通算20枚目のシングルは彩音の“想い”が詰まった内容に

 アニソンアーティストの彩音のNEWシングル『邂逅のフェタリテート』が2013年11月27日にリリース。同作はプレイステーション Vita版『シュタインズ・ゲート 線形拘束のフェノグラム』のオープニングテーマとして起用されている表題曲『邂逅のフェタリテート』のほか、彩音自身が作詞を手掛けた『掌の迷宮』、そしてプレイステーション3用ソフト『超次元ゲイムネプテューヌmk2』のエンディングテーマをリミックスした『GO→Love&Peace Wall5 Remix』の3曲を収録したマキシシングルとなっている。彩音にとっては、通算20枚目のシングルとなる『邂逅のフェタリテート』について、その想いを語ってもらった。

『シュタインズ・ゲート』愛を込めた楽曲『邂逅のフェタリテート』

『邂逅のフェタリテート』をリリースするアーティスト・彩音にインタビュー_02

――2013年11月27日にリリースされる『邂逅のフェタリテート』ですが、プレイステーション Vita版『シュタインズ・ゲート 線形拘束のフェノグラム』のオープニングテーマになっています。ただ、『シュタインズ・ゲート』の楽曲なのに作詞、作曲を志倉千代丸さんが担当されていないというのは、珍しいパターンですよね?
彩音 そうなんです。私自身、『シュタインズ・ゲート』の楽曲は3曲目になるのですが、志倉さんの楽曲じゃないのは初めてでしたね。しかも初めて担当していただく作家さんだったので、すごく緊張感を持って歌わせていただきました。作詞家のmakoto-ONPさんとはお会いさせていただく機会がなかったのですが、作曲家の藤井雄大さんはレコーディングの当日に収録現場に来てくださって、そのときに初めてご挨拶をさせていただいたのですけれども、緊張感の中でさらにまた一歩緊張しましたね(笑)。

――彩音さんぐらいアーティスト活動をされている方でも、初めてだと緊張されるんですね。
彩音 『シュタインズ・ゲート』のオープニングというプレッシャーもありましたが、それ以上に初めての方だったので「イメージしているものと違うな」と言われないように緊張していました(笑)。

――(笑)。そんな緊張感のなか臨んだレコーディングはいかがでしたか?
彩音 収録はスムーズに行えました。ただ、『邂逅のフェタリテート』は、サビが2段階、3段階というか、くり返しサビというものがない曲なんです。1番2番のサビは同じですが、くり返されるメロディーが少しずつ違っていて、さらにまたつぎに新しいサビがくるんです。そのあたりが練習をしているときに、なかなか自分のものにできていないなぁという実感がありました。でも、実際にくり返し練習していくにつれて本番ではちゃんと歌うことができましたね。すごく難しい曲という印象です。

――構成が珍しい曲なんですね。
彩音 これまでに歌ってきた楽曲の中でも、あまり数がない構成でしたね。でも、とてもいい勉強をさせていただいたなって思いました。

――曲の聴きどころはやはりサビの部分?
彩音 ぜひ、その部分を聴いていただきたいですね。ゲームと合わせてCDでチェックしていただきたいと思います。場所で言うと、“絡み合った真実を”というところと“高鳴って”というところが、ぜんぜんメロディーの入りかたが違うので、ぜひ注目をして聴いていただきたいです。

――サビももちろんだと思いますが、歌うときに注力した部分は?
彩音 今回は出アタマの2行のフレーズがバラード調に始まっている楽曲なので、温度差というのを曲の中でどう出せるかが自分の中での挑戦でした。この部分にもぜひ注目して聴いていただけるとうれしいです。あと、全体を通して聴いていただくときには、力強く駆け抜ける感じを楽しんでほしいですね。1番のサビで言うと“誓いよ 空に届け”というところで締めくくられているのですが、たとえば『シュタインズ・ゲート』は、たくさんの世界線がある話なので、すべての世界線に歌声を響かせることができたらいいなというような気持ちを込めて歌わせていただきました。ぜひ、その部分に注目して聴いてもらえたらいいなと思います。

――なるほど。彩音さんは楽曲を担当されたゲーム自体、いつもプレイされているじゃないですか。レコーディングのときとゲームをプレイした後で歌いかたの印象が変わったりすることはあるんですか?
彩音 つねに全力で歌わせていただいていることに変わりはないんですけれど、練習をしているときは、ゲームのシーンが蘇ってきて泣いちゃいそうになるんですよ(笑)。なので、『邂逅のフェタリテート』のときは泣かないようにがんばって歌うぞという気持ちもありました。そういった意味では、自分の中でも『シュタインズ・ゲート』愛が強くなってから歌わせていただいたので、感情の部分ではものすごく全面的に押し出した歌いかたをさせていただいています。聴いてくださる皆さんに伝わるとうれしいですね。

――作品のことも考えながら歌っていたということですか。
彩音 すべてのキャラクターのシナリオをクリアーさせていただいたので、いろいろな思いが込み上げてきてしまって(笑)。今回はわりと深い部分まで入り込んで歌うことができました。

――作品への愛が込められた楽曲になっているということですね。『シュタインズ・ゲート 線形拘束のフェノグラム』をプレイした感想は?
彩音 やっぱり泣いちゃいました(笑)。私の中では『シュタインズ・ゲート』に侵略されているなというか、どっぷり浸かっている感覚でレコーディングに臨ませてもらった印象をいまでも覚えています。

詞に想いを込めた『掌の迷宮』

『邂逅のフェタリテート』をリリースするアーティスト・彩音にインタビュー_01

――カップリング曲である『掌の迷宮』は彩音さんが作詞をされているそうですね。
彩音 私が書かせてもらっています。じつは作曲家のミヤハラ信哉さんという方も、今回初めてごいっしょさせていただいていて。タイアップのない状態で歌詞を書かせていただけるということで、プロデューサーさんといろいろな打ち合わせをさせていただいたんですね。そのときに「彩音ちゃんの好きなように書いていいよ」というお話をいただけたので、せっかくだったら曲を聴いてくれるみんなの力になれたり、勇気づけられたり、迷ってる人たちがいたらその人たちの背中を力強く押せるような曲であり、歌詞もそうありたいなという思いを込めて歌詞を書かせていただきました。

――タイトルはなぜ、『掌の迷宮』となったのですか?
彩音 私の中で“気持ち”は心にあるものなんだけれど、夢をつかむときに手でつかむジェスチャーがイメージとして思い浮かんで、掌で夢をつかむとか、そういう伝えかたはあるかもしれないなといろいろ考えたんです。手相などもそうなんですけれど、自分の夢をかなえることであったり、迷っているときに背中を押したり、押してもらったりということって、最終的に決めるのは自分なんですよね。その自分の心の中を“掌”と言い換えて、自分の掌の中には夢や希望、チャンスといったものが詰まっていて、それをつかむのも放して逃してしまうのも自分自身だ、といった想いをストーリーにできたらいいなというところからまず歌詞を書き始めました。歌詞を書いているときにちょうど初めてのバースデーライブを開催させていただいたころだったので、ファンの皆さんと私とのコミュニケーションの場としてライブがあって、その前後でいろいろなお手紙をいただいたりしていたのですが、そのお手紙で、ふだんの生活などでファンのみんなが悩んでいることなどを聞かせていただいていたので、そういった方をライブで勇気づけるだけではなく、さらに深いところまで歌詞で勇気づけることができたらいいなという想いから、『掌の迷宮』という曲が出来上がりました。

――悩んでいる人やあと一歩踏み出せない人へのエールというか。
彩音 ライブをするとみんなから元気をもらったりとか、ありがたいなという気持ちになったりするんです。その恩返しをする場所がライブステージだけではなく、シングルCDとして、“形”として皆さんに届けられればいいなと。ファンの皆さんに対する気持ちを込めて書かせてもらった曲ですね。

――聴いたときにメッセージ性の強い楽曲だと感じたので、いまのお話を聞いて、改めて彩音さんのアツい想いが込められているのだなと再確認できました。
彩音 ありがとうございます! いままでたとえば、断定系で書いた歌詞ってあまり多くないんです。「つかめ」とか「抱(いだ)け」という歌詞が今回は入っているんですけれど、いままでなら「抱(いだ)こう」とか「抱(いだ)いていこう」とか、「いっしょに抱(いだ)きながら」とか、つねに仲間だったり支えてくれる人という存在が近くにいるような歌詞を書かせていただいていたんです。でも、今回は自分との戦いというか。対個人で見たときに、自分の中で決めた答えをつかむために、自分の足で一歩前に踏み出そうとがんばっている人や、がんばろうとしているけれどなかなかがんばれなくて、あとひとつ力が欲しいという人の背中を力強く押せたらいいなという気持ちで書かせていただきました。ですから、メッセージ性の強い歌詞だと言っていただけるとすごくうれしいですね。

――前向きな曲だなと感じました。
彩音 曲中の「苦しみさえ儚い」という歌詞はまさにそういうことだったりします。夢が叶ったときに、過去を振り返って、「あのときは辛かったけど乗り越えられたな」みたいな感覚をこのフレーズに込めているんです。最終的には笑顔になれたらいいよね、というメッセージを込めさせていただきました。

――曲自体が和風っぽく聞こえたんですが、意識はされましたか?
彩音 私はあえて曲の和風感には寄せなかったです。和風っぽい雰囲気の曲なんだけれど歌詞はどうなっているんだろう? という風に疑問を持っていただくことで、歌詞の内容を見てもらえるなと思ったので、あえて曲に寄せるわけではなく、メッセージを伝えることに注力しました。和風感という意味では、日本で生まれた日本人の私が、日本の言葉で書かせていただくという部分に出ていますね。じつは『掌の迷宮』では英語をひとつも使っていないんです。みんなに響く言葉ってとても難しくて、伝えようと思っても伝わらなかったら意味がないですよね。だからこそ今回はストレートに、かつ力強く日本語で書かせてもらおうと思ったんです。すごく悩んだんですけどね(笑)。

――もう1曲は『GO→Love&Peace』のリミックス版ということで、だいぶ雰囲気が変わりました。
彩音 この曲は『超次元ゲイムネプテューヌmk2』(※プレイステーション3用ソフト)という作品のエンディングテーマなんですけれど、『ネプテューヌ』がアニメ化されたときにアニメで原曲を流していただいたんです。せっかくアニメで放映されたので、その楽曲をリミックスして収録をしよう、ということで今回収録させていただきました。通算20枚目のシングルなので、いつもより少し豪華に、という意味も込めて3曲収録になっているんです。

――3曲入りはうれしいですよね。しかも、安い! 1260円[税込]だ(笑)。
彩音 ありがとうございます(笑)。

さまざまな活動で経験値を蓄えた2013年

――今後の活動についても伺えればと思うのですが、なんと朗読劇に挑戦されるということですが。
彩音 私自身すごくビックリしているんですけれど(笑)。ホントにとても光栄なお話をいただきました。せっかくいただいたチャンスですので、ぜひトライさせていただこうということで挑戦することにしました。現在は、まだ打ち合わせなども行っていないので(※取材時点)、私自身緊張感の中にぽつんと置かれている状況なんですけれど(笑)。初めて挑戦させていただくジャンルなので勉強させていただいて、自分自身をパワーアップさせたいですね。歌のほうで吸収したものをうまく活かせられればと思っています。とても貴重な経験になると思いますので、いまからワクワクしています。

――ほかにも、今年は各地でいろいろなイベントに参加されていましたね。
彩音 ホントにたくさんイベントに呼んでいただけたので、すごくうれしかったですね。『シュタインズ・ゲート』の舞台の終演後にミニライブコーナーで歌を歌わせていただいたんですけれど、ついさっきまで俳優さんたちが演技をされていたのと同じ神聖な舞台上で歌わせていただくという経験も初めてでしたし、初めてのバースデーライブを開催させていただいたりとか、初めての経験をたくさんさせていただきました。あとは、これから朗読劇もありますしね(笑)。すごく充実した、密度の濃い時間を過ごさせていただいている印象です。

――バースデーライブの反響はいかがでしたか?
彩音 初めてヘッドセットでのパフォーマンスを行ったんですけれど、ファンの皆さんがとてもやさしくて、「両手を使ったパフォーマンスを初めて見られたからすごくうれしかった」という意見や、「毎回使っているようなパフォーマンスで彩音ちゃんすごく練習したんだろうなぁ」と言ってくださる方が多かったので、挑戦させてもらえてよかったなと思いました。いままではヘッドセットだとちゃんと声を拾わないんじゃないかという気持ちもあったんです。せっかくのバースデーライブなのでちゃんと歌を聴いてもらうにはやっぱりハンドマイクでいくべきなんじゃないかと。でも、皆さんからの反響を受けて、挑戦して本当によかったなと思いました。

彩音とゲーム

――彩音さんはかなりのゲーム好きということですが、最近はどんな作品をプレイされましたか?
彩音 私はディズニーがすごく好きなのでニンテンドー3DSの『ディズニー マジックキャッスル マイ・ハッピー・ライフ』をプレイしていますね。じつは本体同梱パックを買いました(笑)。すでにニンテンドー3DSの本体を持っているのにまた買っちゃって、家族から怒られるっていう(笑)。でも、作り手の気持ちもわかるから、そのときのオススメのモノを買いたいんですよね。そうすると制作者の人にちょっとでも返せるんじゃないかって。作り手側の気持ちというものがやっぱり出てきてしまうんです。

――なるほど。わかります。
彩音 ほかには、『ドラゴンクエストX 目覚し五つの種族 オンライン』をやっていますね。あと『ファイナルファンタジー』とかも。

――『XIV』ですか?
彩音 はい♪

――オンラインゲームもやられるんですね! 驚きました。
彩音 やります、やります! 知らない方とでも積極的にコミュニケーションをとっちゃいます。私はゲームが好きなので、かなりやっていますね。それこそ高橋名人に「ゲームは1日1時間だぞ」って言われても「無理ですよー(笑)」って言いながら。

――それにしても、オンラインゲームは意外でしたね(笑)。
彩音 そうですか(笑)? テレビ番組を見ながらオンラインゲームをやったりとかよくします。

――“オンラインゲームあるある”ですね(笑)。
彩音 忙しいな~ってなりながらやっています(笑)。

――知り合いとかとやったりするわけではなく、野良でやられているんですか?
彩音 だいたい野良ですね。話しかけられたらパーティーに入れてもらっていっしょにプレイするみたいな。自分からは話しかけないで、待つっていう(笑)。もちろん、同業者のお友だちとも時間を決めていっしょにプレイしたりしています。

――オンラインゲームは時間を忘れて盛り上がっちゃうからたいへんですよねー。
彩音 そうなんですよ! だから、夜中の2時までって決めてプレイしています。2時以降はクエにも行かないで(笑)。

――重要です(笑)。それでは最後に読者の皆さんにひと言メッセージをお願いします。
彩音 2014年が私にとってデビュー10周年になります。アルバムのリリースなども予定しておりますので、ぜひ楽しみにしていてください。私のことを知ってくださっている方はアルバムのリリースも決まっているいちばん大事な時期ですので、まずは『邂逅のフェタリテート』を買っていただいて(笑)、これからも応援してもらえたらと思っています。プレイステーション Vita版『シュタインズ・ゲート 線形拘束のフェノグラム』がきっかけで私のことを知ってくださった方は、今回お会いできたことも何かのご縁だと思いますので、まずはシングルに収録されている3曲から聴いてもらえたらいいなと思っています。よろしくお願いします。

『邂逅のフェタリテート』をリリースするアーティスト・彩音にインタビュー_03

■彩音Newシングル「邂逅のフェタリテート」
発売日:2013年11月27日発売
価格:1260円[税込]
発売元/販売元:5pb./KADOKAWA メディアファクトリー
【収録内容】
01. 邂逅のフェタリテート
02. 掌の迷宮
03. GO→LOVE&PEACE Wall5 Remix
04. 邂逅のフェタリテート(off vocal)
05. 掌の迷宮(off vocal)