"紅"から"眞紅"へ――。『零 ~眞紅の蝶~』プレイインプレッション

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和風ホラーゲームの人気シリーズ最新作『零 ~眞紅の蝶~』が2012年6月28日に発売された。本作をプレイした担当編集者によるプレイインプレッションをお届けします。

●人気和風ホラーゲーム『零』シリーズ最新作

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 皆さん、こんにちは。週刊ファミ通編集部のジャスト野島と申します。6月28日に任天堂より『零 ~眞紅の蝶~』が発売されました。本作は、ホラーゲーム好きの方たちの間で根強い人気を誇る『零』シリーズの最新作。私もさっそくプレイさせていただきました。ふだんは軽いノリの文章を書くことが多い私ですが、ホラーゲームなので今回はシリアスにインプレッションをお届けしたいと思います。

9年ぶりに蝶が舞う
 『零』シリーズは、いわゆる霊や怨霊などが蠢く独特の世界を舞台に、人間の心理を揺さぶるようなストーリーと恐怖の演出が、ファンに支持されている作品です。そして本作は、2003年に発売された『零』シリーズの2作目『零 ~紅い蝶~』をベースに、数々の要素が盛り込まれたリメイク作品となっています。リメイクと言っても、ビジュアルやゲームシステムなどが全面刷新されているため、オリジナル版をプレイしている方でも、新作をプレイする感覚で楽しめる内容となっています。


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▲主人公の澪(左)と繭(右)。か弱い姉妹が恐ろしい怨霊と対峙しなければならないという対比が、また恐怖を引き立たせている。

出し惜しみのない"恐怖"の演出
 本作の主人公は、澪(みお)と繭(まゆ)の双子の姉妹。ゲームは、彼女たちが永遠の夜が続く呪われた村"皆神村(みなかみむら)"に迷い込んでしまうところから幕を開けます。村を徘徊している村人たちの霊、そして、霊感の強い姉の繭は、徐々に双子巫女の霊に取り憑かれてしまいます……。
 私はこれまでにホラーゲームと呼ばれる作品をいくつかプレイした経験はありましたが、『零』シリーズをプレイしたのは本作が初めてでした。プレイして強く感じたのが、恐怖演出の臨場感が尋常ではないほどリアルだということ。ゲームは三人称視点で進行していくのですが、遠くに見えていた壁に近づくと、汚れかと思っていたものが血の痕だったことがわかったり、廊下にある仕切り布がゆらゆらと揺らめいていて、布のわずかな隙間からしか奥が見えなかったりします。これは固定視点では味わえない感覚です。しかも、布が揺れているというちょっとした演出だけで、"そこに何かがいるかも"と、プレイヤーが勝手に想像してしまうんです。"想像させる怖さ"こそが、本作の真骨頂ではないでしょうか。そして、その恐怖をさらに引き立たせているのが"音"の存在。霊と対峙したときに主人公・澪の心臓の鼓動の音が聞こえてきて、澪の心情がダイレクトにプレイヤーに伝わってきます。ヘッドホンで聞いたり、静かな部屋でプレイしていると、まるで自分の心臓も同じように鼓動している感覚を体験できます。この臨場感は、ホラー映画でもなかなか体験できるものではありません。


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▲霊が現れると、画面にざらざらとした効果が表れます。こういった細かい演出にも、"何か尋常じゃない事態が起こっているな"と感じさせられますよ。

物に触れるのすら恐ろしい
 ゲームを進めている途中で、道にアイテムが落ちていることがあります。Aボタンを押しているあいだ、澪が対象に向かって徐々に手を伸ばし、アイテムに触れるとを入手できるのですが、たまに霊の手が現れてつかまれることがあります。つかまれたときはビックリしますし、体力が減ってしまいますので、プレイヤーの心情的ゲーム的にも厄介な相手です。つかまれないようにするには、Aボタンを押す→離す→押すをくり返して、少しずつ手を伸ばす必要があります。取りたいけど手を伸ばしたくない……このシステムが、プレイヤーと澪の心境をさらにリンクさせ、物語への没入度を高めているのです。


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▲落ちているアイテムに触れるほかに、引き出しを開けたり、死角になっている場所を覗き込んだり。安心したところに怨霊が現れたりするので、油断はできません。

怖いものを直視しなければならないジレンマ
 怨霊との戦いは"射影機"と呼ばれるカメラを使って行います。射影機は、怨霊と戦ったりすることで手に入るポイントを使って強化できるほか、道中に落ちている射影機のパーツを組み合わせることで追加効果を付与できます。戦う際に気をつけたいのが、怨霊を撮影する状況によって、与えられるダメージが異なること。中でも、特定のタイミングで発生するフェイタルフレームでの撮影は大ダメージを与えられるだけでなく、ポイントも大量に獲得できます。ただし、ひとつだけ難点が……。フェイタルフレームを狙うには、ある程度怨霊を引きつけて撮影しなければならない場面が多いのです。つまり、"怖いのに怨霊を凝視しなければならない"というジレンマがつねにつきまといます。私は比較的大丈夫なのですが、ビビリな人は狙うのがなかなか難しいかもしれません。


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▲フェイタルフレームでの撮影に成功すると連続して撮影でき、一気に大ダメ―ジを与えられます。画面上部のフィラメントに注意!

引き込まれる物語
 澪と繭が迷い込んだ皆神村には、双子を生贄として捧げる"紅贄祭(あかにえさい)"と呼ばれる儀式が執り行われていました。過去に行われた紅贄祭で儀式に失敗したために、村は永遠の闇に飲み込まれてしまい、村人たちは怨霊となってなお、双子の生贄を捜して澪たちに襲い掛かってくるのです。そして、姉の繭は過去に生贄となった双子巫女の怨霊に取り憑かれてしまいます。
 ネタバレになるのでストーリーの詳細には触れませんが、私はエンディングを迎えて、"美しい"と"怖い"は密接な関係があるものなのだと強く感じました。澪と繭の双子は容姿が美しく、それだけで恐怖を引き立たせます。しかも、過去に繭が足を怪我した事件がきっかけで、彼女たちはお互いに"姉を守りたい"、"妹といつもいっしょにいたい"という、強い姉妹愛で結ばれています。しかし、双子巫女に取り憑かれたことで、隣りにいるのが繭なのか、取り憑いている双子巫女なのか、疑心暗鬼に陥ることもしばしば。姉妹がそれぞれを想う気持ちが美しいからこそ、その裏に潜む恐怖が強調されるのではないでしょうか。


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▲物語の中でもたびたび登場し、ふたりを誘う紅い蝶。闇の中を美しい蝶が舞うという対比的な描写も、皆神村の恐ろしさを引き立たせているように感じます。

プレイヤーそれぞれの結末を見つけられる
 オリジナル版である『零 ~紅い蝶~』は、圧倒的な恐怖の演出だけではなく、双子の姉妹が描く物語と、その結末が話題となり、いまなおファンの間で語り草となっている作品です。そして『眞紅の蝶』は、オリジナル版の世界を崩さずに、プレイヤーによりわかりやすく物語が描かれています。本作には新規のものを含む複数のエンディングが用意されており、プレイヤーの行動によって迎える結末が変化します。美しくも恐ろしい世界の果てに、どんな終焉が待っているのか……。いくつものエンディングを目にしたうえで、あなた自身がベストだと思う結末を見つけられるはずです。そして、一度ストーリーモードをクリアーすると、ハードモードで本編をやり直せるようになります。また、コスチュームチェンジをして、ふだんとは違った感覚でプレイを楽しむことも。奥深い本作の世界を、隅々まで味わい尽くしてください。


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▲任天堂とコーエーテクモゲームスのコラボ作品ということで、マリオとルイージのコスチュームも用意されています。このほかにも、色香漂うきわどいコスチュームが多数……。

怖がりな人といっしょに"お化け屋敷"へ行きませんか?
 本作には、ストーリーモード以外にもうひとつのモードが用意されています。それがお化け屋敷モード。自動生成されるお化け屋敷を歩き、特定の目的を達成すればクリアーという単純明快なルールのモードです。本モードのおもしろいところは、Wiiリモコンをもうひとつ用意しておけば、屋敷を進む1P側のプレイヤーを2P側が驚かせられるということ。突然幽霊を出現させたり、泣き声や悲鳴を出したり、さらには1P側のWiiリモコンを振動させることだってできるんです! しかも、Aボタンを押し続けるだけで屋敷内を進むことができるので、ゲーム初心者でも存分に楽しめます。豊富な楽しみ方が用意されている『零 ~眞紅の蝶~』。この夏を涼しくするためのアイテムとして、ご家族や友人、恋人といっしょに楽しんでみてはいかがでしょうか。


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▲プレイヤーの感じた恐怖をWiiリモコンが感知して、"ビビリ度"として表示。霊感診断や、もっともビビった瞬間の画面を保存する機能も用意されています。

『零 ~眞紅の蝶~』ディレクターの柴田誠氏と、主題歌を手掛ける天野月さんのスペシャル対談はこちら


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