タッチ操作が心地いいプレイステーション Vita版

 2012年6月30日、7月1日に東京ビックサイトで開催されるカプコン最新タイトル体験イベント“CAPCOM SUMMER JAM~カプコン サマージャム~”。同イベントに出展されたプレイステーション Vita用ソフト『ストリートファイター X(クロス) 鉄拳』(以下、『ストクロ』)のプレイリポートを週刊ファミ通の豊泉三兄弟(次男)がお届けする。

『ストリートファイター X(クロス) 鉄拳』プレイリポート――綾野Pインタビューも【CAPCOM SUMMER JAM】_03

 はい、行ってきました。カプコンサマージャム。開場の14時と同時に入場して、場内をひとまわりしてから『ストクロ』の試遊コーナーに足を運んだのですが、その時点ですごい行列ができていました。なんと、40分待ち。そんな長蛇の列に並んでいると、スタッフの方から全キャラクターの必殺技一覧表を借りることができました。「ふむふむ、ガイとコーディーは『スパIV』と必殺技コマンドが同じっぽい」だとか「ブライアンは“マッハパンチ”が必殺技になってる!」などと、一覧表から得られる情報をできる限り頭に詰め込んでいました。

 体験プレイは、ふたりひと組で案内され、バーサスモードを7分間プレイできます。ひとりで取材に来た筆者は、見知らぬお兄さんとプレイすることに。対戦するからには相手のことを知らねばならないということで、このお兄さんに話しかけてみると、「『ストクロ』は据え置き機版もプレイしたことがないんですよ」、「でも『ストIV』をプレイしていたので気になって体験に来ました」とのこと。『ストクロ』未経験なら一瞬でやられることもなさそうだと、内心ほっとしていました(笑)。ちなみに、そのお兄さんとは待ち時間の間、格闘ゲーム談義に花を咲かしていました。やっぱり、同じゲームが好きな者どうしだと初対面でも話が盛り上がりますね。おかげで待ち時間がまったく気になりませんでした。

 そんなわけで、順番が回ってきてゲームをプレイすることに。と、その前に『ストクロ』を知らない人のために簡単にどんなゲームかを説明すると、『ストクロ』は、『ストリートファイター』シリーズと『鉄拳』シリーズのキャラクターが共演する夢の対戦格闘ゲームです。ルールは、2対2のタッグマッチ。『ストリートファイター』シリーズのルールを踏襲しつつ、タッグならではのコンビネーションなど、独特のシステムが搭載されています。先行発売されているプレイステーション3・Xbox 360版とプレイステーション Vita版の大きな違いは、タッチ操作に対応しているところと、新キャラクターが12人追加されていることです。今回の試遊では、これらの要素を体験することができたので、そのあたりを詳細にリポートします。

『ストリートファイター X(クロス) 鉄拳』プレイリポート――綾野Pインタビューも【CAPCOM SUMMER JAM】_04

 まず、タッチ操作について。プレイステーション Vita版は前面スクリーンや背面タッチパッドの特定の場所をタッチしたり、フリックすることでその場所に設定してある技をくり出すことができます。ボタン操作では難しいボタンの同時押しなどを設定しておけば、ワンタッチでくり出せるのでとても便利です。試遊バージョンでは、前面スクリーンのタッチ可能領域が、画面の左上、左下、右上、右下の4箇所に分かれていて、それぞれにパンチボタン3つ同時押しや、“クイックコンボ”(※登録してあるコンボをくり出す)などが設定されていました。一方、背面タッチパッドのフリック可能領域は3つに分かれていました。左手付近に相手を浮かせる“ランチアタック”、右手付近にパートナーとの“チェンジ”、そして、その間を押していると、前面スクリーンのタッチ可能領域が視覚的に確認できるようになっていました。前面スクリーンのどの部分をタッチしていいのかわかりにくい場合は、この部分を押すといいでしょう。

 タッチ操作の使用感は、タッチした際の反応がすごくよかったのが印象的。“チョン”と触っただけでもしっかり技がくり出せました。ただ、前面スクリーンの場合は利き手(筆者は右手)に近い場所はすんなりタッチできるのですが、左手側のタッチには若干の慣れが必要だと感じました。背面タッチパッドも反応がすごくよかったのですが、本体をガシっと鷲づかみするように持つと、技が暴発してしまうこともしばしば。うまくフリック可能領域に触れないように持つ必要があるので、こちらも慣れが必要だと感じました。ただ、本体の持ち方を工夫して、操作にも慣れてくると、ボタン操作ではきびしい複数ボタンの同時押しなどがワンタッチで行えるので、操作がかなり楽になりました。

 ちなみに、体験プレイ後に本作のプロデューサー綾野氏に聞いたところ、「タッチ操作を使わない設定もできますし、タッチ可能領域の調整も行えます」とのこと。つまり、どうしても背面タッチパッドに触れてしまい、ジャマだと感じる人は、背面タッチパッドを使わない設定にすればいいわけですし、前面スクリーンについても、タッチ可能領域の位置や大きさを調整して利き手付近に集めることも可能というわけです。自分のプレイしやすいスタイルにカスタマイズするとよさそうです。

続いて新キャラクターについて。今回初めて試遊できたブライアン、ジャック、ラース、アリサ、ガイ、コーディーをプレイしてみて気づいたことを箇条書きでお伝えします。今回の試遊は見知らぬ人との対戦形式ということで、技の性能などの細かい部分は確認できませんでしたが、ご了承ください。なお、そのほかの新キャラクターについては、こちらの記事をご覧ください。

■ブライアン
・ブライアンの代名詞的な技“マッハパンチ”が必殺技に。
・相手の腹を思いっきり殴る“アトミックブロー”という必殺技で相手を高く浮かせられる。
・“ストマックコンビネーション”という3回連続入力可能な打撃必殺技がある。
・遠距離から相手に飛びつく“フライングニー”という必殺技があり、飛び道具に強そう。

■ジャック
・リーチの長い技が多い。とくに遠距離強パンチの長さがすごい。
・“ロケットアッパー”という必殺技を当てると相手を高く浮かせることができた。
・『鉄拳』でおなじみのギガトンパンチが必殺技となっており、ボタン押しっぱなしでチャージ可能。
・パンチボタン連打の必殺技やタックルをかます必殺技も完備。

■ラース
・通常技はスタンダードなものが揃っていた。
・姿勢を低くして移動する必殺技“サイレント・エントリー”があった。
・アバランシュフォールという必殺技が『スパIV』のアドンの強ジャガーキックのような技だった。
・トリガードスクリューという昇龍拳コマンドの技が対空に使えそう。

■アリサ
・外した頭で敵を殴るなど、コミカルな通常技が多い。
・ダブルロケットパンチという飛び道具あり。
・ハッピープロペラという昇龍拳コマンドの技が対空に使えそう。

■ガイ&コーディー
・ふたりとも『スパIV』感覚で使うことができた。
・ガイは武神獄鎖拳があり、スーパーチャージ技(溜められる技)は“崩山斗”
・コーディーは、ラフィアンキックがスーパーチャージ技。

気がついた点をざっと挙げてみましたが、『鉄拳』側の新キャラクターについては、原作の代名詞的な技がしっかりと必殺技として採用されていて、そのキャラクターの特徴がしっかり出ている印象を受けました。一方、『スパIV』から登場のガイとコーディーは、『スパIV』感覚で操作できました。また、プレイステーション Vitaの性能おかげか、画面が鮮明かつキャラクターの動きも滑らかで、据え置き機と変わらない操作感覚でした。今回の体験プレイを通じて、製品版への期待が高まりました。

と、体験プレイを終えてひとりで興奮していたら、本作のプロデューサーである綾野氏を発見したので、緊急インタビューを敢行しました。

綾野プロデューサー緊急インタビュー

『ストリートファイター X(クロス) 鉄拳』プレイリポート――綾野Pインタビューも【CAPCOM SUMMER JAM】_01
プロデューサーの綾野氏。私服で歩いてるところを捕まえて、無理やり『ストクロ』Tシャツを着てもらいました(笑)。

――プレイステーション Vita版『ストクロ』の魅力を改めておきかせいただけますか?

綾野氏(以下、綾野) ダウンロードコンテンツとして入手しなくても、最初から全55キャラクターすべてを使用できるところです。

――タッチ操作にも対応しているようですね。

綾野 はい。ボタンの同時押しなど、パッドでは難しい操作をワンタッチで行えるので自分の使いやすいようにカスタマイズして使っていただければと思います。

――そのほかの特徴はどのようなものがありますか?

綾野 今回のバージョンでは遊べませんが、プレイステーション3版とプレイステーション Vita版で通信対戦が行えることも特徴です。異機種間による通信対戦でも違和感なく快適に楽しめますよ。もちろん、対戦相手の使用機種を指定して相手を検索する機能もありますので、自分の好みに合った対戦相手を検索して遊んでいただけます。

――ほかにもプレイステーション Vitaを使った機能はありますか?

綾野 ARやnearなど、プレイステーション Vitaの本体機能を使った仕掛けを用意してあります。おそらく本体のほとんどの機能を活用することになると思いますよ。

――それは楽しみですね。ちなみに、さきほどの体験プレイでは、据え置き機より少しロードが時間が長い気もしたのですがこのあたりは解消されるのでしょうか?

綾野 もちろんです。今回の出展バージョンはあくまで開発中のものですので、ロード時間の短縮はできる限り行うつもりです。

――『ストクロ』は、プレイステーション3・Xbox 360版の発売以降、ゲームバランスの調整を中心としたアップデートが複数回行われていますが、今後も継続してアップデートされるのでしょうか?

綾野 はい。まずは、格闘ゲームとしてのバランスを整えなければならないと考えていますので、しばらくは少し行き過ぎた部分を中心にバランスを調整する予定です。『ストIV』シリーズにたとえると、『ストIV』から『スパIV』に以降したときのようなイメージですね。まずはキャラクターをすべて登場させて、そして尖り過ぎた部分を削って調整していくという。

――すべてのキャラクターが揃い、バランスも整ったあとは……?

綾野 ファンからの要望があれば、そのさきも考えたいですね。

――アップデートを行うことで、ゲームバランスが整っていくのはいいことだと思うのですが、その反面でアップデートが頻繁に行われ過ぎると、「どの時期からゲームをやり込んでいいかわからない」というファンの声もあるようですが?

綾野 それは逆に言えば、いつでもやりどきと言えると思います。家電といっしょだと思うんですよ。家電は、待っていればどんどんいいものが出てくるのは当たり前なので、自分の欲しいタイミングで買うのがいちばんだと思うんです。『ストクロ』も同じですね。待っていればアップデートでどんどんよくなっていきますが、自分がプレイしたいと思ったタイミングで遊んでもらうのがいちばんいいと思います。

――なるほど。それでは、最後に読者へのメッセージをいただけますか?

綾野 カプコンサマージャムへ大勢の方に来場していただき、さらに『ストクロ』の試遊台にも多くの人が集まってもらい、とてもありがたく思っています。『ストクロ』はプレイステーション Vita版の発売以降もファンの方が楽しんでいただけるように継続してサポートしていく予定です。ぜひ、期待していてください。また、カプコンサマージャムの会場では、明日(2012年7月2日)の11時25分から『ストクロ』のステージを予定しています。プロゲーマーのウメハラさんとときどさんがゲストで登場しますので、ぜひともご来場ください。よろしくお願いします。

(記事担当:豊泉三兄弟(次男))

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