今後末永くプレイしてもらうために、ユーザーからの意見は積極的に聞く
エレクトロニック・アーツから、「ビデオ通話で『タイタンフォール』の関係者に取材をしませんか?」との提案があった。聞けば、『タイタンフォール』では、6月10日から開催される世界最大のゲーム見本市E3(エレクトロニクス・エンターテインメント・エキスポ)2014で大きな発表を控えており、開発元のRespawn Entertainmentは、日本のゲームファンに向けてE3前に『タイタンフォール』の“いまとこれから”を伝えておきたいということらしい。であれば、「もちろん、ぜひとも!」ということで、記者は指定された時間に品川にある日本マイクロソフト本社へと足を運んだ。そう、今回の取材は日本マイクロソフト本社で行われたのだ。というもの、日本マイクロソフトに快適なビデオ通話のシステムがあるから……というのがその理由だ。取材のために用意された部屋に入ってみると、待っていたのはテレビモニターとXbox One+Kinect。つまりXbox OneのSkypeを使ってビデオ会話をするらしい。先に書いてしまうと、このビデオ通話はすっかり快適で、タイムラグも何もなしに、快適にやりとりができた。「時代は進化しているんだなあ!」とおっさんのような感想を抱いた次第(実際おっさんですが)。
で、取材の対応をしてくれたのが、Respawn Entertainmentのコミュニティー・マネージャー アビー・ヘッピーさん。そう、昨年行われた東京ゲームショウ 2013で来日を果たしており、ファミ通.comでもインタビューをしていることからご存じの方も多いと思うが(⇒関連記事はこちら)、Respawn Entertainmentの美人スポークスパーソンである。まさに、『タイタンフォール』の“顔”と言っていい存在だ。ちなみに、今回アビーさんは4~5媒体の取材を順次こなしており、4時間しゃべりっぱなしとのこと。いくら仕事とはいえ、さすがに頭が下がる。
ご存じのように『タイタンフォール』はマルチプレイがメイン。そのため、『タイタンフォール』というコンテンツの充実ぶりに注力しており、とにかくユーザー(コミュニティー)からの意見を大切にするという姿勢を貫いている。コミュニティーに対して“いかに快適に遊んでもらうか”を充実させるのが、『タイタンフォール』というコンテンツの生命線であることを認識しているからだろ。実際のところアビーさんは、ビデオ通話による取材のあいだ、何度も「コミュニティーのフィードバックにしっかりと耳を傾けるようにしています」という発言をくり返している。日本の取材陣への取材をアグレッシグにこなすのも、「日本のファンに現状を説明して、『タイタンフォール』に対する意見を聞きたい」という真剣な姿勢の現れということなのだろう。
というわけで、アビーさんがまず説明してくれたのは、『タイタンフォール』のアップデートの方向性。オンラインゲームの常として、『タイタンフォール』もローンチ時に完全な形でリリース、というわけではなく、運営をしながら日々ブラッシュアップを重ねている。アビーさんによると、『タイタンフォール』のアップデートは、フリーアップデートと有料のダウンロードコンテンツの2つにわかれるという。さらに、フリーアップデートは3種類となる。以下、詳細を見ていこう。
【『タイタンフォール』アップデートの種類】
★フリーアップデート
・バグ修正
ローンチ後に判明したバグの修正。200万人の『タイタンフォール』のプレイヤーから指摘してもらったバグもあるが、開発者が見つけた目に見えないバグも多いらしい。「とにかく修正をくり返してユーザーにとって、よりよいものにできるように努力していきます」(アビーさん)とのこと。
・マイナー変更
トラッキング機能を加えたり、武器に対して微調整をするなどのマイナーな改良。「プレイヤーの皆さんがより楽しくプレイしていただけるように」(アビーさん)というのが主眼。
・新しいフィーチャー
タイタンのカスタム化やプライベートマッチの導入など、新しい要素の導入。「プレイヤーの選択肢が広がって、『タイタンフォール』がより楽しめるものになります。私たちは、とにかくコミュニティーの言っていることに耳を傾けて、彼らが何を求めているかをコンスタントに拾い上げています。何もかも全部組み込むことはできませんので、“いまできることは何か?”、“何がいちばん実現可能か?”などを考えつつ、より多くの人たちに楽しんでもらえるような要素を追加していきたいです」(アビーさん)。新しいフィーチャーに関しては、E3のタイミングにあわせて新発表がある模様だ。
★有料のダウンロードコンテンツ
この5月に初の有料ダウンロードコンテンツとして、“タイタンフォール:エクスペディション”が配信されたばかり(国内では、PC版は配信中、Xbox 360版は6月配信予定⇒関連記事はこちら)。 “タイタンフォール:エクスペディション”では、マルチプレイヤーキャンペーン後が描かれており、“ランオフ”、“スワンプランド”、“ウォーゲームズ”が収録されている。「いずれもコミュニティーから非常によい評判を得ております。デザイナーは、ビジュアルだけに注力して“かっこよく作る”ということだけを考えていたわけではなくて、遊んでみると爽快でクールな体験ができるものになっています」(アビーさん)。なお、今後の有料ダウンロードコンテンツの詳細については明らかにされていない。
ちなみに、フリーアップデートに関しては、アップデートがあるごとに“タイタンフォール.com”(⇒こちら)で必ず告知するようにしているので、同サイトを確認してほしいとのこと。さらに、Xbox 360版に関しては、フリーアップデートの実装は別の会社が担当していることもあり、ゲームに組み込むまでに1ヵ月ほど遅れてしまうとのことだ。
というわけで、以下にアビーさんとのおもなやりとりを紹介しよう。
――『タイタンフォール』初のダウンロードコンテンツ“Expedition”の反響はいかがですか?
アビー 十人十色で、さまざまなフィードバッグをいただいているのですが、今回はとくに「ビジュアルスタイルがすばらしい」というご意見が多いですね。“ウォーゲームズ”はフィーチャーリステック(未来的)に、“スワンプランド”は有機的に……と、それぞれ3のマップで差別化を図ったのですが、「これはいい」と気に入ってくださる方が多いです。個人的には“ランオフ”がお気に入りです。いずれにせよ、皆さんとても好意的です。
――『タイタンフォール』の発売以降、作り手が思いもよらなかった楽しみかたがされたりなんてあります?
アビー 思いもよらない……というよりは、プレイヤーの皆さんのスキルの高さに驚かれます。ものすごい時間をプレイしてくださって、いろいろなトリックを見つけて、バラエティーに富んだ組み合わせを編み出している。当然私たちもバグフィックスのためにゲームはずっと見ているのですが、そんな私たちからしても、プレイヤーの皆さんのスキルの高さには驚かされます。
――ユーザーからのフィードバックで、「これは実現させたい」というものはありますか?
アビー ユーザーの皆さんからは、違った時間に違ったチャネルを通して、毎日のようにリクエストをいただいています。なかには実現が難しいリクエストもあります。たとえば、「新しいタイタンがほしい」とか。あるいは「スプリットスクリーン(画面二分割)にしてほしい」とか。非常に魅力的なフィーチャーなのですが、ゲームバランスなどを考えると簡単には実装できない状態です。「もっとウェポンがほしい」や「もっとモードを増やしてほしい」というのもそうですね。現状は、そういった要望はとりあえず横において、ほかの作業をしている状態です。
プロトタイプの段階から完成に至るまで、何か新しい要素を入れようとする場合、どうしても全体のバランスを考えないといけないんです。そのうえで、いまある要素にどうフィットしていくか、フィットさせるにはどうすればいいのかを考える必要がある。なかなかすぐに実装というわけにはいかないのですが、少しずつ要望にお応えしていきたいです。
私たちのコミュニティーは、みなさん積極的に発言してくださって、いろいろな助言やアイデアをいただいています。そういった意味では、非常にありがたいですし、今後に活かしていきたいですね。
――それだけ、ユーザーが発言しやすい取り組みもしているということですね?
アビー そうですねえ。TwitterやFacebook、EAフォーラムなど、さまざまなソーシャルチャネルを活用して、皆さんができるだけ私たちにご意見を届けやすい環境を作るようには努力しています。あとは、頻繁にコンベンションに参加して、ユーザーの方と接するようしていますね。今後も、皆さんがリーチしやすいように環境を整えていきたいと思っています。
――ユーザーの意見のフィードバックを積極的に取り入れることに関しては、他社よりもすぐれている?
アビー それはどうでしょうか。いまや、マルチプレイヤーゲームでは、けっこう積極的に行なっていることですから。ただ、私たちが注力しているのは、ゲームをよりよく改善するために、コミュニティーの意見を引き続き積極的に聞いていくことです。私たちには、プレイヤーの皆さんに、『タイタンフォール』を今後何年にもわたってプレイしていただきたいという希望があります。そのためにも、コミュニティーの意見に、継続的に耳を傾けていきます。
――これだけ『タイタンフォール』が親しまれていると、より世界観に親しむために映画化やノベル化などを希望する声もありそうですが、その点はいかがですか?
アビー 私たちも、その点に関してはたいへん興味を持っています。実際のところ、テレビ局からの引き合いもあったりします。ただ、私たちはその点に関してはたいへん慎重で、正しいパートナーをきちんと選ばないといけないと判断しています。たとえば、『タイタンフォール』を“ライブアクション”で行うという企画もあったのですが、けっきょくナシになりました。『タイタンフォール』がいろんなメディアに登場して、“ユニバース”をいきなり広げていく……というのは、最初に正しいものから始めないと失敗するという気がしますので、とても慎重になっています。
――ということは、いずれ機が熟したら……ということですか?
アビー もしも、正しい相手が見つかるのであれば、やりたいと思っています。私たちが求めているのは、私たちがフィットできるような適切なメディアの相手を見つけることですね。もし、正しい相手が見つからないようであれば、他メディアへの展開は慎重にならざるをえませんし、見つかれば、ぜひやりたいです。
――“スポークスパーソン”として、今後『タイタンフォール』のさらなる訴求のために、どのようなことを考えていますか?
アビー もちろん将来的にはいろいろな計画があります。コンベンションに行けばたくさんのファンの方たちと実際にお目にかかれて、そこでいろんな反応を得ることができます。その反応に関しては、私もできる限り返してあげたいと思っています。Respawn Entertainmentにとっては、『タイタンフォール』が最初のゲームとなりますので、Respawn Entertainmentとファンの方の関係を構築するというのが、まずはスタートの部分としてありました。この関係を“基礎”として、ここからこのあとどういうふうにつなげていくか……ということを、将来的には考えていきたいです。より、ファンの皆さんとの関係を深めていきたいと考えています。この1年を振り返ると、私は世界中でいろんなファンの方にお目にかかることができて、本当にとてもよかったと思っています。会場では、実際にゲームのことをうかがうのですが、そういう“生の声”が私にとってもスタジオにとっても、とても意義深いことなんですね。今後も世界中を飛び回って、実際にファンの方の生の声を聞いていきたいです。
――いまや、美しき“スポークスパーソン”として、大人気なのでは?
アビー いえいえ(笑)。たしかに、たとえばコンベンションに行くと、わりと人目につくようにはなりました。ただ、求められて私がサインを書くというのは、ちょっと違和感があります。「へんなことをしているなあ」という気がします(笑)。
――日本では、Xbox One版『タイタンフォール』が9月4日に発売されることが決定しましたね。
アビー 9月に発売されるXbox One版は、アップデートやバグ修正なども施されたバージョンで発売されます。今回Xbox One版のリリースにあわせて、私たちも日本を訪れることができたら……と思っています。その際は、ぜひとも日本のファンの皆さんと直接お会いしてお話がしたいです。そのときを楽しみにしています。
さて、日本マイクロソフトでは、2014年6月2日(月)~6月16日(月)までの期間限定で、Xbox LiveゴールドメンバーシップやXbox 360本体とまとめて購入すると価格が最大4000円OFFになるというキャンペーンを実施中だ(⇒詳細はこちらを参照のこと)。気になる方はこちらもご注目を。
(取材・文 編集部/F)