最終日にして会場総立ちの盛り上がりに!

 スクウェア・エニックスの『ファイナルファンタジー』(以下、『FF』)シリーズ生誕25周年を記念して開催された、ワールドコンサートツアー“FINAL FANTASY 25th Anniversary Distant Worlds music from FINAL FANTASY THE CELEBRATION”。同ツアーの日本公演が、2012年12月26日に東京国際フォーラム、2012年12月29日にグランキューブ大阪、そして、大晦日となる2012年12月31日に、再び東京国際フォーラムで開催された。披露された楽曲はそれまでの2公演と同じだったが、当日は『FF』シリーズの作曲家、植松伸夫氏による前説などもあり、2公演以上のものすごい盛り上がりとともに、とっておきのサプライズが披露された。本記事では、それまでの公演とは異なる、2012年12月31日公演で見られた部分を中心にリポートをお届けする。コンサート全体のリポートについては、こちらの記事を読んでいただければ幸いだ。

会場全体で祝う『FF』25周年! コンサートツアー“Distant Worlds”日本公演最終日リポート_01

 オーケストラスタッフの準備が終わり、会場全体が静まり返ると、ステージ袖から現れたのは植松伸夫氏。作曲者みずからがマイクを持って現れ、挨拶を行うという、何とも珍しいコンサートの出だしとなる。

植松伸夫「1987年に生まれた『FF』が、今年で25歳になります。この長きに渡るものは、エンターテインメントでは珍しいと思います。これもひとえに、皆様方のご支援のおかげだと思っております。関係者を代表してお礼を言わせてください。ありがとうございます。このDistant Worlds THE CELEBRATIONは、ロンドンでやってシカゴでやって東京でやって、先日大阪でやって、この東京が最後のコンサートになります。どの会場も盛り上がったんですけど、先日の東京がちょっと静かだったのね(笑)。そんなにシリアスなコンサートじゃないんですよ(笑)。クラシック音楽を聴きましょうみたいな、大層なコンサートではなく、皆さんが好きなゲーム音楽を演奏しますので、皆さんが聴きたかった曲や好きなシリーズの曲がかかったら、遠慮なく熱い拍手をお願いします! 曲が終わったあとで、熱い拍手なり、声援なり、“フー!”って掛け声なり、“ブラボー!”なり、どれもオッケーです。皆さんのそういう喜びがステージに伝わって、ステージのミュージシャンの方々がうれしくなって、すばらしい演奏をします。そうすると、皆さんがまたうれしくなる。そんなうれしさがこの会場に充満するといいなと、そんな2時間30分になるといいなと思っています。それでは、最後までお楽しみください!」。

会場全体で祝う『FF』25周年! コンサートツアー“Distant Worlds”日本公演最終日リポート_02
会場全体で祝う『FF』25周年! コンサートツアー“Distant Worlds”日本公演最終日リポート_03

 植松氏の想いのこもった挨拶の成果か、1曲目の『FINAL FANTASY I~IIIメドレー』が終わると、会場中から割れんばかりの拍手とともに、「ブラボー!」といった歓声が飛び交う。その後も会場の熱気は冷めることなく、『FFVII』の『片翼の天使』では曲の終わり際に女性の声で「最高ーーー!」という大きな声が飛んだり、『FFVIII』の『Don't be Afraid』、『チョコボメドレー2012』などでは会場から笑いが起こったり(『Don't be Afraid』では、冒頭に『FFVIII』のスコール、サイファー、ゼルたちがミッションに挑むゲーム画面から曲に移る演出があり、『チョコボメドレー2012』では『マンボdeチョコボ』の“ウッ”という掛け声で、コーラス隊が拳を振り上げたりしていた)と、観客がリラックスしながら曲を楽しんでいるのがわかるコンサートになっていた。

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▲指揮者であり、“Distant Worlds music from FINAL FANTASY”のプロデューサーでもあるアーニー・ロス氏。
▲アーニー氏から紹介を受け、客席で挨拶をする植松伸夫氏。

 コンサートのクライマックスであり、本公演のメインとも言える『オペラ マリアとドラクゥ(完全版)』では、曲が終わると盛大な拍手とともに、一部の観客が立ち上がり、スタンディングオベーションが贈られるように。前述の盛り上がりもそうだが、とくにスタンディングオベーションは前回の東京公演では見られなかったもので、コンサートの盛り上がりを顕著に表していた。

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 そして、極めつけはアンコール。アンコールを迎え、今回『FFVIII』の『Eyes On Me』を歌ったクリスタル・ケイら、全ソリスト(ナレーター含む)と、植松伸夫氏が登壇すると、マイクを持った植松氏からこんな提案が。「せっかく25周年の誕生日ですから、ここにいる皆さんといっしょに、『ハッピーバースデートゥーユー』を歌うのはどうでしょうか? オーケストラといっしょに歌えるチャンスだぞ(笑)」(植松氏)。まさかの提案に、観客はもちろん大喜び。オーケストラが演奏する『ハッピーバースデートゥーユー』を伴奏に、植松氏やステージ上のソリストたち、そして観客を含んだ会場全体で、『FF』の25歳を祝う歌を熱唱。さらに、曲のラストには『FF』シリーズでおなじみの『勝利のファンファーレ』へつながるという粋な計らいも行なわれると、会場はますます盛り上がり、会場全体から笑顔とともに惜しみない拍手が贈られていた。

会場全体で祝う『FF』25周年! コンサートツアー“Distant Worlds”日本公演最終日リポート_11

 観客の誰もが萎縮せず、喜びとともに歓声と拍手を贈るようになったコンサートは、そのままラストへ。最後の曲、『ファイナルファンタジー』が終わると、割れんばかりの拍手とともに、徐々に徐々にと観客がスタンディングオベーションを始め、最終的には会場総立ちの状態に。会場全体から“Distant Worlds music from FINAL FANTASY THE CELEBRATION”、そして『FF』25周年への鳴り止まない拍手が贈られるなか、日本最終公演のステージが幕を閉じた。

■セットリスト
<第一部>
FINAL FANTASY I~IIIメドレー(『FFI~III』)
ゴルベーザ四天王とのバトル(『FFIV』)
ファイナルファンタジーV メインテーマ(『FFV』)
迷いの森(『FFVI』)
片翼の天使(『FFVII』)
Don't be Afraid(『FFVIII』)
独りじゃない(『FFIX』)
ザナルカンドにて(『FFX』)
チョコボメドレー2012(『FF』シリーズ)

<第二部>
Procession of Heroes ~ Vana'diel March Medley(『FFXI』)
東ダルマスカ砂漠(『FFXII』)
閃光(『FFXIII』)
Answers(『FFXIV』)
愛のテーマ(『FFIV』)
Eyes On Me(『FFVIII』)
オペラ マリアとドラクゥ(完全版)(『FFVI』)

<アンコール>
ハッピーバースデートゥーユー&勝利のファンファーレ(『FF』シリーズ)
バトル&勝利のファンファーレ メドレー(『FF』シリーズ)
ファイナルファンタジー(『FF』シリーズ)