最新のおもちゃが集結する“東京おもちゃショー2014”
2014年6月10日、一般社団法人 日本玩具協会は東京国際フォーラムにて、“東京おもちゃショー2014”記者発表会、並びに“日本おもちゃ大賞2014”授賞式を開催した。
“東京おもちゃショー”は、1962年から続く長い歴史を持つショー。古今東西の多彩なおもちゃが展示される、いわばおもちゃの見本市だ。ちなみに1962年当時は“日本玩具国際見本市”として開催され、1982年に現在の名称へと変更された。また一般公開も行われており、誰でも最新のおもちゃに触れられる（2003～2005年の一時期間のみ、一般公開が行われなかった）。
“日本おもちゃ大賞”は、おもちゃ業界の活性化を目的とした賞。2008年に創設され、今年で7回目を迎える。何段階かの審査を行い、部門別に大賞が決定される仕組みだ。なお、第3次審査会が今年初めてメディアに公開された。ファミ通.comでもその模様をレポートしているので、ぜひチェックしていただきたい。
“東京おもちゃショー2014”記者発表会は、日本玩具協会 富山幹太郎会長の挨拶でスタート。「東京おもちゃショーは、玩具の商談見本市。これまで新製品発表の場、商談の場として多いに活用して来ました。“おもちゃで世界を笑顔にする”がおもちゃショーのテーマ。我々玩具企業にとって、新たな商品を生み出していくエネルギー源は、なんといっても子どもたちの笑顔です」と、おもちゃ開発にかける情熱を語ってくれた。
続いて、日本玩具協会 見本市委員会 委員長の戸所正信氏より、東京おもちゃショー2014の概要が解説された。
“東京おもちゃショー2014”の開催期間は6月12日～15日の4日間で、14日、15日の2日が一般公開日となる。入場料は無料で、会場は東京ビッグサイトの西館全館。今年は海外25社を含めて157社が参加、出展コマ数も昨年の1061コマから1089コマとなり、2006年の一般公開再開後以降、最大規模での開催となるそうだ。
今年で5回目を迎える“キッズライフゾーン”も開催。これはおもちゃにとどまらず、子どもを取り込む衣食住、遊学などあらゆる分野にスポットを当てて展開するゾーン。子ども文化の発展に賛同した自動車、スポーツ、建設、動物園など幅広い分野から20企業が参加するそうだ。今回より新たに、小学館集英社プロダクション、ジェイアール東日本企画、ロッテなどが参加する。
入場者数についても触れられた。近年5年のデータを見ると、来場者数はおおむね16万人で、本年も商談日2万人、一般公開日14万人の計16万人を目標にしているとのこと。アンケートでは大半の人が「来年もまた来たい」と好評で、人気を集めたキャラクターショーをさらに充実させていくそうだ。
2013年度のおもちゃ市場は微増傾向に
続いて、日本玩具協会 見本市委員会 専門委員の伊吹文昭氏より、市場規模と傾向、今年のトレンドについて説明が行われた。
日本玩具協会では毎年、日本国内の玩具市場規模を調査し、発表している。2013年度（2013年4月1日～2014年3月31日までが対象期間）の玩具市場規模は、店頭価格ベースで6756億円、前年比100.6パーセントと微増とのこと。玩具の中核を占める10分野だけを見ても、前年度比100.3パーセントとやはり微増だそうだ。アベノミクス効果をはじめ、景気回復が進んでいると言われている日本経済だが、国内の玩具市場規模は2012年度に続き、2013年度も12月の前半までは厳しい状況だったそうだ。だがスマホ型玩具が人気を集め、さらに男児キャラクターの中にもヒット商品があり、最大の需要期であるクリスマス商戦のピーク時以降盛り上がりを見せ、正月商戦も好調であったことから、最終的には前年度比微増という結果に落ち着いたという。
大きく伸びた商品分野は女児玩具で、前年度比110.5パーセントと2桁も成長したとのこと。とくに“ジュエルペットダイヤモンドプレミアム”や“アイカツフォンスマート”など、スマホ型玩具が牽引した女児キャラクターが大きく伸びたそうだ。
ハイテク系トレンド・トイは前年度比58.3パーセントと激減しているが、これはスマホ型玩具を始め、本来はこの分野に入っていてもおかしくない商品が、他分野に振り分けられていることが原因。本格的なスマホ＆タブレット型玩具だけを集計すると前年度比210.9パーセントと、大きく成長しているそうだ。
そのほかの分野は、ブロックが前年度比111.4パーセントの成長を見せるなど好調だが、キャラクターブームがひと段落したジグソーパズル、ぬいぐるみ、トレーディングカードは100パーセントを下回っていてきびしい状況。同様に男児キャラクターも前年度比98.9パーセントと落ち込みを見せているが、前年同様『仮面ライダー』の変身ベルトは大ヒットを見せ、また1月に発売された『妖怪ウォッチ』が大人気であることから、現在は上昇傾向にあるという。
“東京おもちゃショー2014”で注目される商品群も紹介された。今年のおもちゃショーには、“新技術・新提案・新コンセプトのおもちゃ”が発表されるという。新技術では、今年のスイス・ダボス会議で日本の最先端技術として紹介された、プロジェクションマッピングを手のひらサイズで再現できる“ハコビジョン”（バンダイ）、自動運転システムを搭載したミニカー“自動走行チョロQ Q-eyes（キューアイズ）”（タカラトミー）などがあるという。
新コンセプトのおもちゃでは、虹を自在に作れる“ホームレインボー”（テンヨー）、キーパーの頭上を飛び越えるドライブシュートやコーナーキックが楽しめる“スーパーサッカースタジアム サッカー日本代表チームモデル クロスファイアストライカー”（エポック社）、近距離無線通信をキャッチして光る“Hicaluca（ヒカルカ）”（タカラトミーアーツ）などが紹介された。
新技術ではロボット＆ペットも注目。手をかざしたり、スマホで操作できる2輪自立のロボット“Hello! MiP（ハロー！ ミップ）”（タカラトミー）、ニンテンドー3DSと連動してコミュニケーションが楽しめる犬型ロボット“ハートエナジー プーチ”（セガトイズ）、声や仕草で反応する“Hello! Zoomer（ハロー！ ズーマー）”（タカラトミー）などがある。
最新デバイス型おもちゃは、使用時間を制限したりアプリを遠隔操作でロックできる、Android4.2を搭載した“Fairisia（フェアリシア）”（メガハウス）などが紹介された。
もっとも大きなトレンドは、筐体連動＆メディアミックス型のおもちゃ。爆発的なヒットを見せつつある『妖怪ウォッチ』関連商品（バンダイ）、『ポケモンメガリンク』（タカラトミー）が人気の『ポケモントレッタ』、『プリパス アイドルリンク』などが人気だという。
ロングセラーシリーズの最新商品は、5両の特急列車が合体して巨大ロボになる“烈車合体シリーズ1～5 烈車合体DXトッキュウオー”（バンダイ）、AR機能で遊びの幅を広げる“リカちゃん おしゃべりスマートハウス ゆったりさん”（タカラトミー）などが挙げられる。
知育玩具では、ガマンする力や前頭前野が鍛えられる“アンパンマン レッツゴー！ 育脳ドライブ”（ジョイパレット）、本格的なパソコン練習ができる“アンパンマン★カラーパソコンスマート”（バンダイ）、カラー液晶画面がついた“アンパンマン カラーキッズタブレット”（アガツマ）などが紹介された。
家族で盛り上がるファミリーエンターテインメント型商品では、鉄棒をコミカルなアクショントイにした“大車輪てつぼうくん”（タカラトミー）など多数の商品が存在。
最新の大人向けおもちゃは、極小サイズのブロック『nanoblock』で組み立てる本格的な鉄道模型『ナノブロック・ナノゲージシリーズ』（カワダ）、金属板を組み立てることでリアルな模型が組み上がる『メタリックナノパズル プレミアムシリーズ』などが取り上げられた。
“日本おもちゃ大賞2014”がついに発表！
第2部では、“日本おもちゃ大賞2014”授賞式が開催された。対象となるおもちゃは、現在市場に出ている玩具、または2014年9月末日までに発売を予定している商品で、さらに過去に本大賞への応募を行っていないことが条件。本年度は41社より336点の応募があったそうだ。
日本玩具協会 日本おもちゃ大賞実行委員会 実行委員長 奥山嚴氏より、概要が解説された。奥山氏は「より大賞の内容を充実させるため、過去1年の中でもっとも消費者に支持され、売り場に貢献した玩具に贈呈される“ヒットセールス賞”を、一昨年より追加しました。また本年は、とくに玩具業界に貢献し、顕彰に値する商品に特別賞を贈りたいと考えております。このふたつの賞は、第一次審査、第二次審査のなかで決定させていただきました」と、新たな賞について言及した。
また各部門についての詳細も解説。「今回より各部門の見直しを行いました。ほかの部門にキャラクター商品が多くエントリーされていることから、従来のキャラクター・トイ部門を廃止し、コミュニケーション・トイ部門を新設しました。ボードゲームやパズルが台頭するなど、より多くの商品がエントリーしやすくなるというメリットがあります」と、新部門を設立した経緯を紹介してくれた。
では、各大賞を受賞した商品と、受賞社のメッセージを合わせて紹介していこう。
○共有玩具部門
Hello! Zoomer（ハロー！ ズーマー）／タカラトミー
「皆にどうやって楽しんでいただけるか、いろいろな人にアドバイスをいただいて工夫しました。そのおかげで皆に楽しんでもらえたばかりか、このような大賞もいただけました。皆様のご協力、本当にありがとうございました」
○エデュケーショナル・トイ部門
ナノブロック＋ベーシック・セット・スタンダード／カワダ
「このように名誉ある賞をいただき、まことにありがとうございます。おかげさまで“nanoblock”は、大人の層を中心に大ヒットしましたが、本作は玩具メーカーである我々がいちばんウケたい子どもの層に向けて開発した商品でございます。弊社の“ダイヤブロック”、“nanoblock”の中間のサイズの商品で、新しい立方体を採用することで、縦にも横にも自由自在に組み立てられる新しいブロック玩具となっております。開発に関しては多々苦労があり同僚や上司、工場のスタッフに助けられました。またこのような賞が受賞できるよう、今後も仕事に取り組んでいきます」
○ボーイズ・トイ部門
ポケモンメガリング／タカラトミー
「非常に光栄な賞をいただき、誠にありがとうございます。いままでのなりきり商品は、男の子にとって想像の世界の中で完結しているものが非常に多かったのですが、『ポケモンメガリング』は現実で何かが起こる、そんな遊びの広がりを表現できないかな、という考えで商品化しました。いろいろな商品と連動させることで、想像の世界の中はもちろん、アーケードゲーム機の『ポケモントレッタ』に照射するとポケモンが進化するという、子どもたちがワクワクドキドキする商品になったと思います。『ポケモントレッタ』の開発者さんや関連会社のタカラトミーアーツ、そしてポケモンの皆さん、いろいろな方々の協力があって商品を作ることができました。開発は非常にたいへんでしたが、子どもたちが筐体の前でメガ進化シーンを楽しむことができれば、みんなハッピーになれるんじゃないかなと思っております」
○ガールズ・トイ部門
プリパス アイドルリンク／タカラトミー
「『プリパス アイドルリンク』は、たくさんの人に助けてもらいながら作ることができた商品です。とくに無線LAN通信を使った筐体との送受信は、私では力不足ということもあり、たくさんの方に助けていただきました。無線LAN通信を使うことで、いままでにできなかった遊びがとても広がり、お店の方も笑顔になれるのでは、という思いで作りました」
○コミュニケーション・トイ部門
放課後の怪談シリーズ 恐怖！ ドキドキクラッシュ人体模型／メガハウス
「誰でも世代を超えて遊べる、みんなで学べる、みんなで盛り上がれるという3点を軸に企画開発して参りました。たくさんの方に協力していただいたのはもちろん、たくさんの怪談の本を読み、いかに“あるある感”をお客様とリンクできるかに注力しました。玩具という誓約がある中で、いかに本物の人体模型に近づけるかという点も努力しました。今回目標でもありましたおもちゃ大賞をいただきまして、とてもうれしく思っております。今後は、ありそうでなかった、でもじつは身近にあるといったモチーフを、スリル満点のアクションゲームとして開発できればと思っております」
○イノベイティブ・トイ部門
ハコビジョン／バンダイ
「このたびは名誉ある賞をいただき、ありがとうございます。『ハコビジョン』は、巨大な建物に映像を投影する“プロジェクションマッピング”や、話題の3Dホログラムライブを、手のひらサイズで再現する商品です。商品化にあたって誰でも手軽に遊べるものにするには、多くの課題がありましたが、開発スタッフのみなさま、関係各社の皆様のおかげで実現することができました。また食玩としては、初のおもちゃ大賞受賞となります。これからも、食玩売り場から驚きや感動を届けていきたいと思います」
○ハイターゲット・トイ部門
PROPLICA ムーンスティック（プロップリカ ムーンスティック）／バンダイ
「このような栄誉ある賞をいただきまして、本当にありがとうございます。『美少女戦士セーラームーン』のファンだった女の子たちが20代の女性になっており、その方たちにご好評頂いた商品です。我々コレクターズ事業部は初めて賞をいただくのですが、これからもいままで楽しんでくださった方に恩返しができるよう、取り組んでいきたいと思っております。関わってくれた関係者の皆様にお礼を申し上げます
○特別賞
トランスフォーマー／タカラトミー
「『トランスフォーマー』は1984年に日本の旧タカラが開発しておりました、ダイアクロン、ミクロマンといった変形ロボット玩具シリーズがアメリカに渡り、そこから始まったシリーズでして、今年で30周年を迎えます。そういった節目の年で、このような栄誉ある賞をいただけまして、大変光栄に思っております。最近ではハリウッドで実写映画化され、“アメリカのおもちゃでしょ？”と聞かれることも多いのですが、実際はほぼすべての変形フィギュアは葛飾区の一角で作られております。そのスタッフたちが30年間守り通してきた、“格好いいものから格好いいものへ完全変形するロボット”というコンセプトを引き継ぎつつ、どうすれば世界中の子どもたちをもっと驚かせられるかを考えて開発を行っております。今後も日本発のグローバルコンテンツとして盛り上げて行ければいいと考えておりますので、よろしくお願いします。このたびは栄誉ある賞をいただきまして、ありがとうございました」
○2013年度ヒット・セールス賞
変身ベルトDX戦極ドライバー 仮面ライダー鎧武＆バロンセット／バンダイ
「斬新なコンセプトはどうなんだ、といろいろな意見をいただきましたが、この素敵な賞をけたことで名実ともに日本のヒーロー史に“格好いいフルーツ”という爪痕を残せたのではないか、と思っております。この場を借りて、開発に携わったいろいろな方にこの賞を捧げられれば、と思います。これからも子どもたちを熱狂させられる、おもしろいおもちゃを作っていければと思います」
最後に、日本おもちゃ大賞2014 審査委員長 北原照久氏より、総評が述べられた。
北原氏は、「おそらく、エンドユーザーでは日本でいちばんおもちゃを買っているから、という理由で審査委員長に選ばれました。平安時代からの歌で“遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん、遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ”という歌がありますよね。大好きな歌なんですが、遊びと言えばおもちゃです。そのおもちゃに携わっている業界の方に敬意を表します」と、審査委員長に選ばれた経緯を説明してくれた。
実際の審査については、北原氏は第3次審査に携わったそうだ。各メーカーからのプレゼンを受けた後に実際におもちゃに触れ、部門ごとに審査項目に基づいて点数をつけ、大賞を決定したという。
北原氏は「私自身、選考にあたってみての第一の感想は、これだけのすばらしい商品に点数を付けることは、本当に難しいということです。開発に携わった方の熱い情熱や思いを感じ、甲乙付けがたいものばかりでした」と、いずれの商品も素晴らしかったことをアピール。また「今回の審査を通じて日本のおもちゃはすばらしく、世界に誇れる日本の文化であると再認識しました。今後とも、日本の子どもたちのみならず、世界の子どもたち、おもちゃを愛するすべての人たちに対して、よりすばらしく楽しいおもちゃを開発していただきたいと思います。改めて、受賞したみなさん、おめでとうございます」と、おもちゃ業界に対するメッセージも語ってくれた。
会場の受付には、受賞した商品を始め数々の玩具が展示されていたので、こちらも紹介。今回紹介した最新のおもちゃに興味を持たれたら、ぜひとも“東京おもちゃショー2014”に足を運んでみてはいかがだろうか。
（取材・文：ライター/喫茶板東）
