ただのL字型の廊下だが、圧倒的に怖い

 2014年9月18日から9月21日まで、千葉・幕張メッセで開催されていた東京ゲームショウ 2014のKONAMIブースにて、無料配信中のプレイステーション4用ダウンロードソフト『P.T.』のステージイベントが開催された。
 イベントには、株式会社コナミデジタルエンタテインメント小島プロダクションより小島秀夫監督、國府力氏、伊東幸一郎氏が登場。司会は、森一丁さんと小林睦氏(KONAMI)が担当した。

ホラーの原点に立ち返る、まったく新しい『サイレントヒル』のティザー・ゲーム 『P.T.』ステージイベントをリポート【TGS 2014】_02
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▲KONAMI小島プロダクションの小島秀夫監督。
▲小島プロダクションのCGアーティスト、國府力氏。
▲小島プロダクションのシナリオライター、伊東幸一郎氏。
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▲KONAMIの小林睦さん(左)とDJの森一丁さん(右)。

 今回のステージでは、伊東氏による実機プレイが行われ、その映像を『P.T.』未体験のコンパニオンふたりに見てもらうことになった。コンパニオンのおふたりは、ヘッドホンを装着してプレイを鑑賞することになったのだが、さて、どのような反応を見せてくれるのだろうか……。

 実機プレイ中は、小島監督と國府氏が適宜解説を入れてくれた。「ほら、何も起きないんです。でも、なぜか恐怖を感じるでしょう?」という小島監督の言葉通り、とくにクリーチャーが出てきたり、脅かしの演出があるわけではないのだが、そこはかとない不気味さがじんわりとにじみ出てくる。基本的に同じ廊下をぐるぐると回るだけなのだが、2周目、3周目と進んでいくうちに、「あれ?」と違和感を覚えるようになる。照明の具合、物の配置、閉まっていたはずなのに僅かに開いている扉、壁に付着した手形……。いったい何が始まるんです?
 やがて廊下に人影を確認できるようになったり、洗面台に赤ん坊らしき生き物を発見したり、何者かが激烈に扉を叩いてくるなど、直接的な恐怖表現が入り混じってくる。
 なお、本作では、アクションボタンはあえて排されており、プレイヤーが取れる行動は、移動とズームくらい。「ですので、誰でも簡単にできます。とはいえ、行動が制限されるぶん、恐怖もひとしおですが」と小島監督はコメント。やはり、ひとりでプレイするのにはかなりの勇気が必要そうだ。
 最後は、得体の知れない何者かの襲撃に遭ってしまった。もちろんコンパニオンのおふたりは絶叫。「緊張感溢れすぎて、手がびしょびしょです」、「何か来るだろうと構えてはいましたが、やられました(笑)。怖すぎます」とその感想を語った。
 こうして実機プレイは終了となったが、これは、プレイヤーが本作の謎を解き明かすことができなかった場合に迎える、いわゆるバッドエンドである。見事謎を解き明かしたプレイヤーのみが、エンディング映像を見ることができるのだ。すでにお伝えしている通り、映像のエンドクレジットでは、『P.T.』がホラーアクションゲーム『サイレントヒル』シリーズ最新作の、“プレイアブル・ティザー”であったことが明らかにされる。小島監督率いる小島プロダクションと、『パンズ・ラビリンス』、『ヘルボーイ』、『パシフィック・リム』などを手がけるギレルモ・デル・トロ監督の豪華コラボレーションで制作される本作に、否が応でも期待は高まる。

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▲非常に素敵な絶叫を聞かせてくれたおふたり。
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▲『P.T.』で、見事謎を解き明かした人が見られる映像。“FOX ENGINE”の美麗な映像は必見。

 小島監督は、『P.T.』(プレイアブル・ティザー)の制作の理由について、「ゲームはインタラクティブなメディアにも関わらず、ティザーはこれまで映像によるものでした。そのため、ユーザーさんが自分で実際に触って、自分で探り当てる、新しい手法でのティザーをやってみたかったのです。また、『サイレントヒル』という名前を伏せ、『P.T.』という誰も知らない名前で提供することで、先入観抜きでの反応を知ることができました」と話す。

 「『サイレントヒル』最新作では、どういったことを追求していくのでしょうか?」という質問に対して小島監督は、「ホラーゲームっていろいろありますが、やはりどんどんアクションに重点が置かれていってしまうんです。ですので今回は、“何も出ないけど怖い”といったニュアンスの、ホラーの原点のような作品をもう一度作りたいと思いました」と答えた。言葉通り、『P.T.』ではアクションボタンが存在しない。敵も霊なので、物理的な攻撃は不可能。そして結果的に、「『P.T.』は怖い」という評判が、世界中を席巻したのだ。「『サイレントヒル』最新作は『P.T.』以上に怖くなければならない。普通では考えられないトリッキーな構成を考えています」とのことなので、完成を楽しみに待ちたい。

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▲國府氏は、『P.T.』の社内テストプレイについて語ってくれた。「テストプレイ用にテントを設置し、その中で社員たちにプレイしてもらおうと思っていたのですが、誰もこない(笑)。なので、小島監督が直接いろんな人に“やってみてくれ”と声をかけて回ったんです」とのこと。テントの中でひとりでプレイ……そりゃあ怖いですよね。
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▲“『P.T.』Tシャツ”。

 東京ゲームショウ 2014の開催を記念して、公式ホームページ内では絶叫プレイ動画が募集されていた。続いては、その中から、小島監督、國府氏、伊東氏がそれぞれ選んだものが発表。選ばれた人には、小島監督たちも着用している、“『P.T.』Tシャツ”がプレゼントされた。

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▲伊東氏が選んだ映像。選出理由は「みんな反応がかわいい(笑)」とのこと。
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▲國府氏が選んだ映像。選出理由は「動じないお母さんと、驚く娘さんのギャップがいいですね」とのこと。
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▲小島監督が選んだ映像。選出理由は「満点です! 驚いてほしいところで驚いてくれています(笑)」とコメント。

 最後に小島監督、國府氏、伊東氏がそれぞれコメントを述べ、本イベントは終了した。

小島監督 ストレスを発散できたり、恐怖を通じて人とのつながりを感じることができるような作品に仕上げていきます。怖いだけでない、美しくて悲しい、最高の作品を目指しますので、ご期待ください。本日はありがとうございました!
國府氏 まったく新たしい『サイレントヒル』を鋭意製作中です。美麗なグラフィックにもどうぞご期待ください! 『P.T.』をまだプレイしていない方は、ぜひダウンロードしてみてください。
伊東氏 プレイステーション4やXbox Oneという新世代機が登場し、ようやくホラーもつぎのステップに入ったなと思います。新世代機のスペックをフル活用した『サイレントヒル』を、ぜひとも皆様に体験していただきたい! ホラー映画やマンガでは体験できない、自分で遊ぶことで得られる恐怖は格別です。楽しみに待っていてください。

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▲イベントでは、『P.T.』の制作より前に作られたという、『サイレントヒル』コンセプトムービーも紹介された。