NBGI×CC2――最強タッグの真髄がいよいよ明らかに!
業界大手パブリッシャー・バンダイナムコゲームスと、ゲーム制作会社・サイバーコネクトツーと言えば、1998年にプレイステーション用ソフト『テイルコンチェルト』をリリースして以来、長きにわたり、コンスタントにヒット作を生みだしてきた、業界でも随一の強力タッグだ。2012年には異色のスマートフォン用RPG『ギルティドラゴン 罪竜と八つの呪い』をリリースし、2013年には期待作『NARUTO-ナルト- 疾風伝 ナルティメットストーム3』(以下、ストーム3』)、『ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル』(以下、『ジョジョ』)がリリース予定となっており、その注目度は高まる一方だ。
そこで本記事では、バンダイナムコゲームスからは、『ストーム3』と『ジョジョ』のプロデューサーを務める佐々木夕介氏と『ギルティドラゴン』プロデューサーを務める手塚晃司氏、サイバーコネクトツーからは代表取締役社長の松山洋氏にご登場いただき、最新作の制作秘話をお聞きしつつ、両社のタッグがいかにヒット作を生みだしているのか、その実情を詳しく語ってもらった。
『ストーム3』、『ジョジョ』の話題を中心にお届けした前編に続き、後編では、『ギルティドラゴン』の話題、そしてバンダイナムコゲームスとサイバーコネクトツーによるタッグの本質に迫っていく。
★【特別対談】NBGI×CC2――強力タッグの実情とは!? 『ナルティメットストーム3』の制作秘話、そして『ジョジョ』は!?【前編】→【コチラ】
写真右:バンダイナムコゲームス 佐々木夕介氏
写真左:バンダイナムコゲームス 手塚晃司氏
遊んでよかったと思えるゲーム、プレイヤーの価値観に何らかの変化を与えるゲームを
──まずは手塚さんとサイバーコネクトツーさんとのなれそめから教えてください。
手塚晃司氏(以下、手塚) 私は、『ギルティドラゴン』がサイバーコネクトツーさんとの最初のお仕事になります。『ドットハック セカイの向こうに』の映画を撮りおわったころに、よく松山さんがバンダイナムコゲームスの未来研究所をうろうろしていたので(笑)、「おもしろいことをやりましょう」というお話はしていたんです。『.hack』も長いことやらせていただいて、映画も作りましたが、つぎにどんな新しいことができるのかと模索していたときに、スマートフォンが新しいプラットフォームとして立ち上がってきました。私たちのチームには、もともとはバンダイネットワークスという、ネットワーク系の部署の出身者もいて、幸いノウハウもありましたので、何かサイバーコネクトツーさんと組んで新しいことができるのではないか、と判断してスタートしたという経緯です。
──企画は、サイバーコネクトツーさんから上がってきたのでしょうか?
松山 『ギルティドラゴン』の企画そのものはそうですけれども、いっしょにスマートフォン用ゲームを作りましょうという提案は、弊社からではありません。私なんかファミ通で「ソーシャルゲームは作らない」なんて語っていたくらいですから。
手塚 声を掛けていいのかどうか迷いましたよ(笑)。
──そうでしたね(笑)。『ギルティドラゴン』そのものの企画は、両社で話し合いながら詰めていったという形でしょうか?
松山 まず「いまのソーシャルゲームや携帯アプリのエンターテイメントは、これからどうなるのか? お客様にとってどんな存在になるのか? そして我々はどうあるべきか?」という話から始まりました。そのときにも、例の“キャビア丼”の話などをしまして……。
──“キャビア丼”の話とは?
松山 私は、ソーシャルゲームは作らないつもりだったのですが、いまから1年半くらい前から、ちょっと変わってきたんですよ。理由はふたつありまして、ひとつは世の中が変わってきたこと。もうひとつは、スマートフォンの性能が、我々のクリエイティブ性が発揮できるレベルまで上がってきたことです。
――世の中の変化とは、具体的にはどのようなことですか?
松山 ソーシャルゲームが広がってきたときに、我々は家庭用ゲームのユーザーとソーシャルゲームのユーザーは、ほぼ重ならないと思っていました。我々はこれまで、家庭用ゲームで少しでもいい作品になるようにがんばって、家庭用ゲームのユーザーにお届けしてきましたし、いいものさえ作ればお客さんが買ってくれると信じてきました。そのパイを少しでも広げる努力も、プロモーションでやってきました。でも、それよりも、ソーシャルゲームを楽しんでいる人たちが、家庭用ゲームとは別の場所にものすごくたくさんいらっしゃったんです。そこで、私たちがやっていたことは、「すごく狭いところで必死にパイを広げようとしていたんじゃないか?」と考えたんです。
ここで先ほどの“キャビア丼”の話になるのですが、私たちがやっていたことは、たとえば500円しか持っていなくて、牛丼を食べたいと思っている人に、「食べたら絶対美味しいですから」と言って2000円のキャビア丼を食べさせようとすることだったのではないかと。もちろんクリエイターには、「これが絶対おもしろいんだ!」というエゴも必要ですが、スマートフォン用ゲームの市場に多くのお客さんがいるのであれば、そのお客さんが求めるものを提供するのもクリエイターの使命かなと思ったんです。
――なるほど、とてもわかりやすいたとえですね。
松山 また、バンダイナムコゲームスの鵜之澤さん(鵜之澤伸氏。現バンダイナムコゲームス副社長)に対して、以前ソーシャルゲームに対して「稼いでるかもしれないけど、ゲームとしての作品性はどこにあるのか」という文句をさんざんしていたんですよ。そのとき、鵜之澤さんに「話はわかった。……で、お前はどうするんだ?」と言われて、頭の中でガラスが割れましたね。そんなことはもうわかっていて、でもそこにお客さんがたくさんいる。では、クリエイターとして、お前はどうするんだと問われたわけです。ガタガタ文句を言うのは簡単ですが、それは子どもの意見じゃないですか。このまま家庭用ゲームが売れなくてジリ貧になっていくよりは、あの手この手でどんな形でもいいから商売を続けてきたのがバンダイナムコゲームスなんですよね。そこで私も、ソーシャルゲームが隆盛であれば、いつまでも「これこそがゲームだ」と、“キャビア丼”みたいなものをお客さんに押しつけるのではなく、もっと食べやすい、求めやすい形で、しかるべきお客さんに対して提供するのが筋だ、と考えるようになりました。
あらためて鵜之澤さんはすごい方だと思いましたが、でも、あくまで制作の手法は自分たちのやりかたを貫いていますよ。やはり、「遊んでよかった」と思ってもらいたいし、プレイすることでプレイヤーの価値観に何か変化を与えるような作品を作っていきたいと考えています。
『ギルティドラゴン』制作チームは様子がおかしい!?
──一方手塚さんは、松山さんにパラダイムシフトが起きているころに、すでにモバイル系のゲームを手がけていたわけですよね。
手塚 そうですね。でも、「ソーシャルゲームを作ってください」とお願いしたことは一度もないんです。私から松山さんに相談したのは、「スマートフォンでどんなゲームができるんですか?」という形ですね。たとえばニンテンドー3DS用のソフトなら、「タッチパネルを使ってどんな仕掛けをしていこうか?」と考えたりしますが、同じように松山さんにしかできない方法でスマートフォン向けのゲームを作っていったとしたら、どんなものができるのだろうか、というふうに模索していきました。いつものソーシャルゲームならば早く作ることも可能だったかもしれませんが、違うアプローチをしたいと思ったんです。
──実際にサイバーコネクトツーさんと組んでお仕事をされた感想はいかがでしょうか?
手塚 うーん……なんというかこう、深いですね(笑)。
松山 言葉を選んでくれているなあ(笑)。
手塚 いえいえ。本音ですよ。サイバーコネクトツーさんは、「ここまでやれば、もういいでしょう」というところから、さらに詰めていくんですよね。ソーシャルゲームは、作品を出しながらサービスを続ける側面もあるので、早くリリースしたい気持ちはあって、どうしても3ヵ月先や半年先といった、近いところの成果に目がいきがちなところもあるのですが、松山さんは「この作品がたとえば10年続いたら、お客さんはどう盛り上がって、どう冒険するのか?」ということを考えていたりするんです。
――10年ですか! それはすごいですね。
手塚 本当に、私の想像以上の会社でしたね。そしてもうひとつ感じたのが、サイバーコネクトツーさんは、とにかく作品に対する愛に溢れているということです。時間に追われている中で、「あと一歩作りこめばおもしろくなる」とか、「そこに花が植えてあるかどうか」といった、もしかしたら誰も気にしないかもしれないし、我々が発注したわけでもないようなところにまで気を配られるんです。ですから、できあがったものには、我々からはお願いしていないことがいっぱい盛り込まれているんですよ。でも、それが作品の深みにつながっているのだろうと思います。
――なるほど。でも逆に、思いもよらないものになっていて困ったり、というようなことはないのですか?
手塚 そこは阿吽の呼吸じゃないですが、お互いの「こういう世界を作りたい」という意志疎通がしっかりできたうえで、ベストよりもさらに上のものを出してくれていることに、とても助けられています。ですから私は、「もっとやれ」と言っています(笑)。家庭用と違って、スマートフォン向けのゲームは、作っている途中でもお客さんの声がダイレクトに返ってきますから「それじゃあ、もっとがんばろう」という気持ちになって、どんどんいいスパイラルになっていく。そこが楽しいところですね。
松山 なんだか結果として、佐々木さんより言いかたがキレイなだけで、同じことを言われていますね(笑)。『ギルティドラゴン』でも、進行が遅れたりもしていますし、たくさんご迷惑をおかけしています。ただ、我々にとって初めてのスマートフォンゲームなので、いままでのルールが通用しないことが多いんですよ。スピード感が大事なことは、強く言い聞かせてはいるのですが、ギルティのチームは……ちょっと様子がおかしいんですよ(笑)。
――様子がおかしいとは?(笑)
松山 弊社では、毎月編成を変えて、それぞれのタイトルの進捗状況に応じて担当スタッフや割り当てる人数などを変えるのですが、なぜか『NARUTO-ナルト-』チームから『ジョジョ』チームにヘルプにいった人間が、定時後にこっそり『ギルティドラゴン』の仕事をやっていたりするんですよ。聞いてみると、「いえ、頼まれまして……」と。そこで『ギルティドラゴン』チームに「こんなことをしていると編成の意味がないだろう」と話をすると、「いえ、編成ではなくて個人的なお願いですから」と言って、密かにいろいろなチームのスタッフに頼んでいたんです(笑)。それを、みんな自分の仕事がひと段落したあとに、就業時間以外の時間を使って手伝っているんです。彼らは「スピード感が大事ですから」なんて言いますが、それはスピード感とは違うだろうと(笑)。
手塚 でも実際、毎月ずっとマスターアップをしているような状態なので、少しずつ大量の人にやってもらったほうが、効率的ではあるんですけどね。
松山 確かに、突発的に「絵が明日必要だ」というときに、外の会社に発注していたら、とても間に合わないので。勝手知ったる仲間たちに、手分けしてやってもらったりしていますね。見つけるたびに「こら!」と言っていますけど(笑)……でも、私がいないあいだに、密かに頼んでいたりするんじゃないですかね。
──それは、佐々木さんにとっては困ったことですよね。
佐々木 まったくです。それで『ジョジョ』がもし遅れたらと思うと……(笑)。
松山 いやいや、それは死守しますから(笑)。ただ、弊社はアニメ制作会社とのお付き合いがあったためか、アニメーターみたいなクリエイターが多いんですよ。いまではすっかり分業制になったゲーム業界ですが、アニメ業界は、まだひとりひとりが作品の担い手という意識が根強く残っているんですね。かといって、分業が悪いというわけではなくて、割り振られた仕事をきちんとこなすことも重要ですよ。ただ、弊社には仕事のセクションを越えて「なんだ、言ってくれたら手伝うのに」という人が、わりとたくさんいるということです。困っているときはお互い様ですから。とくに『ギルティドラゴン』チームは人数が少なくて、背に腹は代えられないと言いますか、とにかく手が足りない状況なので、本当に「今度、美味しいご飯おごるから」などと言って、お互いの仕事を手伝っているようなやり取りがなされているんです。
手塚 それもあってか、いまのサイバーコネクトツーさんからは、プロジェクトスタート時にはなかった対応力やスピード感を感じます。すごい勢いで会社が成長している感覚があります。話をしていても、すごくやりやすいですね。
松山 いまでは従業員が200人を超える会社になって、組織としてもマネージメントが必要になってきました。そうなると、どうしても役割を分担していくことになるのですが、人数が少なかったころは、ひとりひとりに「自分が作品を作る」という意識が強かったと思うんです。そういった意味では、『ギルティドラゴン』のチームは、10名そこそこの少ない人数でやっているので、「自分たちで何でもやらないとおもしろくなっていかない」という、“必死感”のようなものがありますね。別のタイトルのスタッフにお願いしてでも絵を描いてもらわないと進まない。ですから、いまは、うちの社内のインフラを作っている人間が『ギルティドラゴン』を作っていたりします。おかげでうちのインフラはガタガタですけど(笑)。
手塚 みんな作品愛が強くて、「俺がやれることだったら何でもやるよ!」という気持ちがあるんですよ。「自分は、○○しかできないから手伝えない」などと逃げるのではなくて。「自分はこれができるから、こういったことができるのでは?」という感じで、盛り上がっているところはありますね。
松山 うちがまだ2、30人だったころの雰囲気を感じて懐かしいですよ。もの作りの原点はやはりここだな、という気がします。もちろん『ギルティドラゴン』チームには「お前ら、何やっているんだ」とは言いますよ。でも、ほかのチームから「あのチームのやりかたは、何なんですか!?」と言われたら、「あれでいいんだよ」と返していますね。
──『ギルティドラゴン』チームが、それで円滑に仕事を進められるのは、どうしてなんでしょうか?
松山 日々運営をしているゲームなので、家庭用と違って、つねに手を離れないんですよ。毎日いろいろな反応が返ってくるので、自分たちが右に行ったり左に行ったりというダイレクト感や、お客さんに近いところにいるゆえの責任の重さが、ほかのチームよりあります。あとは日々の焦り、というのもあって、彼らの必死さが、いつの間にか周囲のスタッフを巻き込んでいっているところはあるかもしれません。
──家庭用ゲームのような長期間で作るものと、すぐに結果がわかるものの両方を手掛けることが、精神的にいい作用を与えているかもしれませんね。
松山 そうですね。サイバーコネクトツーとしては、いい経験をさせてもらっていると思います。
手塚 『.hack』の“The World”という世界観がベースとしてありますから、それとの親和性の高さというのもありますね。お客さんもそういう世界観でオンラインゲームを求めているところはありますので、そこをきっちり返せる体制は作っていますね。
『ギルティドラゴン』はゲーム好きな人が遊べるゲームに
──『ギルティドラゴン』は40万ダウンロードを突破するなど好調ですが、現状はいかがでしょうか?
手塚 手応えは感じていますね。今後、ギルドの機能が入ることになりますが、そこでさらに“The World”感が出てくると思います。ストーリーの実装もまだ序盤ですから、今後の展開も楽しみにしていただければと思います。あとは端末の進化に伴ってできることも増えると思いますが、『.hack』ファンにとっては、ドラマ的に盛り上がる内容がこれから入っていきます。そこで、2030年のThe Worldで起こっている事件を体感していただけるのではないかと。
──松山さんは、現状をどのように評価されていますか?
松山 必死です(笑)。現場も皆、一生懸命この作品のことだけを考えて、日々夢中になっているな、とチーム全体から感じています。「ほどほどにしておけ」と言いたくなりますけど。明らかにふつうに課金して遊んでいるスタッフも社内にいますし(笑)。
──いいゲームというのは、そうさせますよね(笑)。
手塚 確かにそうです。本作は、ほかのスマートフォンゲームとはちょっとユーザー層が違っていて、家庭用ゲームを遊んできた人たちが興味を持ってプレイしてくれていることが、わりと多いんです。そんな人たちに対して、居心地のいい環境や楽しめる内容を提供していきたいです。
──ということは、ソーシャルゲームに新しいユーザーを引き込んだとも言えますね。それで40万ダウンロードという結果は、すごいですね。
松山 しかも国内だけですからね。海外の展望はこれからになりますが。私自身も、そういう意味では手応えを感じています。外に出ると、同業種異業種ともにいろいろお声掛けをいただいていますし、ランキングも安定しています。そこで満足しているわけではありませんが、家庭用ゲームメーカーが出したスマートフォンゲームとして、お客さんの反応も含めて、一定の評価をいただけたのかなと。これから、もっといい環境にしたいと思いますし、おもしろいスマートフォン用RPGにしていきたいですね。
──今後も方向性としては、「本当にゲームが好きな人たちに向けて作っていく」ということでしょうか。
手塚 そうですね。ソーシャルゲームを敬遠してきた人も、ぜひ一度触れてもらえたらうれしいですね。現在における新しいゲームの形をお見せできるかと思います。
──それでは最後に、『ギルティドラゴン』について読者へのメッセージをお願いします。
手塚 『ギルティドラゴン』は、とにかくファミ通の読者さんのような、ゲーム好きの方がこれからずっと遊べるようなゲームにしています。始めるならいまです! いますぐ始めてください!(笑)。いままで皆さんが見たことがないレベルを見せていきたいというのが、いちばんの目標ですので、どうかご期待いただけたらと思います。
“覚悟”さえあればバンダイナムコゲームスといい仕事ができる
──ここまで、佐々木さんと手塚さんに、サイバーコネクトツーの仕事振りについてお聞きしてきましたが、逆に松山さんは、おふたりを、そしてバンダイナムコゲームスという会社をどのように評価していらっしゃいますか?
松山 手塚さんの場合は、初めて会ったときからマネージャーですから、もうある一定の実績をお持ちなんですよ。やっぱりおっしゃられることもロジカルで、論理がしっかりしていて、数字なども含めて確固たる結果を出しているなという印象で、敏腕プロデューサーですね。でも付き合ってみると、ロジカル以上に情熱的な人で、現場の情熱をくみ上げてくれるんです。そういう意味では、すごいバランス能力をお持ちだなと思いますね。いままでとは違うタイプの“バンダイマン”なので、新しい風になっていますよ。
――佐々木さんについてはいかがですか?
松山 佐々木さんとは、長い付き合いですね。独身時代はどうしようもない人だったのですが(笑)、結婚して、子どもが産まれてから、だんだん超人になってきていますね。直感でものを言うタイプで、そのときは理解できなかったりするのですが、あとになって「あれは、こういうことか!」と帳尻が合うことが多いんですよ。なんか正しい(笑)。これは全部奥さんのおかげだと私は思っています(笑)。
佐々木 サイバーコネクトツーさんに若手プロデューサーを担当させると、いい経験をさせてもらえるんですよ。ほかのタイトルとは違う勉強ができるので、プラスになることが多いんです。
松山 新入社員時代から知っている人間が、バンダイナムコゲームスさんにはたくさんいますからね。三戸さん(三戸亮氏。サイバーコネクトツーとのタッグでは、劇場用3Dアニメーション『ドットハック セカイの向こうに』およびPS3『ドットハック セカイの向こうに+Versus Hybrid Pack』のプロデューサーなどを担当)などもそうです。直接いっしょに仕事をしていなくても、お互いに知っていたりもしますし。東京スタジオができる前は、バンダイナムコゲームスの社内に私の席があったくらいですから(笑)。
手塚 外部の人で社内に席があるのは、ほかに見たことがありませんね。
──すごく特別な関係であることはわかりました(笑)。
松山 お互いに言いたいことを言い合えるような信頼関係を20年近く築いてきたからこそ、いまの距離感なのかな、と。ふつうではないとは思いますね。ただ、サイバーコネクトツーだからこそできるのか、と言うとそうではなく、ほかのデベロッパーさんにも、十分実現できることだと思います。サイバーコネクトツーが特別なのではなくて、バンダイナムコゲームスさんが特別なんですよ。
佐々木 せっかくバンダイナムコゲームスと仕事するなら、何か得てもらいたいし、「いっしょにやってよかったな」と毎回思ってほしいんですよ。新しいチャレンジやお互いにいい刺激を与えあったり、プラスになるものがあるといいなと。
――それでは最後に、松山さんから、“NBGI×CC2”対談の締めのお言葉をお願いします。
松山 自分たちさえ間違えなければ、バンダイナムコゲームスはこんなにもおもしろい会社ですから、誰でもサイバーコネクトツーのようになれると思います。ハードルが高くて閉鎖的、というような会社ではありませんから。でもしょうもない考えで訪れても相手にはされないでしょうね。覚悟は間違いなく要ると思いますが、それさえあれば、誰もがバンダイナムコゲームスといい仕事ができるのではないかと思います。これからも弊社はいろいろな会社と付き合っていきますが、バンダイナムコゲームスさんとの付き合いがなくなることは、少なくともうちからはないと思いますね。