「新たなシーンと可能性を映画史に残したエポック的一本」

 一般社団法人デジタルメディア協会は、2013年3月19日、“デジタル・コンテンツ・オブ・ジ・イヤー‘12/第18回AMDアワード”の授賞式開催し、大賞/総務大臣賞及びAMD理事長賞の授賞作品を発表した。
 “デジタル・コンテンツ・オブ・ジ・イヤー‘12/第18回AMDアワード”は、デジタルメディア業界の発展を目指し、優秀なデジタル・コンテンツ等の制作者を表彰するもの。既報の年間コンテンツ賞“優秀賞”授賞作品10作品(→【コチラ】)の中から、大賞/総務大臣賞と、AMD理事長賞が決定された。受賞作品と受賞者、受賞理由は以下の通り。

■大賞/総務大臣賞 The AMD Grand Prize
◆作品名:おおかみこどもの雨と雪
◆制作・関連会社等:「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会/スタジオ地図
【大賞/総務大臣賞選考理由】
アニメーション映画として国民的に受容されるのはスタジオジブリ作品のみと長らく言われてきたなか、細田守監督による本作は、興行(興行収入42億2000 万円)の面でもクオリティの点でも、ようやくその定説を覆し、新たなシーンと可能性を映画史に残したエポック的一本と言える。全篇、絵の力が圧倒的な勢いで迫ってくる本作は、非現実的で荒唐無稽な表現も、リアルな光景として現出させ、自然の風景や家の中の細部など細密に描かれる部分と見事に融合。改めてアニメーションならではの描写力とシナリオの力を体感させる、強い記憶に残る一本であった。

■AMD 理事長賞 The AMD Chairman Award
◆作品名:EPUB 3
◆制作・関連会社等:IDPF(国際電子出版フォーラム)
【AMD 理事長賞選考理由】
EPUB は米国の電子書籍標準化団体の国際電子出版フォーラム (International Digital Publishing Forum;IDPF)が普及促進している電子書籍用ファイル・フォーマット規格である。すでにウェブの世界で普及しているXHTML をベースとしており、オープンかつコンテンツ制作者にとって扱いやすいことから、英語圏ではすでに標準規格となっている。EPUB3 では各国の担当者により各国語対応サブセットの開発が進められ、日本においても縦書きやルビなど、日本語書籍の組版で必要となる基本的な機能がサポートされた。世界標準に、日本と台湾でしか使われていない縦組という仕様を盛り込んだのは奇跡とも言われている。EPUB3 規格に日本語サブセットを搭載することで、世界中のEPUB3 対応機器で日本語の電子出版物が利用可能になり、日本のコンテンツを世界に向けて販売することもより容易になった。電子出版市場を世界標準のプラットフォームに乗せた大きな功績を讃えたい。