いままでにない“ファンタジー”、そして新しい“マルチプレイ”とは!?

 2012年5月10日、東京・国際フォーラムにて、PlayStation Vita用ソフト『SOUL SACRIFICE(ソウル・サクリファイス)』発表会が開催。本作の企画・開発を務めるcomcept(コンセプト)CEO/コンセプターの稲船敬二氏をはじめとするクリエイター陣が登場した、発表会の詳報をお届けしよう。

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 発表会のプロローグでは、スクリーンに映し出された映像と、薄いスクリーン越しに見えるローブをまとった人影が織りなす演出が披露された。映像では、“協力ではない。”、“共闘せよ。”、“覚悟はあるか?”など、本作のコンセプトを象徴する言葉がつぎつぎと映し出され、雰囲気を盛り上げていく。

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 一連のプロローグ演出終了後、ステージに登場したのは、ソニー・コンピュータエンタテインメント ワールドワイドスタジオのプレジデント、吉田修平氏だ。吉田氏は、ワールドワイドスタジオの代表としてはもちろん、いちPlayStation Vitaユーザーとして、『SOUL SACRIFICE(ソウル・サクリファイス)』を非常に楽しみにしていること、そして本作が、現在ソニー・コンピュータエンタテインメント JAPANスタジオでもっとも力を入れているタイトルのひとつであることを語った。

 つぎに、吉田氏から招かれる形で、稲船敬二氏がステージに登場。稲船氏は、「今回、このすばらしいPlayStation Vitaというハードで、まったく新しいタイトルを作ることができて、僕自身興奮していますし、こんなに大きな発表会という形でお披露目できることをうれしく思います。皆さんの期待に応えられるようなゲームを、しっかりプレゼンしていきたいと思います」(稲船氏)と挨拶し、本作のプレゼンテーションをスタートした。

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 まず稲船氏は、いままでにもいろいろな機会で語っている通り、“コンセプト”がゲームにとってもっとも大事なものであることを、改めて強調。「コンセプトがおもしろければ、ゲームの8割はすばらしいものになります。それくらいコンセプトは大事です」(稲船氏)と語ったうえで、本作のコンセプトを説明していった。稲船氏によると、今回のコンセプトは“真実のファンタジー”なのだという。その“真実”とは、“犠牲と代償”。「大きな力を得るには、何を代償にして、何を犠牲に払うのか、それが大事なことです。たとえばいいものを食べるには、たくさんお金を払わなければいけない。それは現実でも我々が経験していることです。ゲームの中でも、そういう真実を体験してもらいます」(稲船氏)と、稲船氏らしい独特の表現で説明。そのうえで、そのコンセプトをわかりやすく表現したものとして、第1弾トレーラー映像が上映された。

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 映像では、口の中から背骨を引き抜いて、それを武器にして戦う姿が描かれているが、この武器の名は“エクスカリバー”。ファンタジーではおなじみの、引き抜いた者にしか扱えないとされる伝説の武器の名だが、稲船氏は、これを自分流に解釈し、「誰も抜けない物を抜く、それくらいの覚悟があれば、巨大な敵も倒せる。魂を伴う、背骨、内臓、すべてを引き抜いて戦えれば、それが真実のエクスカリバーだと思う」(稲船氏)として、こうした表現に行き着いたのだという。稲船氏の説明によれば、本作では、この“稲船流エクスカリバー”のような武器や防具が多数登場するようだ。

 続いてストーリーについて。詳細は【コチラ】の記事でも解説している通り、邪悪な魔法使いに捕らえられた青年が主人公となる。そして彼が牢屋の中で見つけた1冊の本の中には、日記らしき内容が綴られている。それを読んでいくうちに、本の世界に入れるようになり、本の中の邪悪な魔法使いと戦うことになる。稲船氏によると、「主人公は日記を書いた人の記憶を追体験していきます。その中に、もしかしたら希望があるのかもしれない。その希望に向かって、主人公は突き進んでいきます」(稲船氏)という筋書きになっているそうだ。

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 つぎに、本作の概要がさらに詳しく説明された。まずプレイヤーキャラクターは、複数のタイプから選んだうえでカスタマイズし、自分なりの魔法使いを作成したうえでプレイできるとのこと。
 そしてモンスター。スクリーンで紹介されたのは、スライムやハーピーといった、ファンタジーではおなじみのモンスターたちだが、そのデザインは、一般的なイメージとは大きく異なる。これについて稲船氏は、「昔からあるファンタジーのデザインをもとに描き起こしても、それはコピーにしかならない。自分が考えるミノタウロス、自分の考えるハーピーとは? それをスタッフと話し合って、スタッフの個性で描いたのがこれです。非常に気に入っています」(稲船氏)と説明。さらにこれらのモンスターは、もとは人間で、欲望に駆られた末に、モンスターの姿になり果てたのだという。「欲望を減らしていけば、もしかしたら助けることが、人間に戻すことができるかもしれない。そんなふうに、本作では“人間”をしっかり描いています」(稲船氏)とのことだ。
 また本作では、魔法を使って戦っていくことになるが、いわゆる“MP”の概念は存在せず、何かを犠牲にすることで、その代償として魔法を使うことができるようになっている。小さな犠牲では小さな力、大きな犠牲を払えば、大きな力を使うことが可能で、前述のエクスカリバーは、自分の命を捧げるという最大の犠牲を払うことで成り立つ魔法、というわけだ。このシステムには重要な意味があり、「使いすぎると、自分の体を痛めつけて、人間としての体も心も失われていく危険があります。それは敵も同じで、そうして人でなくなっていったのです」(稲船氏)と、世界設定と不可分な仕様だと言える。

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 ひと通り概要が説明されたのち、「ここまでできているんだよ、と。ちょっと自慢させてください」(稲船氏)との言葉とともに、稲船氏みずからの手により、実機を使ったプレイデモが披露された。
 プレイデモでは、“地面から木を生やす”、“自分の血を犠牲にして、弾丸のように飛ばす”、“石を身にまとって巨大な岩石になり、敵を押しつぶす”といった多彩な魔法を使って戦う様子が見て取れた。それらの魔法は、○、△、□ボタンにセットすることが可能。ふたつのセットをRボタンで切り替えることにより、任意にセットした6種類の魔法を常時使用することができる仕組みだ。また、敵を倒した際には、その敵を“生贄にする”か、“救済する”かを選ぶことができ、選択によって得られるものが異なるとのこと。

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▲まだまだ開発途上とのことだったが、デモで披露された滑らかでスピーディーなアクションを見る限り、制作状況は順調なようだ。

 続いては、本作の楽曲制作を担当する、光田康典氏と鋒山亘氏がステージに登場。それぞれが制作した楽曲を披露しながらのプレゼンテーションが行われた。
 まず光田氏が披露したのは、悲哀に満ちたボーカルが印象的な曲。これは、牢獄の中で主人公が手にする“本”のテーマだそうで、「囚われの身の主人公の絶望感と、かすかな希望を込めました」(光田氏)というもの。光田氏は、日本ではあまり見ない世界観のゲームだけに、非常に悩みながら作曲したそうで、何度も書き直した末に完成させた、お気に入りの曲なのだそうだ。稲船氏も、「光田さんらしい、繊細で、切なくて、ちょっとだけ希望がある感じの、すごくいい曲ですよね。僕も凄く気に入っています」(稲船氏)と語っていた。
 鋒山氏が披露してくれたのは、巨大なモンスターとのバトル曲として作曲したものだという重厚で迫力満点の曲。ただし迫力だけではなく、「それぞれのモンスターは、そこにいたるまでに苦しい経緯を経ていて、心の叫びがあるはず。内面にあるピュアな部分、“助けてくれ”という悲痛な叫びを込めたいと。そこを意識して書いた曲です」(鋒山氏)と、こちらも非常に難しいテーマのもとに制作された曲なのだそうだ。この曲については、稲船氏は「本作のコンセプトに“心”の部分を入れていますので、曲も、見た目だけではなく、心の奥底まで描いてほしいとお願いしました。そこをわかっていただいたうえで、迫力も出してくれて。本当にコンセプトをしっかり理解していただけているのでありがたいです」(稲船氏)と、こちらも非常に満足していると語っていた。
 全体の制作状況については、「まだこれから、というところで、いまどんどん曲を書いている状態です」(光田氏)とのことだが、光田氏、鋒山氏が緊密にミーティングを重ねながら、協力して楽曲制作を進めているという。なかには、海外でフルオーケストラ、フルコーラスによる、大規模なレコーディングが予定されている曲もあるそうだ。両氏の手腕に期待したいところだ。

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▲光田康典氏
▲鋒山亘氏

 そして最後のプレゼンテーションは、“共闘”要素に関するものだ。ここで上映されたプレイ映像では、4人のプレイヤーが、各自が炎や雷など、多彩な魔法を使って戦う様子が披露された。雑魚らしき敵を倒しながら進むと、人間の姿から変化したケルベロスとの戦いに。最終的には、ケルベロスの攻撃で力尽きたプレイヤーが、別のプレイヤーに“生贄に捧げられる”(!)ことにより、サラマンダーに変化。自分自身が大きな炎となって攻撃することで、サラマンダーにトドメを刺していた。なおその後、力尽きた1名を除く3名のプレイヤーが、“救済する”か“生贄に捧げる”かを選択。ここでは3名ともに“生贄に捧げる”ことを選択したため、ケルベロスが生贄に捧げられてプレイ終了となった。もしここで、3名の選択が食い違った場合にはどうなるのか……? そこは詳細は明かされなかったが、本作の大きな仕掛けのひとつとなっているようだ。

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▲プレイヤーのひとりが呼び出した巨大なゴーレムが、ケルベロスに立ち向かっている!
▲ダメージを受けた敵から、心の叫びが漏れ出してきてくる。
▲犠牲になったプレイヤーがサラマンダーに。
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▲犠牲に捧げられたプレイヤーが、最後の選択に参加することができない。
▲最期の時を迎えた敵から、心の叫びが一気に放出されていく。

 最後に、改めて稲船氏から締めのメッセージが語られた。その内容は以下の通り。

独立してゲーム会社を立ち上げてから1年ちょっと。PlayStation Vitaで作らせてもらえるチャンスをいただけて、全力でやってきました。スピードをモットーに、どれだけの速さで、どれだけすばらしいものを届けられるか。それを目標にやってきました。
遊んだ人に、「いままでに遊んだゲームでいちばんおもしろい」と言わせたい、そういう気持ちでやっています。そのための犠牲は自分自身、たくさん払ったつもりです。それで得た大きな力で、仲間たちと一生懸命やっています。最後まで気を抜かずにやれる自信があります。ぜひ皆さんに、この作品を楽しんでほしいと思います。
皆さんはそれほど大きな犠牲を払う必要はありません(笑)。PlayStation Vitaと、このソフトを買うだけで、楽しむことができます。ぜひ楽しんでください。


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写真中央:稲船敬二氏
写真左:本村健太郎氏
写真右:鳥山晃之氏

 プレゼンテーションの終了後、ソニー・コンピュータエンタテインメント JAPANスタジオ プロデューサーの本村健太郎氏、ソニー・コンピュータエンタテインメント JAPANスタジオ アソシエイトプロデューサーの鳥山晃之氏が登場し、質疑応答の時間が設けられたので、その内容をお届けしよう。

――今回の企画の経緯を教えてください。

稲船 カプコンを退社して、すぐにいろいろな企画を自分の中で立ち上げましたが、その中で、ソニーさんに向けた、PlayStation Vita向けのいいタイトルを思いつきましたので、お話をさせていただきました。お話を持ち込んだタイミング自体はかなり早くて、僕が独立後に立ち上げたタイトルの中では、もっとも早く進行したプロジェクトのひとつです。

――なぜPlayStation Vitaを選択されたのですか?

稲船 マルチプレイをメインに考えたゲームを作りたいというのがあって。マルチプレイの凄まじさは、カプコン時代からよくしっていますから(笑)、いいマルチプレイを、自分なりに作れるのではないかと。そういう意味で、PlayStation Vitaに向いた、性能を活かし切ったマルチプレイができるんじゃないかな、ということで、決めました。

――マルチプレイは、アドホックのみですか? それともオンラインも?

本村 アドホック以外にも、オンラインも使ってできるようにと考えています。
稲船 いまの時代、アドホックだけではね。これは、国内だけではなく、海外でもアピールできればいいな、という思いもあります。実際に海外での展開はどうなるかは、まだ何も決まっていませんが。

――マルチプレイ以外で、PlayStation Vitaならではの要素はあるのでしょうか?

本村 これからいろいろ、新しい要素を公開していきますので、もう少しお待ちいただければと思います。

――ダウンロードコンテンツの展開についてはいかがですか?

稲船 いまの時代、ダウンロードコンテンツも含めて、ひとつのゲームだと考えています。どういう形で出していくかはこれから詰めていきますが、当然企画の中には入っています。

――発売時期については?

稲船 僕の気持ち的には、目茶目茶早く出したい、という思いがありますが、いろいろありますので、今冬ということで(笑)。僕としては、今年中には出したいと思っています。

――ゴア表現がかなり激しいように見えますが、レーティングについてはどのような見通しを持っておられますか?

鳥山 CEROレーティングは現在審査中なので、続報をお待ちいただければと。ただ、あまりにもユーザーを限定してしまうような形にはしない方向で検討しています。
稲船 コンセプトがコンセプトだけに、CERO A(全年齢対象)というのはありえない話なので(笑)。ただ、何がグロか、みたいな部分に関しては、いろいろ考えながらやっていこうと考えています。

――敵モンスターは、どのくらいの数が登場するのでしょうか。

稲船 それは発売時期とリンクした問題ですね(笑)。なるべくたくさんのモンスターを、と考えながら作っています。ただ、すでにかなりのモンスターが作られているので、それをどう組み込んでいくかを考えています。

――マルチプレイ映像では、最後にボスを救済するか、犠牲にするかの投票で、全員一致で犠牲にするほうが選ばれましたが、あそこで意見が割れていたらどうなるのでしょう?

稲船 当然、その場合どうなるか……はシステムに入っています。でもそれは、いまは言えないです(笑)。たとえば投票が2対1に割れた場合、ふたりは代償を得られて、反対したひとりは得られない……かもしれませんね。でも、いまは言えないです(笑)。ただ、「倒せた、よかった!」で終わるゲームではなくて、倒した後にもどうするか考える。“心”を描いた、というのはそういう部分もありますね。

――インフラストラクチャーモードでマルチプレイするとなると、コミュニケーションを取る手段も必要になるかと思いますが、そこはどうお考えですか?

本村 PlayStation Vitaではボイスチャットも可能ですので、それを活用してみようか、など、何らかの、ユーザー同士がコミュニケーションをする“場”というのは、当然想定していますので、そちらも続報をお待ちください。
稲船 そうですね。アドホックモードなら、その場で「こうしよう!」で大丈夫だけど、インフラストラクチャーでは、それはできませんからね。でも、できないからいい、という部分もあるでしょうね……(笑)。

――最後に、ユーザーにメッセージをお願いします。

本村 PlayStation Vitaならではのコンセプトであり、企画だと思っています。携帯機でみんなとつながって遊べるところ、そしてそれに適したアクションゲームであるということ。そして、アドホックモードでお互いに顔色をうかがいながら遊ぶ楽しさも、インフラストラクチャーモードで、お互いの顔が見えないからこその楽しさもあると思います。皆さんに、まったく新しい体験をしていただきたいので、ぜひ今後とも情報を追っていただいて、続報をお待ちいただきたいと思います。

鳥山 PlayStation Vitaならではのマルチプレイを、“共闘アクション”という形で表現しています。いままでにない、ユーザー同士の戦いという遊びが楽しめるので、期待していただければと思います。

稲船 “稲船らしいゲーム”を作りたいということでやらせていただいていますが、“稲船らしい”という捉えかたが、ユーザーの方々によって違うんですよね。海外から見た“稲船”も違うし、どの“稲船のゲーム”をやっているかによっても違う。僕自身たくさんの顔を持っていると思っていますが、このゲームのコンセプトは、いちばん好きな部分のひとつなんです。ホラー映画が大好きですし、気持ち悪いものが大好きですし、その中に、ゾンビもあったりします。でも、ひとつの世界観を考えるときに、ありきたりなものはすごく嫌いで、“ファンタジー”っていうのも、じつは、目茶目茶好きかというと、そうではないんです。いまある“ファンタジー”はすごくいいけど、それは過去に作られた“ファンタジー”であって、尊敬はしていますが、それをコピーをくり返して作っていって、「ファンタジーっていいでしょ?」という時代ではないと思うんです。自分なりの考えかた、自分なりのおもしろさを付け加えて、ファンタジーを料理してみたいな、という。今回は、自分が好きな、自分らしい形で料理させてもらっているので、このゲームに関しては、自信もありますし、これをユーザーの方々に伝えることによって、また新しい“稲船らしい”を作り出したいと思っているので、ぜひこの“稲船らしさ”を体験してもらいたいと思います。


SOUL SACRIFICE(ソウル・サクリファイス)
メーカー ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン
対応機種 PSVPlayStation Vita
発売日 今冬発売予定
価格 価格未定
ジャンル アクション / ファンタジー
備考 企画・開発:稲船敬二(comcept)、開発:マーベラスAQL、制作・プロデュース:ソニーコンピュータエンタテインメント JAPANスタジオ、音楽:光田康典、鋒山亘