アーティストリレーインタビュー、今回はこのふたり

 ガストより発売中のプレイステーション3用ソフト『アーシャのアトリエ~黄昏の大地の錬金術士~』。本作のボーカル曲を集めたアルバム「Twilight Hour(トワイライトアワー)アーシャのアトリエ~黄昏の大地の錬金術士~ボーカルアルバム」が発売され、キャラクターテーマ「宵の星」を歌うチリヌルヲワカ、バトルテーマ「MARIA」とアトリエテーマ「夢を織る家」を歌う霜月はるかのインタビューが公開された。

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チリヌルヲワカ

【チリヌルヲワカ】
元GO!GO!7188 のギターボーカル:中島優美、THE COLLECTORS のドラム:阿部耕作、ベース:イワイエイキチ、ギター:坂本夏樹で構成。精力的にライブ活動を行う。2012年5月ツアー敢行。

――チリヌルヲワカの皆さんが今回のオファーを受けた時の感想は?
中島優美(ギター&ボーカル、以下、中島) いままでの私の曲を聴いていただいた上でのオファーだとお聞きしてとてもうれしかったです。そして期待を裏切らない曲を作ろうと思いました。
阿部耕作(ドラム、以下、阿部) こちらとしてはゲームの曲はちょっと、みたいなことはなくて、僕らの音楽を理解してくださって、いいお話をいただいたら全力でやるだけで。初めての試みでしたが、楽しくやらせていただきました。
サカモトナツキ(ギター、以下、サカモト) 普段、音楽の依頼をいただく業種の方とはまったく違う方で、しかも初めてのゲームの曲ということで楽しみでした。

――中島さんはキャラクターテーマ「宵の星」はどのようなイメージで作られたのでしょうか?
中島 特にどんなシーンで流れるのかは決まっていなくて、いただいた資料を見て、全体的なストーリーや世界観をイメージして作りました。歌詞的には昼間は星は見えないけど、夜になったら見えますよね。そこにあるはずなのに昼間は見えてない、絶対つながっているはずなんだけど見えてないだけで、夜になったらまたつながれるんだと、いう意味で、タイトルも「宵の星」にしました。夜を心待ちにする中で、せつなさ、つらさなどいろいろな感情を入れたいと思って書きました。サウンドはシンプルなバンドサウンドになっていますが、チリヌルヲワカでやる以上は4人だけで、ライブでもそのまま演奏できるようなアレンジにしたいと思いました。
阿部 今回はアコースティック風に聴かせたいねという話をして。それもチリヌルヲワカでは珍しいことで、楽曲的にもチャレンジできたかなと思います。
サカモト 普段、ユウ(中島)さんが弾き語りで弾いたデモを聴かせてもらうんですけど、今回も聴いた瞬間、「いい曲だな」と。そして「すごい曲になりそうだ」と思いながら制作してました。

――レコーディングはどのようなことを考えながら制作されたのでしょうか?
中島 ゲームの世界観を損ないたくないというのが大前提であって、少女が主人公という部分はちょっと意識しながら歌いました。いつもの私よりはちょっと少女っぽくて、純粋な感じ……自分で言うのはちょっと恥ずかしいんですけど(笑)。また黄昏の世界というキーワードがあったので、せつない夕暮れの感じも入れつつ。
阿部 僕らの曲は、楽曲によっていろいろな表情を持っていますが、今回はいい意味で脱力して演奏しました。無理なく曲に沿って、淡々と演奏する感じで、内なるエネルギーを開放する感じでした。
サカモト レコーディング前に詞もメロディもいい仕上がりだったので、アレンジでどうこうしようという気持ちはまったくなくて、とにかく歌と詞がシンプルに聴こえるようにと思いつつ、チリヌルヲワカらしさは忘れないように演奏しました。

――その他の「宵の星」の聴きどころは?
中島 強いて言うならサビの最後のほうで、阿部さんが鉄の棒のチャイムみたいなものをひっそり演奏しているのがかなりいい感じで効いていて。それがあることで緊迫感や星の瞬きを感じさせてくれているので聴き逃さないでください。
サカモト シンプルなバンドサウンドなんですが、聴きやすい曲になったかなと思います。
阿部 いままでの僕らはどちらかといえばパワーで聴かせる部分が多かったけど、今回は表面的なパワーでなく、でも力強さがある曲になったと思います。ライブでもほかの曲と並べるといい形で違いが出るんじゃないかなと。だから早くライブでやってみたいですね。

――皆さんから見た『アーシャのアトリエ』についての印象は?
中島 普段やっていたのがゾンビが出てくるような怖いゲームばかりで、こういうファンタジーでかわいいキャラが出てくるゲームは新境地でした(笑)。いちゲーマーとして早くプレイしてみたいです。プレイ中に歌が流れるのも斬新だなと思いました。今回、お話をいただいて、作るのはインストナンバーかなと思ってましたから。ストーリーの中で自分の歌が流れるのはたまりません(笑)。
阿部 ずっとゲームをやってこなかったんですけど、このゲームはお話しも絵も品が良くて、誰でも楽しめそうなので、やってみたいかなと思いました。魔法少女も出てくるそうですが、ユウちゃんの不思議さ具合も魔法少女っぽくて似ているのかなと(笑)。
サカモト 作品のPVを見て、音楽を聴いた時に『アーシャのアトリエ』のことを思い出したり、逆にゲームをプレイしていると音楽が思い浮かんだり、作品と音楽の親和性の高さを実感しました。

――皆さんへメッセージをお願いします。
サカモト 「宵の星」は『アーシャのアトリエ』と、チリヌルヲワカ、それぞれの良さが出ていると思います。チリヌルヲワカの魅力を挙げるとすればいくつもあるけど、一番のよさは歌詞カードを見なくてもどんなことを歌っているか、わかることだと思っています。そんな部分を聴いていただければ。
阿部 僕のようにゲームをやらない人も『アーシャのアトリエ』をプレイすれば、ゲームのやらず嫌いも直って、新たな体験ができるかなと思います。ライブに行ったことがない人はこれをきっかけに、僕らのライブを見たり、ほかのアーティストを聴いたりして、触れたことがない世界に触れてみてください。
中島 ゲームで自分の使っている曲が使われるなんて夢のようです。実は前からやってみたかったので、夢が叶ってうれしいです。また自分たちの音楽性の幅広さを確かめる意味でもいい挑戦ができました。今回、『アトリエ』シリーズで初めて私たちを知ってくれた方はライブに来たらビックリしちゃうかもしれません。良くも悪くも(笑)。「宵の星」が私達のすべてではないことを知っていただき、興味を持ってもらえたらと思います。ちょうど4月に2ndアルバム『あ可よろし』がリリースされたばかりなので、そちらを聴いたり、ライブに足を運んでみてください。

霜月はるか

【霜月はるか】
ボーカリストとしてさまざまなゲーム・アニメ作品の主題歌を担当するほか、作詞・作曲、ときに編曲やサウンドプロデュースも行うクリエイターとしての一面も持つ。ファンタジックな音楽・世界観が特徴。

――今回のオファーを受けた時の感想は?
霜月はるか(以下、霜月) 私自身『イリスのアトリエ』の三部作で『アトリエ』ファンの方にも認知していただいて、私の代表作にもなっているので、久しぶりに『アトリエ』シリーズに関らせていただけることはうれしかったです。しかもキャラクターデザインをされている左さんも以前、私のCDのジャケットを描いていただいたり、ご縁があって。また新しい『アトリエ』シリーズということで、どんな曲が来るのかなと楽しみにしてました。そしてフタを開けてみたら阿知波さんからまた違うタイプの2曲が来て。それ自体はいつものことと驚きはなかったんですが(笑)、どんなシーンで流れるのかなと楽しみでした。どちらの曲も阿知波さんの「こうしてほしい」というイメージが曲からあふれているので、私もイメージのブレなくやらせていただきました。

――それぞれの曲を初めて聴いた時の印象は?
霜月 「MARIA」はバトルの曲にしてはおとなしいなと思いました。荘厳で神聖なイメージが曲からも伝わってきて。ボス戦で流れるシーンは実際にプレーしたいという気持ちはあります。曲だけ聴いたら「ボス戦で流れるような曲じゃないかも」というイメージも湧くかもしれない曲で、ゲーム中に聴いてどんな印象になるのかはプレーしてこそ感じられるものだと思うので。「夢を織る家」はポップでかわいらしい曲で、『アトリエ』のひとつの側面や雰囲気、世界観を表しています。だからアトリエテーマなのかな。いままでのシリーズの曲と共通するイメージに合ったものだったので、つかみやすかったし、自分の中のどういうものを出せばいいのかも自然とわかりました。

――詞の世界観に関しての印象は?
霜月 「MARIA」は造語が使われているので、歌詞の意味を伝えるというよりは全体的な雰囲気やイメージを伝えるつもりで、コーラスの発音や発声している感じでした。「夢を織る家」は逆にわかりやすくて、詞を読んだら、そのままにしか聴こえないくらい(笑)。情景も想像しやすかったし、曲との雰囲気のマッチングもピッタリでした。あとは女の子らしさが出るように意識して歌いました。

――レコーディングをしてみての感想は? 
霜月 阿知波さんだけでなく、エンジニアも勝手知ったるDaniさんとやり慣れたメンバーだったので、やりやすかったです。「MARIA」は、多重録音は聖歌っぽいコーラスなのかなと思ってテストテイクでやってみたら、「そういう感じです」と。多重録音は実際に重ねてみないとわからない部分があるんですが、作っていく中で段々とイメージが固まって、重ね終わった後は達成感がありました。「夢を織る家」ではおもしろかったのがコーラスで、デモの時点では歌詞がなくて、「ラララでやるのかな?」と思っていたら、直前に歌詞が付いて。「これはどんなイメージなんですか?」と聞いたら、「ベタベタな感じで」と(笑)。懐かしさもありつつ、ジャパニーズポップス的な雰囲気を作るというやり取りを現場でしました。

――それぞれの曲の聴きどころは?
霜月 「MARIA」は歌というか音楽として聴いてほしいです。歌とインストで分けてしまいがちですが、そんなカテゴライズは必要ないと思っていて。私の歌声もDaniさんのギターやベースも音楽を構成する要素であり、こういう音楽なんだと思って聴いてください。そしてできるなら、ゲームをプレーしてこの曲が流れるボス戦を体験してください。「夢を織る家」は思わず、頬がほころんだり、テンションが上がる曲です。詞も曲も気持ちが軽くなるので、気分転換に気軽に聴けるのでオススメです。ゲーム中にこの曲が流れる時にちょっとした仕掛けがありますのでそこもお楽しみに。

――長く関られてきた霜月さんから見た『アトリエ』シリーズの魅力と『アーシャのアトリエ』の印象は?
霜月 『アーシャのアトリエ』も一新しながらもいままでのシリーズと同じようにキャラがかわいいし、独特のファンタジー世界になっているかなと思いました。また作品によって雰囲気が違うと思うけど、工房があったり、調合システムなど作っていくイメージは共通してあって。例えば私ががっつり関らせていただいた『イリスのアトリエ』はRPG的な側面が強いシリーズでしたが、その中でも何かを調合してアイテムを作るという根底は変わらず。逆に世界観やストーリーはシリーズによって変わっていくのがおもしろいなと思います。不変的な部分はそのままに、今回はどうなるんだろうと想像するのがいちプレーヤーとしても毎回楽しみにしてます。

――皆さんへメッセージをお願いします。
霜月 『アトリエ』ファンの皆様、お久しぶりです。今作は新規シリーズということで、いろいろな新しさがあると思うので期待してます。私が歌った2曲もそれぞれ重要なシーンで流れるということで、早くゲーム中で楽しみたいし、皆さんにも楽しんでいただきたいです。「MARIA」も「夢を織る家」もタイプはまったく違うけど、自分らしさは入れているので、私の2曲2色を楽しんで聴いてください。ちなみに私と日山尚さんが共同企画したファンタジーボーカルアルバム『ティンダーリアの種』と『グリオットの眠り姫』の、メディア展開で書きおろしたボーカル曲、BGMを全曲収録した『ティンダーリアの奏』が7月7日にリリースされますので、『アトリエ』ファンの方、ファンタジー好きの方、よろしければ聴いてみてください!