プレイヤーの数だけ英雄の人生がある！　『Fable Anniversary（フェイブル アニバーサリー）』プレイインプレッション

あの名作RPGが約10年の時を経て復活！

　2014年2月6日、Xbox 360用RPG『Fable Anniversary（フェイブル アニバーサリー）』が発売となる。本作は、かの名作『Fable（フェイブル）』を、フルHDでリメイクした作品だ。

　そもそも元祖『Fable（フェイブル）』は、2005年に初代Xbox用ソフトとして登場。あの『ポピュラス』を産みだしたピーター・モリニュー氏が手がけたことで、非常に注目された作品だったのだ。その後、新たなクエストやマップなどの要素を追加したPC版『Fable: The Lost Chapters』も発売された。
　『Fable（フェイブル）』が世界中で高評価を得て、シリーズ化されたのはご存じの通り。そんな名作RPGシリーズの1作目、正確には追加要素を含んだ『Fable: The Lost Chapters』のリメイクが、本作『Fable Anniversary（フェイブル アニバーサリー）』なのだ。というわけで、さっそくその魅力をお伝えしていこう。

バラエティ豊かなクエストを楽しもう！

　本作の舞台はアルビオンという大陸で、続編『Fable II（フェイブルII）』の数百年前という設定だ。主人公である少年は、オークベールという小さな村に住んでいた。だがある日、村は山賊に襲撃されてしまう。間一髪、メイズという謎の人物に助けられた主人公は、英雄ギルドに保護されることになった。青年となった主人公は戦いの訓練を積み、やがて英雄として外の世界へ飛び出していく……という、ひとりの英雄の人生を描く壮大なストーリーなのだ。実際のところ、英雄ギルドでの生活まではバトルやクエストの進めかたを学ぶチュートリアルといってもよく、世界へ旅立つところからが本編といえる。

　本作は、さまざまなクエストを通じて進行していくスタイルだ。英雄ギルドにある“マップテーブル”を調べるとクエストを受けることができるほか、冒険中に発生することもある。
　クエストの内容はバラエティ豊かで、じつに『Fable（フェイブル）』らしさが出ている。たとえば“ピクニックエリアに出現したモンスターを退治する”というオーソドックスなものから、“増税への不満で決起した村人たちの暴動を鎮圧する”という一風変わったものまで存在している。

　おもしろいのは、まったく逆の内容のクエストが存在することだ。序盤で“山賊から果樹園を守る”というクエストが発生するのだが、同時に“山賊を率いて果樹園を襲撃する”というクエストも表れる。善と悪、どちらの行動も楽しめる自由度が『Fable（フェイブル）』シリーズの大きな特徴であり、魅力なのだ。

　また各クエストには“チャレンジ”が存在する。これは“裸でクリアーする”、“ノーダメージでクリアーする”というように、クエスト受注時により困難な制限を課するものだ。チャレンジを受けるには掛け金が必要になり、成功すれば報酬が得られる。より手強いバランスでゲームを楽しみたい場合は、狙ってみるといいだろう。

自分好みのスタイルで英雄を成長させよう

　続いて戦闘システムと成長について紹介しよう。本作の戦闘は、リアルタイムで進行するアクションバトル。主人公の攻撃方法は、大きく分けて近接攻撃、遠距離攻撃、ウィル（魔法）の3種類。また戦闘に関するスキルも、これらに対応した3カテゴリに分けられている。

　近接攻撃は、剣やハンマーで攻撃するアクション。対応するボタンを連打すれば、連続攻撃を繰り出せる。遠距離攻撃は、弓やクロスボウで行う攻撃だ。対象をロックオンして攻撃するほか、自分で照準を移動させての射撃も行える。ウィルは魔法による攻撃で、たとえば“ライトニング”というウィルの場合は、相手に電撃で攻撃する。
　これらの攻撃を行うと、そのカテゴリの経験値を入手できる。たとえば近接攻撃を行うと“強さ”カテゴリの経験値を入手できるのだ。また敵を倒すと経験値のオーブが出現し、それを拾うことで共通の経験値を入手できる。このようにして溜まった経験値をそれぞれの能力に割り振り、主人公を成長させていく。

　主人公の能力は、英雄ギルドにあるサークルで取得できる。たとえば“強さ”カテゴリの“筋力”を上げると、敵に与えるダメージが上昇し、さらに重い武器も持てるようになる。同様に、“ヒットポイント”を上げるとヒットポイントの最大値が上昇する、というワケだ。
　このような成長システムのため、近接攻撃に特化させたり、バランスタイプにしたりと、プレイヤーの好みのスタイルで成長させていくことが可能だ。個人的には近接攻撃に特化させていきたいのだが、ある程度の体力と耐久力、回復魔法はほしいところなので、現状ではバランスタイプに成長しつつある感じ。このようにアレコレ悩みながら成長させていくのは、RPGの醍醐味のひとつであろう。

犯罪行為から自宅購入まで、多彩な人生を楽しめる

　クエストのところでも少し紹介したが、本作最大の特徴はその自由度の高さだ。改めてプレイしてみると、行えることは非常に多彩で、すでに当時から完成されていたのかと驚きを禁じ得ないほど。というわけで、冒険中に行えるさまざまなことを紹介していこう。

　ひとつは、さまざまな物件を購入できること。アルビオンにはいくつか空き家が存在しており、お金を払えば購入して自宅にすることが可能なのだ。自宅のベッドを利用したり、獲得したトロフィーを飾るなど生活を楽しめるほか、さらにお金を支払えば改装も行える。また余分な物件は賃貸に出して不動産収入を得ることもできるのだ。

　また、さまざまな悪事を行うことも可能。一般人に攻撃できるほか、“ずるさ”を成長させるとスリを行うことも可能。どこかの家庭にあるアイテムを拝借することもできる。ただし、これらの悪行は犯罪行為にあたるため、発覚した場合は罰金が科せられる。さらに罰金を支払うことを拒否した場合は、衛兵に攻撃されてしまうのだ。悪行は見返りが高いが命の危険も増大する、ハイリスクハイリターンの行動といえるだろう。

　主人公の外見を変えることも可能だ。装備が見た目に反映されるのはもちろん、理髪店へ行けば髪型やヒゲを変更することができる。また主人公には称号が存在し、新たな称号を名乗ることもできる。街ゆく人々は、その称号で主人公のことを呼んでくれるだろう。

　街の人々との交流も本作の醍醐味のひとつだ。主人公はおならやゲップ、ガッツポーズなどさまざまなアクションを行える。他人にアクションを行うことで、笑わせたり、不快感を与えることができるのだ。なかには“口説く”なんてコマンドもあり、気に入ったキャラクターを口説き続ければ結婚も行えるのだ。

　こうした善悪の行動は、主人公の外見や人々の反応にも変化をもたらす。たとえば善行を極めると、主人公の頭上には天使の輪が表れ、いかにも善人らしい外見に変化。街ゆく人々は英雄をほめたたえてくれるのだ。逆に悪行を重ねていくと、外見は悪魔のように角が生え、街の人からは畏怖されるだろう。また、取得できるウィルも善悪によって変化するため、バトルにも影響を及ぼすのだ。
　単に善悪の行動や選択を楽しめるだけではなく、その結果が英雄自身、さらには世界にも大きな影響を及ぼす。この、英雄の人生を大きく変化させられることこそ本作最大の特徴であり、ほかに類を見ない個性といえるであろう。

　映像を中心に、さまざまなポイントを改良し、より遊びやすく作り直された本作。その魅力は約10年ほど経過したいまでも色あせておらず、初代プレイ済みの筆者でもまったくの新作という気分で存分に楽しめた（初代の内容をほとんど忘れていたということもあるが）。行えることが多いため、最初はその情報量に戸惑うかもしれないが、じっくりとプレイして理解し、冒険のみならず英雄としての生活、ひいては人生を楽しんでみてほしい。
　なお、本作の発売に合わせて、2月12日より『Fable II（フェイブル II）』および『Fable III（フェイブル III）』がセール価格で販売される（関連記事はコチラ）。シリーズ未体験の人は、この機会にシリーズ作品を通してプレイしてみるのもいいだろう。

　ちなみに、今回は発売前のため試せなかったが、Xbox SmartGlassにも対応しており、マップを確認したり初代Xbox版のスクリーンショットを閲覧できるようだ。対応スマホやタブレットを所有している人は、ぜひこちらも試してほしい。（※Xbox SmartGlassのコンテンツはすべて英語です）

■著者紹介：喫茶板東
ファミ通Xbox 360で海外ゲームマニアックス、実績解除愛好会などを担当していたフリーライター。初代『Fable（フェイブル）』は、いつかやり直そうと思っていたタイトルだったので、今回のリメイクは非常にうれしい限り。Steamで購入して放置していた『Fable: The Lost Chapters』はムダになってしまったが、これからも積みゲーを増やして行きたい所存であります。