Wargamingのキーマンふたりに今後の展開を直撃!

 さまざまなコラボレーションの発表や、アジア圏では初のプレイアブル出展となった『World of Warships』など、今年も話題に事欠かないTGS 2014のウォーゲーミングジャパンブース。Wargaming.net CEOのVictor Kislyi氏、『World of Warships』グローバルディレクターのIvan Moroz氏に、作品の今後の展開などについて話をうかがった。

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『World of Tanks』と『World of Warships』の今後の展開について、CEOとグローバルディレクターにインタビューを実施!【TGS 2014】_01
Wargaming CEO
Victor Kislyi氏
(文中ではVictor)

――新たに、映画『フューリー』と『ガールズ&パンツァー』とのコラボが発表されました。『フューリー』については、グローバルでのコラボになるのでしょうか。
Victor その通り、グローバルに展開していきます。戦車がメインの映画ですから、自然と、引き合うような形でコラボが実現できました。『ガールズ&パンツァー』(以下、ガルパン)については、アジアと日本、ロシアの一部地域で展開されていますが、アニメは世界中で急激に成長している分野ですので、将来的にアニメとのコラボをグローバルで行う可能性も高いと考えています。

――『World of Warships』と『蒼き鋼のアルペジオ』のコラボ発表時は、ブースから歓声と拍手が湧き上がりましたね。
Victor ありがとうございます。このコラボについては、非常に人気のあるアニメだということが、やはり決め手となりました。Wargamingのタイトルは、どうしても男性やマニアみが楽しめるというイメージがつきやすい。ガルパンとのコラボもそうですが、こういったプロモーションでアニメファンや女性にも興味を持ってもらえることは、すばらしいことだと思います。アニメとのコラボは日本独自のものです。各地域で異なる特性があるので、その知識を持ったスタッフが、このような私やほかの地域の運営には思いつかないようなことを展開しているのは、すばらしいですね。

――今年の4月に行われた世界大会“グランドファイナル”で、2014年度は莫大な予算をかけて『World of Tanks』をe-Sportsとして発展させていくと表明していました。ここまでの成果などがあれば教えてください。
Victor まず第一に、初期は約40000チームが競いあっていた規模が、今季はその5倍、20万チームがリーグに参加しています。また、我々ができるサポートのひとつとして、どうすれば観戦しやすくなるか、配信しやすくなるかということを考え、カメラの操作方法を改善するなど、スポーツとして見ても楽しめることを常日頃から意識して開発を進めています。Twitchでの配信など、さまざまな企業とパートナーシップを組んでいるのも、その表れです。

――いまはロシアが強いですが、それに対抗するような勢力が出てくると、さらに盛り上がりますよね。
Victor つぎのシーズンが始まったばかりですが、今後の展開が楽しみですね。おっしゃる通り、いまはロシアが強いですが、グランドファイナルでは4位がシンガポールのチームでした。強豪と言われていたアメリカのチームも倒していましたね。こうしたチームが出てくると、全体の底上げは進んでいると感じます。

――つぎのグランドファイナルの開催場所は考えていらっしゃいますか。
Victor まだ候補地を検討している段階です。ただ条件はいくつか決まっていまして、もちろん経費や予算も無視できないのですが、第一にe-Sports人口がどれだけ存在するかということに大きなウエイトを置いています。

――gamescomでは、拠点モードで支援砲撃や要塞の要素などを追加するとのことでしたが、その後、具体的な進展はありましたか。
Victor 近日、アップデート9.3が行われますが、それ以降のアップデートで、実装の予定です。意外と早い段階でお見せできるかもしれません。

『World of Warships』開発状況と次回テストについて

『World of Tanks』と『World of Warships』の今後の展開について、CEOとグローバルディレクターにインタビューを実施!【TGS 2014】_02
Wargaming『World of Warships』グローバルディレクター
Ivan Moroz氏
(文中ではIvan)

――『World of Warships』の艦船の開発は日米のものから進めているとのことでした。その理由を教えてください。
Ivan このゲームは可能な史実を忠実に再現していと思っています。そのコンセプトに準じると、第2次世界大戦で大きく有名な艦隊を持っていたのが日本とアメリカですので、ここを選びました。

――その2ヵ国の艦船については、どの程度完成しているのでしょうか。
Ivan 70%ほどのモデルは作り終えています。今回の試遊バージョンでは空母が使えませんが(巡洋艦、駆逐艦、戦艦を操作可能だった)、今後は空母も追加していき、正式サービス時にはほかの国も合わせて80以上の艦船を用意する予定です。

――開発は順調に進んでいますか。
Ivan 今回の試遊バージョンをE3やgamescomのバージョンと比較すると、まず、戦闘前に会話などでストーリーを解説するシーンを挿入しました。プロモーション用の動画については、今回初めて、ゲームの映像を使用しています。現在、基本的なゲームプレイ自体の大枠はほぼ決まっています。今後は、乗員や消耗品などのシステムですね。

――着々と開発が進んでいるようでなによりです。戦闘マップが海上となると、たとえば『World of Tanks』と比べるとバリエーションが出しにくいかと感じましたが、これについてはどうお考えでしょうか。
Ivan もちろんマップは大事な要素として捉えていますし、作るのはとても難しいです。たとえば、島が多いと機動力の高い駆逐艦は力を発揮できますが、逆に大型艦は移動が不自由になり活躍しづらくなるなど、ゲームの大きな影響を与えます。島の配置を変えることや、マップによっては氷山があるので、変化は付けられると考えています。島に隠れることで索敵から逃れたり、防御や妨害の拠点ともなりますので、こうしたバランスを考えながら開発を進めています。

――クローズドβテストを冬に開始するとのことですが、テストの規模や、行われる地域について教えてください。
Ivan グローバルリリースを原則としていますので、『World of Warships』もクローズドβテスト以降は、すべての地域で行われます。また、参加人数については、大勢のプレイヤーが参加されることを期待しています。日本のプレイヤーも、たくさんお応募していただければ、人数が増えるかもしれませんよ(笑)。

艦船への圧倒的なこだわり

――パーツを換装すると外見も変わりますね。
Ivan はい。このゲームの特徴のひとつです。新たなパーツが開発されて艦船が改修された年月も調べていて、それが再現できるようにもなっています。また、こういったパーツについても、すべて史実に添ったものです。実際に存在しないものや計画段階だったものについては、実装されていません。現段階では可能な限り、史実に添った作りにしています。
 たとえば日本の駆逐艦、Minekazeを例にすると、史実ではこの船体をもとに開発された駆逐艦がいくつかあり、それらは”峯風型駆逐艦”と呼ばれます。このゲームでもパーツを換装することによって、各年代の”峯風型駆逐艦”を再現することができるのです。
 こういったプレイヤーの好みを反映させることもできますし、たとえば、一部の艦船に関しては、火力を強化するために主砲を多めにする、逆に主砲を減らして、対空機銃を多く搭載する、といった改修のしかたもあります。状況によって必要な能力が違いますので、単純に最終強化が強いということはないですね。

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▲Minekazeの魚雷発射管を換装。こうした細部へのこだわりがファンの支持を獲得する原動力となっている。
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▲日本の巡洋艦Kitakami。非常に特徴的な艦船としてIvan氏が例に挙げ、「魚雷の搭載数が非常に多く、4連装が10機あり、40発の魚雷を撃つことができます。当時の日本の強い意志を感じ取ってもらえるのではないか」と解説。
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▲戦艦Kongo。金剛型戦艦と呼ばれ、史実ではさまざまなタイプが存在する。こちらもパーツの換装で再現できるとのこと。
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▲アメリカの巡洋艦Pensacole。日本の巡洋艦とのデザインを比較してみるのも一興。
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▲Independenceはアメリカの空母(航空母艦)。航空機が搭載可能だ。
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▲アメリカ海軍最大の攻撃型空母、Essex。搭載している航空機を変更すると、もちろんグラフィックも変わる。
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▲日本のTier1巡洋艦Katori。「最初の艦船なので操作がしやすいようにしています。機動力はそこそこありますし、砲塔がふたつだけなので混乱することもないはずです」(Ivan氏)
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▲Katoriの開発を進めると、Tier2の駆逐艦Tachibanaが扱えるようになる。「魚雷が搭載され、できることが増えるのでしっかりした戦術を立てる必要も出てきます」(Ivan氏)
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▲こちらはTier4の駆逐艦Isokaze。
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▲Tier9の駆逐艦Shimakaze。人気があるようなので写真も多めに用意しました。「最大速度が39ノットの駆逐艦です。現在、このゲームの中で最速の艦船が42ノットですので、かなり速い部類に入ります」(Ivan氏)

大和はロシアでも人気の戦艦

――Yamatoは『World of Warships』で最初に制作を始めた艦船とのことですが、改めて外観を見ると非常にかっこいいというか、美しささえ感じます。
Ivan Yamatoはロシアでも非常に人気の高い戦艦です。日本を代表する艦船ですし、技術的にもすばらしい。とても大きな戦艦にもかかわらず、旋回の半径が駆逐艦などと比べても小さいんです。パーフェクトな設計、性能であることを感じます。

――YamatoはTier10のようですが、それだと操作できるのはかなり後になりそうですね。
Ivan 伝説的な戦艦ですし、多くのプレイヤーの目標となる船だと思いますので、これを目指してがんばってプレイしていただければと。

――いろいろな国の艦船をご覧になっていると思いますが、国によって設計思想の違いなどを感じることはありますか。
Ivan 日本の艦船で言えば、巡洋艦に魚雷を搭載するなど、ほかの国ではやっていないようなことをしています。アメリカは装甲が厚い、索敵範囲が広いなどの特徴があります。国ごとに発想の違いがはっきり感じられておもしろいですよ。
 また、初期の艦船は日本のものが性能が高いのですが、後期になっても性能の上がり幅がそれほどありません。逆にアメリカは初期の性能はあまりよくないのですが、後になればなるほど高性能の艦船が出てきます。日本の艦船をメインにプレイしたい方も、ぜひほかの国でもやってもらいたですね。特徴のある艦船が多くて驚かれるかと思います。

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▲日本が誇る戦艦Yamato。なんかもう、カンペキですよね。
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▲最後に撮影できた艦船をまとめて。左から駆逐艦Fubuki、駆逐艦Kagero、駆逐艦Hatsuharu。
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