榊原ゆいが作り上げるライブの魅力が詰まったBD+DVD!

 声優、アーティストとして活躍する榊原ゆい。彼女の誕生日当日である2012年10月13日に行われたバースデーライブ“Happy★LOVE×Live2012”の模様を収録したBlu-ray+DVD(2枚組)が、2013年6月26日にリリースされる。榊原のライブととしては初のBlu-ray化ということで注目を集めるこのライブBlu-ray+DVD。その魅力について、またライブの裏側について、榊原に語ってもらった。

榊原ゆい初のライブBD+DVD『Happy★LOVE×Live2012』について直撃インタビュー_04
■榊原ゆい
榊原ゆい初のライブBD+DVD『Happy★LOVE×Live2012』について直撃インタビュー_01

■進化し続けるライブ

――まずは先日の春のライブ“Battle★LOVE×Live 2013”はいかがでしたか?
榊原ゆい(以下、榊原) 盛り上がりましたねー。投票結果がその場で聴けるライブだったので(※ファンの投票でセットリストが決まるという企画のライブ)、前奏で「おおおお!」みたいな反応が返ってくるというなかなかないライブでした(笑)。独特の盛り上がりかたでしたね。

――榊原さんのライブは毎回楽しいですよね。いろいろなネタが仕込んであって。
榊原 いやぁ、もう毎回ネタを考えるのがたいへんで(笑)。

――今回Blu-rayになる“Happy★LOVE×Live2012”も8回目でしたもんね。
榊原 そんなにやっているとネタが尽きてきちゃって本当にたいへんなんです。毎回、そのときの全力を入れ込んじゃうので、「来年大丈夫かな?」っていつも思うんですよね(笑)。ここで出し過ぎて、来年ちゃんとできるのかなって。でも、いつもそれをくり返して、何とかここまできています。

――つねに進化していると感じます。ダンサーさんだけではなくて、バンドメンバーが加わったり。
榊原 バンドも全曲とはいかないんですけれども、新しい試みをつねに行っていますね。私の歌っている曲は作家さんがバラバラなので、バンドじゃないほうが世界観がしっかり出る曲もあるので、曲の特徴を考えながら、バンドで演奏するものとそうでないものを選んでいます。長年、私のライブに足を運んでくれている人も、いままでのレギュラー曲だったものがバンドの音で聴くとまた違ったものになったりするので、新鮮な気持ちで楽しめるんじゃないかと思います。バンドさんを入れたことで演出が増えて、盛り上がりのひとつになりましたね。

――でも、改めていままでにないバンドを入れるというのはたいへんなんじゃないかと思います。
榊原 そうですねー。バンドになるとアレンジがちょっと違ったり、使っている音が違ったりするんですよ。そうなると、たとえば手をダンって広げるところのきっかけがわからなかったりして、ダンサーちゃんたちと「いまのどれ!?」ってなっちゃって(笑)。そこはバンドさんと「いまのドンは必ずください」と話し合ったりしながら作り上げていっていますね。

――バンドさんとダンサーさんで合わせるって言っても生のものですから、当日になってやっぱり違うみたいなこともありそうですよね。
榊原 しかも、何回も合わせることができるわけではないので、最終的なゲネプロのときに初めて生音を聴いて、「おっ!」みたいなことがあったり(笑)。そこでまた打ち合わせをして。「最後の終わりかたはピシッと止まる原曲の方向で」と伝えたりとか。振り付けの照らし合わせはバンドさんが入ったときには必須ですね。

――ダンサーさんも曲ごとに振り付けつける人を変えたりして、それぞれの個性が出ていたりしますが、あれはどうやって決められているんですか?
榊原 そのときどきなんですけれど、曲を聴いてもらってどの曲の振り付けをしたいか立候補制にしています。

――立候補制なんですね(笑)。
榊原 フィーリング的に自分がこの曲をやりたいなというのがあったら、第1希望、第2希望を書いて提出してもらうみたいな流れです。被らなければ第1希望をそのままお願いする感じで。被ったらジャンケンで決めて(笑)。みんなけっこうどの曲も好きになってくれるので、楽しんでやってくれていますね。最近は私が振り付け担当することが多いので、そういった企画はあまりやれていないんですけれども。

――榊原さんの曲の中には、おもしろ系のダンスもあるじゃないですか。ああいうのは、榊原さんが?
榊原 おもしろいのは私が担当なので(笑)。どうしてもダンサーちゃんが振り付けをするとカッコよくなっちゃうんですよね。それはそれですごく助かるんですけれど、おもしろい振りはさすがに難しいみたいなので、私がやってます(笑)。

――そういう理由だったんですね(笑)。
榊原 変な動きってなかなかクセモノなんですよ。私はどっちかというとそっちのほうが得意なので(笑)。

――(笑)。この“Happy★LOVE×Live2012”でいちばんこだわった部分というのは?
榊原 今回は、タイミング的に“和”がコンセプトになっています。以前からちょっと和的なものをやりたいなと思っていたところに、『あっぱれ! 天下御免』や『恋するコトと見つけたり!』という、ヒロインが和なテイストのゲームがたまたま重なったんです。それでタイミング的にここだなと思って。表題曲も“和”テイストなものにして、全部を“和”にはもちろんできないので、“和”が強いコンセプトのアルバムを作りました。毎回、アルバムがあってのバースデーライブなので、ライブのほうも過去に歌ってきたなかで“和”が入るような曲を集めたりして作り上げていきました。あとは初の試みの寸劇(笑)。

――あれはビックリしました(笑)。
榊原 ですよね(笑)。かっちりとした舞台というよりも、文化祭みたいな感じ。手作り感満載というか、抜きどころ満載な感じですかね。「さっきまでカッコよく歌ってたじゃん!」みたいな。カッコイイところ、ポップでキュートなところ、そしてアホなところというか(笑)、芸人気質な私ならではの緩急をつけたつもりです。全部張りつめるんじゃなくて、抜きどころがあるのが榊原かなって。

――寸劇部分でたいへんだったところはありますか?
榊原 SEやBGMを自分で作ったところですかね(笑)。まず、メーカーさんから『あっぱれ! 天下御免』で使われていた銀シャリ号という馬の蹄の音とか、BGMをいただいて。台本も自分で作ったんですけれど、その台本を読み進めながらBGMをフェードアウトさせる尺を計っていくという(笑)。自分で台本を読みながら音を入れました、全部。このBGMは何回ループさせて、曲が終わったらもうトークは終了しなきゃいけない合図だ、みたいなことを自分でチェックして編集して。いったい何をしてんだっていう感じで(笑)。

――寸劇には、そんな苦労があったんですね(笑)。
榊原 意味がわかんないですよね(笑)。手作りで銀シャリ号を作ったりとか、目安箱を作ったりして。

――悩み相談も相当ざっくばらんな、切って捨てるみたいな感じでした。
榊原 悩みを聞く気があるのか的な(笑)。ライブが始まる前夜祭的なラジオでもお悩みを聞きつつ、ライブでは『あっぱれ!』の吉音でキャラクターのまま適当な感じでお悩みを聞きつつ、そのあとのアンコールのVTRでラブトラちゃんがお悩みを聞きつつみたいな、参加型の要素も少し交えてみました。悩み相談を聞く相手もそれぞれで違うので、どこで採用されたかによって榊原のどのキャラに答えてもらうかっていう(笑)。そうやってお客さんに参加して楽しんでもらうところも作りながら、いろいろな要素を散りばめたライブになっています。

――そういったところも今回のBlu-rayには収録されているんですか?
榊原 入ってますねー。今回、初のBlu-rayなんですよ。だから実際に編集をしながらBlu-rayってこんなにキレイなんだって感じていました(笑)。ちょっと、イヤンみたいな。

――Blu-rayで寸劇が残るというのも想定外だったのでは(笑)?
榊原 まさかのBlu-rayですよね(笑)。着ぐるみ(※ラブトラちゃん)で歌っているのがBlu-rayで残ると思っていなかったので油断していて、着ぐるみの首の通称ロマンって言うもけもけ部分の毛が取れてザラザラだったんですよ。修復しとけばよかったなぁと後悔しました(笑)。でも、カッコいいところもあり、ネタなところもありで、今回もバラエティーに富んだライブになったなと思いましたね。

榊原ゆい初のライブBD+DVD『Happy★LOVE×Live2012』について直撃インタビュー_02

■映像としての見どころ

――映像的な見どころはありますか?
榊原 バンドさんとダンサーちゃんがいっしょに出てくるときの迫力がすごいですよね。映像で観るとステージ上にいる人数が違うから、すごい迫力で(笑)。あとは会場の空気というか……。もちろん生がイチバンいいんですけれど、たまにお客さんが映るときがあって、それって私からの視点なんですけれど、みんなが映ったときに本当に楽しそうな笑顔をしているんですよ(笑)。それがすべてだなって思います。私はずっとステージから見えているんですけれど、お客さん側からは見えないじゃないですか。あの空気を知ってもらえるのは素敵ですよね。「みんな楽しそうだな!」みたいな(笑)。映像に残るって意味があることなんだなと感じます。

――お客さんが見える部分というと、榊原さんがラブトラちゃんのコスプレをして客席のほうから出てきたシーンというのが注目度が高いのかなと。いちばんお客さんが映り込みそうですし。
榊原 あのときのみんなの“ビックリ”もあるし、“うれしい”もあるしみたいな顔は忘れられませんよね。あの顔が見たくてやったので(笑)。狙い通りの顔をしてくれていました。中には“HAPPY BIRTHDAY”の帽子を用意してくれていた人がいるんですけれど、私が出てきた瞬間に、「うわわわわ」って慌てて被ってくれたりとか、みんなの慌て具合というか、「まさかそこから出てくると思っていない」という気持ちが映っていて楽しいです。私自身、編集をしていても楽しかったですね。

――あの演出はライブハウスではできない、ホールだからこその演出なのでファン的にはホントにうれしかったんじゃないかと思います。
榊原 通路がちゃんと確保されているところじゃないと、なかなかできないんですよね。後ろのほうの人はスクリーンでしか見れない部分というのがあると思って、ちょっとでも後ろに行ってあげたいっていうか。演出も兼ねてそういうことができる年があってもいいのかなと思って入れたものです。

――あとは、個人的にはパーカッションの方がかなりいい味を出していた印象を受けました。
榊原 バンドメンバーの中で、いちばんネタになる人なんです(笑)。田中さんというんですけれど、編集をしながら何回か笑っちゃったところがあって。田中さんはタンバリンを持っている場面が何ヵ所かあるんですけれど、バンドさんにはそれぞれに立ち位置があるんですね。ギターなどはアンプとつながっているので立ち位置から離れても大丈夫なんですが、パーカッションは自分の立ち位置のところにマイクが立っていて、そのマイクで音を拾っているんですよ。それが『恋愛0キロメートル』のときに、やたらバンドさんが盛り上がりすぎちゃって、はっちゃめちゃになってるんですけれど、田中さんが前に出てきちゃっているんです。当然前にでるとタンバリンの音がまったくマイクで拾えてないっていう(笑)。ただのカラオケ屋で盛り上がってタンバリン叩いてるおじさんみたいになっちゃっていて(笑)。そこに大爆笑しちゃいました。ライブの写真でも私より前にいってる写真があったりとかして、もうマイク関係ないじゃんみたいな(笑)。そういうところも注目ですね。

――すごい存在感ですね(笑)。
榊原 そうなんです(笑)。ほかにも私が会場を「こっちの席ー!」と言いながら煽っている場面で、女子席のときだけ、私が「女子席ー!」って言ったあとに、田中さんがシャラララララン♪って音を入れているんですよ。あまりにも芸が細かすぎて、編集してるときに笑っちゃって(笑)。そういう本当に細かいネタが満載なので、隅々まで観ていただきたいなと思います。あと、私的にイチオシなのが『れっつごー! Modulation』。映像的にはオーディエンスの声があまり大きくはないんですけれど、会場では本当にすごくよく聞こえたんですね。しかも、みんな合いの手を全部覚えていて、この曲のコールってけっこう量があってラップ調の部分もあるんですけれど、それも全部覚えていて、みんないっしょに言ってくれているんですよ。私自身、そんな状況を想定していなかったので、歌いながら「なんでこんな覚えてきてくれてるんだ、この人たち(笑)!」って笑いそうになっちゃいまして。それは本当にうれしかったし、あまりの声のデカさと正確さに笑いそうでした(笑)。これもみんなの愛だなぁって。

――『れっつごー! Modulation』などの曲は、アルバムに収録するときもお客さんの声を聞いて入れたということでしたよね。
榊原 もともとデモムービーで聴けるショートバージョンのものしか世に出ていなかったんですよね。そうしたらファンの皆さんから「歌詞も気になるし、フルバージョンが聴きたい!」という声が上がってきたので収録したんです。

――ファン的にはそういう経緯もあって、ゆいにゃんが俺たちの声を聞いて応えてくれたんだったら俺たちも全力でいかないと、みたいな気持ちがあったんじゃないですかね。
榊原 そうですねー。うれしかったです。『黒い花』もそうだったんですよね。『ひぐらしの哭く頃に雀』の曲なんですが、これもショートバージョンしかなくて、「いつかフルバージョンでどこかに収録されないんですか?」という声があって。そういった曲も披露しつつのライブになったので、楽しんでもらえたんじゃないかなと思います。

■これからの榊原ゆい

――それでは今後の活動で、こんなことがしていきたいというものはありますか?
榊原 いろいろやりたいことはあります。いままでは、その年々でやりたいことをどんどんやっていくという形で来ていたんですけれど、今後は私がやりたいこともやりつつ、お客さんの意表をつくようなこともしていきたいと思っています。

――それは具体的にはどんな?
榊原 パフォーマンスだったり、魅せかただったり……、たぶん“Happy★LOVE×Live2012”のようないろいろな要素が満載になっているものもとても大事だと思うんですけれど、それだけではない、純粋なものというのもとっても大事だと思うので、バランスを取りながら、いろんな榊原ゆいを見せていけたらなとは思っています。

――いまのお話を聞いてふと思い出したのですが、アルバム『Fractal』の発売記念イベントの際に、いろいろな人の意見を聴いて、自分ではやらないようなことも試してみたということを仰られていました。そういったことを経ての成長というか、得られたものがあったということなのでしょうか?
榊原 自分の中で“榊原ゆい”という世界観、形がある程度できあがっているんですけれど、まわりの人の意見を聞いたり、その中から選択していくことによってもやりたいことが広がるかもしれないと思ったんです。選択のヒントがじつはそこにあるんじゃないかと。ちょうど『Fractal』のタイミングが、いろいろな方と関われる時期だったので、いままでとは違った形での作りかたができたというか。まわりから見た“榊原ゆい”という世界観も大事にして作品作りをしていきたいなと、いまは思っています。

――そうして自分自身の世界をさらに広げていっている中で、現在は事務所のプロデュース業というか、事務所の後輩も育てていってと、たいへんじゃないですか?
榊原 そうですねー。早く一人前に成長してほしいです(笑)。でも、これまでひとりでパズルを組み立ててきたことを、いま改めて後輩や生徒たちに教えることで、私も気づかされるというか。こんなことを無意識に考えてやってきたんだなと思うこともあって、私も逆に勉強になっている部分もあります。もともと世話好きなので、がんばって成長してほしいですね。いまは、いろいろな現場を見学させているんです。ライブもそうだし、ゲネプロやリハもそうだし、アフレコもそうだし、レコーディングやPV撮影現場もそうだし、とにかくプロの現場を見て、自分がその場所までいけるかどうかはわからないとしても「プロってこういう仕事をしてるんだ」ということを知るのは、絶対本人にとって何か得られるものがあると思うので、ちょっとでも盗んでいってほしいというか、自分のものにしていってほしいですね。なかなか見学しに行ける機会ってないと思うんですよ。それはウチならではというか。「現場で見て感じろ!」みたいな。そういう部分も含めて楽しんでやっています。

――そういった仕事を始めてしまうと、自分の仕事が落ち着いちゃうのかなとも思うんですが、榊原さんはぜんぜんそんなことないですよね(笑)。
榊原 落ち着かないですね(笑)。何も変わってないです。むしろ、ちょっと増えてるんじゃね、みたいな(笑)。教える身ですが私もまだまだ負けられないですよ。これからもがんばりたいと思います。

――それでは最後に読者の皆さんにひと言メッセージをお願いします。
榊原 なんだか初のBlu-ray化でちょっと恥ずかしいんですけれど、2012年もホントにこの年らしいアルバムに沿ったかなり楽しいライブになったと思います。寸劇などの見どころも満載ですので、これを見て、ぜひ2013年のバースデーライブに来ていただけたらと思います! 2013バースデーライブの最速先行予約ができるシリアルナンバー入りなので、ぜひ今年のライブにも参加してください! 映像も生のライブもいっしょに楽しんでいただけたれば!!

榊原ゆい初のライブBD+DVD『Happy★LOVE×Live2012』について直撃インタビュー_03
榊原ゆい初のライブBD+DVD『Happy★LOVE×Live2012』について直撃インタビュー_05

■榊原ゆい Happy★LOVE×Live2012
発売日:2013年6月26日発売予定
価格:6300円[税込]
仕様:Blu-ray+DVD
発売元/販売元:LOVE×TRAX/メディアファクトリー
【収録内容】
01. Fractal
02. 剣の舞
03. 光
04. 黒い花
05. SINCLAIR(シンクレール)
06. 真夏のCielo
07. Happy Birthday!
08. BE MYSELF
09. 秘密仕掛けのapple
10. ラブこんぷ!
11. pi pi pi☆STRIKE!
12. れっつごー! Modulation
13. 大江戸小町
14. 煌めき一閃
15. 恋愛0キロメートル
16. Sun shower
17. 無重力アリア
18. evolution
19. Scarlet
20. 愛のGUSH!
<アンコール>
En01. 男と女とトラと愛
En02. Jubilus
En03. LOVE☆FIRE!
En04. そして僕は...
En05. ONENESS!