映画『バイオハザードV:リトリビューション』ワールドプレミア試写会で、あの方々が来日!

映画『バイオハザードV:リトリビューション』ポール・アンダーソン監督&小林プロデューサーのスペシャル対談をお届け!_01

 サバイバルホラーとして全世界で人気のアクションゲーム『バイオハザード』シリーズをもとにした映画『バイオハザードV:リトリビューション』が、2012年9月14日に日米同時で公開される。それに先駆けて、2012年9月3日に六本木ヒルズアリーナで世界最速のワールドプレミア試写会が実施された。会場には、主演女優のミラ・ジョヴォヴィッチ(アリス役)と、ミラの夫で映画『バイオハザード』シリーズ生みの親、ポール・W・S・アンダーソン監督が来日、さらに前作『バイオハザードIV アフターライフ』で衝撃的なアンデッド姿を披露した中島美嘉も登場。この超豪華なイベント会場で、ポール監督と、ゲーム『バイオハザード6』のエグゼクティブプロデューサーである小林裕幸氏の対談が行われたので、その模様をお届けしよう。

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ポール・W・S・アンダーソン氏
映画『ショッピング』で映画監督としてデビュー。映画『バイオハザード』シリーズは1作目と4作目で監督を務め、2作目と3作目では脚本と製作を手掛けている。最新作『バイオハザードV:リトリビューション』でも、前作に続き監督に。そのほかの代表作は、『モータル・コンバット』、『エイリアン VS プレデター』、『デス・レース』、『三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』など多数。『バイオハザードV:リトリビューション』の主演女優であるミラ・ジョヴォヴィッチとは、2009年に結婚している。
小林裕幸氏
ゲーム『バイオハザード4』、『ドラゴンズドグマ』、『デビル メイ クライ 4』のプロデューサー。シリーズ最新作『バイオハザード6』では、エグゼクティブプロデューサーを務める。

ゲームが大好きなポール監督が放つ最新作へのこだわりとは?

――シリーズ5作目となる今回の映画は、歴代シリーズのおもなキャラクターが大勢登場する豪華な内容となりましたが、制作にあたってとくに苦労された点をお聞かせください。
ポール・W・S・アンダーソン氏(以下、ポール) まず、“ゲームの登場人物から誰を出すか?”というところで悩んだよ。なんたって、『バイオハザード』は15年以上の歴史があって、登場キャラクターの人数もかなり多いからね。映画の冒頭部分でも、俳優の名前といっしょに“ジル・バレンタイン”や“アルバート・ウェスカー”といったキャラクター名も表示しているから、ゲームでおなじみの人物がどれだけたくさん登場しているか、すぐにわかってもらえると思うよ。

――今回、新たにゲームから参戦したおもな人物はエイダ・ウォンとレオン・S・ケネディですが、このふたりはゲームの『バイオハザード6』にも登場しますね。
小林裕幸氏(以下、小林) じつは、監督がエイダとレオンの登場を決めたことと、僕たちがゲーム『バイオハザード6』の主人公のうちのふたりをエイダとレオンにしたことは偶然なんですよ。僕たちと監督の心がどこかで通じていたのかもしれませんね。
ポール 僕もそう思うよ。あと、映画では地下鉄でのバトルシーンがあるけど、『バイオハザード6』にも地下鉄のシーンがあるよね? これもただの偶然ではなくて、お互いに『バイオハザード』という作品に対して、同じインスピレーションを感じていたのかもしれないな。

――なるほど。エイダとレオンのお話が出たところで、ゲームでの『バイオハザード』シリーズをとくに意識した部分はなんでしょうか?
ポール たくさんあるね。とくにアクションシーンでの体の動きにはこだわっているよ。たとえば、アリスがリッカーの上をクルクル回りながら撃つ場面では、ゲームのエイダが行っていたアクションそのものなんだ。あと、役者の動きだけじゃなくて、カメラワークもゲームの『バイオハザード』を意識しているよ。シエンナ(ジル役のシエンナ・ギロリー)が銃を構えるポーズも、ゲームで見たことあるんじゃないかな。ただ、生身の人間の動きを、あまりにもゲームキャラクターに近づけすぎると違和感が出てしまうから、さじ加減には気をつけたよ(笑)。
小林 ゲームに近い場面というと、劇中でエイダがフックショットを使うシーンもカッコよかったですね。
ポール あの場面も、『バイオハザード4』のエイダそっくりだろう? デザイナーの担当者がゲームでの動きを細部まで研究して、違和感のないように再現したんだ。『バイオハザード』は、ゲームファンと映画ファン、どちらにもアピールしなければならない。ゲームファンが納得いくようにディテールにこだわり、逆にゲームをプレイしたことがない映画ファンにも「カッコイイ!」と言ってもらえるものが完成したと思うよ。

――十分すぎるほど納得の内容です!(笑) そう言えば、本作の舞台となっている研究施設は極寒の地に埋まっている設定ですが、もしかしてガンシューティングゲームの『バイオハザード アンブレラ・クロニクルズ』も参考にされているとか……?
ポール もちろんさ。ロシアを舞台にしたのは『アンブレラ・クロニクルズ』へのオマージュだし、『バイオハザード コード:ベロニカ』も意識しているよ。こちらもストーリーを進めていくと、雪と氷に閉ざされた南極基地が出てくるだろう?

――確かに! ナンバリングタイトル以外もしっかりチェックしているんですね。
ポール じつは、寒いところを選んだ理由はそれだけじゃないんだ。映画の前作『バイオハザードIV アフターライフ』で、雨の中で戦うシーンがあったよね。こういったシーンでは、3Dを最大限に活用できるんだ。でも、いつも雨の中で戦わせるわけにもいかないから、雪が降るところでのバトルシーンを入れようかと考えたんだ。
小林 僕は前作のときも思ったのですが、監督の3D表現に対するこだわりはすごいですね。
ポール 3Dは本当に大好きだよ。最近は、昔の映画を3Dでリバイバルしている映画も多いけど、僕の目指している3Dはそういうのとはまったく違うんだ。撮影の段階で3D向けに作っているから、雪の結晶のひとつひとつに至るまで、しっかり3Dに見えるはずだよ。

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▲終始笑顔で語り合う小林Pとポール監督。『バイオハザード』への情熱がビンビンに伝わってきた。

――かなりのこだわりが感じられますね。ところで、本作では東京やモスクワなど、さまざまな都市を模した巨大施設が出てきますが、これらはどのように撮影しているのでしょうか?
ポール もともと、兵士のためのシミュレーション施設が存在するんだ。それに近いものを再現しているから、映画の設定に近い場所で撮影していると言えるね。ただ、そういった撮影用のセットだけではなく、実際にモスクワの“赤の広場”をひと晩だけ借り切って撮影を行ったりもしたよ。それから、渋谷の交差点も、実際に撮影しているよ。

――えっ! あの交差点で?
ポール さすがに、あの場所を封鎖してアクションシーンを撮影したらとんでもないことになるから、背景だけを本物の渋谷で撮影したんだ。それを渋谷そっくりに作ったセットと合成しているんだよ。
小林 今回の映画は、世界中のさまざまな都市が登場しますね。ゲームの『バイオハザード6』でも、アメリカ、中東、中国と、さまざまな場所を舞台にしていますが。
ポール そうだね。ゲームの『バイオハザード』も、最初は森の中の洋館という小さな舞台だったけど、続編で舞台がラクーンシティ全体に広がって、ヨーロッパ、アフリカ……と、どんどんグローバルになっていった。映画の『バイオハザード』も、同じくグローバルになっていくように、スケール感を意識しているんだ。中国はまだ出てきていないけど(笑)。
小林 中国的な要素は、リー・ビンビンさん(エイダ役)が出演しているということで(笑)。

――(笑)。『バイオハザード』の共通用語というと、ゾンビやガナード、マジニ、リッカーといったクリーチャーも重要ですね。これらへのこだわりもお聞かせください。
ポール 人物と同じく、クリーチャーもどこまで映画に出すか迷ったよ。クモのクリーチャーも登場させたかったけど、2時間という枠には入りきらなかったんだ。ただ、今回は飛行タイプのクリーチャーも登場するから、これまでの“高いところにいれば安全”という概念がなくなった点に注目してほしいな。

――なるほど。最後に、公開を楽しみにしているファンにひと言お願いします。
ポール 今回で映画の『バイオハザード』は5作目になるけど、過去作を観ていない人でも1本の映画として作っているんだ。ゲームの『バイオハザード4』を単体でプレイしても問題なく楽しめるのと近いかな? クリーチャーが追いかけてきたときのスリルやアクションも、かつてないスケールで感じられるので、ぜひ劇場に足を運んでください!
小林 僕も、映画の公開がすごく待ち遠しいです。
ポール ゲームの『バイオハザード6』も、早く遊びたいよ!(笑)