Unity県人会議、“Unity chan”の配信が本日スタート
2014年4月7日と8日の両日、昨年に引き続き、Unity最大の公式カンファレンスイベント“Unite Japan 2014”が東京・お台場にあるホテル日航東京で開催される。
本催しでは、プロの開発者を対象としたものからUnityビギナー向けのものまで、Unityに関する30以上の講演が行われる。初日となる7日には、各講演に先駆け、Unity Technologies / Founder CEOのDavid Helgason氏とバーチャルリアリティ(仮想現実)体験が楽しめるヘッドマウントディスプレイ“Oculus Rift(オキュラス・リフト)”を開発するOculusの創設者Palmer Luckeyによる基調講演が行われた。本稿では、その基調講演の模様をリポートする。
※21時30分画像追加
最初に登壇したのはDavid Helgason氏。David氏は、Unity Technologies設立初期の当時を振り返り、開発者どうしのコミュニティーやコラボレーションがUnity発展に大きく寄与し、現在では多くの開発者がUnityのゲームエンジンを使って多数のゲームがリリースされていることに感謝の意を述べた。
続いて、David氏はUnity Technologiesに関するトピックを紹介。現在、Unityはモバイルやブラウザゲームの開発に多く利用されているが、そんなモバイルやブラウザゲームは、日々、多数のタイトルがリリースされ、どのタイトルに触れるべきか、なかなかお気に入りの作品を見つけるのが難しい状況。開発側にとっても数多あるコンテンツの中で、自社のコンテンツをどうプレイヤーに目に留めさせるかは悩ましい問題。そこでUnity Technologiesが目をつけたのがApplifier社のゲーム動画共有コミュニティーサービス“Everyplay(エブリプレイ)”。このEveryplayは、たとえばスマホで遊んでいるゲームアプリの動画をSNSに投稿し、動画を共有できるサービス。先日、発表された通り(→こちら)、Unity Technologiesは、Applifier社を買収し、EveryplayをUnityに統合する。これにより、プレイヤーがその友人や世界中のゲーマーとその体験を共有して楽しむことを可能にしながら、同時に口コミによる宣伝効果で、優れたコンテンツが世界に広まることが期待できる。
プレオーダーが開始されているUnity 5もアピールされ、新機能などに関しては、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパンの高橋啓治郎氏から、新シェーダーやグローバルイルミネーションに対応し、リアルなグラフィックが表現可能になっていること、新しいオーディオミキサーシステムを採用していることなどが説明。加えて、今後の実装予定の機能として、複数のシーンを同時に編集できる“マルチシェーディング”、マルチプレイ機能を強化する“マルチプレイヤーネットワーキング”などが紹介された。
Unity県人会議が本日よりスタート
また、Unityコミュニティのさらなる支援、拡大する試みとして、Unity関連のイベントの企画や開催、協賛の依頼などがWebサイトを通じて可能になる“Unity県人会議”(→こちら)が本日よりスタート。Unity Technologiesの日本担当ディレクター大前広樹氏によると、現在、日本ではUnityに関する、大小さまざまな勉強会が地方でも行われており、「いままで大都市でしか開催されなかったUnityの講演会を地元でも開催したい」、「協賛・バックアップしてくれる企業、団体などを紹介してほしい」といった企画側、さらには「全国で開催されているUnityのイベント情報を知りたい」といった参加希望者側などの声に応えて、Unityに関するイベントのすべてが集約された“Unity県人会議”を立ち上げたという。Unity関連イベントに興味がある人は、“Unity県人会議”をこまめにチェックしよう。
Unity chanをゲームやアプリケーションに利用できる3Dデータが本日19時より配信
初音ミクなどに代表されるように、日本ではあらゆるところでキャラクターを軸にしたコラボレーションが盛んだ。そこでユニティ・テクノロジーズ・ジャパンでは「商用、非商用、産業を問わず、気軽に使えて改変もでき、すべてのデータ、プログラムが提供され、そのうえ“「使いたい!」と思えるような魅力あるキャラクター”を提供すれば、もっといろいろな創作やコラボが生まれるはず」、という思想のもと、unity chanという“オープンソース系ヒロイン”を提案。そのunity chanをゲームやアプリケーションに利用できる3Dデータなどのデータが本日(2014年4月7日)19時より配信される。
※Unity chan公式サイト→こちら
さっそく、マウスコンピューターのハイエンドPCブランド”G-Tune”から、Unityちゃんを天板にあしらった“unity-chan! コラボレーションパソコン”が発売決定。Unity3Dおよび推奨アプリの動作確認がされている。予約は本日からスタート。価格は99800円[税抜]。詳細は→こちら
・ 4月7日(月) 予約受付開始
・限定100台
・5月下旬から順次出荷開始
Oculusのジャパンオフィス設立を予定、Oculus RiftのDK2は日本開発者を優先!
基調講演の後半はOculusの創設者Palmer Luckey氏による講演。VRヘッドマウントディスプレイは、“Oculus Rift(オキュラス・リフト)”のほか、先日開催されたGDC 2014でもソニー・コンピュータエンタテインメントがPS4向けのVRヘッドマウントディスプレイ“Project Morpheus”の開発を発表するなど、いまホットなデバイス。“Oculus Rift(オキュラス・リフト)”に関しては、Oculus社がFacebookに20億ドルで買収された、ということで話題に(関連記事は→こちら)。
なぜいまVRヘッドマウントディスプレイなのか。これについてPalmer氏は、「偶然ではなく、グラフィックの解像度やモーションセンサー、3Dレンダリングなど、VRをリアルに実現するテクノロジーの準備が整ったから」だと語る。
また、各社がVRヘッドマウントディスプレイに大いに注目するのは、ゲームのテクノロジーの進歩がこれまでのペースより緩やかになってきたことも要因だと言う。PS3やXbox 360でゲームゲームのグラフィックがHDになり、新世代機のPS4、Xbox Oneがリリースされたが、グラフィック的には劇的に変わった、というほどのものではない。そこで、新たなゲーム体験をもたらしてくれるものとして、VRヘッドマウントディスプレイが注目されている、というのだ。加えて、その新しい体験は「コアゲーマーだけではなく、さほど熱心にゲームをプレイしない層にも興味を持ってもらえるはず」だと語り、「ゲームユーザーを拡大することにもつながる、と業界全体が期待しているのでは」というのがPalmer氏の推測。ただ、ふだんゲームをあまりプレイしない人は、コントローラによる操作に苦手意識を持つ人が多く、VRヘッドマウントディスプレイによる没入感をさらに深めるためにも、「新たなインプットデバイスが今後は求められてくるでしょう」(Palmer氏)。
また、VRヘッドマウントディスプレイ用のコンテンツは、過去の作品から移植するということは難しく、専用のコンテンツを開発する必要があるというのも課題のひとつだと語る。Palmer氏自身は、「私は、映画『マトリックス』のほか『攻殻機動隊』、ゲームでは『.hack』などで育ち、最近では『ソードアートオンライン』にハマっています」と日本のコンテンツがお気に入りであることも手伝ってか、「日本の開発者から生み出されるコンテンツに大いに期待しています」と語った。それがただのリップサービスではない証拠に、Oculusのジャパンオフィスを用意する予定であることや、「Oculus RiftのDK2(新たな開発キット“Development Kit 2”)の日本からのオーダーをリストの上に持っていきます」と宣言。すると会場からは大きな拍手が巻き起こった。
マルチプラットフォーム向け統合開発環境として進化を続ける“Unity”と、ゲームの新たな可能性を広げるVRヘッドマウントディスプレイ。とくに新たなゲーム体験が提供される後者は、会場でも体験ブースに多くの参加者が集まりなど、いま開発者も大いに注目しているデバイス。Palmer氏も期待する日本発のコンテンツにどんなものが登場するのか。楽しみに待ちたいところだ。