ゲームでは唯一の授賞
2014年12月4~5日に秋葉原UDXシアターで開催された“3Dユニバーシティ・ジャパン 2014”にて、セガの『セガ3D復刻プロジェクト』が、“国際3D先進映像協会 グッドプラクティス・アワード 2014”本賞を受賞したので、その模様をリポートしよう。
“国際3D先進映像協会 グッドプラクティス・アワード 2014”とは、3D(立体視)や4K(超高解像度)といった映像技術の研究・教育・啓発などによって発展・普及させることを目的とした業界団体“国際3D先進映像協会 日本部会”が制定した賞で、当該分野への普及・発展への寄与が期待される、3Dの特性に着目した取り組みを表彰・好評していくというもの。以下に記載した受賞作を見ればわかると思うが、アカデミックなアワードとなっている。
■3Dグッドプラクティスアワード2014 本賞
・8K3D映像制作への取り組み
(株式会社 NHKメディアテクノロジー)
・セガ 3D復刻プロジェクト
(株式会社 セガ)
・遠隔医療分野での立体映像の普及推進活動
(URCF 裸眼立体映像伝送WG)
■3Dグッドプラクティスアワード2014 奨励賞
・立体視に対応したプロジェクションマッピングへの取り組み
(アンビエントメディア)
■4Kグッドプラクティスアワード2014 本賞
・〈BRAVIA 4K × L'Arc~en~Ciel〉 L'Arc~en~Cielを4Kで体感!
(株式会社ソニー・ミュージックレーベルズ、ソニーマーケティング株式会社、ソニーPCL株式会社)
・世界遺産で舞い奏でる 葉加瀬太郎×梅若玄祥 組曲JAKMAK
(株式会社 ビーエス朝日)
・4K60P MUSICVIDEO 「Perfume DISPLAY」
(パナソニック 株式会社)
・パナソニック4Kプロモーション 「リベラシオン」
(パナソニック 株式会社)
受賞者の顔ぶれを見ると、ソニーやパナソニック、NHKといった家電メーカーや放送メディアが並ぶ中、『セガ 3D復刻プロジェクト』が唯一のゲーム事業であることに気づく。(おそらくだが)予算や機材をふんだんに投じた(であろう)プロジェクトと、『セガ 3D復刻プロジェクト』が肩を並べるだけの注目度や話題性があり、それが業界団体に評価されたことは、我々ゲームファンとして喜ぶべきことだろう。
登壇したセガの奥成洋輔氏は、「たいへん素晴らしい賞をありがとうございます。映画に比べますと、ゲームの歴史はまだ半世紀に満たないものではありますけども、エムツーの堀井さんと10年、過去を振り返るということをずっとやってきましたが、今回3Dという取り組みで、過去を振り返りながら、最新のものをお見せできるようにできたかなと思っております。こういう機会を与えてくださいましてありがとうございます」と、やや緊張の面持ちで挨拶。
続いてマイクを取った堀井直樹社長は「『セガ 3D復刻プロジェクト』というもので賞をいただけるということを考えていなかったので、言えることを考えたのですが……30年近く前のゲームセンターで動いていたゲームを見て僕は育ったのですが、そのときの興奮をそのままに、いまの技術を付加することで、もう1度世に出してみなさんに味わってもらえて、とても感動しています。この度は、すばらしい賞をありがとうございました」と語り、場内から拍手を受けていた。
その後に行われた受賞者によるプレゼンテーションでは、先日行われたシンポジウム“3次元空間の知覚的歪みとコンテンツの再構成”(⇒関連記事はこちら)の内容を踏まえた、立体視の仕組みや制作過程などを説明。「ビジュアルや操作感はオリジナルのものをできるだけ忠実に踏襲することを前提として、そこにどれだけの付加価値をつけていくか」をプロジェクトのコンセプトとして掲げて進めていったことを、奥成氏が説明。
堀井氏は、実際の『ソニックザヘッジホッグ』や『ファンタジーゾーン』の実例を元に、キャラクターや背景を分割し、オリジナルの内容を一度咀嚼した上で、立体視情報を加えていったことを説明した。