『Diablo』タイプのシングルアクションRPG!
昨今では定番のジャンルとなったアクションRPG。古くはあの名作『イース』シリーズ、近年では『ファンタシースターオンライン』シリーズや『セイクリッド2』などが代表作として挙げられるだろう。『Torchlight』は、2009年にPCで登場し、さらに2011年に海外でXbox LIVEアーケードとして配信されたシングル用アクションRPGの新風だ。
本作は“Torchlight”という町を拠点に、ダンジョンを探索して最下層を目指しつつ主人公を強化し、ついでにさまざまなクエストを楽しむというプレイスタイル。かの名作『Diablo』風の……というか、もうほぼそのまま『Diablo』と言い切っていいようなゲームデザインだ。
主人公のクラスは特徴が異なる3タイプ
『Torchlight』の主人公は3種類のクラスから選択する。肉弾戦が得意な“Destroyer”、魔法に長けた“Alchemist”、遠距離攻撃タイプの“Vanquisher”で、外観や性別はクラスごとに固定されている。また冒険に同行するペットも3種類の外見から選ぶことが可能だ。
キャラクターのステータスは、直接攻撃に影響するStrength、間接攻撃に影響するDexterity、魔法の威力に関係するMagic、防御力に関係するDefenseの4種類。レベルアップごとに5ポイントの能力値を得られ、好みに割り振って成長させていくのだ。また4種類の耐性値も存在し、こちらはスキルや装備などで強化していく。
また各クラスごとに異なる、特殊能力といえるスキルが多数存在する。スキルは3系統に大別されており、レベルが一定以上になれば新しいものが解禁される。レベルアップ時に1得られるポイントを割り振って、新たなスキルを覚えたり、既存のスキルを強化していく仕組みだ。
魔法も使うことができ、こちらはスクロールを入手して使用することで覚えられる。魔法にはランクがあり、対応するスキルを成長させることでそのカテゴリの魔法が強化されていく仕組み。
本作ではすべてのステータスやスキルを最高まで成長させることはできないため、ある程度育成方針を決めて育てていくことになる。同じクラスでも成長させるステータスやスキルが変わると戦いかたはガラッと変わるため、くり返しキャラクターを育てていく楽しさがあるのだ。
シンプルな操作で楽しめるバトルシーン
ゲーム画面はこの手のゲームでよくあるクオータービュー。操作はとてもシンプルで、左スティックで移動、Xボタンで攻撃。Aボタンで人物に話しかけたりアイテムを拾い、LT、RT、Y、Bボタンはスキルや魔法を割り振れるショートカットキーとなっている。またLBは体力回復ポーション、RBはマナ回復ポーションをそれぞれ使用する。
基本的には弱い敵が大量に登場するので、それを通常攻撃でサクサク倒していく、爽快感あふれるバトルが展開する。ただし、まれに強力な中ボスクラスの敵が登場するため、そのときはヒット&アウェイを活用する緊張感あふれる戦いとなる。先へ進めば登場する敵がガラッと変化するため、つねに新鮮な気持ちで戦闘を楽しめるのだ。
膨大な種類が存在する魅力的なアイテム群
本作の魅力のひとつに膨大な種類のアイテムがある。武器や防具、指輪などのアクセサリーは、基本的な性能に加えて特殊効果が付与されたものが存在する。特殊効果はランダムで付与されるため、より強い装備を求めて戦い続ける、トレジャーハントの楽しさもあるのだ。
またアイテムはエンチャントを行って新たな特殊効果を追加することが可能。さらにアイテムのなかにはソケットがあるものも存在し、ここに宝石をはめ込んで性能を向上させることもできる。レアな武具を、さらに自身で強化するカスタマイズの楽しさも味わえるのだ。
小さくではあるがよくまとまっている良作
自由なクラスカスタマイズにトレジャーハントなど、さまざまな魅力にあふれている本作。だが一番の魅力は戦闘の楽しさ、爽快感であろう。終始派手なわけではないが、スピーディに進行する個々の戦闘、敵を攻撃するときの気持ちいい効果音、敵が倒れたときのモーションなど、バトルの根幹となる部分がとてもよくできている。通常の敵に混ざって強力な敵が現れることで、単調になりがちな戦闘にメリハリが生じ、緊張感を持続しているのだ。
いくら自由度が高いなどと述べても、ゲームの90パーセントはバトル。そこに魅力があるからこそ、その戦闘の幅を広げるクラスカスタマイズや豊富なアイテムも楽しめるのだ。総合的に見てよくまとまっており、単純ながら奥深いゲームシステムのため、幅広いアクションRPGファンが楽しめる佳作といえる。手軽に遊べるアクションRPGに飢えている人は、ぜひともプレイしていただきたい。
ただし、この手のタイプのゲームの宿命として『Diablo』シリーズとの比較は免がれず、ボリュームや奥深さ、熱中度は残念ながら『Diablo II』に及んでいないだろう。とはいえ、『Diablo II』はすでに10年以上前の作品であり、現在の環境では快適に遊べるとはいいがたい。本作が目指したのは、最新のパソコンまたは最新ゲーム機で快適に遊べる『Diablo II』タイプのゲームで、その点から見ると十分に役割は果たしているだろう。なお今夏にはPCでオンラインに対応した続編『Torchlight II』が登場予定。5月に発売予定の本家『Diablo III』と合わせて、注目していきたい。
著者紹介 喫茶板東
ファミ通Xbox 360で海外ゲームマニアックス、実績解除愛好会などを担当するフリーライター。『Diablo II』は当時けっこう遊んだけれど、たしか難度HELLの序盤が厳しすぎて挫折。そんなレベルです。