障害者支援の分野でもKinectの技術が活躍する
本日(2012年10月3日)、東京大学先端科学技術研究センター(以下、東大先端研)と日本マイクロソフトは、Kinect for Windowsを応用した障害者の活動を支援する取り組みとして共同開発中の“OAK”(Observation and Access with Kinect)の説明会を開催した。
住宅業界や医療の現場に採用されつつあるKinectの技術が、さらに活躍の場を広げることになる。「Kinect for Windowsを応用した重度障害者支援への取り組み」と題した今回の記者説明会では、最初に加治佐俊一氏(日本マイクロソフト株式会社 最高技術責任者)からマイクロソフトの技術支援について説明があり、「障害のある方も含めて誰もが活用できるテクノロジーの実現に向けて注力を続ける」というマイクロソフトの企業理念を語った。実際に、障害のある学生のための大学進学・社会進出を支援するプログラム「DO-IT Japan」は東大先端研と日本マイクロソフトの共催により、2007年からスタートしている。この一環として今回発表する重度障害児向けプログラム、OAKの開発に至っている。
その後、東大先端研の中邑賢龍教授から、OAKの詳細なシステムについて説明があり、障害児向けの支援システムの開発中、Kinectに注目した理由としてWindowsにつなげること(自宅のPCに接続できる)、従来の特殊な機械よりはるかに安価であることが挙げられた。
従来、重度の障害を持つ人は任意で動かせる部位の少なさや可動範囲の小ささを理由に既存のテクノロジーでは反応を検出することが難しかったが、Kinectの技術は細かい動き(口の開閉や手の動きなど)を検出して、使用する人に合わせた利用が可能になったとのこと。障害者の能動的な活動や意思表示をKinectが支援するというわけだ。
OAKとKinectセンサーを使った実演デモも披露された。最初に紹介されたのは、エアスイッチと呼ばれる機能。空間の任意の位置にボタンを設定して、Kinect センサーが動きを検出するとON/OFFを切り替えることができる。
2番目の機能はフェイススイッチ。口の開閉や目の動き(まばたき)といった顔のわずかな動きをKinect センサーが検知して、その動きに対応したアクションを実行する。
最後は、モーションヒストリーと呼ばれる機能が紹介された。対象者の動きのログ(記録)を細かくとることができ、気づきにくかった些細な行動を明確に認識する方法として注目されている。
今後、東大先端研と日本マイクロソフトは、OAKを利用した「重度肢体不自由・重複障害のある子どものためのICT活動体験プログラム」を全国主要都市で実施していく予定。
今週の10月5日~7日には、キッザニア東京(東京都江東区)において体験会を実施する。子どもたちに東大先端研の研究員体験をしてもらう催し“サイエンスフェア”の一環として行われる。
また、OAK(ソフト)とKinect for Windows センサー、サポートなどをセットにしたパッケージ販売も検討されている。
障害者活動支援ソリューション「OAK」概要
名称:OAK - Observation and Access with Kinect -
URL:http://doit-japan.org/doat.html(→こちら)
動作環境:OAKの動作には、Windows 7 PCとKINECT for Windows センサーが必要です。
PC本体の必要システム
・CPU:2.66GHz以上のデュアルコア、32 ビット(x86)または64 ビット(x64)プロセッサ
・接続ポート:USB ポート (USB 2.0)
・メモリ:2GB RAM
・対応OS:Microsoft Windows 7 (Windows 8にも対応予定)