ともに戦ってくれるキャラクターはファング以外にも存在
スクウェア・エニックスから2013年11月21日発売予定のプレイステーション3、Xbox 360用ソフト『ライトニング リターンズ ファイナルファンタジーXIII』。2013年8月21日からドイツ・ケルンで開催された欧州最大級のゲームイベントgamescom 2013に『ライトニング リターンズ ファイナルファンタジーXIII』も出展され、最新トレーラーも公開された。ここでは、ファングとの共闘シーンやサッズの登場など、見どころ満載の最新トレーラーについて、ゲームデザインディレクター阿部雄仁氏に現地でうかがった話を、最新の画面写真とともにお届けしよう。
――gemescom会場では、試遊台に多くのファンが詰めかけていました。
阿部 まだ初日のショーフロアしか見ていないのですが、試遊台のすべてに人がいて安心しました(笑)。
――gamescom自体は阿部さんは初めてですか?
阿部 はい。欧州に来たこと自体が初めてです。ケルンはいい街ですね。
宣伝M 上国領(アートディレクターの上国料勇氏)曰く、光都 ルクセリオの大聖堂はケルンの大聖堂をモチーフにしてデザインされているとのことなんですが、改めて実物を見ると、大聖堂のディテイルをしっかり取り入れて作っているのがわかりました。
――取材対応でお忙しいと思いますが、欧州のプレスからはどんな質問が多いのですか?
阿部 答えに困る質問が、「本作のいちばんいいところはどこでしょうか?」というものなんですけど、『ライトニング リターンズ ファイナルファンタジーXIII』に限らず、僕がデザインするといつもそうなるのですが、ポイントで語り辛いというか、トータルでプレイしてほしい、という話しはしています。
――『ライトニング リターンズ ファイナルファンタジーXIII』は、E3(アメリカ)はもちろん、JAPAN EXPO(フランス)、Comic‐Con(アメリカ)など、海外プロモーションも積極に行われている印象があるんですが、これまでの海外での反応はいかがですか?
宣伝M イベントでの出展以外にも、海外プレスに触っていただく機会を設けて、いろいろと意見していただきました。海外の方は厳しい意見を直球でおっしゃるので、グサッとくることもあるのですが(笑)、なるほどな、と思ったところは作品にフィードバックしています。
――では、gamescom 2013トレーラーについて伺います。E3のトレーラーはスクウェア・エニックスの北米チームが、JAPAN EXPOは欧州チームが作ったとうかがいましたが、gamescomトレーラーも欧州チームが?
宣伝M そうですね。北米チームとはテイストが違う、ストーリーラインもしっかり見せる作りになっていて、双方の内容の違いはおもしろいですね。
――ライトニングがファングといっしょに戦うシーンがありましたが。
阿部 あることをきっかけにいっしょに戦うことになります。ファングは完全にAIで動いていて、基本的には独立して行動するのですが、ときどきライトニングに追従したり、反応して専用の攻撃をしたりといったことを自動でやります。
――ということは、プレイヤーからファングに対して何かすることはできない?
阿部 はい。
――どういうシチュエーションで共闘することに?
阿部 本作は、時間の進行によってできることとできないことが出てきますので、(ファングが登場する)デッド・デューンの攻略は、彼女がいるうちにやっておこう、というのはテストプレイヤーや自分も周回プレイをする際は気にしてやっています。
――人によっては、ファングと共闘できないケースも?
阿部 クリアーするプレイができていれば、一度はいっしょに戦うことになります。
――ファング以外のキャラクターともいっしょに戦うケースもありますか?
阿部 どのキャラクターとは言えませんが、いっしょに戦ってくれるキャラクターはファング以外にもいます。
――そもそもクリスタルとなったファングがなぜ復活しているんでしょうか? また、ヴァニラも復活している?
阿部 詳しくは鳥山から聞いていただきたいのですが、物語の流れ的にはファングはライトニングよりも先に復活していたような……。ヴァニラも先日のプレコミュでチラッと……。
――竜騎士のようにジャンプしたり、格闘ゲームのような攻撃モーションをくり出しているシーンもあるなど、ウェア個々にバリエーションに富んだ攻撃パターンがあるようですね。
阿部 特定のウェアには、専用のアビリティがついていて、トレーラーでキックをくり出しているのは、あのウェア専用の攻撃になります。ジャンプはウェアではなくて、槍を装備すればジャンプが可能になります。
新ウェアハートスティーラー
――前回のトレーラーでシーンドライブ(※)の映像も公開されました。
※バトルに勝利したときに手に入るGP(グローリーポイント)を消費して発動する特殊技、GPアビリティ。本作では、ライトニング以外の時間の流れを遅くするGPアビリティ“オーバークロック”の使用中にのみ実行可能となり、3種類のウェアをつぎつぎと切り換えながら、敵を斬り刻んでいく大技に進化。
阿部 シーンドライブでは、3種類のウェアのパラメーターがそのまま、そのときの攻撃力になります。3つのウェアの組み合わせは自由なんですが、シーンドライブの攻撃力を上げようとすると、防御のパラメーターは足枷になってしまうので、どこに重きを置くか考えていただければ。本作のシーンドライブは、『XIII-2』のシーンドライブの延長上にあります。また、シーンドライブを発動すればHPも回復しますので、(本作では貴重な)ポーションの節約にもなります。
――ウィルダネスの様子も公開されました。昼夜の違いも見られましたが、昼夜でどんな変化があるのですか?
阿部 夜のほうが大きなモンスター、つまり強いモンスターが登場します。また、昼夜で拾えるものが違ってきたり、通れる場所が変わってくるので、夜でなければ発見できない場所もあったりします。
宣伝M ウィルダネスは、今回公開したサッズやモーグリなどこれまで登場してきたキャラクターが登場する場所にもなります。
――発売まであと3ヵ月を切りました。
阿部 早いですね(笑)。今回は、ずっと突っ走ってきたような気がします。いま最終的なデバッグ中で、こちらにいるあいだも連絡を受けているんですけど、その連絡も少なく、問題なく進んでいるようです。
――本作は、順調に開発が進んでいたようにも見えたのですが。
阿部 そうですね。ただ、今回は商品として磨き上げるまでが難しかったですね。というのは、開発当初は私の目指していたものが、尖り過ぎていたというか。スタッフやテスターなどの意見を取り入れて丸くしていきつつも、尖った部分も残したい。その試行錯誤の部分がたいへんで、その試行錯誤にともなう作業でユニットのリーダーたちには迷惑もかけてしまいました。スタッフたちは(阿部氏に対して)言いたいこともあったと思いますが、そこをグッと飲み込んでついて来てくれたことに感謝したいです。そういったことを経て、いまのデキにつながっていると思います。
――本作の内容に関しては自信あり、と。
阿部 はい。当初目指していたものとは違うものにはなっているのですが、スタッフが柔軟に対処してくれたおかげで、実現したいことを吸収しながら、いまの形になっています。その内容にはすごく満足しています。
――たとえば、どういった点が開発当初から変わったのですか?
阿部 プレイ時間は変わりましたね。当初は20時間くらいのボリューム想定だったのですが、少し前にテストプレイをしてたところ、1周目のクリアーに50時間くらいになっていて、いままでの『ファイナルファンタジー』シリーズ同様のボリュームになりました。
――周回プレイを想定した作りも変わらず?
阿部 そこは変わっていません。イベント等をスキップしていけば、クリアーまで20時間くらいでしょうか。
宣伝M 本作ではクエストをクリアーするとライトニングのパラメーターも上昇して成長していきますので、サイドクエストも重要になってきます。クエストをどんどん消化してライトニングを強くしてから進めるか、サイドクエストはやらずに必要最小限のクエストだけでクリアーを目指すか。人によって進めかた、遊びかたに差が出てくると思います。
阿部 低レベルクリアーを目指したい人向けに、あるものも用意していますので、それも利用して楽しんでほしいですね。
――gamescomのあとは、いよいよ東京ゲームショウですね。ちなみに、先日行われたプレコミュ体験会(→こちら)はいかがでしたか?
阿部 どこで詰まったか、というのをピックアップして、そこに徹底的に手を入れました。私たちからすると、わかりやすくしたつもりだったのですが、やはり作り手だと慣れてしまっていて気づかないポイントを指摘していただいて、ありがたかったです。プレコミュの開催時点では、完成度は95%くらいだったので、あまり手を入れられないかなと思っていたのですが、スタッフも「手を入れましょう」と言ってくれて。より手触りのいい作品になったと思います。
――では、最後に東京ゲームショウへ向けて、ひと言お願いします。
宣伝M 東京ゲームショウでは、まだ公開していない、あのキャラクターもご覧いただけると思いますので、お楽しみお待ちください。
阿部 『ファイナルファンタジー』という作品としては、独特なプレイ感覚を楽しんでいただける作品になっていると思います。興味のある方は、ぜひ東京ゲームショウで触れてみてください。