歴戦のFPSゲーマーが本機を丸裸に!

ホリの新兵器の性能はいかほどか? ヘッドセット“オウルギア”をレビュー!_01

 ゲーム周辺機器メーカーのホリから、2013年8月3日に発売されたゲーミングヘッドセット“オウルギア”。FPS(一人称視点シューティング)の専用ブランド“ギア”シリーズの最新作としてリリースされた本機の性能は、いかほどのものだろうか? というわけで、本稿では、FPSゲーマーとして活躍するライター、BRZRK氏によるレビューをお届けする。

ゲーミングヘッドセット オウルギア
ホリ/2013年8月3日発売/9800円[税込]/プレイステーション3、Xbox 360対応

ひいき目なしでレビューします!

 ドモー、BRZRKです。さて、今回のレビューで取り扱う製品は、ホリさんから発売されるヘッドセットの“オウルギア”だ。

 さっそく、どんな製品なのかねぇとホリさんのサイトを覗いてみたところ、まず目に入ったのが“G.E.A.R.”がどういったコンセプトなのかという説明文。ちょっとそこから一文を抜粋してみる。

 「相手を的確に捕らえる正確な射撃能力や刻一刻と変化する過酷な状況下における瞬時な判断力と機敏な運動能力はFPSゲームにおいては欠かせないスキルです』」
 
 はい。FPSをこよなく愛する僕としては、かなり共感できるコンセプトだと言える。FPSを遊ぶとき、視覚情報と同等のレベルで重要となるのが聴覚から得られる情報だ。なぜかと言うと、FPSに慣れていない初心者は画面内から得られる情報だけに頼りがちなのだが、中級者~上級者といったプレイヤーの場合、索敵中に視認できていない敵の情報を聴覚で探っているからだ。

 たとえば、敵が発する銃声や足音、アイテムを取得したときの音、エレベーターのような装置を動かした音などなど。アイテムごとに取得時に発する音が違うゲームの場合、取得音の流れる順番によって敵の進行方向すら判断できてしまう。つまり、視覚情報に勝るとも劣らない情報の泉と言っても過言ではない。

 コンセプトの説明文に「プレイヤーをサポートしてくれる頼もしい、言わば強力な相棒的存在になる周辺機器を目指しています」と記述されている通り、この“オウルギア”が果たして、プレイヤーにとって本当に強い味方となるかどうか、FPS歴が16年目になった筆者が見てみようと思う。あ、もちろん、ひいき目一切なしで見ますんで!

装着感はいかほどか?

 まずは装着感について。これは、ヘッドセットを長時間使用するするゲーマーにとって非常に悩ましい問題。と言うのも、頭の形は人それぞれなので、使用した全員が快適に使用し続けられる保証はない。ゆえに、実際に使用してみない限り、なんとも言えないというのも事実。ということで、あくまでもBRZRKが実際に使用した感じでのレビューということを前提とし、参考程度に見てもらえればいいだろう。

 最初の装着感はズッシリとしており、フィット感はかなり優れていると言っていいだろう。ヘッドバンドを耳の位置に合わせておけば、多少の頭の動きでヘッドセットがズレ落ちるといったこともなくフィットする。

 イヤーパッドは2種類用意されていて、デフォルトで装着されている人工皮革タイプと、付属品のメッシュタイプがある。人工皮革タイプは硬めで、ヘッドセットを装着したときに、耳がスピーカー部分に潰されにくくなっている。メッシュタイプは、人工皮革タイプに比べて少し柔らかめで、人によっては耳が接触し、潰されるというか押される感じを受けるかもしれない。個人的には、耳がスピーカーと触れにくい人工皮革タイプのほうが、変な圧力を耳に感じなくて済むので好みといったところ。

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▲週刊ファミ通編集部の編集部員がオウルギアを装着してみたところ。イヤーパッドは人工皮革タイプ。

 装着感の項目の最後に、側圧について書いておこうと思う。側圧というのは、早い話がヘッドセットを装着しているときに、頭に対する圧力のかかりかた、つまりキツさのこと。長時間ヘッドセットを利用するプレイヤーにとって、もっとも問題となるのが側圧で、人によってはすごくストレスを感じるし、頭痛につながるケースもある。

 “オウルギア”のサイトには、「長時間つけていてもストレスがたまらない」と書かれている。実際に装着してゲームで遊んだり、音楽を聞きつつ本原稿を書いたりと、テストを重ねてみたBRZRKなりの使用感を書かせていただくなら、「短時間ならいいけど、長時間の使用だと側圧がキツイ」といった感じだった。イヤーパッドが当たる耳の周辺に横からの圧力をけっこう感じてしまうため、接触面がすごく気になってしまうし、長時間の装着は限界を感じた。これはメッシュタイプに付け替えても印象は変わらず、やはり側圧によるストレスは感じた。とはいえ、これは前述した通り、BRZRKの頭の形においての使用感であり、個人差が非常に大きいため、あくまでも個人的な感想である。まぁ、適度に休みながら使用するぶんには問題なかったしね。

音質はどんな感じだろうか?

 つぎに、音質について触れていこう。とは言うものの、あまり自分が音関係に詳しくないので、あくまでも雑感という感じだが。“オウルギア”のヘッドセットから伸びているケーブル上には、音量調節用のダイヤルやチャット音量を調整するボリューム調節リモコンが付いている。このユニットから伸びているUSBプラグをゲーム機のUSB端子に接続することで、ヘッドセットとして機能し、本製品の目玉機能でもあるBASSブースト(低音域を強調する機能)が利用可能になる。

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▲ボリューム調節リモコン。

 デフォルトの状態の音でいくつかのFPSを遊んでみたのだが、個人的には音が非常に軽いというか、シャリシャリとした高音が気になった。しかし、BASSブーストを効かせてみると、低音域が広がりを見せ、銃声や爆発音が一気にゴージャスに。とくに、間近での爆発音などは、BASSブーストの有無でシーンの印象が大きく変わるレベルだった。これは正直なところ、BASSブーストをオンにしたままでもいいかもしれない。

 ゲーム中に気づいた点としては、鉄の上を歩いた状況で発生する、音域が高めの足音は、BASSブーストの有無にかかわらずよく聞くことができる、ということ。ただし、土の上を歩く場合の“ザッザッ”という足音は、BASSブーストがあったほうが聞き取りやすかった。ただ、この点も聴覚は人それぞれなうえに、遊ぶゲームによってサウンドエフェクトの具合が異なるので、あくまでも参考程度に。もし、本製品を実際に手に取る機会があるならば、テクノ系の音楽でBASSブーストの効果を聴き比べてみるといいかもしれない。キックの音の広がりが、あまりにも違いすぎるので驚くだろう。

ボイスチャットはどうだろうか?

 ボイスチャットでも実際に使用してみたところ、この“オウルギア”が原因なのかどうかはわからないが、Xbox 360では、通話相手からノイズが乗っているとたびたび言われた。どうやら、声といっしょに「ビー」という小さな音が聞こえるそうだ。ためしにコントローラーをいくつか付け替えてみたのだが、これは改善されなかった。つぎにプレイステーション3でも試してみたところ、かなり音質はよく、キレイに聞こえていた。おそらく、使われているコーデックの影響が大きいのだろう。また、Xbox 360のときに生じていたノイズは、プレイステーション3だと発生しなかった。

 さて、ここを読んでいる読者の中には、ゲームの音量とボイスチャットの音量の差について、ヤキモキした人もいるだろう。ゲーム側の音が大きすぎたり、逆にボイスチャットの音量が小さすぎたりして、ボイスチャットの声が聞こえにくいと、敵の居場所や、状況について味方が報告をしていても、聞き漏らしやすくなってしまう。そこで重要となるのが、ヘッドセットのケーブル上に配置されているボリューム調節リモコンだ。

 このリモコンには、ゲーム側の音量ダイヤルとボイスチャット側の音量ダイヤルが個別に用意されており、音の大きさを自由に変化させることができる。つまり、ゲームの音量は少し小さめに設定して、ボイスチャットの音量を大きめに設定するといったことが可能だ。しかも、ゲーム機側の設定をとくに操作する必要もないので、状況に応じてサッと変えることができる。これは超便利だ。

 この機能は、海外製の高価な家庭用ゲーム機向けヘッドセットでも採用されているのだが、同等の機能を別途アンプを必要とせず利用できるのはありがたいと言える。むしろ、ほかの会社も真似すべきだ。
 ただ、リモコン自体が少し大きいので、人によっては煩わしく思うかもしれない。こう、ブラーンとぶら下がっている状況がね。ただ、ユニットにはクリップが用意されており、衣服に留めれば気にせずに済むかな?

実際に使ってみたわけだが、ぶっちゃけどうかというと……

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 はい、そんなこんなで実際に10日間ほど“オウルギア”を触ってきたわけなんですが、海外製の20000円以上するヘッドセットと比べれば、かなりコストパフォーマンスは高いんじゃないかなと思います。ただ、僕の場合は側圧がきびしいと思ったので、長時間の使用には耐え切れず、ゲームを遊ぶときと、遊ばないときで、別のヘッドフォンと切り替えたりしていました。

 また、音質に関しては、高音域がけっこう目立ってしまうので、耐えられる人と耐えられない人が大きく分かれそうな印象。BASSブーストを使用すると、高音域のシャリシャリ感は少し抑えられるけど、こういった音がダメな人には、きびしい環境となるかもしれない。

 そうそう、銃声の方向を始め、FPSを遊ぶうえで重要となる、音の聞こえる方角は判断しやすかったです。この点も、値段より得られるパフォーマンスは少々上かもしれないかなぁ。ということで、「20000円以上する高額なヘッドセットは購入する気になれないよ!」という人や、「10000円を切る価格帯で、いわゆるミドルクラスのゲーム用ヘッドセットが欲しい」という人は、ぜひ手に取ってみることをオススメします。

【筆者紹介】
BRZRK
週刊ファミ通やファミ通Xboxに“スオミ松崎”名義で執筆していた、FPS歴16年のフリーライター。ファミ通.comにてブログ“BRZRKのうるせー洋ゲーこれをやれ!(仮)”(→こちら)を連載中。