンが置かれ、多くの来場者が興味深く見つめていた。タイトーの今回の導入が、アミューズメント施設のオペレーションに新たな流れを巻き起こすか、大いに注目だ。

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▲特設コーナーの様子と、設置されていた決済端末。仮のイメージだが、おそらくこんなスタイルで導入されると思われる。