大人が楽しめるおもちゃの部門も
日本玩具協会は2014年5月27日、東京国際フォーラムにて“日本おもちゃ大賞 2014”の第3次審査会を開催した。
“日本おもちゃ大賞”とは、2008年に創設されたおもちゃ業界全体の活性化を目的とした賞。審査は第1次から第3次まで行われており、第7回となる今回の“日本おもちゃ大賞 2014”では、第3次選考が初めてメディアに公開されることとなった。
第3次審査まで残った商品は、全部で35点。7部門にわかれ、商品ごとに2分間という短い時間でのプレゼンテーションが行われた。審査は、トイザラス、上新電機、Amazon.com、小学館など、各々の会社の審査員の採点により行われた。
ここでは、会場の様子、各部門のプレゼンテーションと、それぞれの部門で筆者がとくに注目した商品についてご紹介する。
■キャラクターのコスプレでプレゼンをする企業も
基本的におもちゃの紹介ということもあり、プレゼンテーションには堅苦しさを感じさせない。プレゼンの内容はもちろんのこと、各担当の衣装にもそれぞれ趣向が凝らされており、プレゼン自体がエンターテインメントになっていたのは、さすがというべきだろう。
■共遊玩具部門
始めにプレゼンが行われたのは、共遊玩具部門。こちらは、聴覚障がいや視覚障がいのあるお子さんでも、いかにほかの子どもと変わらずに楽しめるか、ということに主眼をおいた玩具の部門だ。いずれの企業も、聴覚や視覚に障がいを持つお子さんに実際に遊んでもらい、効果を検証するといった取り組みが行われていたのが印象的だった。
タカラトミーの“Hello Zoomer!”は、ペット型のロボット。「ズーマー、こっち」と呼ぶと、近づいたり、しぐさや表情で示すといったコミュニケーションができる玩具。聴覚障がい者向けのスマートフォン用のアプリ“こえとら”との連動も行えるため、より多くの人がズーマーとの会話を楽しめる工夫がされているようだ。
■エデュケーショナル・トイ部門
続いてプレゼンされたのは、こどもの知育・教育にとくに貢献することを期待できるおもちゃを対象にしたエデュケーショナル・トイ部門。ことばの教育だけでなく、お片づけなどの生活に根ざしたものや、こどもの想像力を刺激するものなど、さまざまな知育に役立つアイデアが盛り込まれたおもちゃが紹介された。
タカラトミーの“おしゃべりスマートハウス ゆったりさん”は、女の子向けの人形としておなじみの“リカちゃん”から派生した、生活用品が多様に盛り込まれた、定番シリーズの最新作。1984年から30周年を迎える“ゆったりさん”が新たに取り入れたのは、ズバリ“エコ”。お母さんからはもちろん、小学校で“環境教育”が授業に組み込まれているなど、近年関心が高まっているエコロジーに焦点を置いているそうだ。「買い物にはエコバッグを持って行ってね」「冷蔵庫、ちゃんと閉めてよね」などの音声ギミックや、スマートフォンと連動によりエコに関するクイズに挑戦できるなど、遊びながらエコの知識を増やすことができるおもちゃになっているとのこと。
■ボーイズ・トイ部門
ボーイズ・トイ部門で重視されたのは、男の子が夢や憧れを持てるか、遊びを通して想像力や創造力、コミュニケーション力を育めるかということ。サッカー、変形ロボット、列車、テレビゲームなど、男の子がとくに興味を持つ題材を用いたおもちゃが紹介された。
ハピネットの“テンカイナイト フィギュアシリーズ”は、小さなブロックを、武器や盾をつけた人型のロボットへ展開することができるおもちゃ。“デラックス”になるとその展開の難易度はさらにアップ。自分で組み立て、自分で世界観を作りあげることのできる、創造力を育むことができるおもちゃと言えそうだ。今後も“テンカイナイト”の仲間たちは続々登場するとのこと。
■ガールズ・トイ部門
ガールズ・トイ部門では、女の子を対象とした、想像力やコミュニケーション力を育むことができる商品が紹介された。
セガトイズの“マジカルレターペン”は、声をカートリッジに録音することで、友だちや家族と秘密のメッセージ交換ができるおもちゃ。録音した声はペンの後ろについているカートリッジに保存され、簡単に付け外しができる。“ジュエルペット”とのゲームやクイズ、自由に“キラキラジュエル”を着せ替えることもできるそうだ。
■コミュニケーション・トイ部門
世代、性別を問わず、コミュニケーションを図ることができるおもちゃが紹介されたのがコミュニケーション・トイ部門だ。
ゲームファンにはおなじみのバンダイの“妖怪メダル”が、コミュニケーション・トイ部門にノミネート。ご存じの通り“妖怪ウォッチ”は、裏面にあるQRコードを読み取ることで、ニンテンドー3DS用ソフト、Web、店頭筐体それぞれの『妖怪ウォッチ』シリーズと連動させられるのが特徴。“妖怪メダル”を集めて、大図鑑に登録できることが人気となっており、家族でメダルをコレクションすることがコミュニケーションにつながっているのだとか。品切れになるほどの人気を博している“妖怪ウォッチ”だが、今後は累計で1億枚の生産を目指すとのこと。これは、日本で流通している5円玉に届くほどのことで、本当に驚異的だ。
■イノベイティブ・トイ部門
イノベイティブ・トイ部門は、文字通り、仕様や技術において、ほかに類のない工夫がされているかが対象となる。審査では、いずれ劣らぬ革新的なおもちゃの数々が紹介された。
タカラトミーの“自動走行チョロQ Q-eyes(キューアイズ)”は、35周年を迎えたチョロQと、新たな自動車業界の技術・自動運転システムを融合した商品。10秒の充電で1分の走行ができ、センサーにより障害物を感知、自動的に止まる仕組みとなっている。複雑なコースを走行することはもちろん、突然現れた障害物にも反応するので、手を使っての誘導遊びもできるとのことだ。さらに、チョロQどうしが交差すると、自動的に避け合う動作もする。時代に合わせた進化が実感できるおもちゃだ。
■ハイターゲット・トイ部門
大人も楽しむことができる、使う者のイマジネーションを刺激するおもちゃが紹介された。
ビバリーの“カーパズル3D ミニクーパー”は、実際のクルマを忠実に再現した、パズルで組み立てられる模型。実際に走らせることも可能であり、1ピースを組み立てるごとに、細かくミニクーパーが再現されていることが実感できる、大人向けのライトホビーとのことだ。
■“東京おもちゃショー” 2014におもちゃの出展が決定
今回の審査の結果は、6月10日に今回の審査会と同じ東京国際フォーラムで開催される、大賞授賞式にて各部門賞も含めて発表される。なお、審査対象となったおもちゃは、6月10日から12日にかけて東京ビッグサイトで開かれる“東京おもちゃショー 2014”で紹介されるとのことだ。お気に入りのおもちゃがあれば、ぜひ会場で遊んでみてほしい。
(取材・文 編集部/ヒナタカ)