『FFXIII-2』を鳥山ディレクターが総括。ライトニングとともに再び前へ踏み出す!?――独占インタビュー【GDC台北 特別編】

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台湾の台北国際会議センターにて、2012年6月26日と27日の両日開催された“ゲームディベロッパーズ カンファレンス(GDC) in 台北”。同イベントの講演のために台湾入りした『FFXIII-2』の鳥山求ディレクターに現地で直撃。その独占インタビューをお届けしよう。

●「今後はアジアと協力して世界に対抗できる作品を作っていきたい」(鳥山)

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▲『FFXIII』、『FFXIII-2』の中文版のパッケージを持つ鳥山氏。パッケージは、日本版や欧米版とも異なるデザイン。

 台湾の台北国際会議センターにて、2012年6月26日と27日の両日開催された“ゲームディベロッパーズ カンファレンス(GDC) in 台北”。その二日目となる27日、スクウェア・エニックスの人気RPG『ファイナルファンタジーXIII』および『ファイナルファンタジーXIII-2』のディレクターを務めた鳥山求氏によるセッションが行われた。ここでは、その鳥山氏に台湾で直撃した独占インタビューをお届けしよう。

――鳥山さんは台湾は初めてですか?

鳥山求氏(以下、鳥山) いえ、『FFXIII』や『FFXIII-2』のリリース前後に、発売記念イベント等で何度か来たことはあります。まさかGDCをやってるとは思ってなかったですけど(笑)。日本でもGDCは開催されてないですからね。

――今年が初めてみたいですね。台湾にはどういった印象をお持ちですか?

鳥山 『ファイナルファンタジー』を待っていてくれるゲームファンの方が多くて、すごくありがたいというか。そういった方が多いため、『FFXIII-2』では世界同時リリースにこだわりました。

――『FFXIII-2』は予定のダウンロードコンテンツ(DLC)も配信され、ひと区切り付いたと思いますが、総括するとどんな感想をお持ちですか? 各国を回られていろいろな声を聞いたかと思いますが。

鳥山 私個人的は、おもにアジア地域を回ったので、アジアでの印象が強いんですが、各国概ね反応は日本と同じで、ゲーム性に関しては好意的に受け止めていただいているようです。ただ、DLCに物語を分散させた展開であるとか、批判される部分も日本とだいたい同じですが(苦笑)。すべての要素をパッケージ版に入れてほしい、という声はいただくのですが、そうすると開発期間が延びてソフトをなかなか届けられない、というジレンマもあり……。DLCに関しては、まだまだ過渡期なのかなと思いますので、こちらもユーザーの方々の声に耳を傾けながら検討していきたいと思います。

――『FFXIII-2』は、DLCを本格的に導入したシリーズ初の作品ですが、その試みの結果はいかがでしたか?

鳥山 まだ、全世界の数字を出してないので何とも言えないところです。開発者からすると、作り上げた世界観・物語の拡張が長いスパンでできるので、そういった意味では自分たちがやりたいこと、やりたかったことが出せるというのはいいなと思いましたね。今回は、語られなかったキャラクターの物語をDLCや小説などで拡張していく、というのは開発当初のコンセプトとして描いていたので、思い描いたとおり展開できたとは思います。ただ、開発のゴールが見えづらくなるので、開発的にはタフでしたけど。 

――今回の講演のテーマは、『FFXIII』から『FFXIII-2』へと進化したゲーム制作手法とアジア地域での『FF』シリーズの展開(講演のリポートは→こちら)ということでしたが、これをテーマにした理由とは?

鳥山 2010年の北米のGDCでは、『FFXIII』の完成までの道のりをテーマにして講演したので、今回は『FFXIII-2』を含めて、一度総括したい、という気持ちがありましたし、ソニー・コンピュータエンタテインメントさんのお誘いもあって、HD環境で大量のデータを必要とする大規模開発の苦労とそこから学んだことを台北で講演することになりました。

――その苦労というのを簡単にご紹介いただけますか?

鳥山 『FFXIII』、そして『FFX』のときもそうだったんですけど、私が関わるタイトルはハードが移り変わったタイミングで発売するものが多く、ハードの転換期には、開発環境も新しいハードに合わせて大きく構築し直すんですね。それが『FF』のクオリティーを高めるためには必要なんですけど、HDゲーム機はかなり敷居が高く、基礎開発に時間がかかり、それをマネジメントするノウハウも十分ではなくて、結果的にソフトの開発にも大きな時間を要してしまった、というのが『FFXIII』でした。『FFXIII-2』では、その反省を踏まえ、適切な開発期間と開発規模を見直す、というプロジェクトの思想のもと、どう開発していったかという部分をお話ししました。


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――今回の台北でのGDCもそうですが、こういった開発者向けの催しで刺激になる部分はありますか?

鳥山 やはりありますね。『FFXIII-2』の開発手法も、欧米の大規模タイトルを手掛けているスタジオの手法を参考にしている部分もあります。『FFXIII-2』でも、欧米スタジオの開発スタイルのいいところと、『FF』流の開発スタイルを融合させて、開発を進めていきました。また、欧米の開発スタジオは、開発後の総括をしっかりやって、それを論理立てて説明し、情報共有するという習慣があるので、とても興味深いと同時に参考になりますね。スクウェア・エニックスとしても、E3 2012ではLuminous Studioをお披露目したように、そういった情報共有をしっかりやっていこうということで、今回のGDCでも、我々が採った開発スタイルを報告し、開発者の皆さんに参考にしていただければ、という意味でも参加させていただきました。

――Luminous StudioはE3 2012で注目されていましたが、鳥山さんご自身は同ゲームエンジンにどういった印象を持っていますか?

鳥山 プリレンダのCGムービーと変わらないというくらいすごいビジュアルになっていて、すごくレベルが高いなという印象を持ちました。もちろん期待はしています。まだ、技術開発の段階ですが、これからゲーム開発チームと融合しながら、次世代機に向かって準備するフェイズに移っていくところです。

――開発者にとっては、すごく魅力的なエンジンだと。

鳥山 そうですね。あのレベルの映像があたり前になると、どこを作り込んでどこを簡略化するか、もしくは、すべてを作り込むのか、などの部分のディレクションも開発においては重要になってくるでしょうね。

――ちなみに、E3 2012に関しては、どういったご感想を?

鳥山 据え置き機は成熟期を迎えて、楽しみなタイトルが出てきそうだな、というのをまず感じました。ハードの成熟期は、つぎの世代へ向けていろいろ試したいことができる時期でもありますし、我々も新しいことをいろいろやっていこうと改めて感じさせられました。また、デモ映像の作りも洗練されていて、イメージ映像の中にもその先にあるゲームを感じさせるものが多かったですね。

――ゲームを感じさせるものとは?

鳥山 たとえば、ユービーアイソフトさんの『WATCH DOGS』。今回のE3ではユービーアイソフトさんのゲーム映像はどれもすばらしかったのですが、とくに『WATCH DOGS』は映像のよさだけではなくて、新しいゲーム性というものも感じましたね。次の世代では、ゲーム映像がプリレンダムービーに匹敵するクオリティーになると思いますので、ゲーム性をイメージさせるものを作らないと、作り込んだ映像も心に響かなくなる、ということも感じさせられました。

――次世代の息吹も感じられたE3だったと。

鳥山 そうですね。次世代への準備は1年程度では整わないと思うので、各社その準備にすでに入っていることが感じられましたね。Luminous Studioもかなり前から準備を進めていましたし、来年以降が楽しみですね。


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――次世代の足音が感じられる一方で、ブラウザゲームやスマートフォンアプリなどに代表されるソーシャルゲームの普及がすごい勢いで進んでいます。それについてはどうお感じですか? 鳥山さんご自身も『聖戦ケルベロス』をプレイされているそうですが。

鳥山 ソーシャルゲームが人気になる以前のオンラインゲームは、MMORPGなどどちらかと言うと、ヘビーで敷居の高いものが多かったですよね。オンラインゲームはゲームの先に人の存在を感じることができ、予想外のことが起きたりといった、データだけでは用意しずらい要素が魅力のひとつですが、ソーシャルゲームはオンラインの敷居の高さを感じさせず、ライトな感覚で、少しの時間でもそういったオンラインゲームの要素を楽しめるところに魅力を感じます。私もどちらかと言うとライト志向なので実際にプレイすると楽しいんですよね(笑)。コンシューマの開発者からすると最大の脅威ではあるんですけど、オンラインに関しておもしろい使いかたをしている部分に関しては参考になります。最近はコンシューマのゲームでもたとえば『風ノ旅ビト』や『ドラゴンズドグマ』も一部そういったオンライン要素が盛り込まれていて、今後はそういった要素を取り入れた作品が多くなってくでしょうね。我々もハイエンドゲームならではの魅力をしっかり持ち、どうソーシャルの要素を取り入れていくかが今後のポイントだと思っています。

――最後に台湾のゲーム業界についての印象もお聞かせいただけますか?

鳥山 あまり詳しくはないのですが(笑)、技術力は高いという印象です。海外のAAAタイトルも台湾を含めたアジアが外注先として関わっているようですし。ユーザーの方が遊んでいるほとんどのゲームの一部がじつはアジアで作っている、というケースも多いのではないでしょうか。

――『FFXIII』や『FFXIII-2』もそうなのですか?

鳥山 アジアの開発会社に一部を依頼しようとしたんですが、時間の都合で断念せざるを得ませんでした。作業量もこなしてくれますし、ツールは世界共通ですし、欧米の開発会社の仕事も請け負っているので、ノウハウも溜まっているんですよね。今後は台湾を含めたアジアから、世界に対抗できる作品が出てきてほしいですよね。

――この機会に少しだけ今後に関しても少し聞かせてください。まずは『FFX』のHD版の進捗状況はいかがでしょうか?

鳥山 HD化に関しては、いろいろ検証が必要なところがあり、もう少しお待ちいただければと思います。

――『FF』25周年のイベント(→こちら)には、何か『FFXIII』関連の出展はあるんでしょうか。

鳥山 DLCのライトニング編エンディングで謎を残しつつも希望が感じられる終わりかたになっていたと思うんですけど、その意味を遠からず明かせる日が来るかもしれません。

――楽しみにしています!


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【2012年7月6日 11:25記事修正】
文章中で“ユーザーアイソフト”と表記しておりましたが、正しくは、「ユービーアイソフト」です。読者並びに関係者の皆様にご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします。




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