『シャドウ・オブ・モルドール』は国内発売が決定
2014年6月10日から開催されるE3(エレクトロニック・エンターテイメント・エキスポ)を前に、ワーナー エンターテイメント主催によるプレス向けイベントが、5月下旬にイギリス・ロンドンで開催された。ワーナー エンターテイメントが今後予定しているタイトルというと、さきごろ新世代機向けに特化した大作『バットマン: アーカム・ナイト』が発表されたばかりだが(⇒関連記事はこちら)、近年とみにゲーム事業に力を入れている同社のこと。さらなる充実のタイトルラインアップが用意されている。具体的に言うと、今回お披露目されたタイトルは以下の通りだ。
★『シャドウ・オブ・モルドール』
・発売日:2014年
・対応機種:プレイステーション4、プレイステーション3、Xbox One
★『LEGO Batman 3:Beyond Gotham』※日本発売未定
・発売日:2014年
・対応機種:ニンテンドー3DS、プレイステーション Vita、プレイステーション4、プレイステーション3、Xbox One、Xbox 360、Wii U
★『Gauntlet』
・配信日:2014年
・対応機種:Steam
ワーナー エンターテイメントが保持しているIPなども含め、バラエティーに富んだラインアップが揃った。ここでは、そんな3タイトルの詳細を見ていくことにしよう。
王道ファンタジーの『シャドウ・オブ・モルドール』は、新機軸も見逃せない
今回のプレスイベントでもっとも注目を集めていたのが本作。端的に言うと、映画『ロード・オブ・ザ・リング』や『ホビット』の世界観をモチーフにした、オープンワールドタイプのアクションRPGとなる。もし、「映画『ロード・オブ・ザ・リング』は観てないからなあ……」と、ためらう方いるとしたら、それは早計というもの。しっかりと作りこまれた本作は、熱心なゲームファンでも楽しめること請け合いの歯応えのある内容になっているのだ。以下、開発元であるモノリスのデザイン・ディレクターであるマイケル・デ・プラター氏のプレゼンをもとにしつつ、本作がいかに歯応えのあるゲームであるかを説明していこう。
と、その前に、『シャドウ・オブ・モルドール』の最新映像(日本語字幕付き!)を入手したので、お届けしよう。これさえ見れば、『シャドウ・オブ・モルドール』の魅力はばっちりわかってもらえるはず。
まずは、本作のおおまかなストーリーから紹介しよう。本作の主人公はモルドールの戦士タリオン。レンジャー(野外活動を得意とする戦士)である彼は、モルドールの支配者である死霊使いのサウロンとの戦いの果てに、家族もろとも皆殺しにされてしまう。ところがタリオンは、サウロンに長年の恨みを抱く古代の魂“幽鬼”の手により蘇ることに……。タリオンは、サウロンに抵抗する王国を治めているマルウェン女王の命により、サウロンの野望を阻止すべく戦いに身を投じることになる。
本作におけるプレイの基本は、もちろんアクション。剣とダガー、そして弓の3種類の武器を駆使しての攻撃となる。アクションは爽快そのもの。ボタンをタイミングよく押すことで、気持よくコンボをつなげることができる。タイミングが合うと決められるフィニッシュも気持ちいい。モルドールにおいて、タリオンはサウロンの配下であるオークと敵対していくことになるのだが、並み居るオークを相手に斬りこんでいくときは、さながら剣と魔法の世界に突入したかのような没入感を味わえる。まさに、「王道ファンタジーここにあり!」という感じだ。爽快なアクションこそが、ファンタジーの世界観を盛り上げるんだなあ……と思った次第。なお、武器には成長要素があり、「どんなふうに育てていくか」というのも、本作の楽しさと言えるだろう。
一方で、タリオンの “武器”は剣や弓だけ……というわけでもない。タリオンが“幽鬼”の力により蘇ったことは先述した通りだが、その際に敵を自分の思い通りに操れる能力をも身につけることになった。そんなタリオンの能力を活かしたのが、開発陣が「革新的なシステムです」と自信を持つ“ネメシスシステム”だ。“ネメシスシステム”では、タリオンは本来敵の兵士であるオークを配下にして、みずからの軍勢を築きあげてサウロンに対抗していくことになる。
ここで注目すべきは、オークどうしにも勢力関係があったりすること。「このオークにはこの手下がいる」「このオークとあのオークは犬猿の仲」といったドロドロとしたオーク関係がある。つまり、どのオークを味方につけるかで、勢力図ががらりと変わることになる。場合によっては、「あのオークを味方につけたのはいいけど、敵対する別の凶悪なオークに付け狙われるようになった」という事態も発生しかねない。
さらにユニークなのが、オークにも成長要素があること。みずからの軍勢をぐんぐんと成長させて、より強力にするといったことも可能だ。その一方で、もちろん敵のオークも成長するので、敵オークが味方のオークを打ち破り、手の付けられないくらいに成長してしまう……といった事態も想定される。
デモプレイでは、オークの相関関係をビジュアル化した画面も見られたのだが、そこでは5人の指揮官と15人のリーダーが確認できた。指揮官たちはそれぞれ上位を見定め、隊長たちは指揮官の配下に入りつつ、隙あらば指揮官の座を狙い……と、まさにドロドロの権力争いが展開される。そこに介入するのがタリオンで、オークの勢力図をうまく利用しながら、オークを御していくことになるのだ。
また、登場するオークたちがとびきり個性的! オークなので当然見た目もグロテスクで、とても共感などできそうもないわけですが、その存在感たるや圧倒的。そのへんの造形は「お見事!」という感じだ。個々のオークにはそれぞれの目的があり、関係次第で異なる物語が紡がれる。つまり、タリオン(プレイヤー)の関わりかた次第で、それぞれ異なる物語が展開されることになるのだ。
爽快なアクション+“ネメシスシステム”による戦略性ということで、いかに『シャドウ・オブ・モルドール』が遊び応えのあるゲームか、おわかりいただけただろうか。マイケル・デ・プラター氏によると、もちろん本作の新要素はこれだけにとどまらないとのこと。スケールの大きなファンタジー大作の新機軸ということで、ぜひとも押さえておいていただきたい1作だ。
バットマン宇宙へ! 破格のスケールアップを果たした『LEGO Batman 3:Beyond Gotham』
『LEGO』シリーズといえば、レゴのキャラクターが活躍するアクションゲームとして、とくに海外で評価の高いブランド。その最新作が『LEGO Batman 3:Beyond Gotham』だ。開発を手がけるのは、『LEGO』 シリーズといえばここ! のTT Gamesだ。『LEGO Batman』シリーズ最新作にあたる本作のプレゼンを受けて実感するのは、とにかくスケールの大きな作品に仕上がっているということ。『LEGO Batman』シリーズ3作目ということで、「とにかくファンに楽しんでもらいたい」という思いが溢れる作品に仕上がっているのだ。
いかにスケールの大きな作品かが端的にわかるのが、本作の舞台設定。『バットマン』といえば、舞台はゴッサム・シティと相場が決まっているが、本作では宇宙を舞台にバットマンとロビンが大活躍するのだ。いくらタイトルに“Beyond Gotham”とあるからって、「宇宙というのは広げ過ぎでは?」と、思わないでもなかったが、設定を聞いて「それは無理もないかも」と思い直した。そう、本作ではバットマンやロビンはもちろん、スーパーマンやワンダーウーマンなど、DCコミックのヒーロー150人以上が総登場するのだ。DCコミックのオールスターが活躍する場は、宇宙しかありえなかったというわけだ。しかも、本作では地球を滅ぼそうと企てる敵を相手に、スーパーヒーローとヴィランが共闘するという。バットマンとジョーカーがいっしょに戦うなんて、映画では絶対に実現しないシチュエーションではありませんか! それだけでもおかわり三杯はいけてしまうというものです。
もちろん、バットマンならではのギミックも充実。本作では、さまざまな機能を持ったスーツが多数用意されており、バットマンはステージごとに自由にスーツを着替えて戦うことになる。「このステージでは、このスーツを使って、こう攻略しよう」といった、自由な楽しみかたが可能となっているのだ。ぜひとも、日本でもリリースしてほしいところだ。
4人での協力プレイが楽しい『Gauntlet』
1985年にアタリからアーケード版が発売されるや、一世風靡したアクションゲームの『Gauntlet(ガントレット)』。1993年にはメガドライブ版『ガントレット』もリリースされており、古くからのファンにはおなじみの同作が、30年近いときを経てSteam版としてリメイクされることになった。本作は、最大4人が参加しての協力プレイが可能で、ウォリアー(戦士)、ヴァルキリー(女戦士)、ウィザード(魔術師)、エルフ(妖精)という個性的な4タイプのキャラクターが、お互いにフォローしあいながらダンジョンを進んでいくことになる。マップにはさまざまな仕掛けが施されており、ドタバタワイワイ楽しめるのが楽しい1作だ。本作も、日本での展開は未定となっている。
なお、ファミ通.comでは、追って『シャドウ・オブ・モルドール』、『LEGO Batman 3:Beyond Gotham』、『Gauntlet』のクリエイターインタビューもお届けする予定なので、お楽しみに。
(取材・文 編集部/F)