もちろん、日本でも発売!
2014年6月10日~12日(現地時間)、アメリカ・ロサンゼルスにて世界最大のゲーム見本市E3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)2014が開催。大手サードパーティーが揃うサウスホールの一角にて、ゲーミングPCでおなじみのAlienwareが“新ハード”を発表した。Alienware Alphaだ。
このAlienware Alphaは、なんとリビングでの用途を前提にした家庭用PCゲーム機だ。家庭用PCゲーム機というと、昨今話題のSteam Machineがおなじみだが、たしかAlienwareもAlienware Steam Machineを発表済み(⇒関連記事はこちら)。となると、Alienware AlphaとAlienware Steam Machineがどう違うか気になるところだが、Alienware Steam MachineのOSがリナックスベースなのに対して、Alienware AlphaはWindows 8.1ベースだという。Alienwareでは、もともとAlienware Steam MachineとAlienware Alphaの開発を同時に進めていたものの、この度ValveがSteam Machineの発売を正式に2015年に延期したのにともない、Alienware Alphaを先に2014年にリリースする決断を下したのだという。かと言って、Alienware AlphaはSteam Machineのライバル的位置づけのハード、というわけでもない。Alienware AlphaはValveとの密接な協力関係の上に制作されているもので、ゲーム機が立ち上がるとSteamのウェブサイトに直結するようになっているのだ。つまり、Alienware AlphaはSteam用の家庭用ゲーム機と言える。そのため「Steamで提供されている3000本のゲームがすぐに遊べるんです。ハード発売直後に、これだけのゲームが遊べるのは、ほかにはないことです」というAlienwareブランド マネージャー添田貴嗣氏の言葉にもうなづける。
Alienware Alphaの基本スペックは、CPUはインテル Core i3プロセッサー、GPUはNVIDIAのMaxwellをベースに独自にカスタマイズしたもの。4GBのメモリ、500GBのハードディスクドライブを搭載している。コントローラは、「ゲーマーになじんでいて使いやすいから」との理由でXbox 360 ワイヤレスコントローラが同梱される予定だ。さらに、CPUに関しては、Core i5とCore i7のオプションも用意されているという。
添田氏は「新世代機と比べても性能はけっこういいと自負しています。もちろん、スペックだけを比較しても仕方ないのですが、それ(ハイスペック)で何ができるかが大事になってくると思います。たとえば、PCと家庭用ゲーム機で同じソフトが出ているとしたら、そのクオリティーはまったく違います。本当にベストなものを楽しみたいと思ったら、Alienware Alphaがベストな選択になります」と自信を持つ。
加えて、添田氏が指摘するのが、インディーゲームの潮流。Alienware Alphaは家庭用ゲーム機に比べてインディーゲームをリリースするための敷居が低く、インディーゲームの送り手にとっても受け手にとっても、Alienware Alphaは理想的なハードだというのだ。それだけ、いまの時代に則したハードだということなのだろう。
友だちとPCゲームをリビングで遊べるようにするために
Alienware Alpha開発時の苦労を語ってくれたのは、Alienware グローバル マーケティング ディレクター、ブライアン・A・デザヤース氏。Alienwareでは、以前からリビング向けのPCゲーム機を構想していたが、ここ数年のテクノロジーの進化が、ここへきてのAlienwareの実現に至ったという。Alienwareでもっとも注力したのは、リビングに置くということで、やはり“小型化”。少なくとも、現状のゲーム機と同等か、それ以下にすることが必須条件だったという。ただし、もちろん小さければそれでいいというわけではなく、フルHD 1080p、60fpsをサポートしないといけない。一方で、騒音と熱を抑えないといけない……ということで、それらの要請をすべて満たすようにするのが、けっこう難しかったのだとか。最終的には、ほかの家庭用ゲーム機よりも小型化を実現するに至るのだが……。
さらにデザヤース氏は、「友だちとPCゲームを遊びたい」というユーザーからの“声”が、Alienware Alpha開発の後押しになったと語る。「PCゲームをリビングルームで友だちと遊びたいという方のために作ったのがAlienware Alphaです。これまでPCゲームを友だちと遊ぼうと思ったら、オンラインで遊ぶか、友だちのPCをもってきてもらって別のモニターで遊ぶしかなかった。それが、Alienware Alphaならば、コントローラさえあれば、いっしょに遊べるんです」。
さて、Alienware Alphaはゲーム機ということで、UI(ユーザーインターフェース)にも気を配っている。できるだけ早くゲームに到達できるように、シンプルでわかりやすいUIにしているというのだ。取材時に見せてもらったのは、2週間半で仕上げたというプロトタイプで、ここからさらにブラッシュアップされるという。
さらにデザヤース氏の説明で驚かされたのが、Alienware Alphaのフレキシビリティの高さ。基本はパソコンということで、Alienware AlphaではOSのアップデートも可能なら、メモリやハードディスクのアップデートも自由にできるのだという。従来の“ゲーム機”からすると、相当イメージが異なるとの印象だ。
Alienware Alphaの価格はCore i3のベースモデルが549ドル。気になる発売日については、北米ではクリスマスシーズンで、日本でもほぼ同時期を予定しているという。そして日本のゲームファンには朗報だが、「とにかくAlienware Alphaを知っていただきたい」(添田氏)ということで、9月18日~21日開催される(18、19日は業者日)東京ゲームショウ 2014への出展を決定しているという。E3会場ではβ版だったが、東京ゲームショウ 2014ではより完成度の高いバージョンを体験できるのだとか。Alienware Alphaがゲーム業界にどのような嵐を巻き起こすのか、期待せずにはいられない。
(取材・文 編集部/F)