個人的には『Papers, Please』に取って欲しいです

 優れたインディーゲームを表彰するIndependent Games Festival(IGF)アワードの今年の最終候補作が発表された。というわけで今年も各賞の候補に残った全作品をまとめて一挙ご紹介。なお受賞作はGDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)会期中の3月19日に発表される。

■Excellence In Visual Art(美術賞)
DEVICE 6』 (Simogo) 公式サイト
リズムにノってプレイするパズルアクションゲーム『Beat Sneak Bandit』や、サブテキストまで別アプリとして用意された怪奇テイストのアドベンチャーゲーム『Year Walk』など、iOSデバイス向けに優れたゲームを出してきたSimogoの最新作。
本作でプレイヤーのフィールドとなるのは、テキストの山。その中に時折出てくる録音テープや写真などから手掛かりを掴んで進んでいく謎解きゲームになっている。

Gorogoa』 (Jason Roberts) 公式サイト
タイルに描かれた手描きイラストがプレイヤーの操作に合わせて変化・展開していくパズルアドベンチャーゲーム。公式サイトにてWindowsとMac版のデモが公開中。

The Banner Saga』 (Stoic) 公式サイト
バイキング伝説にインスピレーションを受けた、ターンベースのストラテジーRPG。滑らかなアニメーションはロトスコープで収録されている模様。Steamで本日発売。PvPの戦闘を楽しめるF2P版“Factions”も公開中。

Perfect Stride』 (Arcane Kids) 公式サイト
サイケな配色のプリミティブな3D空間をスケートする一人称視点のジャンプアクションゲーム。PC版とMac版があり、現在はクラウドファンディングの出資者にα版を提供中。ちなみに開発チームのマニフェストには「ドリームキャストで見たいようなゲームを作る」というものがある。

Samorost3』 (Amanita Design) 公式サイト
Machinarium』や『Botanicula』など、アーティスティックなアドベンチャーゲームを開発してきたAmanita Designの最新作(もちろん過去に2作ある)。とある宇宙の妖精(Space Gnome)がある日空から落ちてきた魔法のフルートを見つけ、宇宙船に乗って旅に出る……という内容。2015年初頭にリリース予定。

Drei』 (Etter) 公式サイト
不思議な生き物を操作してブロックなどを並べて目標をクリアーしていくパズルゲーム。iPad専用のゲームながらリアルタイムなマルチプレイゲームになっており、見知らぬ人と限定されたコミュニケーション(「ハロー」、「ゆっくり」、「笑」など、プリセットのリアクションが用意されている)を取りながらクリアーを目指す。コミュニケーション部分は18言語に対応しており、自国語に訳して表示してくれるので言葉の壁も問題ナシ。日本語にも対応している。公式サイトでWeb版のデモもプレイ可能。

■Excellence In Narrative(物語賞)
『DEVICE 6』 (Simogo)
The Yawhg』 (Damian Sommer & Emily Carroll) 公式サイト
邪悪な存在“Yawhg”がやってくるまでの6週間を過ごすアドベンチャーゲーム。最大4人が同時プレイ可能で、その選択によってキャラクターたちや街の運命が変わる。プラットフォームはPC。公式サイトで10ドルで購入可能。

Paralect』 (Paralect Team) 公式サイト
カルチャーショックなどによって引き起こされるパラダイムシフト(認識の変化)をテーマにした2Dアクション。これまで見えていた世界が氷山の一角にしか過ぎなかったり、突然崩壊したり、プレイが進行するに連れて世界も違った見え方をしてくる。テキストの上を走ったりジャンプしたりする辺りの表現もちょっとおもしろい。

Dominique Pamplemousse in "It's All Over Once the Fat Lady Sings!"』 (Deirdra Kiai Productions) 公式サイト
ストップモーションアニメの手法で作られたオフビートなアドベンチャーゲーム。プラットフォームはPC/MacとiPad。公式サイトにはWeb版のデモも用意されている。

The Stanley Parable』 (Galactic Cafe) 公式サイト
「ディスプレイに表示された指示に従ってキーを打つ」という奇妙な仕事に従事してきた“スタンリー”の冒険を通じて描く、ビデオゲームにおける“選択”をテーマにしたメタフィクションゲーム。体験版もあるのだが、意図的に本編とはまったく別の内容。紹介記事も掲載しているので、ネタバレを気にしない人はそちらもどうぞ。日本語字幕が近日実装の模様。

Papers, Please』(Lucas Pope) 公式サイト
架空の共産国Arstotzkaの入国審査官として働く、異色の“パスポート審査”ゲーム。「パスポートを見て間違いがなければスタンプを押す」というシンプルな内容が、人々に恨まれたり、日々増えていくルールに悩まされたり、さまざまな勢力の思惑に巻き込まれたり、ダークなものへと変貌していく。こちらも長文の紹介記事を掲載しているので、気になった方はどうぞ。個人制作なため時間がかかっているものの、日本語ローカライズ計画も存在する。

■Excellence In Design(ゲームデザイン賞)
『Papers, Please』 (Lucas Pope)
TowerFall Ascension』 (Matt Thorson) 公式サイト
Ouyaでリリースされてヒットした最大4人でプレイ可能な対戦型アクションゲーム『Towerfall』。エントリー名の『TowerFall Ascension』は、 今年リリース予定のPC/PS4版。

868-HACK』 (Michael Brough) 公式サイト
電脳空間で戦うローグライクゲーム。元は7日間でローグライクゲームを作る“7 day roguelike”の作品として作られたタイトル。iOS版が配信中で、PC版もいずれリリースするそう。

Mushroom 11』 (Untame) 公式サイト
核戦争後の崩壊した世界を舞台にしたパズルアクションゲーム。緑色の謎の物体を変形させながら進んでいく。現在開発中で、2014年にリリース予定。

Don't Starve』 (Klei Entertainment) 公式サイト
デーモンに捕まって異世界の奇妙な森へと放り込まれてしまったWilsonを主人公とする、サバイバルアクションゲーム。森を探検し、素材を集めてアイテムを作り、生還目指してサバイバルするのだ。PCとPS4で配信中。

Crypt of the NecroDancer』 (Brace Yourself Games) 公式サイト
いわゆるローグライクなダンジョン探索ゲームに、リズムゲームを組み合わせたタイトル。テンポに合わせて移動や攻撃を行うのだが、面が進んで際どくなってくると焦ってテンポをミスるという仕組み。PC/Mac/Linuxで2014年発売予定。プレス用のα版を遊んだプレイリポートと開発したライアン・クラーク氏へのメールインタビューを掲載しているので、詳しくはそちらを。

■Excellence In Audio(音響賞)
『Samorost3』 (Amanita Design)
『Dominique Pamplemousse in "It's All Over Once the Fat Lady Sings!"』 (Deirdra Kiai Productions)
『The Stanley Parable』 (Galactic Cafe)
『Crypt of the NecroDancer』 (Brace Yourself Games)
『DEVICE 6』 (Simogo)
『The Yawhg』 (Damian Sommer & Emily Carroll)

■Nuovo Award(独創的なゲームに贈られる賞)
『Dominique Pamplemousse in "It's All Over Once the Fat Lady Sings!"』 (Deirdra Kiai Productions)
『Papers, Please』 (Lucas Pope)
Luxuria Superbia』 (Tale of Tales) 公式サイト
万華鏡のように広がる“花”の花弁をタッチしていくと、花が色づき、「もっと」、「そう、そこ!」と“花”の声が聞こえてくる……。性のメタファーに彩られた幻想的なiOS/Android/Ouya/PC/Mac/Linuxのマルチプラットフォームタイトル。

Extrasolar』 (Lazy 8 Studios) 公式サイト
XRIなる宇宙探索・開発を目的とした私企業のプロジェクトの一員となり、未知の惑星を探索するアドベンチャーゲーム。F2Pのブラウザゲームとしてリリース予定。

Perfect Woman』 (Peter Lu and Lea Schonfelder) 公式サイト
固定された“女性の役割”への疑問から作られた、女性の一生を追っていくシミュレーションゲーム。Kinectでポーズを取るミニゲームや選択肢を通じてルートが変化し、“完璧な女性(Perfect Woman)”の理想像に沿って生きるのは困難であること、そしてそれでいいことを悟っていく。

SoundSelf』 (Robin Arnott) 公式サイト
自分の声を入力として使うインスタレーション作品。

Save the Date』 (Paper Dino Software) 公式サイト
友人とディナーを過ごすテキストアドベンチャーゲーム。どんな会話を交わし、何を食べるか? 友情、希望、運命といったテーマがディナー中の会話を通じて描かれる。無料で配布中。

Corrypt』 (Michael Brough) 公式サイト
『868-HACK』と同じ作者による、『倉庫番』のようなギミックを使ったパズルアドベンチャーゲーム。PC版は無料で、iOS版も配信中。

■Seumas McNally Grand Prize(大賞)
『The Stanley Parable』 (Galactic Cafe)
『Don't Starve』 (Klei Entertainment)
『Papers, Please』 (Lucas Pope)
『DEVICE 6』 (Simogo)
『Dominique Pamplemousse in "It's All Over Once the Fat Lady Sings!"』 (Deirdra Kiai Productions)
Jazzpunk』 (Necrophone Games) 公式サイト
冷戦下の架空の世界を舞台にした一人称視点のコメディアドベンチャーゲーム。PC/Mac/Linuxで2月7日にリリース予定。公式サイトでプレオーダー受付中。

(文・構成:ミル☆吉村)