Kinectの技術が障害者支援サービスに広がる

 2012年10月5日、東京都江東区にある、こどもの職業・社会体験型施設 キッザニア東京において、Kinectの技術を採用した重度障害者支援システム"OAK - Observation and Access with Kinect"の体験会が開催された。

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Kinectの技術を採用した障害者支援サービス"OAK" キッザニア東京で体験会実施_01
▲キッザニア東京にて開催されている"サイエンスフェア"の一環として、OAK体験会が行われた。開催期間は10月5日~7日。

 OAKとは、東京大学先端科学技術研究センター(以下、東大先端研)と日本マイクロソフトが共同開発した、障害者の意思表示や活動を支援するソフトおよびデバイスを含めたシステムのこと。詳細については先日開かれた説明会のリポート記事(→こちら)を確認してほしい。この体験会は、事前に募集した参加希望者を招いて、実際にOAKを活用した実機操作を体験してもらう試みとなっている。この日、参加したのは、重度の肢体不自由があるために意思表示や主体的な活動が困難な児童を持つ2組のご家族。東大先端研の中邑賢龍教授、巖淵守准教授から説明を受けた後、さっそくOAKのアクティビティを体験した。

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 最初に体験したのは、フェイススイッチの機能。Kinect センサーが顔の位置を認識すると、目(まぶた)の動きに応じてライトを操作(点灯/消灯)するアクティビティだ。任意に部位を動かせる範囲には個人差があるが、PCで感度(ピクセル単位)を調節することでユーザーにもっとも適した設定が可能だという。続いて行われたエアスイッチの機能は、指の近くに設定されたボタンに触れるように動かすことでライトを操作できる。取材陣のカメラ(フラッシュ)の光によって、Kinect センサーが検知可能な感度に影響をおよぼすらしく、ときおりライトが反応しにくいことはあったが、これもPC側で左右のどの指を対象とするのか、どのくらいの動きから検知するのかを設定することができる。

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 OAK体験後に、参加した児童の保護者に感想を聞く機会があり、「障害を持つ子は自分の意思を言葉にして伝えられないが、好きなタイミングで意思表示できるようになることがうれしかった」という。今後の期待にすることとしては「子どもどうしでやりとりしたり、ケアを受けたいときに自分から意思表示ができるコミュニケーションツールになってほしい」と語ってくれた。また、従来の機器に比べても安価で、小さくコンパクトであることにも好意的な反応が得られた。実際、まだまだ開発中の段階であり、実用化の時期を考えるのはまだ早いが、Kinectの可能性がさらに広がっていくことが感じられた。