スマートフォンを“ゲーム用にカスタマイズ”することが可能

 2014年9月2日~4日の3日間、神奈川県・パシフィコ横浜にて日本最大のゲーム開発者向けカンファレンス“CEDEC 2014”が開催されている。ここでは、ここでは、9月3日の11時20分~11時50分に行われたセッション“クラウドゲーム技術G-clusterとコンテンツ開発方法のご紹介”の内容をお伝えする。

“G-cluster”クラウドゲームならではの今後の展開とは その特徴とソフトの開発方法を紹介【CEDEC 2014】_01
▲Gクラスタ・グローバル 技術本部 神鳥泰章氏。

 クラウドゲームとは、簡単に言えばインターネット経由でゲームをリアルタイムに配信して遊ぶことができるサービスのこと。G-cluster (ジークラスタ)とは、クラウドゲームを活用した新しい時代のゲーム機だ。

 Gクラスタ・グローバル 技術本部 神鳥泰章氏は、まずG-clusterの特徴を説明。クラウドゲームを活用したからこその利点は、ディスクなどのメディアが不要であること、セーブデータをネットワーク上に保存しておけるので外出先でもゲームの続きを遊べること、コントローラーがなくてもタブレットやスマートフォンなどでもゲームが楽しめることなどにあるという。

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▲ゲームはサーバー上で処理を行い、ビデオストリーミング(ダウンロードと同時に再生する)手法でデバイスに配信される。
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▲セーブデータはネットワーク上に保存され、外出先からでも簡単にアクセスができる。
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▲専用コントローラーに限らず、スマートフォンやタブレットでもゲーム操作が可能だ。
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▲ソフトも『ファイナルファンタジーVII』『アサシンクリードII』など、充実している。神鳥氏によると、長く遊んでいるユーザーが多いのは麻雀などのテーブルゲームだそうだ。
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▲『信長の野望・創造』。美麗なグラフィックが特徴だ。
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▲多数のコンテンツパートナーがおり、すでにアメリカとヨーロッパでもサービスを開始。今後もグローバル展開を進めていくとのこと。
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▲シャープ製のテレビ“AQUOS”や、LGのスマートTVにはGクラスタが搭載された機種が発売されている。スマートTVサービス“ひかりTVゲーム”とも連携している。

 いかにG-clusterでゲームの開発を行っているかということについては、APIを通じてプログラムをコンパイルして、それをサーバーに乗せるという手順を踏んでいるのだそうだ。プログラムはバイナリのままでも動作できるようになっており、ソースコードに変更を加えたくない、リソースが足りない場合にも対応しているとのこと。

 また、exeファイルなどでプログラム一式を提供してもらえれば、クラウド上で動くように設定した後、テストプレイができるいう環境を提供し、最終的にマスターアップがされ、承認を行うという流れが組まれているとのこと。また、サーバーの設定ができるようなツールキットも、近日中に提供ができるように開発が進められているそうだ。

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▲動作ができるよう状態になったプログラムを送ると、動作設定がされた後に、クラウド上でテストプレイができる環境が提供される。

 神鳥氏によると、これらからのクラウドゲームは「いかに驚きや、新しい体験を与えるか」が必要になり、そのためにはコンテンツの拡大が要になるとのことだ。

 そのコンテンツの拡大のために行われている取り組みのひとつが、マルチデバイスを利用した新しい遊びの提案だ。G-clusterでは“スマートリモートモード”という手法を使うことで、スマートフォンやタブレットをコントローラーとして使えるようにするだけでなく、“ゲームにあわせてUIをカスタマイズする”ことも可能になっているとのことだ。

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▲“スマートリモートモード”では、ゲームの内容にあわせたUIがスマートフォンで動作する。スマートフォンをマウスのようなポインティングデバイスとして活用することも可能になるとのこと。

 神鳥氏はセッションの中で“クラウドゲームらしい遊びかた”のひとつには、コンテンツにおいて、いま起きているイベントに参加することなどで“みんなで楽しめる”ことにもあると語った。今後はより多くのユーザーがコンテンツに興味を持ち、楽しんでもらえるようにパートナーシップを強化していくとのことだ。

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▲オンラインゲームと同じく、いま起きているイベントを、多くのユーザーと共有して楽しむことができる。

 G-clusterには、タブレットやスマートフォンなどで操作できることだけでなく、提供されているゲームのすべてで“お試しプレイ”が可能であったり、本体(G-cluster本体だけであれば9980円[税込])やソフトが安価に抑えられているなど、ユーザーが遊ぶまでの敷居が低く設定されている。ここに、魅力あるコンテンツという強力な武器が加われれば、さらにユーザー数は増大するだろう。

 なお、タカラトミーの玩具シリーズ『ゾイド』において、新作オリジナルゲームの展開が予定されている。詳細は東京ゲームショウ 2014で発表されるそうなので、こちらも期待したい。

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