稼働直後の最新格ゲー、初のステージイベント!

 2014年4月26日(土)、27日(日)、千葉県の幕張メッセで開催中の“ニコニコ超会議3”。初日の26日に開かれた対戦格闘ゲームのイベント“超格闘ゲーム”の模様をリポートしよう。

  このイベントは4月17日に全国のゲームセンターで稼働が始まったアーケード対戦格闘ゲーム『ウルトラストリートファイターIV』(以下、『ウルIV』を用いて、人気プロゲーマーたちがエキシビジョンマッチを繰り広げるというもの。
 世界規模の大会で活躍する猛者たちが一同に会し、稼働したばかりの最新作で対戦を繰り広げるとあって観客の期待度もかなり高く、ステージ前に用意された観戦スペースは開場と同時に数多くの対戦格闘ゲームファンであっという間に埋まった。

 ステージ進行および実況は、アールとヌキというニコ生でもおなじみのコンビ。ふたりによってまずは対戦を披露する選手が入場。壇上に現れたのはウメハラ、かずのこ、ときど、ボンちゃん、マゴ、ももちの6人。いずれも『ウルIV』プレイヤーなら誰もが知っているトッププレイヤー。実はこの舞台は、彼らにとっても稼働後初となる“ステージでの生対戦披露”。最新作の対戦にどんなキャラクターを用いて挑むのかもオーディエンスにとって大きな楽しみのひとつだった。

“超格闘ゲーム”ステージで『ウルトラストリートファイターIV』の猛者が激突!【ニコニコ超会議3】_01
“超格闘ゲーム”ステージで『ウルトラストリートファイターIV』の猛者が激突!【ニコニコ超会議3】_02

■1戦目:マゴVS.かずのこ
 この日の対戦は、予め決められたカードでの5試合先取、試合で負けた側のみキャラクター変更が可能というルールで行われる。
 さっそく最初の試合、[マゴVS.かずのこ]のバトルが開戦! キャラクター選択の段階で開場からどよめきが……『スパIV』では屈指のフェイロン使いとして名を馳せたマゴが春麗を、同じく長年ユンを使って闘劇制覇の経験もあるかずのこは新キャラクターのロレントを選択。いずれも『ウルIV』では、強キャラ最有力候補との噂も高い両キャラクターを選んだあたり、ふたりとも“勝つ気まんまん”といったところ。
 試合はかずのこのロレントが猛威を振るい、まず先勝。その後はマゴが、4月16日配信のニコ生公式放送“『ウルIV』稼働前夜祭”で見せた狂オシキ鬼、元祖『ストIV』で使っていたサガットを用いるものの、ロレントの反撃のスキを許さない優秀な突進技、メコンデルタアタックやトリッキーな中段技スパイクロッドを交えた空中からの攻めに苦しみ、連敗。 4戦目、これ以上負けたくないマゴが選んだのは、長年の相棒であるフェイロン。地上戦を得意とするキャラクター同士の組み合わせでは、やはりフェイロンの恐るべし反撃対応力と火力が頼りになったようだ。強気の烈火拳が見事に決まる場面が頻出するなど、一矢報いる形でかずのこのロレントに勝利。
 しかし、土が付いた形のかずのこもここぞとばかりに、いっときメインキャラにしていたセスを選択。『ウルIV』では、前作と比較して“おとなしい方向”の調整が施されたおかげで、かつての無双ぶりは難しいのでは? とも言われているセスだが、ここはさすがトッププレイヤーのかずのこ。そんな噂を一蹴するかのように、巧みに表裏を惑わせながら強襲するおなじみの(?)攻めスタイルでマゴのフェイロンを撃破。5勝を手中にした。

“超格闘ゲーム”ステージで『ウルトラストリートファイターIV』の猛者が激突!【ニコニコ超会議3】_04
“超格闘ゲーム”ステージで『ウルトラストリートファイターIV』の猛者が激突!【ニコニコ超会議3】_03

■二戦目:ももちVS.ときど
 続く試合は[ももちVS.ときど]。アメリカのプロチーム“Evil Genuises”に所属するももち。『スパIV』時代はコーディー使いとして有名だったが、『ウルIV』ではジュリをメインキャラクターに選択した模様。実況からは稼働日当日に地元、名古屋のゲーセンで50連勝を果たしたとの話も出たが、後に本人に確認したところ、さらに翌日は90連勝したとか! 対するときどは、ある意味、今回戦う6人のうちで今、最も勢いに乗っているプレイヤーといってもいいだろう。3月末に韓国で開催された“Id Global Tournament”、その翌週にトッププレイヤーを招聘して開かれた『ストIV』最後の公認大会“スーパーストリートファイターIV AE 最強頂上決戦”(記事は→こちら)では立て続けに優勝。『ウルIV』の稼働も経て、長年のメインキャラクター豪鬼の動きは今なお進化し続けている最中なのだ。
 試合は、ときど豪鬼のトレードマークともいえる“起き攻め”が冴え渡る展開に。対戦相手の“事前対策”と自キャラ研究には常に余念がない頭脳派プロゲーマー(実際にも東大卒!)である、ときど。『ウルIV』ではダウン後からの起き上がりタイミングを任意に遅らせる“ディレイスタンディング”が新たに搭載されたことで、攻める側は起き上がりを狙って攻撃を重ねる“起き攻め”の展開が困難になったと言われているが、攻めの起点をずらすことで対応するなど、『ウルIV』ならではの攻めを早くも手中にしている模様。ももちのジュリに2連勝する。
 続く試合で、ももちは意外にも(?)ケンを選択。『ウルIV』では前歩き速度の上昇や、あらゆる攻めの起点となるしゃがみ中キックの性能強化といった、基礎部分での上方調整が施されているケン。ももちはこのケンで果敢な攻めをくり広げ、豪鬼を空中に跳ばせない“地上対決”に持ち込む。大きく前進するレバー前+中キックや、移動投げによって積極的に豪鬼に近付く、超強気(?)なももちのインファイト戦術はこの対戦のハイライトシーンのひとつ。ここでももちが2勝して勝負は振り出しに。
 この後も一進一退の“ガチンコな地上戦”が繰り広げられるが、最後は4対4のマッチポイントでどちらが勝ってもおかしくない状況で、ときどの豪鬼が辛勝。試合後にはかつて大事な試合でももちに敗北を喫したこともあり「是が非でも勝ちたかった」と語ったときど。しかし、「トータルではまだももちに負けていることから、もっと対策を進めたい」とも語った。

“超格闘ゲーム”ステージで『ウルトラストリートファイターIV』の猛者が激突!【ニコニコ超会議3】_05
“超格闘ゲーム”ステージで『ウルトラストリートファイターIV』の猛者が激突!【ニコニコ超会議3】_06

■三戦目:ウメハラVS.ボンちゃん
 最後の試合は、[ウメハラVS.ボンちゃん]。世界最強のプロゲーマーとしておなじみウメハラと、彼とは長年の盟友であり、2012年にはかずのことのチームで闘劇制覇も果たしたサガット使いのボンちゃんが激突した。これまで数々の伝説を作ってきたウメハラの使うリュウ。その組み合わせは『ウルIV』でも引き続き見られるかどうかが現在、世界の格ゲーファンが注目していることだろう。稼働後1週間ほど経った今、ゲームセンターではリュウを使うウメハラの姿が見られるが……。

 注目の1戦目。モニターに表示されたのは、ウメハラのリュウVS.ボンちゃんのサガット……と誰もが思っていたが、ウメハラが笑いながら「違う」とのジェスチャーをして、場の空気が変わる。
 なんと実際は逆で、ウメハラがサガット、ボンちゃんがリュウだったのだ。事前にふたりで仕込んだネタなのか(?) エキシビジョンマッチならではのユニークな戦いがいきなり観られることに。試合は強力な“弾キャラ”同士のお約束通り、波動拳とタイガーショットの壮絶な撃ち合いに。まずはこの飛び道具合戦をボンちゃんのリュウが制した。
 負けてキャラ変更の権利を得たウメハラが続く2戦目で選んだのは……『ウルIV』から登場の新キャラクター、ヒューゴーだった! 実は稼働前から、ヒューゴーに注目していると各メディアで語っていたウメハラ。ついにその姿が生で観られることになった。しかし、相手は地上からも空中からも近付くことが困難なリュウだ。1ラウンド目はボンちゃんのリュウに触れることすらできずにパーフェクト負け。しかし、少しずつ慣れてきたか突進してラリアットを食らわす“モンスターラリアート”や、空中投げの“シュートダウンバックブリーカー”なども決まり出して客席を沸かせた。接近戦では定石通りの爆発力を魅せつけるものの、キャラクターごとの対策はウメハラといえどもまだ研究中、といったところだろうか?(逆に言うとボンちゃんによるリュウの使いこなしも驚異とも言えるのだが)
 ウメハラはさらにガイルも使用。『スパIIX』の時代ならいざ知らず、『ストIV』から続くシリーズでは「ガイルを使うウメハラの姿」は、こういった場では過去観られなかったはず。ここでもウメハラは星を落とし、ボンちゃんが4連勝で先にマッチポイントに。

 しかし、ここで終わらないのがウメハラ。負けられなくなった状況で、きっちりリュウを選択して反撃開始。リュウ同士の対戦に勝利したあとは、ウメハラが“暖まってきた”ようで、絶妙なコンボを続出。ついには、ボンちゃんに逆4タテして勝負は4-4にまでもつれ込んだ。そして9戦目となるファイナルマッチは、ついにサガットを選んだボンちゃんとのガチ勝負となった。しかし、止まらないウメハラの果敢なインファイト。最後はしゃがみ中キック→灼熱波動拳→滅・波動拳というキメのコンボで勝負を決めて盛り上がりは最高潮に達した。

試合後の感想では「最後は気持ちよくさせちゃいました」(ボンちゃん)、「(ボンちゃんには)試合前、楽屋で自分のヒューゴーへの賭ける思いを長時間説いたのに(笑)」(ウメハラ)と楽しそうに語った。また、ウメハラはヒューゴーに対しては「最初はかなり厳しいかな、と思ったけど、プレイしていくうちにイケそうかなと思いました」と、今後の可能性も匂わせた。

“超格闘ゲーム”ステージで『ウルトラストリートファイターIV』の猛者が激突!【ニコニコ超会議3】_08
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家庭用『ウルIV』の詳細情報も!

 エキシビジョンマッチの後は、カプコンの杉山晃一プロデューサーと、綾野智章アシスタントプロデューサーが登壇。4月17日に発表されたPS3/Xbox 360版『ウルIV』(2014年8月7日発売予定)についてのプレゼンテーションが始まり、商品情報を余すところなく紹介された。豪華な特装版“コレクターズ・パッケージ”の内容も詳しく公開された(詳しくは→こちら)。

 また、この会場での初披露の情報として、『ウル4』から登場する新キャラクターのオープニング・エンディングアニメーションをアニメ制作会社のサンライズが担当していることが発表された。さらに、このアニメパートを担当した森山洋監督が登場。新キャラクター、ディカープリのオープニングアニメをフル尺で史上初公開。このアニメに出てくる幼少期のキャミィはカプコンに設定自体が存在しておらず、森山監督がキャラクターデザインと作画を手掛けたという裏話も飛び出した。

“超格闘ゲーム”ステージで『ウルトラストリートファイターIV』の猛者が激突!【ニコニコ超会議3】_09

(取材・文章/大瀬子ヤエ(大瀬子屋))