不屈の精神で完璧なものを目指した

 その自由度の高さが全世界のゲームユーザーの心を捉えてやまない名作RPG『Fable』。シリーズ1作目にあたるXbox用ソフト『Fable』 のリリースから10年の時を経て、同作がXbox 360用ソフト『Fable Anniversary(フェイブル アニバーサリー)』として蘇ることになった。日本マイクロソフトより2014年2月6日発売予定で、価格は3990円[税込]となっている。

 本作では、Xbox 360 のパワーを最大限に活かして『Fable』の世界をフル HD リマスター化。Xbox版から、格段にパワーアップされている。おなじみのアルビオンの世界に、新たな生命が吹き込まれる! これでシリーズ三部作や『Fable Heroes』、『Fable: The Journey』など、シリーズ作すべてをXbox 360で楽しめるようになったのも、ファンにとってはうれしいところだろう。

『Fable Anniversary(フェイブル アニバーサリー)』の開発者に、オリジナル版からの進化ポイントを直撃 「徹底したリマスターを施した」_01
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 本作の発売を記念して、ファミ通.comでは開発元であるライオンヘッドスタジオのFable フランチャイズ マネージャー テッド・ティミンズ氏にメールインタビューを行った。ティミンズ氏は、2004年に発売された1作目『Fable』のテスターの経験を経て、クエスト デザイナーとして 『Fable II』の開発に参画。『Fable III』の開発ではシニア クエストデザイナーに抜擢されている。『Fable: The Journey』でもシニア クエストデザイナーを担当し、『Fable Heroes』と『Fable Anniversary(フェイブル アニバーサリー)』ではリード デザイナーとして開発に携わっているとのこと。 現在は、『Fable Anniversary(フェイブル アニバーサリー)』を含む、すべての『Fable』製品のマネージャーを務めている、まさに『Fable』シリーズとともに歩んできた開発人生と言えるだろう。

 ちなみに私事で恐縮だが、記者は『Fable Heroes』の発表にあわせて、以前テッドに取材をさせてもらったことがある(⇒掲載記事はこちら)。物腰がやわらかくて、とてもやさしい人でした! メールでの質問に対しても、真摯に答えてくれています。

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――なぜ『Fable』をリメイクしようと思ったのですか?
テッド 何よりもまず、2009年頃からファンからの要望が高まっていたこと、そして『Fable: The Lost Chapters』だけがXbox 360でプレイできなかったことから、10周年を迎えるにあたって、ファンの方々にシリーズ全作をまとめてひとつのプラットフォームで楽しんでいただくのに最高の機会だと思ったからです。

――リリースから10年を経っても古びない、『Fable』の魅力は何になりますか?
テッド 『Fable』だけが持つ魅力とは、いままでこのようなゲームがほかに存在しなかったことです。世界を救うために冒険しながら、結婚したり、悪辣な王になったり、パブで飲んだくれたり、カードゲームで負けたりする、そんなゲームはなかなかないでしょう。アルビオンのような素晴らしい世界はほかにありません。

――新たに作り直すにあたり、もっとも注力した部分はどこでしょうか。
テッド グラフィックの進化がまず目に入ると思いますが、プレイを続けるうちに、サウンドの向上や、ユーザーインターフェイス、セーブシステム、そしてもちろん“実績”にも『Fable Anniversary(フェイブル アニバーサリー)』向けに徹底したリマスターが施されていることがおわかりいただけるでしょう。

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▲Xbox版(左)とXbox 360版(右)。グラフィックの違いは一目歴然だ。

――ユーザーにもっとも注目してほしいポイントを教えてください。
テッド 10年前に発売された初代『Fable』が持っていた特別な魅力や、初めてアルビオンの世界観に心を奪われてしまったときの気持ちを思い出しながら、楽しくプレイしていただければと思います。

――グラフィック面がXbox版から格段に進化したかと思いますが、とくに「ここがすごい」といったポイントなどありましたら、教えてください。
テッド 進化の大部分は、アンリアル・エンジンの採用から生まれました。新たなライティングシステム(lighting system)が導入されただけでなく、アートワークも一新されています。100人を超えるアーティストが作業に加わっているステージもあるんですよ! 私たちは、まったく新しいゲームを開発するときと同じ気持ちで『Fable Anniversary(フェイブル アニバーサリー)』のリメイクに取り組み、 ファンの皆さんの期待に応えられるよう、不屈の精神で完璧なものを目指したのです。ファンの皆さんを失望させるわけにはいきませんから、『Fable』らしさを失わないことを最重視しました。

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――今回新たにセーブシステムが実装されましたが、実装した理由を教えてください。
テッド 初代『Fable』では、クエストの途中でセーブすることができませんでした。つまり、1時間かけてプレイした成果でも、電源を切ってしまえば無駄になってしまうのです。この点はどうしても改善が必要でした! 最新版は、非常に便利なチェックポイントシステムを実装することで、いくつものチェックポイントでデータがセーブされ、同じチェックポイントでのセーブ&ロードが可能になっています。

――合計1000ポイントの実績が新たに実装されたとのことですが、お気に入りの実績などありましたら、教えてください。また、新実績でもっとも難易度の高いものは何になりますか?
テッド 私も“実績”が大好きです! もっとも難易度が高いのはおそらく“Definitely Not On Rails”敷かれたレールを歩きたくない ― デーモンの扉を除くすべての場所に行くか、胴回りを大きくすることでその手間を省く)“ですね。でも私が一番気に入っているのは、“The Hero Of Time(時代の英雄 ― バウアーストーンで昼間にムーンフィッシュを食べるか、夜にゴールデンキャロットを食べる)”です。“実績”を獲得する方法がふたつあることも理由のひとつですが、私の大好きな日本のビデオゲームに通じる部分があるんです。

――本作は、Xbox SmartGlassに対応していますが、その遊びどころを教えてください。Xbox SmartGlassを実装することで、どのような楽しみが広がりますか?
テッド SmartGlassについては、自分でも使いたくなるような機能を実装したいと考えました。第二のデバイスであるSmartGlass は、完全にインタラクティブなマップとなって、アルビオンの世界を案内してくれます。また、それぞれの場所でXbox用『Fable』のスクリーンショットを見ることができるので、『Fable Anniversary(フェイブル アニバーサリー)』 と初代版を比べることも可能です!

――最後に、日本の『Fable』ファンに向けてのメッセージをお願いします。
テッド 私は日本のRPGで育った人間ですので、その恩返しができていればうれしいです! 私たちのことをずっと応援してくださっている方々に感謝するとともに、ゲームのリメイク版をお楽しみいただけることを願っています。

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