2012年10月27日、東京・秋葉原のベルサール秋葉原にて開催されたユービーアイソフトのプライベートショー“UBIDAY2012”。12月8日にWii Uのローンチタイトルとして発売される『ZombiU(ゾンビU)』のプレイリポートをお届けする。書き手は、ファミ通.comの洋ゲー野郎、ミル☆吉村です。
12月8日はゾン日にすべき! というわけで、アイアン・メイデンのTシャツとゾンビアロハで行って来ましたUBIDAY2012。うん、11月にもなろうってのにちょっと寒かった。
「あれ、なんでまた『ZombiU』の話載ってんの?」って思ったアナタ、鋭い! そう、本誌はすでにユービーアイソフトさんのご好意により、先日すでにスオミ松崎氏によるリポートを掲載してるんですな。んでもってこの記事、担当編集が当方ことワタクシことオイラであって、実は取材にも同行して一緒に遊んでるんですよね。
じゃあなんでわざわざまた取材して書くのか? そりゃ、面白かったから。
スオミ氏の記事を編集していて、「やっぱ俺も書きてぇよ!」と思ったんですよね。基本的なことは被っちゃうので前述の記事を見て欲しいんですが、正直まだ言いたいことがすごいいっぱいある。んなわけで、「俺はゾンビ殺ってくるんで、他の取材、ヨロシクー!」と、他の記者に取材を押し付けまくって再挑戦した次第。
■ここがいい・オブ・ザ・デッド:すげぇ死ぬ
今回デモで遊べたのは、スオミ氏のリポートの後半で触れている、バッキンガム宮殿手前のステージ。武器はクリケットバットにハンドガン(弾6発)でスタート……なんですが、開幕早々あっさり死亡。以降、何度となく隠れ家からの再スタートをくり返すことに。それではマヌケな死因集をお届けしよう。ちなみにこの間、再スタートするごとに、操作キャラクターは、白人、黒人、男、女と、どんどん人種も性別も変わっていく……。
死因1:すでに遊んだステージだったので、このあとの展開を思い出す方向に集中力が向いており、ハンドガンを持っているのを確認し忘れた。さらに、ソナーで敵の数を確認することも怠った。このため、クリケットバットで1体を殴っている最中、後ろから迫られ、アワアワしているあいだに殴られまくって体力が尽きた。
死因2:「え、俺、何死んでんの……」とショックを受けたまま再開し、隠れ家のマンホールから現場に戻る。うつろな目でクリケットバットを手に前回の自分のキャラに殴りかかる。完全にテンパっていたせいで、ソナーを使うことや、さっき複数のゾンビがいたことを忘れており、同じパターンで死亡。
死因3:ようやくハンドガンに気がつく。流石にソナーの重要性も思い出したよ! しかし、自分の情けなさに凹んでいるせいで、1体目はハンドガンでなんとか頭を吹き飛ばすものの、2体目は盛大に外して全弾撃ち尽くしという、お前は「パトレイバー」の太田かという失態。クリケットバットに持ち替えるところまではうまくいったものの、攻撃をスカッたところを組み付かれて一撃死。
このゲーム、実によく死にます。物凄い操作が難しいとかそういうことじゃないんです。むしろ、Wii Uゲームパッド独自の操作以外は、一般的なFPSのコントローラー操作をうまく取り入れてます。
そうじゃないんです。ゾンビについて「ゾンビなんて動き遅いんだし、走って逃げればよくね?」とか言ったり思ったりしたことはないっスか? 自分はあります。あと「日本の住宅街は塀を伝って行けば結構移動できんじゃね」とか考えてる派。
でもゾンビ映画とかには、ショットガンとか持って気が大きくなっちゃって、「ゾンビどもなんかぶっ殺してやるぜフーハハー!」とか言って調子ぶっこいて、油断した隙にあっさり食われて死ぬ人、いますよね?
つまりそういうことです。ゲーム自体に慣れたからって危機感を失ってると思わぬ一撃を食らったりしますし、状況確認を怠って囲まれたりしたら、普通に死にます。プレイヤーキャラクターは実にフツーの一般人であり、超人的なヒーローではありません。
ゲームスタート時のキャラクターが世界を救ったり、真相に迫ったりすることはほとんどないと言えるでしょう。ほとんどの場合、何かの拍子に彼や彼女は死んで、そいつの事なんか知らない、まったくもって他人である次のサバイバーが後を引継ぎ、次の数十分だか数時間の短い生をサバイバルします。このドライな雰囲気、『DayZ』とか『WarZ』といったキャラクターロストしてナンボのゾンビゲーの流行なんかもふまえると、実に“今”な感じと言えるでしょう。
この弱さは、バッグを開けてインベントリを弄っている間の怖さ(メイン画面は切り替わって周囲がちゃんと見えない)とか、落ち着いて当てればいいのに接近されるのが怖くて焦ってしまう感じとか、アイテムをごっそり落として再回収しに行かなきゃいけない不安な感じともしっかり繋がっており、本作のゲーム性でもっとも重要な要素であると言えるでしょう。
■ここがいい・オブ・ザ・デッド:ゾンビあるある
何とか今度こそ問題の部分(実になんてことない)をクリアーし、セキュリティルームに入り、カービン銃とかもゲット。しかし表に出ようとした瞬間……。
死因4:扉を開けると、目の前にいたのは3匹のゾンビ。慌てて下がりつつ、「カービンは強いから後にとっとくとしてここはハンドガンで」とわざわざ持ち替えたものの、弾数を見るのを忘れていた。というわけで、ケチったせいで弾切れを起こして死亡。前は、前やった時はちゃんとできたんスよ、信じてくれ……。
このステージは、こういう「出たらいた」とか、「罠だろと思ったらワンテンポ置いてやっぱり罠だった」っていうのがキッチリ仕掛けられており、この他にも以下の様な“ゾンビありがち事例”がありました。
事例1:スキャナーを見ると、動かないゾンビの反応ふたつ(死んでいる可能性アリ)の近くにアイテムの反応もいくつか。こりゃゾンビがトラップだな、と思って近付いてみると意外にも死んだゾンビ(変な言葉だが)。イェーイ、アイテム取るぜ―と思った瞬間、近くのコンテナからゾンビ登場。
事例2:マップの端っこに行ってみるとポツンと据え置きのマシンガンが。なんだこりゃ、と思いつつ先に進むと上から降ってくるゾンビ。撃退し、奥にあったアイテムを回収して戻ろうとすると、ゾンビ襲撃の報。さっきのマシンガンで撃ちまくって対応するハメに。
事例3:ヘルメットを被った警備兵ゾンビ。警備用のスーツを着込んでおり防御力が高く、ヘルメットを弾き飛ばしてから頭を狙わないと中々倒せない。
■ここがいい・オブ・ザ・デッド:オーソドックス、でもフレッシュ
まぁベタっちゃベタなんですけど、オーソドックスなネタをキッチリカバーしているのは個人的に好感。それもこれも、前項で説明したように、ゾンビは1対1だとそうでもないけど集まると強くて、人間(プレイヤー)は知性と道具で勝てるけど油断してアホな行動を取ると割とあっさり死ぬという、昔ながらのゾンビ像に立ち返っているからこそイイ感じなんじゃないかと思います。このゲームバランスで、敵が最近流行のハイテンションなゾンビだったらドキドキする暇もなくて、数体出てきたらもう終了じゃないですか。
この古くて新しい感じ、本作が実は完全新規IPと思いきや、1986年にアムストラッドCPCという、ユーロ圏でのみよく売れたPC向けにUbisoftがリリースしたとかいう『Zombi』なるアドベンチャーゲーム(後にアミーガやアタリSTやコモドール64やZXスペクトラムなんかでも出たらしい)が元ネタとしてあるからなのかなんなのかわかりませんが……うーん、関係ないか。
まぁその、新ハードのローンチにふさわしい、ゲーム内容が想像つかないほど突飛すぎはしないけど確実に新しい体験が出来る、クラシックさと新しさが同居したなかなかのグッドゲームなんじゃないでしょうか。正直、ここから先のボリュームはどうなのかとか、トレイラーを見ているとチョイチョイ出てくる今後の話の展開はどうなっているのかとか、飽きたりしないようにどうバリエーションがついていくのかとか、気になってしょうがないのであります・オブ・ザ・デッド。
■著者紹介
ミル☆吉村
ファミ通.comの洋ゲー脳編集者。たまーに紙の仕事もしたりしなかったり。基本的には、アメリカ各地、カナダ、アイスランド、シンガポール、中国、韓国と、世界中を飛ばされまくる人。脱線した原稿を書き始めると、呆れられたり訂正を入れさせられるどころか、「またか」と放置され気味になってる人。俺、この洋ゲー仕事ラッシュが終わったら「ウォーキング・デッド」のシーズン3をHuluで見るんだ……。