他人のマザーベースへ潜入! そこに待ち受けるのは……?

 2014年8月13日〜17日、ドイツ・ケルンにて開催されている、ヨーロッパ最大級のゲーム見本市“ gamescom”。小島プロダクションは、KONAMIブースのクローズドシアターで『メタルギア ソリッド V ファントムペイン』(以下、『ファントムペイン』)の最新プレイデモを上映。その内容をリポートする。また、13日(現地時間)に開催されたイベント“METAL GEAR SOLID V”gamescom Preview Showの模様も合わせてお届けしよう。

『メタルギア ソリッド V ファントムペイン』で他人のマザーベースへ潜入? 『Silent Hills』はウ○コを漏らしてしまう作品? 小島プロダクションリポートまとめ【gamescom 2014】_06
『メタルギア ソリッド V ファントムペイン』で他人のマザーベースへ潜入? 『Silent Hills』はウ○コを漏らしてしまう作品? 小島プロダクションリポートまとめ【gamescom 2014】_07
▲クローズドシアターの外観。壁面には、刻々と時間や天候が変化していくアフガンのフィールドが映し出されている。FOX ENGINEがリアルタイムで生み出す映像だ。
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▲裏側はこんな感じ。
▲ブース前のフォトポイントでは、ハイクオリティーなコスプレイヤーの皆さんが集合。カズのコスプレがヤバすぎる!!

 シアター内で上映されたプレイデモは、アフガンでのカズ救出ミッション。6月に開催されたE3 2014でも同じミッションを見ることができたが、今回は別ルートでの潜入を試みている。同じミッションであっても、プレイヤーが選択するルートや天候などの不確実な要素、そして時間帯などでゲームプレイが変わってくるというデモだ。E3と共通の部分は割愛させていただくとして、今回変化が見られたパートをピックアップしよう。

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 まず、馬を駆って道沿いに進んでいくと、E3のバージョンでは建物の前に見張りがふたり立っていたが、今回は建物の前に見張りはおらず、そこから少し奥のほうで四輪駆動車に乗り込む敵兵を確認する。そこでスネークが取った行動は、道のど真ん中に馬フンを設置! 急いで距離を取り、様子をうかがっていると、なんと馬フンで四輪駆動車がスリップ。そのまま四輪駆動車ごとフルトン回収を行うという芸当を見せてくれた。馬フンでクルマがスリップというのは少し現実離れしてはいるが、いかにも小島監督らしいユーモアで、多くの笑いを誘っていた。

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 その後、お約束のように羊が登場(E3バージョンでも、いかにも“捕まえてください”と言わんばかりに、てくてくと歩いてきた)。麻酔銃で眠らせられ、そのままフルトン回収。E3バージョンで登場した動物は羊だけだったが、今回はウルフの姿も。群れて行動していたため、無用な手出しは禁物だろう。

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 敵兵の数が増えてきたところで、ダンボールの新しいアクションを披露。この新要素は動画にもなっているので、詳しくはそちらを参照してほしい。

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 隠密行動中、いつも通りヘッドショットを狙うと、「カン!」という甲高い音が響く。そう、今回はヘルメットを被っている敵兵がいたのだ。敵兵を無力化しながらじっくり進んでいくタイプの人には、このヘルメットは脅威となりそうだ。

 E3バージョンとは別の潜入方法で目的地へ到達し、無事にカズに関する書類をスキャン完了。あとは脱出だが、今回は上空にヘリの姿があった。敵地に馬は呼べないだろうし、ヘリに見つかったら砲撃で蜂の巣にされるかもしれない。ここは敵の四輪駆動車を奪取して脱出するのかと思いきや、四輪駆動車にC4爆弾を設置し、フルトン回収を要請。気球によって引き上げられた四輪駆動車とヘリが上空で接触し、C4爆弾が起動してヘリが爆発! そのまま走って敵地から離脱し、途中で馬を呼びつけてランディングゾーンに到達。ミッション完了となった。E3バージョンでは、支援物資が入ったダンボールを敵兵の頭上に落として気絶させるというギミックを紹介していたが、今回のギミックにも仰天。ほかにも、さまざまなプレイの方法が隠されていそうだ。

 ミッションの映像が終わると、今度は他人のマザーベースに潜入するシーンが映し出された。他人のマザーベースでは、兵士が警備をしているほか、ガンカメラ(監視カメラに銃身がついたもの)やUAV、赤外線センサーといったセキュリティシステムが張り巡らされており、慎重に潜入していく必要がありそうだった。マーキングはもちろん、ファントム・シガーによる時間の変更、そしてなんとフルトン回収まで可能で、他人のマザーベースからコンテナや武器、兵士まで回収しているところも確認。そうしてどんどん奥へと進んでいくスネークに、一発の砲撃が飛んでくる。そのままカメラがズームしていくと、そこにもスネークの姿が! そう、このマザーベースの主だろう。このままスネークどうしの戦闘が開始か? と思った途端、映像は終了した。

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 マザーベースの発展はゲーム本編とも密接に関わってくるはずなので、マザーベースへ潜入できる頻度や防衛の方法など、気になるところだ。

gamescomのプレイベントを開催!

 ここからは、13日(現地時間)に開催されたイベント“METAL GEAR SOLID V”gamescom Preview Showの模様をリポートしよう。場所は、ケルン大聖堂にほど近いMusical Dome Koln(ミュージカル ドーム)。そのイベント名の通り、gamescomの一般公開日に先駆けて、出展内容を披露しようというもの。世界中からメディア及び『メタルギア』ファンが集まったが、もっとも遠方からのファンは、南米アルゼンチンから片道30時間をかけてケルンまで来たという。その熱量には脱帽だ。

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▲ケルン中央駅からすぐのところにあるMusical Dome Koln。
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▲シアター内は撮影禁止だったため、写真はここまで。開場前のファンの熱気がすごい。

 イベントは、上記のプレイデモの先行公開(マザーベース潜入の部分はカットされていた)と、小島監督へのQ&Aという2部構成。本稿では、そのインタビュー部分をノーカットでお届けする。

――『メタルギア』シリーズの中で、FOX ENGINEを使ってリメイクしたい作品は?
小島 個人的にはリメイクはあまりしたくないのですが、僕以外のスタッフがリメイクするのであれば、初代『メタルギア ソリッド』がいいと思います。ただし、16年くらい前のゲームなので、昔のいいところを残しつつ、現代風にアレンジしたものにしたほうがいいでしょうね。(会場は超盛り上がり!)

――スカルフェイスは何者なのか?
小島 スカルフェイスは、『ファントムペイン』のいちばんの敵役です。彼は悪ではありますが、自分の言葉も顔も奪われたという背景を持ちます。それで、骸骨の顔をしているんです。一方で、スカルフェイスに基地と仲間を奪われたスネークは、復讐の鬼と化して、みずから肉をそぎ落としては、同じように骸骨になっていく。スカルフェイスの影響で、スネークたちも骸骨になるというプロットです。
 『メタルギア ソリッド ピースウォーカー』で、スネークたちの部隊であるMSF(Militaires Sans Frontieres)のマークも骸骨でしたが、スカルフェイスに復讐するために自分たちも骸骨になって、最終的には骸骨がモチーフであるアウターヘブンを作ることになるわけです。こうしたちょっと悲しいストーリーの中で、骸骨というものが非常に意味を持つアイコンになっています。
 骸骨にはもうひとつ意味があり、去年のE3のメインビジュアルでレントゲン写真を使いました。『ファントムペイン』では、民族(Race)をテーマに、人との違いによる争いを描いているのですが、現代人はレントゲンを撮ると、世界中のあらゆる人が同じ骸骨の形をしています。こうしたことの象徴としても骸骨は大きな意味を持っています。スカルフェイスも、顔がないということを強調するためのキャラクターとして作りました。

――これまで手掛けてきた作品の中で、もっともエキサイティングだったのは?
小島 毎回エキサイティングなんですけど、『メタルギア』シリーズの中で言うと、最初のMSX2版『メタルギア』になります。非常に反対されて、まわりからも理解されず、それでも形にできたというゲームなので、僕の中でもっとも印象深いタイトルです。
 『メタルギア』シリーズ以外では、携帯ゲーム機向けに作った『ボクらの太陽』というタイトルも、僕の中で非常に大きなチャレンジでした。当時は、ゲームというのはカウチ(いわゆる引きこもり)で、家の中でしか遊べないという風潮がありながら、カートリッジに太陽センサーをつけて、実際の太陽を使ってゲームをさせるという内容でした。それも、スタッフから反対があったのですが、結果的にいいものができました。

――映画のキャラクターになれるとしたら?
小島 僕はしゃべりたがりやなので、無口なキャラクターがいいです。『マッドマックス2』(『3』ではない)のメル・ギブソンとかですね。しゃべらなくてもキャラが立っていて、すばらしいです。じつは、『ファントムペイン』のスネークもそれに近く、ほとんどしゃべりません。あまり語らずにお話をどこまで引っぱれるかというのは、今回のチャレンジでもあります。
 もう『マッドマックス2』は10回以上見ています。ゲーム化したいと言っているほどなのですが……(笑)。

――疲れを感じたときはどうするか?
小島 モノ作りは非常にエネルギーを使いますし、僕の仕事はそのほかに交渉ごとやプロデュースもあって、ストレスが溜まります。本来は、旅行に行ったり、遊んだりしたほうがいいのですが、なかなか時間が取れないので、仕事を終えて寝る前に、必ず映画を1本観ます。

――映画を観るのは毎日ですか?
小島 もちろん。でも、gamescom期間中は観られないので、日本に帰ったらまとめて観ないとダメですけど(笑)。映画を観ることで、クリエイターが作品作りで戦っているところが垣間見えたりするので、勇気づけられます。また、純粋にその作品で感動したり、泣いたり、笑ったりできるので、短時間で自分を取り戻せるというか、疲れがブッ飛ぶようなパワーがもらえます。映画鑑賞は僕にとっては効果的です。
 ちなみに、いちばん元気が出るのは映画本編ではなくて、すごく苦労して作ったのに、あまりうまくいかなかった映画のメイキングです。クリエイターがんばっている姿を見ると、パワーがもらえます。

――1日の睡眠時間は?
小島 4時間くらいですかね。小島プロダクションにジュリアンというフランス人の天才プログラマーがいるんですけど、彼はこの10年くらい、計画的に4時間しか寝ていません。それでも頭の回転は早いし、健康であると僕に言うんです。僕のほうは、眠気をガマンして起きていて、結果として4時間しか寝ていないと。ここは大きな違いです(笑)。先日、病院でその話をしたら、医者からDVD禁止令が出ました(笑)。それでも観ていますけど。

――映画を観ているあいだ眠くなりませんか?
小島 映画中はなかなか寝ませんね。会議中に寝ていますから(笑)。(会場は大爆笑)

――『メタルギア ソリッド V』でもっとも気に入っているポイントは?
小島 これまでの『メタルギア ソリッド』シリーズや、ほかのほとんどのゲームもそうだと思うんですけど、ゲームってインタラクティブなメディアなわりに、ゲームクリエイターがレールを引いて、そこにプレイヤーを誘導して、ゲームクリエイターが仕掛けた遊びを提供するという、一方的なゲームが多かったんです。『ファントムペイン』では、マップを見て、いつ、どこに、どういう経路で潜入するかを自分で考えて、それを実行に移す。そうしてミッションをこなし、最終的にどうやって逃げるかまでを考えるゲームなので、本当のスパイ情報映画を自分で演じているような自由度があります。そこがもっとも気に入っているところです。
 プロローグの『グラウンド・ゼロズ』は、あえて広さを限定していましたが、『ファントムペイン』のフィールドはものすごく広大なので、たとえば最初のカズを救出するミッションだけでも、けっこう時間がかかるんです。それを、高い緊張感の中、根を詰めてやるので、1ミッションをクリアーすると疲れがどっと出ます。そこは皆さん、覚悟していただきたい。こんなに疲れるゲームはないです。続けて遊びたくても、1ミッションごとに半日くらい休憩しないと、しんどいかもしれません。それくらい本格派というか、本当に潜入している感じを与えてくれるゲームになっています。

――ゲームデザイナーになった理由は?
小島 僕は、この仕事に就けなかったらダメな男だったと思います(笑)。非常に幸運でした。偶然かもしれませんが、自分が好きなものとか、いまままで吸収してきたものがすべてこの仕事に反映できるので……。最初は映画を撮りたかったんですけど、ゲームデザイナーになって正解だったと思います。憧れたのは、ロス市警の殺人課の警部ですけど、ならなくてよかったですね。
 ゲームって総合芸術みたいなところがあって、遊びの本質はもちろん、映像やストーリーテリング、人間工学、心理学など、あらゆることを知っていたほうが得なので、いろいろなことを経験したり勉強した人が向いていると思います。ただ、ゲーム作りはものすごくエネルギーを使います。繊細なディテールの詰めから、広く大局的なものを見かたも必要。時間の拘束もありますので、好きじゃないと作れないと思います。
 ゲームはチームで作るものですが、新しいものを生み出したり、それこそプロデュース業というのは、スケジュールやクオリティーを守らなければいけないわけですけど、意外と孤独です。大人数で作っているようでいて、ゲームデザイナーはとても孤独な戦いを強いられます。ですから、自分の理解者が何人いるかというのが、いちばん最後に力を発揮するところだと思います。とくに、内側よりも外側にいる人のほうが理解してもらえることが多いです。

 Q&Aは以上。5年ぶりのケルンということで、小島監督のテンションも高め。かなりプライベートな内容かつディープな話を聞くことができた。

小島監督が『P.T.』の狙いを語る

 関係者に聞いたところ、当初はQ&Aでイベントは終了する予定だったそうだが、あまりに『P.T.』が話題になっていたため、急遽、小島監督自身が話をすることに決めたのだという。『Silent Hills』についてはまだ話すことができないため、今回は『P.T.』のコンセプトや秘話について触れた。

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 タイトルの『P.T.』とは、Playable Teaserの略。小島監督曰く、「深い意味はない」とのこと。訳すと“遊べる広告”といったところだろうか。ティザーというのは、商品の一部を限定的に見せ、期待を煽る広告の手法だが、ゲームのティザ―は基本的にムービーだ。しかし、ゲームのティザーなのだから、自分がインタラクティブに遊ぶことで、タイトルやIP(知的財産)にたどり着くという仕掛けができないかと小島監督は考えた。完成した作品の一部を遊ぶ体験版とは異なり、作品のコンセプトやイメージを、操作や体験を通じて伝えようということだ。

 『P.T.』は非常に怖い。最後に出てくるパズルは、わざと難しくしているらしい。小島監督としては、最初のクリアー者が出るまで1週間程度と予想していたようだが、わずか半日で解かれてしまい、プレイヤーのレベルに驚いていた。そのパズルでは、いろいろな言語を解析しないと解けないようにしてあり、世界中の人たちがひとつのゲームをよりどころにして、TwitchやSNSでつながり、協力しながら正解にたどり着くという遊びにしたかったそうだ。『P.T.』ではそれが成功して、非常に満足しているという。

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 『P.T.』は、FOX ENGINEや小島プロダクションの名前をあえて隠し、7780s STUDIOという無名のインディーデベロッパーが作った、わけのわからない謎のゲームとしてダウンロードしてもらうのが最初のステップ。プレイしてみると、ゲームの目的も操作方法も何もかもわからない。その、情報が何もないからこそ怖いというシチュエーションを『P.T.』は狙っている。

 ちなみに、7780s STUDIOのネーミングの由来は、Silent=静か、Hill=丘→岡で静岡となり、静岡県の面積は7780平方キロメートルというところから来ているという。最後に付けられたsは、Hillsのsであり、遊びや怖さも複数という意味が込められているとのこと。

 『P.T.』は、FOX ENGINEで『サイレントヒル』を作ったら、どれだけ怖くなるかという実験も兼ねている。しかし、インディーデベロッパーが作ったように見せないといけないため、かなり手を抜いているそうだ。実際は、もっと操作感をよくしたり、グラフィックの精度は上げて、より驚かすことができるという。そのあたりのさじ加減はすごく難しかったと語っていた。なお、メインビジュアルの写真も、スタッフが住んでいる家の裏庭で撮影したもので、アマチュアっぽい仕上がりにわざとしていると明かした。

『メタルギア ソリッド V ファントムペイン』で他人のマザーベースへ潜入? 『Silent Hills』はウ○コを漏らしてしまう作品? 小島プロダクションリポートまとめ【gamescom 2014】_15

 そんな『P.T』だが、スタッフにモニタープレイをしてもらう際、怖さをより演出するために、テントの中でヘッドホンを着用してプレイするという、専用ブースまで作ったらしい。しかし、小島監督も含めてスタッフには怖がりの人が多く、チェックを嫌がったのだとか。小島監督の分析によると、怖がりの人ほど平静を装って、ヘッドホンの片耳を開けて、「このグラフィックが……」みたいなことを言うらしい。しかし、ヒッチコックの作品がそうであるように、「怖がりが作るホラーがいちばん怖い」と、小島監督は付け加えた。

 前置きとして『Silent Hills』については話せないと語っていたが、ひとつだけ言えることとして、『Silent Hills』は怖くてオシッコがちびるゲームにしようと思っていたが、いまはウンコを漏らしてしまうゲームにしようという意気込みで制作に取り組んでいるとのこと。続けて、「映画やテーマパークのアトラクションは、怖さのあまり目をつむっても出口にたどり着くが、ゲームの場合は怖すぎるとやめてしまう。でも、僕らはそれをやろうとしています。怖かったら途中でやめてもらって構いません。パンツの替えを用意して遊んでください(笑)」と語り、本気で怖いものを作る覚悟を見せていた。

 『Silent Hills』は、『ファントムペイン』と並行して開発しているそうだが、まずは『ファントムペイン』を完成させることが先決とコメント。小島監督とギレルモ・デル・トロ監督のタッグによる本気のホラー、いまから楽しみで仕方がない。