無課金でも十分に『DD』らしさが楽しめる!

 週刊ファミ通2015年2月12日号にてその存在が明かされた、プレイステーション4、プレイステーション3、PC用オンラインゲーム『ドラゴンズドグマ オンライン』。2015年にサービスを開始するという同タイトルについて、制作の中軸を担うカプコンのクリエイター陣にお話を聞いた。開発の経緯や、基本プレイ無料という選択をした理由、そして気になるゲームの内容に切り込む!

※本インタビューは、週刊ファミ通2015年2月12日号に掲載したものに加筆・編集を行った完全版です。

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これまで通りの『DD』がオンラインで遊べる!――『ドラゴンズドグマ オンライン』開発者インタビュー完全版_01
▲左から、プロデューサーの松川美苗氏、ディレクターの木下研人氏、エグゼクティブプロデューサーの小林裕幸氏。

ユーザーの声に応えてのチャレンジ

――ついに『ドラゴンズドグマ』(以下、『DD』)シリーズの本格的なオンラインゲーム化が発表されましたね。まずは、お三方それぞれの本作での役割、立場を教えていただけますか?

木下研人氏(以下、木下) 前作に当たる『ドラゴンズドグマ:ダークアリズン』(以下、『DDDA』)から引き続き、『ドラゴンズドグマ オンライン』(以下、『DDO』)でもディレクターという立場で関わっています。ディレクターとしては2作品目になりますね。

松川美苗氏(以下、松川) 私も『DDDA』から引き続き、プロデューサーを務めています。

小林裕幸氏(以下、小林) エグゼクティブプロデューサーとして本作に関わっています。私を含め、木下、松川ともに『DD』から制作に携わっておりますので、シリーズとしては3人とも3作品目になりますね。

――開発も、『DD』シリーズのスタッフが担当しているのでしょうか。

小林 そうですね。ほぼ『DD』、『DDDA』のメンバーがそのまま関わっています。オンラインまわりに関しては、『モンスターハンター フロンティアG』などオンラインタイトルの運営のノウハウがある部署と二人三脚で、という感じですね。こういったタイトルは、本編のタイトルがあって、オンライン向けのタイトルがあって、それぞれにチームも分かれているように誤解されがちなんですが、『DD』は1チームしかないですから、つねに全力です。保険はありません(笑)。

――(笑)。本作をオンライゲームとして開発することになったのには、どういった経緯があったのでしょうか。

小林 『DD』が発売された当時、ユーザーさんやいろいろな方から「オンラインでのマルチプレイはできないのか」といった質問や要望を、たくさんいただいていたんです。それで、これはやらないわけにはいかないなと。『DD』をリリースした後は、いち早く新作を届けようと『DDDA』を先行して作っていたのですが、そのときにオンライン関係も並行して動いてはいたんです。ただ、最初は「本当にできるのか?」というところから手探りで始まったんですよ。これだけしっかりとしたアクションができる本格的なオンラインゲームはなかなかありませんし、自分たちもノウハウがない状態で、まさにチャレンジでした。『DDO』は、ユーザーさんの要望をきっかけに、自分たちが挑戦したいという気持ちがあって動き始めたプロジェクトなんです。

松川 『DD』が終わったときに、次回作をどうしようかと内部で話し合っていたのですが、チームの規模からして『DDDA』か『DDO』のどちらかしかできない、というのはわかっていました。そんなときに、小林から「悩んでいるんだったら、時期をずらしてでも両方やろう」と言われまして。チームの何人かをオンライン関係の開発、検証にあてて、残りのメンバーで『DDDA』を開発するという、2ライン体制で進行していました。本当にチャレンジでしたね。

木下 そもそも『DD』は、数多くのオンラインゲームがリリースされている中で、少し逆行する形で“ゆるやかなつながりで楽しめる”ことをコンセプトに作られた作品です。僕自身、『DD』を1ユーザーとして楽しんでいたということもあって、ここにきて本格的なオンライン化というのは、個人的に思うところもあったんですよ。ただ、『DD』ユーザーからのニーズはあるし、シリーズ作品としての前進、進化を考えたときに、「まずはやれるかどうか検証はしてみるべきだ」と考えました。『DDDA』を開発している裏で、グランシス半島の片隅にドラゴンを設置して、裸の4人パーティーがそれをチョップするという検証をしていた時期もありましたね(笑)。

――それはちょっと見てみたいです(笑)。しかし、オンラインのノウハウがないところから、形にするのは本当にたいへんだったでしょうね。

松川 チームへ「『DD』をオンラインゲームにする」と最初に話したときは、プログラマーたちが「ムリムリムリ」と(笑)。プログラマーが誰ひとりとして首を縦に振ってくれませんでしたから。

木下 でも、そこは「やれるところまでやってみよう」と、チーム内で徹底的に話し合いを重ねました。オンラインゲームにした場合は、モンスターにしがみついてよじ登れるなど、『DD』ならではの特長を削ることになるかもしれないといった問題点も議題に挙がりましたね。しかし、『DD』のポイントはそういった自由度の高いアクションにあるので、その部分のクオリティーは絶対に落とさない方向でいきましょうと。あと、ゲーム進行やキャラクターデータなどをすべてサーバー側で管理する形のオンラインゲームにする必要があり、初めての試みが多く、そのあたりも非常に苦労しました。

小林 本当にチャレンジの多いタイトルで、チームもたくさん苦労していたので、こうして公式に発表できたことがすごくうれしいですね。

――オンラインゲーム化されたことも大きなチャレンジですが、さらに『DDO』は“F2P(フリー・トゥ・プレイ)”だとか。これもチャレンジですが、F2Pにした理由とは?

松川 できるだけ多くの方に遊んでもらいたい。というのがいちばんの理由です。チームとしては、まずはプレイしてほしいという気持ちが強いので。

小林 「まずオンラインにしてみよう」というところから始まっているので、当初はビジネスモデルについてまったく考えていなかったんですよ(苦笑)。当然、月額課金制ですとか、さまざまなモデルから選択することもできましたが、最終的に、いろいろと検討して、F2Pに落ち着いた感じですね。

――課金要素についてや、課金をしなくても遊び込むことができるのか、気になるところです。

小林 課金要素については、追い追いご紹介できればと思います。

木下 もちろん、無課金でも十分に“『DD』らしさ”を楽しめます。本当に、まずはひとりでも多くのユーザーさんにプレイしていただいて、『DDO』の世界を見てほしいと思ってのF2Pですので、そのあたりは真摯に検討しています。

これまで通りの『DD』がオンラインで遊べる!――『ドラゴンズドグマ オンライン』開発者インタビュー完全版_28

世界の“匂い”を残しながら完全新規のストーリーに

――本作の世界観についておうかがいします。主人公は“覚者(かくしゃ)”なのですよね?

松川 そうですね。プレイヤーの皆さんが覚者であり、覚者たちが集う“レスタニア大陸”を舞台にした、完全新規の物語が展開します。

小林 いわゆる“竜の理”や基本概念を共有しているだけで、シリーズ作とストーリーがつながっていたり、登場人物が同じだったりといったことはありません。

――では、本編から何年前の話であるとか、そういった関連はないと。

木下 はい。『DD』のストーリーを活かす方向性もあったんですが、オンラインゲームとして発展させることや、シリーズ作をプレイされていない方にも入りやすい新規のオンラインゲームにしたいという思いもあって、いったんリセットして作り直すことにしました。継続して長く遊べるように、時代も、舞台も、ストーリーも、すべて一新しています。前作までを未プレイの人でも、すんなりとゲームに入り込めると思いますし、シリーズのプレイヤーの方は“匂い”は残っていますので、安心して遊んでいただけるかなと。

――覚者の特徴など、『DD』ならではの設定は活かされているのでしょうか。

木下 覚者の概念は基本的には従来と同じですが、この世界では立ち位置が異なります。レスタニアには“白竜”という偉大な存在がいるのですが、とある大きな問題が起きて、力を失い、衰弱してしまうんです。この危機的状態を解決するため、白竜がいろいろな人間を覚者にして問題に立ち向かう、という流れになります。

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これまで通りの『DD』がオンラインで遊べる!――『ドラゴンズドグマ オンライン』開発者インタビュー完全版_03

――それで、多数の覚者が存在するんですね。今回公開された“白翼覚者隊”の4人は、ストーリーに深く関係するキャラクターなのでしょうか。

木下 プレイヤーも白竜陣営の覚者として隊に参加するのですが、“レオ”はその覚者たちを束ねる存在です。物語を引っ張っていくリーダーですね。

松川 プレイヤーは、序盤は新人覚者ですので、レオからどこそこへ行って来いというように指示を与えられる形になっています。だんだんとレオに活躍が認められて、大きな作戦に参加できるようになる、という流れです。

小林 いい声です(笑)。

木下 レオの声は山寺宏一さんにお願いしているのですが、あれは惚れますね(笑)。男性でも、女性でも魅力を感じるお声をいただけたので、ぐっとキャラクター性が深まりました。

松川 続いて“イリス”。彼女も覚者で、ヒロイン的存在です。レオが憧れのお兄さん的な位置付けなのに対し、彼女は身近な幼なじみのお姉さん的な立場というか。さばさばしているんだけれど、女性的な面もありますよ。

木下 “ヴァネッサ”は頼れる姉御肌の人物で、勝ち気で勇ましいのが特徴です。戦場にも、女だてらに一番槍を目指すタイプですね。大型のストーリーイベントのときに、プレイヤーを含めた新米覚者たちが整列しているところへ勢いのいい言葉を吐いてくれるので、自分でテストプレイをしているときも心が引き締まります(笑)。そして最後に“ファビオ”。彼は唯一の自由人というか。いろいろな場所に顔を出しては商売っ気を出したりしますが、いざというときにはプレイヤーにアドバイスをしてくれたりと、つかみどころのないキャラクターです。

松川 ちなみに彼のジョブが“不明”なのは、彼が未公開のジョブに就いているからです。

小林 短剣を装備しているというのがキーワードですかね。いまは見た目で予想してもらって、続報をお待ちいただければと。彼ら以外にもまだまだキャラクターはいますし、豪華声優陣を取り揃えております(笑)。

――なかなか濃いキャラクターが揃っているようで、ドラマ部分にも期待できそうですね。ゲームで、彼らと行動をともにするような場面はあるのでしょうか。

木下 ストーリー上で、ともに行動するシチュエーションはあります。いっしょにモンスターと戦うこともありますよ。

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