ファンとの交流を楽しむ

榊原ゆい8枚目のアルバム『Fractal』発売記念イベントをリポート_01

 声優・アーティストとして活躍する榊原ゆいが8枚目のアルバム『Fractal』を2012年8月29日にリリース。その発売記念イベントが、2012年9月1日(土)に東京・秋葉原のゲーマーズAKIHABARA本店にて開催された。

 今回の発売記念イベントはトーク&サイン会という内容となっており、登場した榊原は、まずアルバム『Fractal』に関する裏話で盛り上がる。アルバム『Fractal』に関して「ビジュアル的にかなり冒険をしましたね(笑)」と語る榊原。ブックレットやジャケットで使われているドレス姿の榊原は、まるで人形のような出で立ちとなっており、これまでの榊原の作品にはなかった雰囲気だ。それもそのはず、従来のアルバムなどは基本的に榊原が自分の思い描いた理想をいかに実現していくか、というコンセプトで制作されていたが、今回はまわりの意見を取り入れていこうということで制作されたという。そのため、榊原のことを担当したことのあるヘアメイクのスタッフさんにお任せ状態でPVやジャケットの撮影に向かったところ、メイクの雰囲気もふだんと違い、さらに地毛をネットで隠され、最終的に白いカツラを被るという状況に。「これ(ヘアメイク)を踏まえてカメラの前でどうアクションしよう、というのが自分の中でも挑戦でしたね」と撮影の裏側を語った。またPVの撮影では、最後にラメを降らせたということで「私、撤収にいちばん時間がかかっています(笑)」と全身に浴びたラメを取るのに時間がかかったそう。「表面的に見ただけではわからないところですごく工夫しているので、ぜひ(初回限定盤に同梱されているDVDの)メイキングで裏側を確認してほしいです」とアルバムをアピールした。

 そしてアルバム制作に関して、「“フルバージョンの音源がない”という意見を見たので、集められるだけ集めて作りました。ブログやコメントで皆さんからいただいた意見を見て、じゃあやってみようかなと考えたりすることが多いです。皆さんの意見があってこそなので、ぜひ伝えてもらえればと思います」とファンの意見も取り入れながらアルバムを制作しているというエピソードを語った。最後に榊原は、「来年9枚目があるとしたら、次は榊原全開でいきたいと思っているので、また違う形でアルバムをリリースできたらいいなと思っています。『Fractal』をいっぱい聴いていただいて、ライブのほうにも来てもらえれば!」と2012年10月13日に開催される自身のバースデーライブ“Happy★LOVE×Live2012”のこともアピールした。

 トークが終了すると、抽選会へ。ジャンケンを行い、榊原とあいこになった人が勝ち残るという、榊原との相性を試す抽選会となっており、勝ち残った5名にはサイン入りのポスターがプレゼントされた。抽選会のあとは、メインイベントとなるサイン会。ファンと交流を深め、ときに笑い、ときにイベント当日が誕生日だったファンをお祝いしたりと、笑顔の絶えないサイン会となった。なお、イベント終了後に囲みインタビューが行われたので、その様子をお届けする。

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――発売記念イベントは、ひさしぶりとのことでしたがいかがでしたか?
榊原ゆい(以下、榊原) 最近はライブイベントばっかりだったので、皆さんと直に触れ合えるようなイベントというのはひさしぶりでした。しかも、CD発売記念イベントで店舗さんごとに違うことをするというのは、なかなかやったことがなかった試みなので、(両方に参加した方も)どちらも楽しめるイベントになったんじゃないかと思います。抽選でのポスタープレゼントもあまりやったことがなかったので、ファンの皆さんには、これまでにない新たな雰囲気を楽しんでいただけたと思います。

――今回のイベントで印象に残ったことは?
榊原 握手会はレアというか、あまりやる機会がなかったので楽しかったですね。お話できる+触れ合えるということで、手が温かい人がいたり冷たい人がいたり、そういう違いも楽しめて。手を握りながらお話するのってホントに楽しいなと思いましたね。ただ皆さん、すごく緊張されていたみたいですど(笑)。「(頭が)真っ白になって何を言っていいかわかりません」と仰る方もいたり(笑)。そういったやりとりができるのがイベントの醍醐味だと思うので、ライブではない、声を掛け合えるイベントというのもいいな、と改めて感じました。

――アルバム表題曲の『Fractal』は、どんな思いで作詞・作曲されたのでしょうか?
榊原 作曲に関しては、アルバムを作るに当たってまず作曲のチームを組ませてもらいました。メロディーラインはいままでにやったことがないような“和”で“ロック”という感じにしようということで、カッコよすぎてもダメだよねと相談しながら作りましたね。作詞に関しては、どちらかというと難しすぎない和テイストな言葉、単語を選びました。風景とか情景というのがイメージしやすい言葉を持ってくるようにしたいと思ったんです。ふつうに“和”テイストの言葉を選んでいくと、意外と濃くなってしまうというか、難しい言葉遣いばかりになってしまうところを自分の中でセーブして作詞をしたので、この歌詞を見て皆さんの中で景色が思い浮かべていただけたら、すごくうれしいです。

――アルバム全体を通して、とくに注目してほしいところは?
榊原 評判がよかったり、「これ入れてほしいな」と言われていた曲をけっこう収録しているので、どの曲も盛り上がれるようにはなっていると思います。その中でもフルバージョンが初収録という曲が注目ポイントになります。ゲーム業界では主題歌などが収録された特典CDがゲーム本体についたり、サントラCDが発売されたりして、自分がCDを出す前にフルバージョンが収録されていることがよくあるんですけれど、たまたまフルバージョンが世に出ていない楽曲がいくつかあって。ファンの方からもそれらの楽曲のフルバージョンを聴きたいという意見があったんです。私としても、せっかくフルバージョンを録っているので、そこは聴いていただきたいですからね。そこで今回、フルバージョンが初収録となる楽曲を3~4曲入れました。じつは、ファンの方の意見というのがアルバム制作のときなどに、すごく重要になるんですよ。実際に春のライブで、ライブ終了後に物販でハイタッチを行ったんですが、そのときに「『れっつごー ! Modulation』の歌詞を知りたいです」と言われたので、じゃあ歌詞を載せるためにも曲を入れようかとか。「『黒い花』はじつはフルバージョンがどこにも出てないんですよ」と言われたので、「じゃあ入れるか!」みたいな(笑)。そういう、ちょっとした会話ですけれど、ファンの皆さんとのコミュニケーションの中で出て来たアイディアを反映できたと思いますね。

――限定盤にライブ映像が収録されたDVDが同梱されていますが、収録された曲を選んだ理由は?
榊原 せっかくなら違う衣装を見てもらいたかったので、まずは衣装違いから選びました。その中から、このパフォーマンスを見てほしいという感じで、いいとこ取りをしたつもりです。毎年ライブの模様をDVDにしてきてはいるんですけれど、今回はそのタイミングがなかなかつかめなかったんです。だから、DVDに映像を載せられるタイミングが、まずこのアルバムで訪れたので、少しでもいいから映像をファンの皆さんにお見せしたいと思って、ダイジェストという形にはなりますが入れさせてもらいました。あとはふだんからライブには行かないけれども、CDは聴きますという方に向けて、このCD(の初回限定盤)を買うと必然的にライブ映像が入っているので(笑)、そうすると、ついでにライブ映像を観るじゃないですか。そうして観ていただいたときに「ライブ楽しそうだな」って思ってもらいたかったんです。音を聴いて、映像を観て、ライブに行ったつもりになったところで、「今回のアルバムの楽曲が、ライブで歌われるんだよな!」と感じて、さらに「ライブに行きたいな」と思ってもらえたらいいなと。そういう榊原ゆいのライブの魅力が凝縮されている4曲を収録しました。このCDを聴くだけじゃなくて、生で観て、聴いたら、もっと楽しいぜということが伝わったらいいなと(笑)。

――アルバムを作るに当たって、テーマ的なものはありましたか?
榊原 去年かわいいことをやったので、今年はかっこいいことをしようと思っていました。その“かっこいい”の方向性を、以前からやってみたかった“和”で“ロック”に定めて制作しています。タイミング的にも「いまだ」という感じではあったんです。『あっぱれ! 天下御免』や『恋するコトと見つけたり!』など、ヒロインとしても楽曲としても関わらせていただいたゲームの方向性が和のものが多かったんですよ。だから、“和”で“ロック”でいこう、と。

――アルバムが出来上がっての感想は?
榊原 新たな自分を見つけられた気がしています。また、いままで自分がやってきたことや、考えてきたことの核心というか、方向性の確認もできたかなと思っていますね。すごく勉強になる1枚でした。今回、勉強したことを踏まえて、つぎの9枚目に活かして「ゆいにゃん、またいいアルバム出したね」と言われるように、がんばりたいです。つぎにつながるひとつの作品になったとすごく感じています。

――いまお話にありました“核心”というのは?
榊原 いままでのアルバムは、自分の考えた世界観を皆さんとどう実現していくかという作りかたをしていたのですが、今回はいろんな方の意見を聞きながら制作をしたんです。やはり人の意見を聞きながらやったことでとてもいい結果が出た部分もあったし、ここは自分の意見を貫き通せばいいんだなという部分もあって。ひとつ勉強になりましたね。今回のアルバムで、自分自身が貫き通したいところと、ここは新しく変えていかなきゃいけないんだなというところが見えた気がします。そこは制作の過程だけではなく、アルバム発売後のファンの皆さんの反応も含めて、非常に勉強になったと感じました。

――今回初めて誕生日当日のバースデーライブになりますが、意気込みはいかがですか? また、ライブに向けて何か企みがあるのであれば、少しだけでも教えていただければ。
榊原 ホントはカウントダウンとかやりたかったんですけれど、ちょっと無理だということで(笑)。ただ、誕生日当日ということで気持ちがすでに違いますね。ライブの中でも、これまでにやったことのないものを少し織り込んだりしていますので、期待していてもらいたいです。これまでは、じつは誕生日当日を忘れちゃうことが多くて。というのも、バースデーライブの日にたくさんのお客さんがお祝いしに来てくれて、大々的に盛り上がってしまうので、その後に訪れる本来の誕生日では、「今日、そういえば誕生日だったね」みたいな感じになっちゃうんですよ(笑)。でも今回は、いままさに誕生日で、いまみんなに誕生日会を開いてもらっているという感覚になれるんだと思うと、ちょっとうれしいですね。あまりそういうことにこだわるタイプではないんですけれど、当日いっしょにみんなで盛り上がれるのはすごく楽しみです。

――ちなみに、アルバム曲の中でライブ映えしそうな曲は?
榊原 『大江戸小町』がパフォーマンスも含めて、いまのところおもしろくなりそうです。ただ歌うだけではなくて、もうひとひねりできたらなと考えていますので、そういう意味でも楽しんでもらえるんじゃないかな、と。あとは『LOVE☆FIRE!』ですね! いっしょに熱唱してもらう部分があったりするので、楽しみです。ファンの皆さんからは、「今回、バンドは入るんですか?」とかいろいろ聞かれたんですけれど(笑)、そういう部分も楽しみにしていただきたいですね。あとは、今回アルバムを買っていただいてライブにも来てくださった方に、もれなくプレゼントされる“バースデーライブ特典”を初めて用意しました。誕生日当日ということで大奮発で(笑)。“お土産がある”という意味でも、楽しみにしていただけたらうれしいです。

――それでは最後に、ファンの皆さんにひと言メッセージをお願いします。
榊原 今回のアルバムは、ビジュアルイメージですごく冒険をしたので「どうした榊原?」と思われるかもしれませんが(笑)、本当に魂を込めて制作しましたし、楽曲も皆さんに喜んでいただけるだろうラインアップを目指しました。アルバム全体を通して楽しめる1枚になっています。9枚目につながるアルバムになるようがんばりましたので、ぜひ聴いてください。

■Fractal
発売日:2012年8月29日発売
価格:【通常盤】3150円[税込]/【限定盤】3990円[税込]
発売元:LOVE×TRAX
販売元:メディアファクトリー