大会会場でキーマンに直撃!

超大規模な世界大会の会場で『World of Tanks』のキーマンを直撃!_01

 全世界で8000万人の会員数を誇るオンラインゲーム『World of Tanks』の世界ナンバーワンチームを決める大会、”WARGAMING.NET LEAGUE GRAND FINALS”がポーランド・ワルシャワで4月4~6日(現地時間)の3日間にわたり開催された。

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e-Sports分野に1000万ドルを投資!? 『World of Tanks』は大会の規模も発想も超ビッグ!

 本稿では、Wargaming社のキーマンふたりと、大会を制した“NAVI”チームのリーダのコメントをお届けする。興味深い話が満載なのでぜひ一読いただきたい。

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Wargaming CEO
Victoer Kislyi氏
(文中ではVictoer)

――グラフィックのHD化が予定されています。複雑な演算はサーバー側で処理するとのことですが、これによりいまより高いスペックのマシンが要求されることになるのでしょうか。
Victoer おっしゃる通り、物理演算はサーバー側で行うのでPCのスペックは関係ありません。ハイスペックなマシンが必要なゲームがどんどん増えていますが、我々のプログラマーが努力しており、たとえばチェックボックスをオフにすることでこれまでの環境でプレイできますし、さまざまなグラフィックの設定を変更できるようにしています。これまでと同じように、自分にあった環境で遊ぶことができますので、心配することはありません。

――今後実装されるヒストリカルモードについてうかがいます。本作は”ゲームとして楽しいこと”をコンセプトをしていますが、このモードでも変わらないコンセプトと考えてよろしいでしょうか。
Victoer もちろん楽しいことがいちばん大事です。しかし。このモードの特徴も失わせるわけにはいきませんから、それも大事にします。まず一度テストとして公開してそれを遊んでもらい、その結果や要望をスタッフで分析、改善して遊びやすくしていくことになると思います。

――今回の大会について、いま現在(インタビューは2日目に実施)の感想や印象などをお聞かせください。
Victoer じつは、こういったイベントには初めて参加しました。試合を見ていると、まるでハリウッド映画を見ているような興奮を覚えます。

――答えにくい質問かもしれませんが、個人的に応援しているチームはありますか?
Victoer オフィシャルの立場としては、特定のチームを応援していることはもちろんありません。ただ、個人的には“PvP Superfriends”がもっとも印象に残っています。シンガポールのチームですが、最初は苦戦していたのに、どんどん強くなっていますね。

――この大会の戦いを見て、ゲームバランスの調整を検討するといったことはあるのでしょうか。
Victoer もちろんです。優勝したチームは世界でいちばんこのゲームに詳しいチームですから、契約を行い、テストプレイなど協力してこのゲームを成長させていきます。また、大会の運営についても学ぶところがたくさんあります。eSports担当のスタッフが全員駆けつけており、どう改善していけばいいか、つねに考えているはずです。

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Wargaming eSports Director Europe&North America
Mohamed Fadi氏
(文中ではMohamed)

――まだ2日目ですが今大会で印象に残っていることがあれば教えてください。
Mohamed すでに印象に残ることが多すぎて、全部挙げるのがたいへんです(笑)。いちばん強く印象に残っているのは、観客の多さと熱気です。初日から会場に入りきれないほどの方に来ていただき、また声援が大きすぎて、こうしたインタビューもたびたび中断しなければならないほどでした(笑)。

――地元のポーランドチームへの声援がすごいですね。
Mohamed ポーランドの国民は誇り高く、なにより競争といったものに強い興味を持っています。そういった国のチームがロシアやアメリカの強豪と対戦し、勝つチャンスを得ているわけですからね。選手たちもその期待に応えてがんばっていると思います。

――2014年のe-Sports分野への投資額を発表されましたが、具体的にどういったところに費やしていくのでしょうか。
Mohamed ひとつ目は大会の品質を上げていくことです。ふたつ目は、いまは強いチームの目標になる大会のほかに、ビギナーがステップアップするための大会を用意していきたいと思います。

――気軽に参加できる大会が増えていくというわけですね。
Mohamed はい、その通りです。いまはスタープレイヤーばかりが輝きを放っている状態ですが、照らす地面がなければ意味がありません。今後は、スターのような輝きを放ちたいプレイヤーを増やすための土台を作っていきたいです。

――さまざまな動画を作って公開されています。NAVIチームとも共同でさまざまな動画を作っているとうかがいました。これもビギナー向けの施策ということでしょうか。
Mohamed プロとパートナーシップを結び、一般のかたのレベルを上げるための努力をしています。動画配信もそのための手段として行っています。

――ぜひ日本語版も作っていただききたいのですが。
Mohamed 全世界に発信していくことも目標のひとつですから、将来的には日本に限らず、各地域向けの動画も作っていきたいですね。また、大切なことはその地域にあったものを作るということです。親近感を持ってもらい、目標のひとつになりえるということが重要です。

――日本人は対人戦を好まないファンも多いです。こういった人に興味を持ってもらうためには大会のバリエーションも重要になると思います。
Mohamed 日本に限らず、世界ではそれぞれ考えかたや文化が違います。そこをどう学び取っていき、配信や大会に反映させていくかが大切です。たとえばAIを使って的当てをしていくとか、そういった地域性に合わせた大会も用意する必要はあると考えています。

――少し気が早いですが、この大会の来年に向けての目標、さらに、そのさきの理想像といったものが教えてください。
Mohamed 規模などはとくに考えていません。たったひとりの観客であろうとも、その人に満足して楽しんでもらえるかが、これがもっとも大切なことだと考えています。

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“NAVI”チームリーダー
Dmitry“deluxe”Repin氏
(文中ではDmitry)

■これまで数々の大会を制し、本命としてGRAND FINALSにも参戦したロシアのチーム“NAVI”のリーダー。

――ふだんはチームとしてどういった活動をしているのでしょうか。
Dmitry 私はプロとして“NAVI”チームに所属し、『World of Tanks』部門のリーダーを務めています。ゲーム内で指示を出すことが、おもな私の役目です。ふだんはランダム戦でリラックスしながら遊び、チームメイトとコミュニケーションを取っていますね。
 私たちのチームは、6人がロシア、残りひとりがウクライナに住んでいますが、実際に会うことはほとんどなく、すべてオンラインで済ませます。しかし、こういった大会には必ず全員が集まりますし、チームワークや絆は強いと思っています。かつてポーランドに10年続いたチームがあり、そのチームのやりかたを参考にしているんです。ちなみに、2011年9月からいまのチームに参加していますが、それ以来のチームメイトは私も含めて5人います。

――今回の大会に挑むにあたり、何か特別な練習はしましたか。
Dmitry 参加メンバーを選択し、1日10時間程度の練習を行ってきました。戦略を煮詰めていったのはだいたい1週間くらいまえからです。また、よりチームワークを強固にするため、いまの7人以外のメンバーをチームから外しました。

――ゲームプレイ以外の仕事もあるのでしょうか。
Dmitry Wagaming社といっしょに、テクニックやe-Sportsを紹介する動画を制作しています。大会後にもどんどんコンテンツを増やしていく予定です。Youtubeで見られる(navi_wot)ので、ぜひチェックしてください。

――このゲームで勝つため秘訣はなんでしょうか。
Dmitry まずゲームを楽しむこと。そして勝つための強い意志を持ち、自分にあったチームを見つけることです。

――最後に、このゲームの魅力を教えてください。
Dmitry とてもシンプルで、若い方から大人まで、すべての人が手軽に遊べるところです。それでいて奥が深く、どんどん熱中することができるところが、魅力だと思います。