気になったら次回開催で体験すべし!

百聞は一Riftに如かず! ゲーム世界に入れるVRデバイス“Oculus Rift”体験イベントOcufesリポート_01

 「8月4日、俺はついにディスプレイの向こう側に行き、ミクさんのライブを最前列で独り占めして、進撃してくる巨人の合間を立体機動ですり抜け、1000メートルの崖からアイキャンフライし、ドラゴンに乗った次には、宇宙空間を漂って太陽系の星々の大きさを実感していた」なんて言ったら、とうとうこいつ頭がイッたかと思うかもしれない。でもこれは本当のことなのである……。

 8月4日、秋葉原のハンバーガーショップ“RM burger&break”で、有志によるVR(仮想現実)デバイス“Oculus Rift”の体験イベント“Oculus Festival Japan”(Ocufes)が行われた。

 Riftがどんなものかについては開催前に書いた記事を参考にしてほしいが、あらためて簡単に説明すると、このデバイスは3Dヘッドマウントディスプレイに、頭の動きを検知するヘッドトラッキングセンサーを合体させたもの。一人称視点の3Dゲームで、自分の顔の動きに応じて視界も動く、まるでCG世界の中に入ったかのような没入感のある体験ができる。

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▲ドラゴンにも乗れるんだぜ。いやホントーにいろんなデモがあって、それぞれ異なる体験ができるのがおもしろい。海外では商用ゲームの対応表明なども進んでいるが、Ocufesではそれら通常のゲームを後から対応させたものとはまた違う、Riftの魅力を端的に削り出した体験が可能だ。
▲カメラ2基と合体させたRiftでテンションが上がる記者(バカ)。視差がつくので、自分の前の現実世界が3D立体視で見える。裸眼(ナチュラル立体視)で見ろよと思うかもしれないが、この手法の先には、自分の場所から実際に見える現実世界にCGを合成する高度なAR表現があるわけです。

 よく誤解されがちなのだが、この“ヘッドトラッキングセンサーで頭の動きに視界が追従する”ことが重要で、Riftでのゲームプレイは、ただの3Dヘッドマウントディスプレイで遊ぶのと比べて、一段階上の没入感が得られる。なぜなら普通の3Dヘッドマウントディスプレイでは、3D立体視による実在感は得られるが、視界操作はコントローラーで行うしかないからだ。

 ただでさえFPSなどの一人称視点は、一般的に三人称視点よりも没入感がある表現だとされる(バイオショックシリーズなど、多くのFPSを手掛けてきたケン・レビン氏へのインタビューを参考にされたし)。Riftの場合はこれに3D立体視と視界追従がつくわけで、一人称視点の没入感+3D立体視によるキャラクターや世界の実在感+ヘッドトラッキングセンサーによる視界追従の一体感という、没入感のトリプル体験ができるのだ。

 ……と、ここまで理論による説明を行ってきたわけだが、百聞は一Riftに如かず。この高度なVR体験を表現する言葉をまだ我々が持っていないので、理論で説明するしかないのである。一度実際に体験して「あー!」とか「オォ!」とか「いる!」とかうわ言のように言いながらアッチの世界にダイブしたほうが、何万字の文章よりも魅力がわかることだろう。
 以前も書いたように、これは、ドット絵やチープな3DCGの向こうに凶悪なモンスターを見出した頃、コーナリング時に思わず身体を傾けてしまった頃から我々が失ってしまった“ゲームの魔法”を取り戻すレベルの全身体験なのだ。

 じゃあ、どこで体験すりゃいいのか。Riftは開発機が一般販売されているのでOculusから購入すればいいのだが、手っ取り早いのはもちろんOcufesである。Ocufesは国内開発者有志の参加・協力により、さまざまなRift専用ゲーム&プログラムが出展されているので、冒頭に書いたような実に多種多様な体験ができる。既報の通り10日も“RM burger&break”で開催されるほか、主催者に聞いたところ、好評につき、それ以降の開催も検討中とのこと。お近くの人はぜひこの機会にディスプレイの向こう側にダイブしてみてほしい。

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▲全員ミクファンとかハードなガジェットマニアとかいうこともなく、参加者の属性は割とバラバラな感じだったので、細かいことは気にせず、気になったら参加するとよろしいんじゃないでしょうか。

Riftあるある&より安全かつ効果的にダイブするためのTips

 というわけで「この文章でわかった気になるくらいなら次回開催に行け!」という身も蓋もない結論を出しつつ、注意点などをまとめておこう。

■メガネは気をつけて
 ヘッドマウントディスプレイをかぶることになるので、装着時に気をつけたほうがいい。裸眼でそこそこ見える人は裸眼で、コンタクトにできる人はコンタクトにしておくと、かぶる際に手間取ったり、機器を傷つける危険もなくスムーズに体験できる。

■まぁ解像度の問題はある
 現状のRiftは開発機なので、ヘッドマウントディスプレイ内部の液晶のドットが余裕で見えるぐらい粗い。正式リリース時にはさらなる高解像度化が予定されているので、それはそれとして体験しよう。一度画面の粗さを忘れてしまえば、夢の様な世界が待っている。その先の可能性を感じようぜ!

■VR酔いがあるのを知っておこう
 それだけで講演が行われるほど真面目に研究されているのだが、“VR酔い”と呼ばれる現象がある。ただでさえFPS酔い、3D立体視酔いがあるので、この手の視覚的刺激に弱い人は注意されたし。ちなみにVR酔いがひどくなる条件が揃うと、FPSや3D立体視に慣れた人でもぐらんぐらんになる。

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▲ゲーム内で左後方に向こうとしている記者の図。カメラに向かってポーズしてるのではない(某誌編集者が撮ってくれたのだが、こんなアホづらで撮られていることには気付いていなかった)。

■足元&回転しすぎに注意
 視点移動とは別にコントローラーなどで回転移動をサポートすることもあるが、ものによっては、首を回転させることで回転移動の代用にするプログラムもある(要は右向け右をキーボードやコントローラーでも操作できるか、本当に右に向かなくてはならないかの違い)。

 体験時は足元に荷物などを置くと思うが、視界が完全にふさがれているので、回転している内につまづいてコケないよう、自分とはちょっと離れた場所に置くのがオススメ(とはいえスタッフの皆さんは荷物の管理まではしてくれないので自己責任で。10日に同人誌を山盛りで持っている人などはコインロッカーなどを使って荷物を減らしてくるのがいいだろう)。

 また、回転し過ぎると身体にRiftのケーブルが巻き付いていくし、動き過ぎると周囲の人にぶつかったり、ケーブルが抜けちゃったりしかねない。Ocufesではスタッフの人がある程度ケアしてくれるが、興奮しても移動や回転はほどほどに(ちなみにRiftのケーブルが首に巻き付いて死にかねないというのは、海外の講演でも真面目に話される定番ネタ)。

■外から見て奇行&アホづらになるのは覚悟
 まぁそんなわけで、自分はアッチの世界にダイブしていても、周囲は現実世界のままだ。完全にアブない人に見えたり、結構な確率で口がポカンとあいたアホづらになってしまったりするが、それは一時の恥と覚悟して体験しよう。ちなみに、プレイ中の画面はデモ用のPCのモニターにも出ていたりするので、自分とキャラクター以外誰もいないと思ってキワどい所を凝視していたりすると、周囲の人にはまるわかりだ。

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▲口がなぜかポカンと開くのが基本。画像は参考用。レイキャビクで行われたEVE Fanfest 2013で撮影。

■入場料はかからないけど注文しようぜ
 少なくとも10日の開催は入場料無料。とはいえお店の一角を借りての開催なので、気になるデモの整理券をもらったら、待ち時間などはお店のドリンクや食事を食べて過ごそう。ちょっとした値段ではあるが、メイドさんが焼いてくれるバーガーがマジでウマい。

■プレイの前には清潔に
 デモ機のRiftはすべて関係者が持ち込んだ私物。みんなが快適に使えるよう、デモ前にはスタッフの指示をよく聞き、手を消毒&ウェットティッシュでRiftが接触する顔の周囲を拭いて清潔にしよう(どちらもデモ機の近くに置いてある)。

(取材、執筆、編集:ミル☆吉村)