初心者からコアなファンまでが楽しめる完結編を届ける! 『クライシス 3』プロデューサーインタビュー【EA ASC 2012】_03

 日本でもすでにエレクトロニック・アーツからプレイステーション3、Xbox 360、PCで2013年3月7日の発売が決定している、CrytekのFPS(一人称視点シューティング)シリーズ最新作『クライシス 3』。
 シドニーで行われたエレクトロニック・アーツのプレスイベント“EA Asia Showcase 2012”では、すでにお伝えしているようにPC版のキャンペーンモードとXbox 360版のマルチプレイを試遊することができた
 本誌ではプロデューサーのマイク・リード氏にインタビューする機会を得たので、気になるストーリー部分やPC版のスペック(『クライシス』と言ったら発売時点での最高環境を揃えても最高設定でロクに動かなかったりするものなのである)などについて話を聞いた。

シリーズの集大成にふさわしい作品へ

――初代『クライシス』ではサンドボックス(箱庭)FPSというスタイルと、美麗なハイエンドグラフィックが特徴的でした。1作挟んで、『クライシス 2』では“廃墟になったニューヨーク”というビジュアルスタイルも新しかった。では『クライシス 3』にとって大事なこととは何でしょう?
リード そうですね。本作にとっては、この『クライシス』という物語を終わらせるということが大事な要素でした。それにあたって、すでに築いてきたゲームプレイそのものを捨てるということは考えませんでした。過去の5年間で学んできたことを盛り込んだ集大成を生み出したかったんです。

――昨日プレイしたデモでは、最初はどうプレイするのがいいのかわからなくって、適当に撃ってみて蜂の巣になっていました。でも、何度も失敗しながら「この上に登ったほうがいいんじゃないか」とか、「このスキルをあそこで使ったほうが上手くプレイできたんじゃないか」とか試行錯誤をすることで、道なきジャングルのような戦場から“道”が見えてくるのが面白かったです。
リード 本作ではリニア(直線的)な物語をしっかり提示することも重視しているんですが、アクションについては選択肢があることが大事です。それも、ただ武器を渡して戦えというのではなく、武器や能力などの選択肢を使って色々な実験をし、目標を乗り越えていくという形にしたかったんです。それぞれのプレイヤーが違った答えを出し、違った経験をしてもらいたいと考えていました。

初心者からコアなファンまでが楽しめる完結編を届ける! 『クライシス 3』プロデューサーインタビュー【EA ASC 2012】_02
▲こういう状況でどうするか? 3人ぐらい巻き込めそうな爆発物を撃ってから廃車両の上の敵を撃つか、アーマーを固めてパワープレイに出るか、一旦引いて光学迷彩で身を隠してから立て直すか、それとも……。

主人公プロフェットとサイコさんの状況は?

初心者からコアなファンまでが楽しめる完結編を届ける! 『クライシス 3』プロデューサーインタビュー【EA ASC 2012】_01
▲フィールドでセフに襲われるサイコさん。

――昨日のプレイアブルデモでは、プロフェットがサイコと合流するシーンを体験できました。彼らの状況はどんなものなのでしょうか。例えば、どんな意図をもって戦っているのでしょう?
リード こういう質問は嬉しいですね。アメリカのメディアはこういった質問をしてくれないから……。サイコは『クライシス 3』の冒頭で監禁状態にあったプロフェットを逃してくれます。
 昨日遊んでいただいた“フィールド”というステージは、元ニューヨークだった場所に建設されたドーム内に入っていく序盤のパートになります。そこでプレイヤーの皆さんにひとつの疑問が起こるわけです。「なぜサイコはナノスーツを着ていないのか?」
 C.E.L.Lはニューヨークのドームを作った後で、ナノスーツを着ている人間を一度捕まえて、スーツを剥ぎとったんです。これは精神的苦痛も伴う経験です。
 なので、サイコはC.E.L.Lに対していい感情をもっておらず、エネルギー資源を専有していることにも不満を感じているので、抵抗勢力とともに動いています。プロフェットを逃したのも、C.E.L.Lを倒すという彼の目的があってのことなんですね。
 さて、このストーリーにはふたつの物語が根底にあります。サイコは反乱軍と組んでC.E.L.Lを倒そうと考えている。一方でプロフェットは、世界の終焉に関するビジョンを幻視したりしている。ちなみにこれは『クライシス 2』でエイリアンから受けた影響も関連しています。
 彼らふたりの関係は本作の重要な部分を占めます。映像的な要素にも力を入れており、声だけでなく身体の動きや表情なども収録するパフォーマンスキャプチャーを行なっています。

――昨日のデモでは前半でC.E.L.Lの兵士と戦って、後半はエイリアンのセフのクリーチャーたちと戦いました。C.E.L.Lとセフが衝突しているような場所にプロフェットが入っていくようなシーンもあるのでしょうか?
リード (斜め上を見あげ)あ、あるかもしれませんね! まぁ実際、そういった複雑なシチュエーションはいろいろあります。

マルチプレイはまだまだ調整

――答えにくいことを聞いてしまったようなので、マルチプレイの質問に移りましょう。PC版ではマルチプレイのαテストを行いましたが、フィードバックはどうですか? それによって変えた部分、変えようと考えている部分はありますか?
リード フィードバックは非常に多岐に渡っていて、大変役立っています。フィードバックが集まり始めてからすぐパッチを継続的に投入するようにしたことに驚かれている方も多かったですね。大きな変更は今のところないのですが、小さな調整や技術的問題の解決などは数多く行なっていますし、これは発売まで続けていく予定です。

――昨日はマルチプレイの“ハンターモード”をプレイしました。最初は面白かったんですが、次第に「目立たないようにただ隠れてればいいんじゃない?」とも考えました。
リード マイナスなことはあんまり言いたくないのですが、昨日遊んで頂いた“エアポート”マップではなく、“ミュージアム”マップで遊んでもらえれば、もっと楽しさを味わって頂けると思います。また昨日は時間的制約のために2分×5ラウンドという形式でしたが、個人的にはそれも十分ではありません。またハンターモードは、多人数でプレイするほどいい体験ができると思いますので、PC版の16人プレイだとまた違ってくると思います。
 ちょっと“エアポート”でのハンターモードについては微調整が必要かなと感じています。下水トンネルの中にシールドを構えて隠れていて、ハンターが来たらシールドを投げつけるという戦略をやられると、イラッと来ることもありますので(笑)

PC版は「まずはDX11環境を用意すること」

――ちょうどPCの話が出たので。昨日のデモ機はグラフィックカードGTX 680を2枚積んで動作していました。快適でしたけど、結構高価な環境ですよね。DirectX 11世代のグラフィックで“そこそこ”動かすにはどれぐらいのカードがいいでしょうか?
リード 実は動作自体は1枚のGTX 680上でやっていました。今回はDirectX 11環境のみサポートという形にしていますが、DirectX 11対応のカードであればまぁまぁ大丈夫かと思います。(ノートPCで動かして)このマシンはCore i7と660Mですが、このとおり、まぁミディアムの設定でも結構動いていますよね。それと、初代『クライシス』では最低環境だと本当にギリギリの感じがありましたが、今回は最低動作環境でもそれなりの動作をするようになっています。参考までに最低環境をカードで言うとGTS 450ですね。
――個人的にオススメするとすれば?
リード 細かい条件を考えずに何でも積んでいいなら680か690をオススメしたいですね。ただ、自宅では460を使っていたりします。

――では最後に日本のFPSプレイヤーにメッセージを。それと新人がマルチプレイでベテランプレイヤーを倒すためのヒントを。
リード シリーズをプレイしている人はもちろん、プレイしていない人も遊べるように、初心者のためのチュートリアルも入れていますので、これまでより間口が広がっているかと思います。そしてシリーズのプレイヤーの皆さんは、これまであったすべてが向上しているので期待してお待ちください。
 さてマルチプレイのヒントですが、こちらも初心者でもプレイしやすく改良しています。それに、こういう言い方をするのは余り好きではないのですが、“補助輪”も用意してあります。“オートアーマーモジュール”と言って、攻撃を受けると自動的にアーマーをオンにするというものです。慣れてきたら外せます。でも実はこれ、初心者からのリクエストではなく、ベテランプレイヤーからの助言で入れたものなんですよ。